解体工事におけるフロン機器の扱いは?フロンに関する法律から解説

解体工事

「フロンガス」と「オゾン層破壊」、環境破壊を論じるときにはよく耳にするこれらのワードは、実は解体工事の際にも大きく関連があるものです。

そもそもフロンとは何なのか。環境にどのような影響を与えるのか。解体工事において、フロン機器はどう扱えばいいのか。それらについて、フロン法と呼ばれる法律とともに詳しく見ていきましょう。

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フロンガスと環境破壊

フロンガスとはどんなものか

エアコンや冷蔵庫などの冷媒や溶剤として、20世紀中盤以降大量に使用されてきた化学物質の総称を「フロンガス」といいます。

もともと冷媒にはアンモニアが多く使われていましたが、それに替わるものとして開発され、大変便利であるため一気に普及し、さまざまなところで利用されてきました。

フロンガス排出による問題点

1970年代に入ると、科学者からフロンガスによるオゾン層破壊の可能性が警告されましたが、便利で手軽なフロンガスは手放されることなく、その後もどんどん製造され、利用されてきました。

しかし1984年、ついに南極上空で「オゾンホール」が発見されます。オゾン層がフロンガスによって破壊された痕跡です。

オゾン層とは、地球の成層圏においてオゾンが多く存在する部分を指します。太陽からの有害な紫外線を吸収するはたらきをしているため、地球上の生き物すべての生命を守る存在といっても過言ではないものなのです。

このオゾン層が、フロンガスによって破壊され続けているという証拠の発見は、当然衝撃的なものでした。世界的にフロンガスの製造を減少・禁止していこうという動きが活発になり、1987年にはフロンをいつまでにどれぐらいの量を減らすかという約束である「モントリオール議定書」が作られ、現在も世界中の多数の国が参加しています。

フロンは、機器の使用中にも少しずつ大気中に漏れ出してしまいますが、機器を捨てる際にもきちんと回収しなければいけません。

そこで成立したのが、「フロン法」なのです。

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フロン法の歴史

2001(平成13)年「フロン回収・破壊法」

「フロン回収・破壊法」は、2001(平成13)年に「フロン類を大気中にみだりに放出することの禁止や、機器廃棄時のフロン類の回収・破壊を義務づけ、機器廃棄時の行程管理制度(フロン類の引渡し等を書面で捕捉する制度)の導入、機器整備時の回収義務の明確化などの措置が講じられた」法律として制定されました。

フロン機器を扱う建物の解体工事を行う際には、工事発注者・元請け業者その他さまざまな立場の人に対して、この法律が義務や責任を課すことになります。

2013(平成25)年「フロン排出抑制法」

前述の「フロン回収・破壊法」の内容を踏襲しつつ、時代や環境に合わせて改正し、名称も新しくなったのが「フロン排出抑制法」です。2013(平成25)年に制定されました。

2020(令和2)年フロン排出抑制法一部改正

そして2020年の4月に、「フロン排出抑制法」はさらなる改正を経て、一部変更や追加がされることになりました。 具体的にどのような点が変更・追加になっているかについては、後述します。

フロン法の対象機器

パッケージエアコン室内機・同じく室外機・業務用冷蔵庫・卓上型冷水器・床置型冷水器・内蔵型ショーケース・別置型ショーケースなどの業務用機器が対象となります。 (家庭用機器の場合は「家電リサイクル法」という法律に沿って廃棄します)

解体工事と2020年の法改正

2020年の法改正では、どんなことが変更・追加されたのでしょうか。解体工事に関連する点について、解体業者と工事発注者の立場で分けて見ていきましょう。

解体業者に関連する改正点

これまでも、解体工事を受注した解体業者は、まず現場のフロンガス使用機器の有無を確認したうえで発注者に対して「事前確認書」というものを発行することになっていました。

