昨今、いろいろなDIYものの書籍や動画サイトがあふれ、日曜大工ネタもバラエティーに富んでいます。
そこで、家の屋根を自分でDIYして、葺き替えや補強といったリフォームをしようと考える方もいることでしょう。専門業者の職人にまかせてしっかりとしたものにしてもらうのもいいけれど、それに比べると多少劣りはしても費用を安くしたい、愛情を持ってマイホームの維持をしたい…など、考え方もそれぞれにありますよね。
屋根のDIYにクローズアップしたとしても、どこをどのようにDIYすべきかは迷ってしまうところです。まず屋根の形状や素材、さらには耐久性や特徴、デザインや価格面など、注意すべき点は挙げればきりがなく、迷ってしまうところです。
そのため、今回は家屋の屋根よりもDIY素材としては簡単なものとして、その他さまざまな設備の屋根のDIYについて挙げていきます。
DIYで作る屋根
ウッドデッキ

〇難易度 ★★★☆☆
〇費用 30000円から60000円
〇かかる日数 2日から3日
ウッドデッキに屋根を設けるメリットは、天気を気にせず洗濯物が干せるという点です。
突然の雨でも屋根があることで濡れるリスクを回避できます。また、洗濯物をいつでも干せるのは気持ちの上でも大きなメリットといえるでしょう。
さらに、吐き出し窓から入る日光を抑える効果があります。ウッドデッキに屋根をつけることで、直射日光をさけ、窓から入ってくる熱を抑えることができるのです。そのおかげで夏のクーラーの設定温度を下げることができて、電気代の節約にもつながるでしょう。
デメリットは、屋根の掃除が発生してしまうことです。屋根の上には枯葉やホコリ、場合によってはカビなども発生する恐れがあるため、定期的に掃除を心がける必要があります。
台風や強風時での飛散防止策も忘れてはいけないことです。一度しっかりと作り込んでしまえば少々のことでは心配はいりませんが、近隣に屋根材などが飛ばされ、破損してしまわないようにしておかなければなりません。
ポリカ波板など、熱などにより変形してしまったり、日光で劣化してしまったりと、破損する恐れがあります。劣化具合の確認をして、葺き替えなどの対策も視野に入れておくとよいでしょう。
テラス
〇難易度 ★★★☆☆
〇費用 30000円から60000円
〇かかる日数2日から3日
メリットは、上述したことと重複しますが、天気に左右されず洗濯物が干せることと、室内に入ってくる紫外線や太陽熱をカットすることができる点です。
この2点だけでも大きなメリットではありますが、庭での遊びの楽しみも増えます。キャンプがブームになって久しい昨今ですが、キャンプ場へ行く手間を省く庭キャンと呼ばれるものや、バーベキューなどを楽しむ機会も多くなってきました。そこでテラスに屋根があると日よけや雨よけになるので、本を読んだり、コーヒーを飲んだりと、楽しみの幅もより広がるでしょう。
デメリットは、開放感がなくなるということです。屋根がなければ空が見えるので、開放感を重視するのであれば、屋根は設置しない方がよいかもしれません。
直射日光をカットする分、日差しが入りにくくなり、室内が暗くなることもあります。
自転車置き場

〇難易度 ★★☆☆☆
〇費用 10000円から30000円
〇かかる日数 1日から2日
メリットとしては、大切な自転車やバイクなどを、太陽光による紫外線から守れるという点です。
紫外線によって、塗装部分の色があせたり、プラスチック製品が劣化により脆弱になったりひび割れたりするのを防ぐ効果があります。
加えて、雨や鳥の糞から守る効果もあります。ある程度の強度を持たせ、思いがけない強風に注意をしていれば少々のことは問題ないといえます。
一方でデメリットとしては、新たに場所を確保して自転車置き場から設置するのであれば、敷地内のスペースの確保が難しくなるかもしれない点です。設置後に困ってしまわないためにも十分に計画を立て後悔のないようにしましょう。
バルコニー
〇難易度 ★★★☆☆
〇費用 30000円から60000円
〇かかる日数 2日から3日
メリットとしては、これもバルコニーに限らず洗濯物を干す場所全般にいえることですが、一番は天気を気にせずに洗濯物を干すことができるということでしょう。
大抵の場合には、家の2階部分の日当たりのよい場所にバルコニーは設置されています。2階は1階に比べると屋根や外壁、さらには窓からの太陽熱がこもりやすく、夏場の室内はかなり気温が上がってしまいます。バルコニーに屋根を設置することによってその熱をカットすることができ、室内を太陽の熱から守る効果が得られます。
デメリットは、バルコニーは日当たりのよい南か南東に設置されることが多いので、バルコニーの屋根を設置することで、日当たりを遮り、室内が暗くなる恐れがあることです。
特に、バルコニーは奥行きが限られているので、その影響はテラスやウッドデッキよりも顕著に現れます。
ガレージ

