空き家売却で減税が可能!知らないと損する新設特例措置

解体工事の基本知識

近年、放置された空き家や空き地などが増加しています。

解体や売却には手間もお金もかかるので、所有者としてはなかなか手放しにくいものです。

こうした状況を改善するために国土交通省は、令和2年7月から物件売却時の税金を軽減できる特例措置を新設しました。

にわかに話題になり、関心を持った空き家オーナーさんは多いようです。

そこで今回は、7月に新設された特例措置を解説。

仕組みや手続き方法を紹介します。

低未利用地・空き家の現状

今回特例措置が新設されたのは、空き地などの未利用地や低利用地が増加していることが理由です。

※未利用地……長期間利用されていない土地や建物。具体的には空き家や空き地、管理されていない森林、工業跡地など。

※低利用地……周辺に比べて利用頻度や管理状況、整備水準などが低い土地や建物。具体的には一時的に利用される資材置き場、簡易駐車場など。

まずは国土交通省が2013年に実施した、土地基本調査の結果をご覧ください。

引用元:国土交通省「低未利用地の利活用促進に向けた 長期譲渡所得の100万円控除について」(https://www.mlit.go.jp/common/001346452.pdf

空き地、低利用地を合わせると約23万ヘクタールあります。

広すぎてイメージしにくいと思いますが、東京都の面積が約22万ヘクタールといえば多少イメージしやすいでしょうか?

東京都の面積よりも空き地や未利用地の面積のほうが広いんです。

これらの低未利用地が増えている理由には、金銭的な負担が大きいことが挙げられます。

低未利用地は売却収入が予想以上に低いことや、売却価格が安いのに測量や解体などの譲渡費用は安くならないので相対的に負担が重くなります。

また、そんな手間とお金を投じて手放すより、放置していたほうがお得に感じてしまいますよね。

さらに建物が建つ土地は固定資産税の軽減措置を受けられますが、空き家を解体して更地にすると軽減措置が受けられなくなることも、空き家が放置される一因です。

国交省はこれまで何も手を打っていないのかと言えばそんなことはなく、2015年には倒壊の恐れがある空き家は固定資産税軽減措置の対象外とするなど、空き家の流通促進を狙いました。

しかしそれ以降も空き家が増え続け、2018年時点では849戸にのぼっています。

引用元:国土交通省「低未利用地の利活用促進に向けた 長期譲渡所得の100万円控除について」(https://www.mlit.go.jp/common/001346452.pdf

空き家の数は30年間で2.15倍になっており、そのうち「その他の住宅(利用される予定がない住宅)」は2.66倍に増えています。

利用予定がない空き家の数が特に増えている上に、人口減少の影響で今後も空き家は増えていくと予想されています。

新特例措置の概要

こういった状況を打開しようと新設されたのが今回の特例措置です。

簡単に言えば「活用されていない空き家、空き地を売却した場合、長期譲渡所得を100万円控除」というのが今回の特例の内容になります。

※譲渡所得……不動産を売却して得た利益を「譲渡所得」といいます。不動産の所有期間が5年以内なら短期譲渡所得、5年以上なら長期譲渡所得になり、それぞれ課税率が異なります。所得税、住民税をあわせて短期譲渡所得は約39%、長期譲渡所得は約20%の税率です。

