建物滅失登記って自分でもできる?手順やポイント、しなかったときのデメリットまで紹介

解体工事の基本知識

家屋や建物を解体して除却したら、「建物滅失登記」という手続きを1ヶ月以内に行わなくてはいけません。耳慣れない言葉だという方がほとんどでしょうが、これを怠るとさまざまなデメリットが生じてしまいます。
今回は建物滅失登記について、どういったものなのかから始めて、やり方や注意点まで詳しく見ていきましょう。

建物滅失登記とは

見るからに難しそうな字面の「建物滅失登記」とは、一体どのようなものなのでしょうか。これを理解するには、まず不動産「登記」や「登記簿」とは何かというところから確認していきましょう。

登記・登記簿とは

そもそも不動産の話題で必ず耳にする「登記(とうき)」。何かの記録だろうとは想像がつきますが、詳しくはよくわからないという方は多いでしょう。

簡単にいうと、不動産登記とは「不動産の所有者や権利関係などの情報を、登記簿という台帳に記録する行為・手続き」のことです。登記簿は電子化されて「登記記録」と呼ばれることもあります。
登記簿に記載されている不動産の所有者は、他人に所有権を主張することができるのです。

さまざまな不動産登記

不動産登記にはさまざまな登記があります。

建物を新築して完成したときの「表題登記」、新築した際に建物の所有者として名前を入れる「所有権保存登記」、売買などで不動産の所有者が変わった場合の「所有権移転登記」、住宅ローンで建物を購入した際の「抵当権設定登記」、住宅ローンを完済した際の「抵当権抹消登記」、不動産の所有者が引越ししたときの「登記名義人住所変更登記」、土地を複数に分ける「土地分筆登記」、反対に複数の土地をひとつにする「土地合筆登記」…などなど。

建物滅失登記もこのなかのひとつであり、「建物がなくなったときに行う登記」のことをいいます。

建物滅失登記とは

上記で触れたように、建物滅失登記はちょうど表題登記とは正反対のもので、「建物がなくなったときに行う手続き」です。なくなる、とは単に解体工事を行って建物を除却した場合だけではなく、自然災害や火災などで不可抗力的に消失してしまった場合もあてはまります。

建物滅失登記は、原則として「建物がなくなってから1ヶ月以内」に行わなければならず、怠るとさまざまなデメリットが生じます。とはいえ、何らかの事情や理由でこの期間に間に合わなかったり、場合によっては「忘れていた」という状況になったりといったケースもままあります。

いずれにしても、本来は建物がなくなった時点で行うべき手続きではありますが、それが無理だった場合も後から気づいた時点で速やかに行うようにするべきといえます。

建物滅失登記が済むと、その登記簿は役目を終えます。これを「登記を閉鎖する・閉じる」という言い方をすることがあります。閉鎖した登記簿については、後から「閉鎖登記事項証明書」を交付してもらうことによって、その情報を開示してもらうことが可能となります。

滅失登記が必要になるケースとは

ここまで説明してきた通り、建物滅失登記が必要になるのは「建物の全体を取り壊したとき」「建物が消失・焼失したとき」です。そのほかに「登記簿に存在しない建物が記録されているとき」もあてはまります。これは前項でもあった通り、「何らかの事情で建物がなくなってすぐに滅失登記がなされず、そのままになっていたことに後から気づいた場合」などが該当します。

もしも「表題登記がされていない建物」を解体したら、滅失登記は必要?

ごく珍しいケースですが、表題登記がされていないのに建物はそこに存在しているという状況になっていることがあります。何かの理由で新築工事をしたときに表題登記をしなかった、という場合にそのようなことが起きえます。

このケースでは、実際に存在している建物を解体除却しても、もともと表題登記がされていないため滅失登記はできません。というよりもする必要がないのです。 その代わりに、「家屋滅失届」という手続きを行うことになります。こちらは法務局ではなく、滅失した家屋の所在地を管轄する税務課で申請します。まれな事態ではありますが、一応頭の隅に入れておくといいでしょう。

建物滅失登記の流れ

ここまで説明してきた通り、建物滅失登記とは「建物がなくなったことを法務局に知らせて手続きすること」です。用語が聞き慣れないため難しそうな印象を受けますが、決して煩雑なものではないため、手順を追ってやり方を確認しておきましょう。

滅失登記の手順をざっくり説明するとこのような流れになります。

  • いつ?…建物がなくなってから1ヶ月以内
  • どこで?…建物がある場所の管轄法務局
  • だれが?…原則として建物の名義人または相続人
  • 費用はいくら?…自分で申請するのであれば、登記簿謄本を取得する際にかかる費用1,000 円と、状況によっては法務局までの交通費や郵送料程度。もし土地家屋調査士に依頼する場合は、依頼料が3~4万円ほどかかる。詳細は後述。

