電気のアンペアとは、同時に使える電気の量のことです。
新築時の電気の使用量は、時代に合ったものでの計算で算出されているため十分に足りているでしょう。
一方で、昨今では、中古住宅や中古マンションの程度もよくなっています。築20年30年の中古物件でもしっかりとしていて、ハウスクリーニングのみでも住めるような物件はたくさんあります。しかし、リビングやキッチン、脱衣所などのコンセントの数は足りているでしょうか。
一昔前とは違い、今は電化製品も多岐に渡り多くなりました。そのため、コンセントの数や家のアンペア不足に悩まされている方も多いようです。
当時の物件は当時の常識に基づいて設計されていますので、建物がいくらきれいで丈夫でも、電気の使用量やコンセントの量が当時のままでは使い勝手はよくありません。
そこで今回は、電気の使用量やコンセントの増設についてお話します。
契約アンペア

契約アンペアとは
契約アンペアとは、電気料金プランの一種で、アンペア制を用いての契約を採用しているものです。契約アンペアの大きさに応じて異なる基本料金が設定されています。
基本料金の設定は10A(アンペア)、15A、20A、30A、40A、50A、60Aとあり、この中からそれぞれの電気使用状況に合った契約アンペア数を契約して、基本料金が決まります。
一度に多くの電化製品を使用する家庭であれば契約アンペアが大きいもので、そうでない家庭の場合には契約アンペア数を小さいもので契約します。
ただし、一年を通して最も電化製品を使用する夏や冬の時期の想定や、一日にうち一番電化製品を使う夕飯時の使用量に留意して契約アンペアの決定をすることをおすすめします。
契約アンペアの選び方
電気の基本料金の区分は、10Aから60Aまであり、それぞれの基本料金が異なります。10Aから徐々に基本料金が上がり、アンペア数が増えることで一度に使える電化製品の数も増えてきます。しかし、一人暮らしの家と大家族の家では電気の使用量も違ってきますので、電気使用量の目安を知って契約アンペアの設定を行いましょう。
電気使用量目安

では、具体的に契約アンペアを決めるのに、それぞれの電化製品にはどれだけの電気使用量があるのか調べてみましょう。
- 照明(電球型蛍光灯) 1A
- ドラム式洗濯機 2A
- 液晶テレビ(42型) 2.1A
- 冷蔵庫(450Lクラス) 2.5A
- こたつ(強での使用時) 5A
- エアコン 6.6A
- 電気カーペット(3畳用) 8A
- 掃除機(強での使用時) 10A
- 電気ケトル 10A
- ドライヤー(強での使用時) 12A
- 食洗器 13A
- 炊飯器(5.5合炊飯時)
- IHクッキングヒーター 14A
- 電子レンジ 15A
上記の電化製品はあくまで目安です。実際には異なってくる可能性があります。
家族構成や時間帯などで、電化製品によっては、同時に使っているものが複数あるのではないでしょうか、炊飯器や電子レンジ、ドライヤーや洗濯機などが特にそうでしょう。
契約アンペアを低めに設定して契約をすると電気代の基本料金を抑えることはできますが、一方では、同時に電化製品を使いブレーカーがたびたび落ちてしまう、そんなことが起きているのであれば適正な契約アンペアではありません。
家庭の電気の使用量をカバーできる契約アンペアにすることが大切です。
加えて、既存のコンセントにタコ足配線と呼ばれる電源タップを付けての使用もよくありませせん。
家族構成による契約アンペアの目安
電化製品の使用頻度にもよりますが、シングル向けの契約アンペアは10Aから20A、ペア向けの契約アンペアは、30Aから40A、ファミリー向けの契約アンペアは40Aから50A、大家族や2世帯向けは50Aから60Aとなります。
目安は目安として、家庭に合った契約アンペア数は、一日通して見た電気の最大使用量から決めるのがよいでしょう。
家事をまとめてする人は、掃除機や洗濯機、エアコンなどの電化製品を一度に使用する時間帯の最大のアンペア数を把握し、そこから決めましょう。
仮に最大時のアンペアが35Aだった場合には、契約アンペアを40Aにするとブレーカーが落ちる心配がありません。
コンセントの増設

