「HEMS」で何ができる?基礎知識、活用方法、メリットを徹底解説

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省エネや環境保護の話題の際に、「HEMS(ヘムス)」というワードを聞いたことはあるでしょうか。スマートハウスやZEH(ゼッチ)などと共に登場することの多い言葉なのですが、それらと比べると多少マイナーであり、あまり知られていないかもしれませんね。

HEMSは、まるで一昔前の映画で見るような「近未来」の家を実現できる装置です。機械が住まいのエネルギーについて管理してくれて、外出していても手元の端末ひとつで家の中の電気製品を操作することができる…まるで夢のような装置であり、省エネをも実現できる次世代のシステムです。

今回はこのHEMSについて、詳しく見ていきましょう。

HEMSとは何か

「Home Energy Management System」の頭文字を取ったものが、「HEMS」。

家の中の電気設備のエネルギー使用量や稼働状況を、モニターなどで数値化して「見える状態」にできる装置です。

HEMSによって、電気設備やHEMS対応機器の電力消費量など細かな使用状況などを把握し、管理することができるため、住宅においての電力使用を最適化することが可能になるのです。

国内すべての住宅で導入?

国際的な環境保護や省エネへの動きに伴って、日本政府はHEMSを「これからの住宅の標準装備」にしたいとし、2030年までにすべての住居にHEMSを導入することを目標としていますが、2015年時点ではその普及率は0.4%以下でした。

HEMSのメリットや重要性をより多くの人が知ることで、今後の普及率上昇が期待されています。

HEMSでできること

電気製品の遠隔操作で暮らしを便利にする

HEMSに対応している照明設備やエアコン、テレビなどをネットワークで接続すると、家の中にいなくても外からスマホなどでそれらの遠隔操作が可能になります。

これによって、たとえば出かける間際に消し忘れた照明を外部から消灯する、帰宅時間に合わせて部屋を暖める・涼しくする、お風呂の湯沸しを始めるなどといったことが可能になります。

エネルギー消費の「見える化」ができる

HEMSは、住宅内のエネルギーの流れを目に見える形で表してくれるため、太陽光発電でどのくらい発電できたか、何の電気製品がいつどのくらい電力を消費したか、などといったことが一目瞭然になります。

本来ならば目に見えないエネルギーを「見える化」することによって、電気の無駄遣いや使用の傾向などがわかるということなのです。これらを客観的に知ることで、節電節約の数値目標が立てやすくなり、自然に省エネ思考となっていくことが期待できます。

もちろん、「見える化」したエネルギーの流れをもとに、HEMS自体が電気製品などを一元管理して自動制御を行い、最適化もしてくれます。賢く、無駄のないエネルギーの制御を自動で行ってくれるのです。

たとえば、エネルギー消費量の目標値をあらかじめ設定しておけば、その数値を超えたときにHEMSがエネルギー消費を自動で調整してくれる、という機能もあります。

電気以外のエネルギーも一元管理できる

実はHEMSでは、ガスや水道など電気以外のエネルギーを管理することも可能です。すべてを一元管理できるので、電気代にとどまらずあらゆる光熱費のコストカットが期待できます。

HEMSの問題点

初期導入費用が高価

HEMSのメリットには「節電効果」が挙げられ、それによって長期的な目で見ればエネルギーコストの節約は可能ではありますが、導入の際には機器の購入やシステム設置のための工事に費用がかかるため、そこがネックになることがあるでしょう。

また、導入後の節電効果で節約できる費用が、初期導入費用をペイできるかどうかという点も、あまり期待できません。金額面だけでなく、「便利である」という点にも目を向けての総合的なコスト、という視点を持っておかなければ、単純にコストメリットが大きいとは感じられないといえるでしょう。

HEMS対応の電化製品はまだ少ない

HEMSはどんな電気機器とも接続できるわけでは、もちろんありません。経済産業省が推奨する「ECHONET Lite」という規格に対応している必要がありますが、これがまだ充実しているとはいえないのが現状です。

今後は対応家電がどんどん増加していくことが期待されますが、近々HEMS導入を考えている場合は、現在使っている家電から対応家電に買い替えなければいけないという局面も多く出てくるでしょう。

認知度が高くない

近年、環境への配慮の意識が世界全体で高まり、日本国内でもさまざまなエネルギー関連用語が認知されるようになってきましたが、HEMSに関してはまだまだ認知度が高くないというのが正直な印象ではないでしょうか。

メリットが知られていなければ、広まるものも広まりません。また、ある程度広まらないと、規格に対応した家電も増えづらいでしょう。2030年までに国内全家庭にHEMSを普及させるという目標の達成のためには、もっともっと多くの人にHEMSの存在が認知されなければならないといえるでしょう。

HEMS導入の実際の流れ

HEMSを導入する際の具体的に必要な機器としては、まず「分電盤」が挙げられます。スペックによって価格帯は25,000~200,000円程度と幅広くなっています。

次に「電力測定装置」「情報収集装置」も用意します。その名の通り、電力の消費量を把握したり、家電をHEMSとネットワーク接続したりするために必要な装置です。これによって、家電とHEMSを接続することができます。

また、オンライン接続することで、住民だけではなく電力会社とも電力の使用量や使用状況を共有することも可能となります。

クラウド型のHEMSの場合はスマホやタブレットで情報の確認や機器の操作が可能になりますが、そうでない場合は専用の「モニター」も必要になります。

部屋ごとの室温や湿度を、数値だけでなくグラフで確認できるようなものもあります。

これで準備完了です。あとはモニターや端末で、電力の使用状況を確認しながら電気機器の操作を行います。

HEMS導入のための補助金はあるのか

2030年に全住居へのHEMS導入という目標を掲げるからには、国からの補助金があるのでは…と思うところですが、実はHEMS設置に対する補助金は2011年と2013年にはあったものの、その後は打ち切りの状態となっています。

なぜ補助金は打ち切りになったのか

そもそも、日本政府がHEMSを普及させたいと考える最大の理由は、温室効果ガスの排出量削減にあります。政府は2030年までに温室効果ガスの46%(2013年との比較)の削減を目標に掲げていることから、温室効果ガスを排出しない発電方法を広く普及させ、環境への配慮や省エネを推進したいのです。

そのために一役買うための策が、HEMSを普及させることでした。

しかし、HEMS推進の理由はもうひとつありました。

それは、発電設備の安定運転です。2011年の東日本大震災の際、日本中が電力供給量不足に見舞われました。これをきっかけに、政府は省エネ住宅の普及を本格的に考えたのです。

そのため、HEMS設置への補助金の予算は、東日本大震災の復興関連予算から捻出されることになりました。こうして2011年と2013年には補助金が用意されていたのですが、2013年9月、震災から2年が経ち経済状況も大きく変わったため、復興関連予算の使途について厳格化することになり、HEMSの補助金は事実上打ち切りとなってしまったのです。

HEMSの補助金、これからはどうなる?

とはいえ、2030年に全住宅にHEMSを設置する、という目標がなくなったわけではないので、今後もHEMSに対する補助金が導入される可能性は十分考えられます。

実際、2023年1月現在でも、独自のHEMS補助金を用意している自治体もいくつか見られます。お住いの自治体がそれに該当しているかどうか、一度確認してみるとよいでしょう。

また、国による施策でも「DER補助金」や「次世代HEMS実証事業」といったものが間接的にHEMSに対応しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

まとめ

スマートな暮らしと省エネの両方を叶えてくれることが期待されるHEMS。「近未来の家」は、もう現実のものとなっています。

ご自分のライフスタイルなど細かなことに合わせて、またメリット・デメリットをよく吟味したうえで、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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