上述のように、建物滅失登記は費用さえかければ土地家屋調査士という専門家にまかせることも可能ですが、ここではまず自分で行う場合についての手順とやり方を詳しく見ていきましょう。

管轄の法務局を調べる

まずは自分が申請する先の法務局がどこなのかを調べます。建物の所在地の管轄法務局であり、インターネットで調べるとすぐにわかります。

建物滅失登記は、解体工事が終わって建物がなくなってから原則1ヶ月以内に行う必要があるため、スケジュールにあまり余裕はありません。工事の最中やその前から確認を進めておくことをおすすめします。

必要書類を準備する

建物滅失登記申請書

法務局に直接行ってもらってきてもいいのですが、法務局のwebサイトからダウンロードできることがほとんどです。わざわざ行かなくても入手できるので、印刷して記入を済ませましょう。

法務局で登記簿謄本を取得し、それを参照して申請書の必要事項を埋めていけばまったく難しいことは求められないため、おそらく戸惑うこともないでしょう。

建物取毀(とりこわし)証明書

解体工事を担当した業者からもらえます。この取毀証明書には「所有者」「減失理由」「解体業者名と実印の押印」などの記載が必要になります。

また、建物取毀証明書という名称以外にも、業者によっては「解体証明書」「建物滅失証明書」などの書類名を使っていることがありますが、どれも同一の書類を指しています。

自然災害や火災などで建物がなくなってしまった場合には、焼失証明書などがこれに代わります。

解体業者の印鑑証明書

こちらも解体業者からもらえます。スムーズに手続きを進めるために、業者には取毀証明書とともにいつもらえるのかということをあらかじめ確認しておくといいでしょう。

建物があった場所の住宅地図

なくなった建物の元所在地の地図です。インターネットの地図サイトから印刷したものでも利用できます。

委任状

親族や土地家屋調査士など、第三者へ申請を委任する場合には必要になります。

必要書類を法務局へ提出

必要書類がそろったら、法務局へ提出します。直接窓口に行く・郵送する・インターネットを通じて提出する、という3つの方法がありますが、もっとも問題が少ないのはやはり「直接窓口に行く」というものです。郵送の場合、書き間違いや記入漏れなどの不備があった場合結局は窓口まで出向いて修正しなければいけないからです。

どうしても郵送での提出を選ばざるを得ない事情がある場合は、よくよく注意して書類を作成し、不備のないように完成させて送るようにしましょう。

インターネットを利用した提出も、やはり少し複雑であるため初めての申請にはおすすめできません。 窓口に行けば、不明な点もその場で解決することができます。時間的余裕があるならば、ぜひ初めから法務局に直接出向くようにしてください。

登記の完了と登記完了証の受取

申請書類が万全であり、問題なく滅失登記が完了すれば、無事に「不動産登記簿が閉鎖される」ことになります。

完了予定日以降から3ヶ月以内であれば窓口で「登記完了証」というものがもらえます。これは郵送で受け取ることも可能です。

また、「閉鎖登記事項証明書」を取得することで、後から登記情報を得ることもできます。

建物滅失登記はだれが申請できるのか

申請人は登記名義人かその相続人

建物滅失登記を「自分で」行う場合の流れを説明してきましたが、そもそもこの「自分」すなわち申請人とはだれなのか、という疑問が生じます。

基本的には、この申請人は「建物の所有者」、つまり「登記名義人」となります。申請だけではなく、登記が済んだ後に手続き完了の書類を受け取るのもこの名義人である必要があります。

この申請人は、他人が代わることはできません。配偶者や子ども・親族であってもあくまで「代理申請を行う人」ということになり、申請人自体を代わってもらうのは不可能だということです。これは、専門家である土地調査家屋士に依頼する場合も当然同じです。

では建物の所有者、すなわち登記の名義人がすでに亡くなっている場合はどうなるのでしょうか。

この場合は、登記名義人の「相続人」のひとりを選んで申請人とすることになります。その際は、名義人が亡くなっていることが記載されている戸籍謄本や除籍謄本のように、名義人が亡くなっている証拠となる書類、さらには相続人と名義人の関係性を証明する戸籍謄本などを法務局に提出する必要が出てくるので、注意が必要です。口頭での申請は認められない、ということですね。

土地家屋調査士に依頼する場合

どんな分野であっても、手続きを代行してくれる専門家というものが存在します。建物滅失登記に関しては、土地家屋調査士という資格を持つ人が、それに該当します。

ここまで説明してきた通り、建物滅失登記は決して難しい手続きではなく、大体の場合専門知識がなくても自分で行うことができます。

しかし法務局まで出向くことができない、手続きにかける時間をどうしても作れない、などといった理由で自ら行うことが難しいケースももちろん存在するでしょう。そういうときに頼れるのが土地家屋調査士だというわけです。