中古物件の購入時や、大きく家族構成が変わり人数が増えたなどの場合、コンセントの数が少なく、不便に思えることがあるでしょう。
特に電化製品の使用が20年30年前とは大きく変わっているので、そのままではコンセント不足が問題となります。
そこで、必要な場所に必要な分のコンセントを増設する必要が出てきます。
コンセントの増設
キッチンやリビングなどは、家の中でも特に電化製品が密集しているエリアです。
キッチン周りやリビングにコンセントを増設することによって、調理の幅も広がるほか、遠くから延長コードで引っ張ってくる必要がなくなるので、見た目もすっきりします。
最近では、お子様のいる家庭でのゲーム機が複数台あることも珍しくはありません。加えて、携帯電話の充電器も人数分あることも当たり前になっています。
そういった暮らしの変化から、コンセントを増やすことはとてもメリットのあることです。
コンセントの差込口の交換

何年も使用していると差込口が緩くなってしまいます。緩いコンセントの差込口では抜けてしまうことがありますが、コンセントはしっかりと奥まで差し込んで使用しないとそこにホコリが溜まり、予期せぬ事故にもつながりかねません。
故障したコンセントを使用し続けると、漏電や火災の原因になる可能性もあります。
差込口が緩い、火花が出たなどの症状がある場合は、コンセントの差込口の交換をおすすめします。
コンセントの電圧を切り替える
エアコンやIHクッキングヒーター、電子レンジ、シャワー式トイレなど、新しく購入した電化製品の消費電力が1000w(ワット)を超える場合には、コンセントの電圧を専用回路への切り替えることが推奨されています。
コンセント増設費用の目安
- コンセントの新設 14000円から20000円程度
- 差し込み口交換 7000円から10000円程度
- 配線の変更(交換や分岐、延長など) 4000円から30000円程度
ブレーカー

ブレーカーとは
ブレーカーとは、電気の流れを遮断するための装置です。
一般家庭においては、「安心して電気を使用するための安全回路」の役割をしているものです。
ブレーカーのある分電盤の設置場所は、キッチンや脱衣所、あるいはトイレの中であることが多くなっています。
ブレーカーは3つ
契約ブレーカー(アンペアブレーカー)
契約をしている電力会社との契約容量を決定するためのブレーカーで、電力会社と契約しているアンペア数を超える電気量を一度に使用してしまった場合に、電気の供給を遮断する役割を持つブレーカーです。
契約ブレーカーは、家全体の電気を管理しているものなので、遮断してしまうと家全体が停電します。
※分電盤に契約ブレーカーがない場合には、「スマートメーター」に切り替わっていることが考えられます
スマートメーター使用の場合には、電気量をデジタルで計測できるため、家の中の分電盤に契約ブレーカーがありません。
家にある電気メーターに円盤が付いてあるタイプだと従来型の電力メーターで、円盤が付いていなければスマートメーターの可能性が高いということです。
安全ブレーカー
家全体の電気量を管理している契約ブレーカーに対して、安全ブレーカーは回線ごとに電気の管理をしています。回線は主に部屋ごとに分かれており、消費電力の大きいエアコンなどは専用回路がある場合があります。そのため、複数の小さなブレーカーが配置されています。
安全ブレーカーにはいろいろな名前があり、「子ブレーカー」や「分岐ブレーカー」などと呼ばれていたりもします。
電気が集中した回路で安全ブレーカーが落ち、電気を遮断したとき、契約アンペアと異なるのは、遮断された回路だけが停電することです。
その回路内での電気使用時に電化製品がショートしてしまったときなども作動し、速やかに電気を遮断することもあります。
漏電ブレーカー
漏電ブレーカーの役割は、その名の通り家のどこかで漏電が発生したときに電気を遮断することです。
万が一、漏電が起きたまま電気が流れていると、電化製品が故障してしまう他、感電や火災などの重篤な災害に発展してしまう恐れがあります。
それらを防ぐものとして、漏電が起きたら電気を遮断する大切な役割があるのです。
ブレーカーが作動したときの対処方法