今回の特例措置は所有期間が5年を超えるものが対象なので、長期譲渡所得に該当します。

つまり、長期譲渡所得から100万円を控除して税率を計算します。

計算方法は以下のようになります。

売却収入-(取得費+譲渡費用)=譲渡取得

(譲渡取得-特別控除)×税率=所得税・住民税の額

譲渡費用には土地を売るために支払った仲介手数料や、土地を売るために建物を取り壊した際の解体費用などが含まれます。

今回の特例措置は控除額が100万円、長期譲渡所得なので所得税・住民税を20%と考え、特例措置を適用すると以下のようになります。

(譲渡所得-100万円)×20%=所得税・住民税の額

平たく言えば、課税額がこれまでよりも最大20万円安くなります。

具体的な例で計算してみましょう。

【例】100万円で購入した物件。50万円の経費を使い、500万円で売却した。

従来の場合:(500万-100万-50万)×20%=70万円

特例措置適用:(500万-100万-50万-100万)×20%=50万円

このように、従来だと課税額70万円のケースが、特例措置を適用することで課税額50万円になります。

更地や空き地は売却収入が少ないため、場合によっては譲渡収入が100万円以下になることもあります。 その場合、一切課税されなくなり所得税・住民税は0円になります。

特例措置の適用条件

今回の特例措置、空き家や空き地を売却するなら得はあっても損はありません。

せっかくだからぜひとも利用したいところですが、譲渡所得の100万円控除を受けるには6つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 2020年7月1日~2022年12月31日までに譲渡された物件
  2. 譲渡した者が法人ではなく「個人」
  3. 対象物件が都市計画区域内位にある低未利用土地等であること
  4. 譲渡後に土地利用することを、市町村が確認していること
  5. 譲渡年1月1日時点で所有期間が5年以上の物件
  6. 低未利用土地等とその上物の譲渡価格が合計500万円以下であること

2020年7月1日~2022年12月31日までに譲渡された物件

書いてあるままですが、特例措置の適用には期限があります。

空き家や空き地の売却をしたくても、期限内に買い手がつかなければ当然売却できません

少し売却価格が安くなりますが空き家・空き地バンクに登録したり、空き家付きの土地は空き家を解体するなど、買い手がつきやすくなる方法もあるのでチェックしてみてください。

