家を建てる際の見積もりとは?

家を建てる土地が決まったら、ハウスメーカーや工務店に見積もりを依頼します。依頼したハウスメーカーからは、大きく分けて2種類の見積もり書が提示されるでしょう。
ここからは、家を建てる際の見積もりについて解説していきます。
概算の見積もり
依頼主と打ち合わせしながら、家づくりにかかるおおよその金額を提示するのが概算の見積もりです。
概算の見積もりは、それほど時間がかからずに提示されるのがメリットです。依頼主が希望する家と予算がマッチしているのか、確認したい場合に作成されることが多いでしょう。
しかし、概算の見積もりが提示される際には、図面や工事内容がきちんと決まっていないことが多く、家を建て始めてから追加費用がかかるケースも珍しくありません。
また、概算の見積もりには、決まった書式がないためハウスメーカーや工務店などによって内容が違うことが一般的です。相見積もりを取る場合には、他社と比較しづらい点がデメリットの1つと言えるでしょう。
詳細な見積もり
概算の見積もりに対して、図面や工事内容がきちんと決まった建設費用が提示されるのが詳細な見積もりです。詳細な見積もりも概算の見積もり同様、各社の決まった書式はありません。
細かい項目まで記載するため、提示されるまでの日数がかかってしまうことがデメリットと言えるでしょう。しかし、使用する部材の型番まで記載されていることから、他社と比較しやすい点がメリットと言えます。
家づくりの主な依頼先

理想の家を具現化するために大切なのが、家づくりの依頼先です。多くのメディアで広告されるハウスメーカーや工務店をイメージする人もいるでしょう。
ここからは、家づくりの主な依頼先と特徴を紹介していきます。
設計事務所
設計事務所とは、資格を持った建築家がメインとなって運営する会社です。1人の建築家が運営する個人事務所と複数の建築家で運営される事務所があります。
設計事務所の特徴は、デザインを重視することや施工から独立している点が挙げられます。
デザインの面では、建築家のセンスによるものが大きく、見た目だけでなく使い勝手も含まれています。個性的な家づくりや、綿密に打ち合わせて納得のいく家づくりがしたい方におすすめと言えるでしょう。
また、施工から独立しているため、施工業者が図面に合った内容で工事を行っているかチェックしてもらえる点も設計事務所を選ぶおすすめポイントです。
設計事務所を選ぶ際に挙げられるデメリットには、建築家との相性が合わないケースがあることと、アフターメンテナンスはハウスメーカーほど充実していないケースが多いことが挙げられます。
FC
FCとは住宅フランチャイズのことで、ベースとなる商品スタイルの決定や必要な建材の準備は本部が行い、現場での工事・施工はフランチャイズ契約している地元の加盟店が行います。
FCのデメリットとして挙げられるのは、フランチャイズ契約している加盟店によって施工能力に差がある可能性です。しかし、施工能力の高い加盟店であれば、納得できる家づくりができるでしょう。
また、FCの中にはモデルハウスを展開する業者も多く、実際に商品を見て検討できる点がメリットです。他にも、資材や建材の一括仕入れと現場施工が別となることで、コストが抑えられるメリットもあります。
FCは、ローコストで家を建てたい方におすすめの選択肢の1つと言えるでしょう。
工務店
工務店の種類には、自社の抱える建築士や棟梁が住宅の設計と施工を行う会社や、設計はせず契約している建築家やメーカーから施工の依頼を受ける会社などがあります。
工務店に依頼する際には、設計と施工を担っている会社を選ぶのが良いでしょう。
工務店を選ぶメリットは、細かい要望にもフレキシブルに対応してもらえるケースが多いことや、大手のハウスメーカーに依頼するよりコストを抑えて家が建てられる点です。
地域に根付いた工務店を選ぶことで、ちょっとした修繕などのアフターメンテナンスがスムーズに進むことも期待できるでしょう。
注意したいポイントとして、専属となる営業担当がいないケースがあることや、打ち合わせに時間がかかること、引き渡し後の保証が充実していない可能性があることが挙げられます。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは、注文住宅の設計から施工までを自社で請け負う住宅建設会社です。工務店や設計事務所と違い、全国に展開している点や、施工する物件はベースとなる規格を持った商品である点が特徴でしょう。
工務店に比べて工期が短いことや、定期点検や保証期間などのアフターメンテナンスが充実している点がメリットです。
また、専属の営業担当が付くことで疑問点や不安なことを随時相談できることや、アフターサポートが充実していることもハウスメーカーのおすすめポイントだと言えます。
ハウスメーカーで家を建てるデメリットは、オプションや規格外の要望が入ると費用や工期がかかってしまう点です。依頼主は、ハウスメーカーが展開する商品の中から希望に合うものを選択して家を建てるため、規格から外れるとコストがかかる傾向があります。
家づくりの見積もりのポイント