〇難易度 ★★★★☆
〇費用 20000円から100000円
〇かかる日数 4日から6日
駐車場の屋根をDIYすることは、それなりに大掛かりなものとなってきます。
DIYで行うならポリカ波板などで貼り合わせるものが一般的ですが、せっかくなら市販のカーポートキットを購入し、DIYで挑戦するのもよいかもしれません。
市販のものなので、見た目もよく、ビスやネジなどで固定するため思ったより簡単に組み立てることができます。
ただ、支柱部分の埋め込みや固定に少し手間がかかってしまうくらいでしょう。
玄関前
〇難易度 ★★☆☆☆
〇費用 20000円から30000円
〇かかる日数 1日から2日
玄関前にちょっとした屋根を作ることで、雨や雪の日などに便利になります。
オーニングといって、雨や日差し対策としてカフェや店舗の軒先から張り出している布やビニール製のものでも、デザイン的にはよいかもしれません。
カーポートのような大掛かりなものではないので、作業の難易度も下がってきます。
DIYでの注意ポイント

近年、DIYもいろいろと幅も広がってはきましたが、危険な作業や行為が減ったわけではありません。
職人さんと素人の差は、腕前だけに限った話でもなく、道具にもあります。仕上げなどの見た目に関わる道具ならともかく、自分の身を守るための道具や、危険作業が伴うときに使う道具は惜しまずにそろえるようにしましょう。
危険作業における注意点
足場や上下作業に使用する道具や資材はしっかりとしたものを使用することをおすすめします。
ただし、2m以上の高さになるような足場が必要な場合には、必ず専門業者に依頼しましょう。足場を組むには、資格が必要です。知識や経験の浅い者が見よう見まねで組み立てるのはリスクが大きすぎます。
次に、脚立の使用でも一番上に立って行う作業は控えましょう。何かのはずみで転倒する恐れがありますし、そもそも脚立は一番上に上がって作業するものではありません。
上から3段目より上に立たないで作業しましょう。
脚立に上って作業するときは、大抵の場合は上か正面当たりを向いての作業をしています。下を見ながらの作業はきわめて少ないので、バランスを崩してしまうことも少なくありません。
耐久性の低下
DIYというものは、専門業者に依頼して施工することとは全く違うものだという認識はしておいた方がいいでしょう。
プロ並みの仕上がりで施工する方も中にはいるかもしれませんが、プロが行う作業は仕上がりが良いだけではなく、その道のプロがその作業過程や道具を知り尽くして行っています。
たとえば、ネジ一つ取っても木用ネジもあれば、金属用やコンクリートにも使えるものまであります。道具や材料は間違った使い方をすると、後でとんでもない失敗につながりかねません。安くできるからといってコストを抑えすぎたり、違う用途のものを使ったりすると危険です。
作業時間が長くなることを覚悟する

プロの職人は全て1人で作業するわけではありません。2人、3人とその規模によって柔軟に対応しています。
1人なら危険作業になることも、数人で行えば何ということのない作業になることもあります。DIYを1人で行うと、危険作業になるリスクもさることながら、工期が延びることも避けられないでしょう。
しかし、その時間と労力こそDIYの醍醐味ともいえるものです。取付部品の多いものなら失敗のリスクも少なくて済むものも多く、難易度も高くはないでしょう。
コンクリートのように時間をおかなければならないといった養生期間があるものならまだしも、接着剤や塗料の1液のように、時間が経てば効果が薄れてしまうものには、綿密に計画を立てておかなければなりません。
仕上がりにだけその結果が現れるのであれば、DIYで行っても愛着は湧くでしょう。けれども、強度や耐久性に影響が出てしまうのであれば、その作業の計画を立て直す必要が出てきます。
ただ仕上がり面が美しければいいといったことではないのです。
仕上がりにこだわる
しっかりとした道具、適正な材料や配合など、現場や工程に沿ったものを選出して行うプロの仕事に比べると、どうしても見劣りしてしまうのは仕方がありません。
もしかすると、失敗した箇所にも愛着が湧いてくるかもしれませんが、上述しているように強度や耐久性といった面では。妥協はするものではありません。材料の仕様と要領は必ず守るようにしましょう。
まとめ
家の屋根のDIYをいきなり行うのは、難易度も危険度も高くなってしまいます。今回は練習課題といった意味合いで、家の屋根以外の設備の屋根のDIYについて紹介しました。いきなり大掛かりなものから始めて、失敗や万が一の事故・ケガをしてしまうと、せっかくの楽しいDIYが台無しです。
マイホームや敷地内で屋根があったらいいなと思うところはいくつかあるはずでしょう。まず、そういった場所の簡単なものから取り掛かって腕を磨くことも大切です。
総合的に見て、専門業者に依頼する方が望ましいかもしれませんが、自分で作ったものには愛着も湧くし、何より達成感もあります。
注意点としては、高所での危険作業は行わない、回転道具の使用時には十分注意する、作業時の着装をしっかりとするなど、どんなに急いでいても確実に行うことが大切です。
そういった心がけで、DIYでの事故やケガを減らし、思い出の詰まったものを作っていくことで、腕前も上達して、より難易度の高いものへの挑戦意欲も湧いてくるでしょう。