ブレーカーには種類があり、作動したときの復旧方法も異なります。
作動したブレーカーに応じてそれぞれの手順で安全に復旧しましょう。
契約ブレーカー(アンペアブレーカー)のケース
このブレーカーが作動してしまう原因は、一度に電気を使いすぎたことです。
したがって、このブレーカーが作動したときは、停電の原因である電化製品の消費電力の大きいものを特定し、そのスイッチを切るか電源プラグを抜く必要があります。
いくつかの電化製品への電気の供給を止めて、遮断された契約ブレーカーを復旧しましょう。
その対処をしておかなければ、ブレーカーを復旧させてもまたすぐに遮断されてしまうからです。
安全ブレーカーのケース
安全ブレーカーが作動する原因は、対応しているそれぞれの部屋や場所での電気の使い過ぎや、ショートしたことが挙げられます。
こちらは対応するコンセントに大きな負荷がかかり事故が起きてしまうのを未然に防ぐためのもので、このブレーカーが作動すると対応している部屋や場所が停電になります。
安全ブレーカーの復旧手順は、分電盤を確認しどのブレーカーが作動しているのかを確認します。
作動したブレーカーに割り振られている部屋、場所に行き電化製品の電源を遮断します。
電源供給量を減らした状態で、作動した安全ブレーカーを復旧します。
再び遮断されたかったら、ひとまずはこれで復旧は完了です。
あとは、その場所で使用していた電化製品のコードやコンセントに異常がないかの確認をします。傷や焦げ目があるとその電化製品はショートした可能性が高いので、今後の使用を止めましょう。
漏電ブレーカーのケース
漏電ブレーカーは、上述した通り家のどこかで漏電が発生したときに作動するブレーカーです。
そのため、電化製品そのものの破損や電気配線の故障、破損などが原因で電気が正しいルートから外れて流れている状態であり、感電や火災といった重篤な事故につながる恐れがあります。
こちらのブレーカーの復旧は、事故を防ぐためにも慎重に行う必要があります。
まずは、漏電している個所の特定です。漏電している個所を特定するには、アンペアブレーカー、安全ブレーカーのスイッチを全てオフにします。この時に落ちた漏電ブレーカーのスイッチが完全にオフにならずに途中で止まっていたら、しっかりとオフの位置まで落とします。
全てのブレーカーをオフにしたら、次に契約ブレーカーのスイッチをオンにし、続いて漏電ブレーカーのスイッチをオンにします。
その状態で安全ブレーカーを一つずつオンにしていきます。安全ブレーカーをオンにしてもすぐにオフになる場所があればそこが漏電している可能性が高いということです。
その場所の安全ブレーカーはオフのままにしておき、スイッチがオンにできた個所は引き続き安全に使用することができます。
漏電の可能性がある箇所は専門の業者に依頼し、安全に使用できるようにしておきましょう。
まとめ
家における契約アンペアの適正値とコンセントの増設の必要性は、家族構成や時代によっても変化していきます。
少ない契約アンペアでの設定で大家族での暮らしはたびたびブレーカーが遮断してしまい、ストレスが溜まってしまうでしょう。
一方で、少人数での暮らしで50Aや60Aなどの契約アンペアでは、ブレーカーが落ちてしまうことはまずありませんが、電気使用料に対しての電気代の基本料金が割高になってしまいます。
この電気代高騰の機に、ご家庭の契約アンペアの再確認をしてみましょう。