「IT重説」を徹底理解!不動産取引の電子化の基礎知識から復習しよう

解体工事

「IT重説」という重々しいワードを初めて聞いて、不動産用語だと予想がつく人はなかなかいないかもしれませんね。近年、不動産契約にも電子化が取り入れられてきたことにより、耳にすることが多くなってきた言葉です。

不動産取引における電子化の流れは決して速いものではありませんでしたが、着々と便利になってきています。IT重説もそのなかのひとつです。

今回は、まずは不動産取引の電子化の歴史を確認し、重要事項説明とはそもそも何か?ということを理解したうえで、IT重説についてポイントを押さえていきましょう。

不動産契約においての電子化の歴史

「IT重説とは何か」「そもそも重要事項説明とは何か」というお話の前に、まずは前提となる「不動産契約においての電子化」について解説します。

「電子契約」とは

民法の定めでは、「契約」という取引には必ずしも書面をかわす必要はなく、取引当事者同士の合意があれば口頭でも成り立つ、とされています。

しかし、不動産の契約は通常大金が動きます。契約当時は双方合意があったとしても、時間が経ち「言った」「聞いていない」というトラブルに発展すると、非常に大きな問題となってしまうでしょう。

そのため、不動産契約に関しては「借地借家法」「宅地建物取引業法」などといった法律で、内容を書面化することが義務づけられているのです。

不動産契約というと、売買・賃貸に限らず、「契約者が不動産会社に赴いて担当者から対面で説明を聞き、大量の書類に記名や押印を行う」というイメージがあるでしょう。

これもやはり宅地建物取引業法によって、これまで「重要事項の説明」「売買契約の締結」「媒介契約の締結」というものに関しては、必ず宅地建物取引士と対面で行わなければならない、と定められていたからです。

そのときに渡される書類、取り交わす書類はすべて「紙」でした。そこに記名や、印鑑・印章による押印を行って契約を取り交わしていましたが、近年これが「電子契約」導入という流れになってきたのです。

電子契約の場合、pdfファイルなどの電子データで書面を作成・送付し、記名や押印の代わりに電子署名を行います。

不動産契約の電子化成立まで

法律による制限が厳しく、すべてを電子化するのは難しいと思われてきた不動産取引においても、電子化の波が着実に押し寄せてきていた近年、やはりもっとも影響が大きかったのが新型コロナウィルスの流行です。

コロナ禍で、世の中のさまざまな業務や手続きが次々に電子化・非対面化される中で、不動産業界でも法律で義務化されていない部分ではオンラインでの対応が進められてきました。

そして大きな転機となったのが、2021年5月に成立した「デジタル改革関連法案(正式名称:デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律)」です。

この法案は、電子化を進めるためにほかのさまざまな法律にも変更を加えることができる法律であり、不動産業界においては宅地建物取引業法が改正されることになったのです。

不動産業界においての電子化は、この数年で段階的に進められてきましたが、最終的に2022年5月、下記のような書類がすべて電子化可能となりました。

・重要事項説明書

・媒介契約書

・賃貸借契約書

・定期借地権設定契約書

・定期建物賃貸借契約書

つまり、重要事項説明書および契約締結時の書面がすべて電子化できるようになったのです。

さらに、電子化した契約書に宅地建物取引士の押印は不要となり、電子署名で対応できるようになりました。

加えていうと、紙の契約書が不要になったことで、印紙を貼って印紙税を納める必要もなくなりました。

この流れで必要になったのが、「IT重説(=IT重要事項説明)」です。

しかし、まずはそもそも「重要事項説明書」とは何かという点にも、先に触れておきましょう。

重要事項説明・重要事項説明書とは何か

重要事項説明書には何が書かれている?

不動産契約の際には、実際に契約を取り交わす前に、契約者に対して契約内容の詳細を記載した「重要事項説明書」をいう書面を発行しなければならないことが、宅地建物取引業法によって定められています。

具体的には、物件情報(登記記録に記録された内容・インフラの状況・設備の整備状況・耐震診断の内容など)や、取引内容(賃料以外に必要な金銭・契約の解除方法・契約期間と更新の内容・管理の委託先など)といった契約上非常に重要な事項が詳しく書面化されています。

この重要事項説明書に書かれている内容を把握し、納得したうえで契約を本当に結ぶかどうかを契約者は判断するわけですが、一般の人にとっては不動産の専門用語はたいてい難解であり、自分で説明書面を見ただけですべてを理解することはまず不可能に近いといえます。

そこで、書面になっている重要事項について口頭で説明されるのが「重要事項説明」です。

宅建士のみが行える、重要事項説明

上述した重要事項説明書の内容を読み合わせして確認し合うのが、重要事項説明です。

この役割は、宅地建物取引士(以下、宅建士)の資格を持っている人にしかできない業務であり、それだけ不動産契約において重要事項説明というものが大事であるということも表しています。

前項でも述べたように、不動産取引をする際に、一般の人の大半は専門知識や取引経験を持ちません。大金が関わってくる大切な取引で、損をする消費者が出ないようにという保護の観点から、この重要事項説明というシステムが設けられているのです。

豊富な専門知識を持った宅建士が、難解な不動産用語の並ぶ重要事項説明書の内容をかみ砕いて説明することで、契約者はそれをしっかりと理解でき、安心して不動産契約を結ぶことができるはずです。

IT重説とは何か

ここまでの内容を踏まえて「IT重説とは何か」を一言でいうと、「オンラインで行う重要事項説明」のことです。

従来は、重要事項説明は必ず宅建士と契約者が「対面で」行わなければならないと定められていました。加えて、重要事項説明書を紙の書面で用意し、宅建士が記名・押印を行うことも義務化されていたのです。