家づくりの見積もりを依頼する際には、相見積もりを取ることもおすすめです。しかし、提示された概算見積もりを見ても、書式の違いから比較することが難しい場合もあるでしょう。
ここからは、家づくりの見積もりを依頼した際に確認しておきたいポイントを紹介していきます。
- 相見積もりの条件を統一する
- 値引き交渉をしない
- 項目ごとの金額を確認する
- 最高金額の目安を確認する
- 予算オーバーになった理由を確認する
- 伝えた希望が満たされているか確認する
- 信頼できる担当者と話す
相見積もりの条件を統一する
家を建てる際に使われる見積もりの書式は決まっていないため、何も指定しなければ比較するのが難しい内容となってしまいます。そのため、見積もりを取る時は、条件を統一して依頼するのがおすすめです。
例えば、同じ要望や同じ間取りを、各社に伝えて見積もりを出してもらいましょう。詳細は変わることもありますが、同じ条件で金額を比較できるため、おおよその予算が比較しやすくなります。
値引き交渉をしない
相見積もりを依頼している段階で概算見積もりが出ても、安易に値引き交渉をしないことが賢明です。
無理な値引き交渉は、見積もりを依頼したハウスメーカーや工務店などからクレーマーと見なされたり、営業担当との関係が悪くなったりする可能性があります。場合によっては、元の金額で了承しても、建築業者の方から断られてしまう場合もあるでしょう。
また、概算見積もりはあくまでおおよその金額であるため、追加費用が発生する可能性が高いものです。概算見積もりの段階で値引き交渉することで、住宅のグレードを下げられてしまう可能性もあります。
値引き交渉をするのであれば、営業担当との信頼関係を築き、ある程度具体的なプランが作成されたタイミングで行うのがおすすめです。
項目ごとの金額を確認する
概算見積もりの段階であっても、項目ごとの金額はきちんと確認しておくことが大切です。
建物一式の項目の中にはどのような工事が含まれているのか、外構工事が省かれており後に追加費用が発生する可能性はないかなど、細かくチェックしていきましょう。
また、実際に建物を建てる工事とは別に、仲介手数料や登記費用などの諸経費が必要となります。業者の中には、見積もり内容を安く見せるために諸経費や外構工事費を記載しないで提出してくる可能性があるため注意が必要です。
最高金額の目安を確認する
見積もり項目の中で別途見積もりなどと記載されている場合には、流し見せずに最高金額の目安を確認しておくことがおすすめです。「概算であって現状で算定できない」と伝えられても、これ以上かからない最高金額をあらかじめ確認しておきましょう。
最高金額を把握しておくことで、予算を踏まえた検討がしやすくなります。また、大幅な追加費用がかからないという安心材料にもなるでしょう。
予算オーバーになった理由を確認する