2020年4月の法改正では、この事前確認書に「写しを作成し、3年間保存しなければいけない」という内容が追加されています。

解体業者に関係する改正点は、この1点のみです。

解体工事発注者に関連する改正点

対して、工事発注者(フロン法の対象は業務用機器なので、たいていはオフィスや店舗などの解体工事の施主)に関連する法改正の内容は、3点あります。

点検記録の3年保存

フロン機器の、3カ月に1度行う簡易点検、および、1年または3年に1度の定期点検の、それぞれの点検記録を、その機器の廃棄後も3年間保管しておくことが定められました。

事前確認書の3年保存

前述した通り、解体工事の際には業者からフロン機器の有無をあらかじめ確認した「事前確認書」が渡されますが、発注者も業者と同様にこの事前確認書を3年間保管しなければならなくなりました。

引取証明書の写しの作成

フロン機器を廃棄する際には、フロンを回収業者に引き渡し、そのときに「引取証明書」の写しを作成します。それから機器自体をリサイクルや廃棄業者に回収してもらう際に、その引取証明書の写しを一緒に渡す、という流れが定められました。

これに伴って、フロンが回収されたことの証明がなされていない機器については、リサイクルや廃棄業者が引き取れなくなりました。

罰則面

上記のような流れに加え、フロン回収がなされないままの機器を廃棄した場合には即(=行政指導などを経ることなく)「罰金50万円以下」が科されることになりました。

フロン改正法における解体工事の流れ

上述した法改正での変更・追加点を踏まえたうえで、解体業者・工事発注者それぞれの解体工事における手続きの流れを見ていきましょう。

解体業者の場合

事前確認書の作成

何度か説明している通り、解体業者は工事を依頼されたらまず現場のフロン機器の有無を確認し、「事前確認書」を作成します。写しも作り、業者と発注者がそれぞれ保持して3年間保管します。

フロン機器の廃棄を委託された場合は、発注者からもしフロン機器の廃棄を委託された場合は、業者が発注者の代わりにフロン回収をしてくれる業者およびフロン回収の済んだ機器の廃棄をしてくれる業者を探すことになります。

この場合は、解体業者はフロン回収の「行程管理票」というものをまず用意します。この書類はA~F票までの複写式となっていて、まずA票には発注者に必要事項の記入をしてもらい、解体業者はC票に同じく記入をします。C票は3年間保管しましょう。

それからフロン回収を行ってくれる業者にE・F票を渡します。回収業者は、回収が済んだらE票を返してくれるのですが、これが前項で説明した「引取証明書」にあたります。解体業者はこのE票も写しを作成して、一部は発注者に渡し、一部は自ら3年間保管します。

フロンの回収業者が、フロンが抜かれたあとの機器自体も回収してくれるようであれば、そのまま機器も渡します。

機器だけはリサイクルや廃棄業者に引取をお願いする、ということであれば、これも上述したように、その業者には機器とともにE票の写しの一部も渡します。

工事発注者の場合

フロン機器の廃棄を解体業者に委託する場合

この場合は、解体業者から事前確認書を受け取り、その後は上記の4-1-2の流れと同様であるため、でそちらを参照してください。

フロン機器を自分で廃棄する場合

まずはフロン回収業者を探し、「行程管理表」を手に入れます。A票に必要事項を記入して、E・F票をフロン回収業者に渡し、フロンを回収してもらうと同時にE票を再び受け取ります。A・E票は3年間保管します。

フロンが回収された機器をリサイクル・廃棄業者に引き取ってもらう場合は、E票の写しも一緒に渡します。こちらも4-1-2同様、フロン回収業者がそのまま機器も引き取ってくれる場合は、そのまま渡せば問題ありません。

まとめ

フロンによるオゾン層破壊は、地球上の生き物すべての存亡に関わる、といっても大げさではない段階まで来ています。解体工事1件で触れるフロン機器は微々たるものでも、もしいいかげんな扱いをして積もり積もれば膨大なフロンガス排出へとつながります。解体工事の発注者・業者ともに1件1件の解体工事の対応を慎重に行い、フロンガスの適切な扱いを心がけたいものですね。

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