しかしこれが2022年5月の不動産取引における完全な電子契約化によって、パソコン・タブレット・スマートフォンなどのIT機器を用い、オンライン会議アプリを活用して、対面と同じように説明・質疑応答が行えるような対話環境さえ整っていれば、直接の対面でなくても重要事項説明が可能となりました。

重要事項説明書も電子化して送付し、押印に代わって電子署名が認められました。

IT重説の流れ

実際の電子契約において、IT重説のための準備や当日の流れはどのようなものなのかを見ていきましょう。

事前準備をする

まずはIT重説を行うことについて、双方が同意していることを確認し、カメラやマイクなどの機器やIT環境も双方きちんと準備されているかを確かめます。そのうえで、電子化された重要事項説明書を送付します。

IT環境については、細かいことまで合わせておく必要があります。たとえば重要事項説明書を電子メールで送付した際に、相手がダウンロードできない形式ではないか、文字化けはしていないか、などといった点も確認しておかなければなりません。

また、電子化された重要事項説明書を送る際には、

契約者が、きちんと紙の書面としてプリントアウトできる

契約者が、電子書面が改変されていないかを確認可能な手段がある

ということが法律上の要件となります。これを満たしていないと、電子化された重要事項説明書は使えないため、この点にも注意が必要です。

また、オンライン会議アプリに関しても、同じツールを用意します。ZoomならZoom、Microsoft TeamsならMicrosoft Teams、と合わせておきます。

契約当日よりも前に、接続テストも行っておきましょう。

当日、開始前の準備をする

重要事項の説明を始める前には、まず「お互いの顔を視認できているか」「声が聞こえているか」「重要事項説明書は印刷して用意できているか」を確認します。

宅建士は、自身の宅地見物取引士証を契約相手に提示しなければならないので、契約者はそれによって本人であることを確かめます。

IT重説を開始する

これまでのように重要事項説明書を用いて、宅地建物取引士が重要事項の説明を行います。

注意すべきなのは、途中で通信環境が悪くなることで障害が発生したときです。この場合には、状況が改善しなければIT重説を中断し、もう一度初めから説明し直しとなったり、後日改めて日程調整となったりしてしまいます。

終了後、電子契約を結ぶ

IT重説自体は、1時間程度で終了します。紙の契約書で行っていた署名・押印の代わりに電子署名を行い、契約締結となります。

重要事項説明書の電子化によるメリット

業務を効率化できる

紙の書面を用いる契約には、何かと時間や費用がかかります。

書面を印刷・製本して署名・押印を行い、郵送のために宛先を書いて封をする…という業務がいちいち発生し、そのための人件費や、細かいところでは用紙代・インク代もかかってくるでしょう。書類の返送を待つ時間も発生します。

対面が義務であれば、契約者が不動産会社を訪ねたり、逆に宅建士が契約者の家に訪れたり…ということも必要になります。遠方の訪問であれば、さらに一苦労です。

電子化によって、これらすべての手間・時間・費用を削減・短縮できて、スムーズかつスピーディーに進めることができるようになりました。これは大きなメリットといえるでしょう。

スケジュールを合わせやすい

重要事項説明には、それなりの時間を要します。

対面であれば、契約者が忙しい・不動産会社のスケジュールが詰まっているなどの事情で、なかなか双方の都合が合わせられないという事態の発生も多かったでしょう。

しかしIT重説であれば、ともすればお互いが「合間の時間」を狙って行うことが可能です。

時間の制限が少なくなるというのは、非常に便利であるはずです。

録画でトラブルを予防できる

IT機器を用いることによる利点のひとつに、容易に録画ができるという点が挙げられます。不動産契約のような大金が動く重要な取引では、のちのちのトラブル防止のためにIT重説を録画しておく、という対策も取ることができます。

録画をしなければいけないという義務はありませんが、双方合意のうえであれば、万が一の際のリスク回避に役立てられるでしょう。

IT重説の注意点

オンライン環境の整備が必要

IT重説をスムーズに進めるためには、必要なIT機器や安定したオンライン環境が必要です。当然、相手の契約者もそれに対応しなければならなくなります。

これまで対面で行っていたものをオンラインで行うことにより、不慣れな人は操作に手間取ってしまったり、そもそもオンライン環境が整っていなかったり、IT重説を含めた電子契約自体に抵抗があったり…ということも起こりうるでしょう。

対面重説とはまた違った手間が新たに出てくる、ということも押さえておく必要があります。

重要事項説明を軽視してしまう可能性がある

「対面で行わなければならない、と法律で決められている」という事実は、契約者側にとっても非常に緊張感のあることだったと考えられます。まさに「重要な事項を説明される大事な時間だから、しっかり聞かなくては」という真剣さも生まれたことでしょう。

しかしIT重説が認められるようになって、パソコンやスマホを通してでもそれが可能になったとなると、その緊張感が薄れてしまう可能性があるかもしれません。

オンラインで行えること=手軽・気軽、というイメージが風潮である今の時代であれば、なおのことです。

しかし、重要事項説明はそもそも不動産の専門知識や取引経験の乏しい契約者側を守るシステムであることを忘れてはいけません。オンラインで行えるようになろうがならなかろうが、契約者にとって非常に「重要」であることを覚えておきましょう。

のちのちのトラブル防止のためにも、IT重説の時間は宅建士の説明にしっかり集中しましょう。

まとめ

不動産契約において大事な位置を占める「重要事項説明」、それがオンラインでできるようになって、不動産電子契約時代は新たな局面にたどりつきました。

とはいえ、まだまだ改善されるべき部分も多いシステムであるIT重説です。便利であることに頼りきりにならず、うまく活用していけるように消費者側も知識を常にアップデートしていきましょう。

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