業者には依頼主の予算を伝えているとは言え、予算オーバーしてしまうことは珍しくありません。予算オーバーになった場合には、意向が伝わらない業者だと選択肢から外すのではなく、理由を確認することがおすすめです。
予算オーバーになった理由の中には、間取りや設備にこだわり様々な要望を伝えたため、オプションが増えてしまった可能性があります。
予算オーバーになった場合には、外せないポイントや優先順位、妥協しても良い項目を検討しながら、営業担当にアドバイスをもらうのもおすすめの方法です。
伝えた希望が満たされているか確認する
見積もり金額と予算ばかりに気を取られていると、伝えた要望が加味されていない可能性が生まれます。
見積もり内容をチェックする際には、初めに伝えた条件や希望がきちんと満たされているのか確認することが大切です。提案された図面通りの見積もり内容であるかもチェックしましょう。
希望の優先順位を決める
概算見積もりでは予算内に収まっていても、詳細な打ち合わせを重ねていく中で追加費用がかかることも多いです。また、依頼主の希望をすべて含めると、予算オーバーとなってしまうこともあるでしょう。
予算オーバーとなってしまう可能性を考慮して、優先順位や妥協できるポイントを検討しておくこともおすすめの方法です。場合によっては、予算を上げることも検討しましょう。
また、業者の営業担当は、経験による知識を持っています。予算オーバーとなってしまった場合には、仕様のグレードを下げたり諦めたりする他に選択肢がないか、相談してみるのもおすすめです。
信頼できる担当者と話す
家づくりの業者を選ぶ上で、担当者との相性も大切です。信頼できる担当者を見つけましょう。
信頼できる担当者を見極める際には、依頼主の要望を踏まえた話ができるか、疑問点を確認した時にしっかり回答できるかをポイントにすると良いでしょう。一方的な売り込みばかりする担当者や、デメリットについて説明しない担当者には注意が必要です。
家づくりの見積もり書をチェックするコツ

業者から見積もり書が提示されたら、きちんと項目をチェックすることが大切です。しかし、具体的に何を確認すれば良いのか悩むこともあるでしょう。
ここからは、家づくりの見積もり書をもらった時にチェックしておきたいポイントを紹介していきます。
見積もり書に抜けがないか確認する
見積もり書をもらったら、記載されている項目について、すべて説明してもらうこともおすすめです。それぞれの項目を確認していくことで、抜けや漏れがないか、希望した条件が入っているかを確認できるでしょう。
基本的に、見積もり書は図面に基づいて作成されています。見積もり書に抜けがあることで、依頼主の要望が図面に反映されず、納得のできない家になってしまう可能性があります。
本体工事以外の費用を確認する
見積もり書に記載された、建物本体工事以外の費用もきちんと確認しましょう。見積もり書に記載される項目は、「建物本体工事」「付帯工事」「諸経費」の3つに分類されます。
例えば、電気設備や空調工事は、業者によって建物本体工事に含めるケースと付帯工事に含めるケースがあるため、相見積もりで比較する際には注意が必要です。また、後になって地盤改良工事が必要となる場合もあります。
「調査結果による」「別途見積もり」など見積もり書に金額が算入されていない場合もあるため、確認しておくことが大切です。
屋外給排水工事費用を確認する
付帯工事の項目の中には、「屋外給排水工事費用」が入ります。建物内の水回りの配管と、上下水道管をつなぐ工事です。
上下水道工事に関する項目は、市区町村への届け出が必要となり配管の口径によって納付金に差があります。また、敷地の広さやキッチンやトイレなど水回りの設備の数によっても変わります。
屋外給排水工事費用は、見積もり書に金額が記載されていないことが一般的です。見積もり書の「別途費用」や「別途手配」などに記載がされていない場合には、確認しておきましょう。
おすすめの家づくり見積もりシミュレーションサイト4選

