少子高齢化といった問題や生活スタイルの変化に併せて、近年ではご先祖様への供養の方法が多様化してきています。
墓守を任せられていて、後継者がいないためお墓の撤去を考えている方もいるでしょう。もしくは自分が管理しやすい場所に、お墓を移したいと考える方もいらっしゃると思います。
今回はお墓の解体は誰に頼めば良いのかということ、お墓の解体と撤去にかかる費用について解説します。
並んでお墓を解体するまでの手順も紹介しますので、お墓の今後に関してでお悩みの方に参考になれば幸いです。
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お墓の解体は一般の解体業者でもできる
お墓の撤去をする一連の流れを「墓じまい」といいます。
お墓の解体や撤去は、石材店や墓石解体の専門業者にお願いする場合がほとんどです。石材を専門に扱っている業者が、一番扱いに長けていると考えれば当然の流れですね。
お墓が設置されている霊園などは、通常の工事以上に周囲への配慮が求められるでしょう。撤去作業中に、お隣のお墓を傷つけてしまったり、倒してしまうといったトラブルは避けねばなりません。
そのため石材を扱いになれており、墓地や霊園での作業を多く行う石材店や専門店が多く選ばれるのです。
お墓を設置している場所が民間の霊園の場合、霊園側が業者を指定することもあるため確認しましょう。
昨今ではインターネット上で石材店やお墓専門の解体業者に見積もりを依頼できます。家屋の解体業者のように、複数の業者から見積もりをとる相見積もりが可能です。活用してみるのもいいでしょう。
一般解体業者も参入している
石材店に頼むのが一般的であると紹介しましたが、現在では一般の解体業者も参入しています。
お墓じまいの件数の増加に対して、石材店の職人の数が追いついていない傾向があるためです。そのため、一般の解体業者に頼むケースが増えてきています。
また石材店は古い慣習が残っている業界でもあり、法外な撤去費用を要求してくる事例もあるので注意してください。霊園が指定している業者の見積もりが明らかに高く、トラブルになることもあります。
もしも見積もりが高いと感じた場合、一般の解体業者に見積もりを取ってもらうのも一つの手でしょう。
ただし一般の解体業者に見積もりを頼む場合、お墓の解体経験の有無は確認するべきです。いくら見積費用が安くとも、トラブルになったり追加費用を請求されては元も子もありません。
石材店や専門業者に頼む場合と、一般の解体業者に頼む場合のメリットとデメリットを把握して選ぶことが重要です。

お墓を撤去するまでにどんな手順が必要なのか
お墓じまいでお墓の解体を行うまでに、必要な手順を紹介します。
1.親戚に相談
まず最初にしなければいけないのが、親族への相談です。
墓守であるあなたの事情が優先されるのは当然だと思われます。しかしご先祖様を供養はあなただけではなく、親族の皆さんで行うものです。今まで通りにお墓詣りを行いたいと思う方もいることでしょう。
お墓じまいをしてしまえば、もう後戻りはできません。そのため親戚との同意を取り付けることは時間をかけてしっかり行いましょう。
2.管理者へお墓じまいの連絡と相談
親族との間で合意を取れたら、お墓を管理してくれていたお寺や霊園の管理者にも連絡しましょう。
こちらの事情を先に伝えて置けば、後々のトラブルが発生することを避けることができます。
また管理者側から解体してくれる石材店を紹介されたり、取り出した遺骨の供養の方法を教えてくれることもあるでしょう。
お墓じまいは、今までお墓を管理してくれた方の協力がないことにはできません。今までお世話になった感謝の意味もこめて、あなたの意思をしっかりと伝えましょう。
3.取り出した遺骨の新しい供養方法の相談
親戚や管理者とお墓じまいについて話し合う時に、遺骨の新しい供養方法も決めなければいけません。
生活スタイルの変化にともない、供養の仕方も変化しています。あなた自身や、親戚に取ってどういった方法が適切なのかを相談して決めましょう。
4.解体業者の選定
遺骨をどのような形で供養するかまで決まったら、解体業者を決めましょう。
お墓の管理者から石材店を紹介される場合があります。石材店と提携している場合や、慣れている業者に任せたいという気持ちがあるからです。
まずは管理者側に指定業者があるか質問してから、相見積もりを行うようにしましょう。
お墓じまいにかかる費用は安くありません。管理者側の都合もありますが、金銭面で折り合いが付かないとトラブルになってしまいます。
一般の解体業者に任せるという選択肢も含めて、納得できる金額でお墓じまいが行えるように管理者と話し合いましょう。
5.役所への届け出
遺骨の供養方法とお墓の解体方法が決まったら、役所への手続きを行いましょう。
遺骨を別の場所に埋葬する場合は手続きが必要になります。
現在遺骨が埋葬されている自治体の役所にいって「受入承諾書」「埋葬証明書」「改葬改葬許可申請書」の準備が必要です。
用意した3つの用紙に記入して、役所に提出することで「改葬許可証」を取得できます。
以上の方法が一般的な手続きになります。お寺や霊園によっては手続きの内容が違う場合があり、自治体によって形式が異なることがあります。そのため、管理者に相談する時に確認を取った方がいいでしょう。
6.開眼供養・解体工事
解体と撤去を行う前には遺骨を取り出さなければいけません。取り出す際に開眼供養というものを行う必要があります。
お墓を撤去する前に、お墓をただの石に戻すという儀式です。
開眼供養を行い遺骨を取り出すことで、お墓の解体や撤去の工事を行うことができるのです。
以上が、お墓じまいで実際にお墓の解体工事を行うまでの手順となります。

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お墓の解体や撤去にはどのくらいお金がかかるのか
ここまではお墓じまいをする流れを紹介しましたが、お墓の解体や撤去にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
お墓の解体や撤去費用は大きく分けて3種類あるので、項目別に解説します。
墓石撤去費用は設置場所によって上下する
墓石撤去の相場は墓石の大きさや移動方法によって変わってきますが、1㎡あたり10万円程ということになっています。
お墓を運び出す際に機材を使えない場合は、撤去費用が相場より高くなる可能性があるので注意してください。お墓が山にあったり、設置場所までの道路が狭いといった場合です。
どうしても相場より高くなる場合があるため、見積時には業者に確認をとるようにしましょう。
開眼供養費用と離檀料について
開眼供養の相場は1~5万円です。開眼供養を行った際に、お経を読んでくださった僧侶の方にお布施として包むことが一般的です。
離檀料は、現在お墓がお寺の管理する墓地や霊園であった場合のみ必要になります。
相場はお寺によって異なりますが、1~20万円程となっているようです。法要1回分の金額を目安として、受け取っている所が多いので参考にしてください。
お墓の撤去は解体業者でも可能
今回はお墓を解体する場合、誰に頼めば良いのかということを紹介しました。
多くの場合は石材店や墓石専門の解体業者に頼むことが一般的です。またお墓を設置しているお寺や霊園が指定の業者を紹介する場合もあるでしょう。
しかし近年では墓じまいの需要増加もあり、一般の解体業者に頼む事例も増えてきています。
石材店など実績のある業者を選ぶことは大事かもしれません。しかし費用面を考えると、一般の解体業者など複数の選択肢をもった方が良い場合があります。
併せてお墓を解体するまでに必要な手順も紹介しました。
墓守であるあなたの事情を考えるのは当然ですが、親族やお墓を管理していてくれた方の考えも受け入れることも大事になります。
新しい形でご先祖様を供養できるよう、まずは親族間でしっかりと話し合いましょう。
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