譲渡した者が法人ではなく「個人」

法人が所有する土地は、売却しても今回の特例措置の対象になりません

また、個人の土地の譲渡であっても配偶者に譲渡するなど、親族間の譲渡は対象から除外されるのでご注意ください。

都市計画区域内にある対象物件が低未利用土地等であること

都市計画区域内にある物件でなければ対象になりません。

その上、低未利用の土地や空き家などが対象ですが、どんな物件や土地が低未利用とみなされるのかわかりにくいですよね。

この低未利用土地とは、土地基本法で規定されています。

土地利用法十三条四項に記載されていますが、固い言葉でちょっとわかりにくいです。

平たく言うと、「居住や業務、その他に役立てていない、または利用の程度が周辺地域の同じような用途の土地より著しく劣っている土地」です。

土地の売主が「低未利用土地等確認書」を市区町村に交付申請し、市区町村に認められれば低未利用土地に該当します。

交付申請書以外に売買契約書の写し、更地や空き家であることが確認できる書類(空き家バンクへの登録書など)が必要です。

また、譲渡後に土地利用する意図を確認できなければ、確認書が発行されません。

譲渡後に土地利用することを、市町村が確認していること

今回の特例措置は空き家や空き地を減らして活用してもらうことが目的です。

譲渡した後に土地を活用してくれなければ意味がありません。

そこで、市区町村が「譲渡後に買主が土地・建物を利用する意向」を確認します。

買主の利用用途、利用開始時期を記した書類を売主が市区町村に提出する必要があります。

対象が空き家、空き地であることと、譲渡後に利用予定があることを確認できたら、市区町村から確認書が発行されます。

譲渡年1月1日時点で所有期間が5年以上の物件

今回の特例措置は長期譲渡所得を対象としています。

そのため、長期譲渡所得の定義と同じ、譲渡年の1月1日時点で所有期間5年以上という条件が付けられています。

「譲渡年の1月1日時点」という部分を忘れていると所有期間の計算を間違ってしまうかもしれないのでご注意ください。

低未利用土地等とその上物の譲渡価格が合計500万円以下であること

土地とその土地に建つ建物の譲渡価格が合わせて500万円以下の場合しか特例措置は適用されません。

特例措置が新設された背景には、売却価格が低額な空き家、空き地は放置されることが多いという事情があります。

そういった土地や物件を対象とするため、譲渡価格に上限を設けています。

特例措置適用の流れ

実際に今回新設された特例措置を適用する場合、どのような手続きが必要になるでしょうか。

大まかな流れは以下のようになります。

  1. 売主が交付申請
  2. 市区町村が確認
  3. 市区町村が確認書を発行
  4. 税務署で確定申告時、確認書を提出

それぞれ詳しく見ていきましょう。

売主が交付申請

まずは売主が特例措置を適用するために確認書の交付申請をします。

低未利用土地等であることを示すため、書類の提出が必要です。

交付申請するときに提出する書類

  • 売主からの申請書
  • 売買契約書
  • 低未利用土地等であることが分かる書類(空き地・空き家バンクの登録を確認できる書類、宅建業者による更地・空き家の広告、電気・水道・ガスの使用中止日が確認できる書類など)
  • 買主による利用開始予定日、利用用途等を示した書類
  • 土地に係る登記事項証明書

申請するにはこれらの書類が必要なので、事前に準備しておきましょう。

申請書類は各市町村のホームページで配布されているので、ダウンロードして記入してください。

市区町村が確認

申請書を受け取ると、市区町村が確認します。

都市計画区域内にあること、譲渡価格が500万円以下であることは申請書、売買契約書から確認できます。

低未利用土地であることを確認する際は宅建業者と連携し、空き家・空き地バンクや更地・空き家・空き地広告を出しているかなどの手段で確認します。

水道や電気の使用中止日を提出する場合、売買契約よりも1ヶ月以上前であることが確認できればOKです。

買主の利用意向に関しては、提出できない場合は譲渡後に宅建業者が利用していることを確認することでも可能とする場合もあるようです。

市区町村が確認書を発行

確認事項をすべて満たした場合、市区町村から確認書が発行されます。

特例を適用させる場合、管轄の税務署で確定申告を行う際に確認書を提出します。

交付申請をしてから確認書の発行までに時間がかかる場合もあるので、税務署への確定申告手続き期限に間に合うように、余裕を持って申請しましょう。

この確認書はあくまで低未利用土地がどうか確認したと言うだけで、特例措置が適用されることを確約するものではないのでご注意ください。

特例措置に関するよくある疑問

特例措置に関して、各市町村に疑問点の問い合わせが寄せられているようです。

よくある疑問とその回答をご紹介しておきます。

Q1、譲渡後の土地の活用って、具体的にはどんなものが該当する?

A1、店舗や事務所、居住等に利用する場合は特例措置の対象になります。適用されない例として、駐車場として活用する場合、露天駐車場では低未利用が解消されたとは判断されず、特例措置が適用されません。コインパーキングなどの設備を設置する場合は特例措置の対象となります。

Q2、親から相続した土地だけど、「5年以上の所有期間」には親が所有していた期間も含む?

A2、所有期間には親などの被相続人が所有していた期間も含みます。被相続人を含めて5年以上の所有期間があれば申請可能です。

Q3、農地を譲渡する場合、特例が適用されるためには遊休農地であることを農業委員会などに調査してもらうべき?

A3、農業委員会の調査結果は必須ではありません。調査してもらっていたほうが確実ですが、調査がない場合は現況で判断します。

Q4、確認書の申請から発行まではどれくらいかかる?

A4、市区町村によって異なりますが7~10日ほどかかるのが一般的です。申請書類に漏れや不備があった場合はそれ以上かかることもあります。申請の際にどれくらいかかりそうか窓口で確認してみてください。

Q5、低未利用の土地は、低未利用の期間は関係ある?

A5、低未利用になってすぐの土地は特例が適用されません。売買契約の時点で1ヶ月以上に渡って、居住や業務に使われていない土地が対象です。

まとめ

今回新設された特例措置は、利用できれば最大20万円も節税できます。

まだまだ知名度が低く、空き家を解体するときでも利用していないという方が多く、もったいないです。

「いずれ売却するかも」と考えている方は、少しでもお得に売却できるこの機会に一度検討してみることをおすすめします。

空き家や空き地を売却する際に、特例措置が適用されるかどうか判断が難しい場合には、一度窓口で相談してみてください。

申請手順は特に難しいこともないので、500万円以下の空き家や更地、空き地を売却する際はぜひご利用ください。

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