理想の家づくりのために、予算を検討しておくことは大切です。しかし、実際にどのくらい費用がかかるのか、住宅ローンを利用した際に借りられる金額など、分からないことも多いでしょう。
予算を検討する際には、家づくり見積もりシミュレーションサイトを利用してみるのもおすすめです。
MY HOME MARKET
MY HOME MARKETは、ハウスメーカー・地域・価格帯を選択することで家の本体価格の相場が確認できます。各ハウスメーカーの規格住宅の一覧がチェックできる点もおすすめポイントと言えるでしょう。
デメリットとしては、メーカーの選択数が少ないことや、注文住は選べず規格住宅のみの相場となってしまう点が挙げられます。
タウンライフ
タウンライフは、サイトから条件を登録していくと「間取りプラン」「注文住宅費用」「土地探し」のプランが提示されます。タウンライフに登録している業者は約600社以上あり、豊富な選択肢から選んだり比較できたりするのが特徴です。
また、各業者から間取りに基づいた具体的な見積もり書が提出されることもおすすめポイントと言えるでしょう。
MISAWA WEB DIRECT
MISAWA WEB DIRECTは、ミサワホームが運営する家づくりのシミュレーションサイトです。
地域・広さ・価格を選択することでミサワホームおすすめの商品が検索されます。また、和室や吹き抜けなど設備の希望が加味できるのも特徴です。
検索結果は、気になったものをクリップして後で比較したり、価格シミュレーションでオプションを変更できたりするのもおすすめポイントと言えるでしょう。
住宅見積.com
住宅見積.comでは、間取り・延べ床面積などの希望を選択していくと、家づくりの合計金額が表示されます。
住宅見積.comの特徴は、ローン返済シミュレーションです。家づくりの合計金額が表示された後に、ローン返済シミュレーション画面に進み、土地代を入力することで毎月の返済額が計算されます。
注意したいポイントは、見積もり金額もローン返済金額も概算となっていることです。あくまでおよその金額として参考にするのが良いでしょう。
中古住宅に家を建てる際の見積もりは?

中古住宅の土地代は、周辺の土地相場より安い価格で販売されていることが多くあります。しかし、実際は中古住宅を解体し、新築住宅を建てることが前提となっているケースがあるため注意が必要です。
中古住宅の解体費用は、買い主が手配し費用負担するのが一般的です。
中古住宅に家を建てる際には、新築と別に住宅解体の見積もりが必要となることを心得ておきましょう。
中古住宅を解体して家を建てる注意点

中古住宅を解体する際には、再建築不可物件について確認し、補助金について調べてみるのもおすすめです。
ここからは、中古住宅を解体して家を建てる際の注意点を紹介します。
再建築不可物件ではないか確認する
都市計画区域や準都市計画区域においては、現在建っている建物を解体して更地にすると新しく建物を建てられないケースがあります。古屋付きの土地を購入して新築住宅を建てたい場合は、再建築不可物件でないことを確認しておくことが大切です。
再建築不可物件であった場合でも、リフォームして住むことは可能です。
補助金などが活用できないか確認する
自治体によっては、空き家解体の補助制度を設けている場合があります。住宅の条件や抽選などの要件はありますが、地域の自治体のホームページなどで補助金制度について確認してみるのもおすすめです。
注意したいポイントは、住宅を解体してしまった場合には補助金が適用されないケースがあることです。また、交付を受けてから年度内に完了する工事であるかなど、期間が設けられていることもあるため要綱はきちんと確認しておきましょう。
地中埋設物が見つかった場合の見積もりを確認する
中古住宅解体に限らず住宅を建てる際には、地中から廃棄されたコンクリートやゴミなどが出てくることがあります。
地中埋設物が見つかった場合には、見積もり金額が大幅に変わる可能性があり、場合によっては撤去費用が追加されることもあるでしょう。地中埋設物の撤去費用が高額になるものの例としては、昔建っていた建物の基礎や井戸、浄化槽などが挙げられます。
家づくりの見積もり内容を確認する際には、地中埋設物が見つかった場合の撤去費用の相場やどのような対応を取ってもらえるかについて、事前に話し合っておくことが大切です。
家づくりの見積もりは事前にしっかり確認しよう

家づくりの見積もりの内容や家づくりのポイントを紹介してきました。
家づくりでは、見積もりが提示されたら総額だけでなく、項目や詳細もきちんと把握することが大切です。また、追加費用の可能性や別途見積もりについては、最高金額を確認しておくと予算を検討する目安になります。
この記事を参考に、理想の家づくりをしましょう。