注意点は、調査士に建物滅失登記を依頼してから完了するまで1~2週間ほどの時間が必要だというところです。建物がなくなってから1ヶ月以内に申請を完了する、という点を考えると、依頼は早めに行うようにしておきたいですね

また、もちろん無料でというわけにはいきません。土地家屋調査士に手続きをお願いした場合、一般的には4~5万円の費用がかかります。

手間や時間と、費用。これらを秤にかけて、依頼するか自分でやるかのどちらを選ぶかは状況や環境次第です。自分に合った方法で手続きを進めましょう。

ちなみに、申請人以外の人物が手続きを行う際には、必ず委任状が必要になります土地家屋調査士に依頼する場合だけでなく、前項の「家族に代行を頼む」際も同様なので、抜かりなく準備しておきましょう。

もうひとつつけ加えると、解体業者が建物滅失登記を代行してくれるということはありませんので、ご注意ください。 もしも解体業者が「代行します」とうたっている場合は、業者が提携している土地家屋調査士などに依頼するという意味であることがほとんどです。つまり依頼費用には仲介料を上乗せされる可能性も考えられるので、土地家屋調査士に依頼するのであれば自分自身で探した方が費用の節約になるということですね。

建物滅失登記をしなかったらどうなるか

建物がなくなっても建物滅失登記をきちんと行わなかったとしたら、それによって生じるデメリットが、実はたくさんあります。

10万円以下の過料が発生することがある

「登記は建物滅失後1ヶ月以内」という期限がある以上、それが守られない場合には、不動産登記法第164条により10万円以下の過料が科されることがあります(「罰金」が刑事罰であることに対し、「過料」とは行政罰で科されるものです)。

建替えや土地の売却ができない

古い建物を解体したからには、その土地を活用したいと考える方は多いことでしょう。新しい家屋を建てたり、コインパーキングを造ったりと新たな土地活用を考えることもあるでしょうし、更地になった土地を貸し出したい・売却したいという方もいるはずですよね。

ところが、建物滅失登記をしていないということは、登記簿上「まだ建物がそこにある」と判断されるということなのです。それでは当然新しい建物を造る許可はおりないし、所有者が変わるという手続きも不可能です。

建物が物理的になくなっただけでは、その土地を有効活用することはできないということなのですね。きちんと滅失登記までして、初めて「更地になった」という扱いができるようになるのです。

手続きがどんどん面倒なことになる

建物滅失登記をせずにいて、どんどん年月が経っていくと、申請人つまり登記名義人が亡くなってしまう、あるいは自力で手続きを行える状態ではなくなってしまう、という事態も考えられます。

亡くなった場合には、その戸籍謄本か除籍謄本の提出が必要になるということは前述した通りです。つまり余計な手間が増えることになるのです。

自力で手続きができない場合も、第三者が代行することが可能ではありますが、本人が行えないことで多くの面倒や不都合の発生が考えられます。

過料が科されるかもしれないという点については、「今まさに」のデメリットですが、数年後あるいはもっと後になってじわじわと効いてくる難点が、まさにこれなのです。

きちんと建物解体後すぐに行っていれば、自分自身で手続きできる程度の簡単な手間で済んだものが、放置すると大いに面倒なことになって返ってくる…というおそれがあるということです。さらに、予想もしていなかった大きな出費につながる可能性も出てきます。重々注意が必要ですね。

建物滅失登記と抵当権との関係

抵当権とは?

「抵当権が設定されている」とは、簡単にいうと、その建物が借金の担保になっているような状態をいいます。万が一住宅ローンが支払えなくなったら、強制的にその建物が金融機関に取り上げられる状態、ともいえます。 その抵当権が設定されたままの建物を解体し、滅失登記をすることはできるのでしょうか。建物に権利が設定されている以上、なくしてしまっては問題が発生しそうな気がしますよね。

抵当権つきの建物は滅失登記できるのか

結論として、できるかできないかだけでいえば、できます。

建物滅失登記とは「建物が取り壊されたという事実」に基づいて行われるものだからです。抵当権者の同意書や承諾書のような書類がないと滅失登記ができない、ということもありません。

ただし、前述したように当然抵当権者と融資を受けている人との間でトラブルが起きる大きな原因になりえるため、いくら可能であるとはいってもきちんと抵当権者に確認を取り、承諾を得てからにすべきでしょう。

そもそも滅失登記の時点まで行ってからではなく、建物自体を解体除却する前の段階できちんと話をつけておく必要があるといえます。建物がなくなってしまってからでは手遅れということにもなりかねません。まずは確認と話し合いを忘れずに行ってください。

まとめ

建物滅失登記は難易度も決して高くはなく、専門家でなくても十分行うことが可能な手続きです。手順やポイントをおさえ、怠ったときのデメリットも理解したうえで、スムーズに手続きを進めていきたいですね。

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