マイホーム購入というと、多額の資金が動き、大きな決定を迫られる「人生の大イベント」です。
その分、住宅についての基礎知識がないまま、偏った情報だけをうのみにしたままという状態で物件探しを進めてしまうと、手痛い大失敗に見舞われてしまう可能性大なのです。
住宅購入は、事前準備をしっかり行い、きちんとした順を追うことが非常に大切です。今回は事前準備とは具体的に何をしたらいいのか、物件の情報収集の際の方法や注意点にはどのようなものがあるのか、ということを徹底的に解説していきます。
どうして事前準備が必要なの?
マイホームは、人生最大の買い物といわれています。だからこそ、絶対に失敗はしたくないですよね。そのためには「欲しい」という気持ちの勢いのまま行動するのではなく、しっかりとした事前準備が必要です。
何の予備知識もなくやみくもに情報収集したり、いきなり不動産屋に行ったりするのは得策とは言えません。順序よく基本知識を積み重ね、家族で住まいに対する希望をしっかり話し合い、正確で新鮮な情報をピンポイントで集めたうえで初めて不動産屋に自分たちの希望を伝えることで、理想の住まいを手に入れられることでしょう。
住宅を購入する「目的」と「時期」を洗い出す
目的をはっきりさせる
住宅を購入する「目的」は何だろうか?とまず自問してみることは、簡単なようでとても大切なことです。
大きな買い物であり、念入りに準備をしてからの購入であるため、「住まいを購入すること自体が目的やゴールとなってしまう」という落とし穴にはまってしまうこともあるのです。
本来の目的は、快適な住環境で生活することのはずですよね。もう少し細かく見てみると「家族構成が変わったから、それに合った広さや間取りの家にしたい」「賃貸住宅から持ち家にしたい」「通勤や通学をもっと便利にしたい」という理由も考えられるでしょう。
また、住宅購入に向けて具体的に行動を始める時期も決めておくべきです。物件情報をなんとなく眺めながら「こんな家に住みたいなあ」というイメージを膨らませることは大事ですが、その抽象的なレベルからいつまでも一歩を踏み出せないと、その後の具体的な行動は起こせないからです。
「結婚を機に」「子どもが小学校に進学するタイミングで」など、ある程度購入時期を明確にしておきましょう。
このように、住宅を購入する目的や理由・動機、そして時期をはっきりと具体的にしておくことで、住宅に望む要素もおのずと見えてくるのです。

住宅購入のパターン
一口にマイホームを手に入れるといっても、いくつかのパターンがあります。新築が必ずしもよいとは限らず、予算や希望に合わせて中古住宅も十分検討できます。
新築分譲住宅を購入する
新築建売りの一戸建てや、新築分譲マンションを購入する方法です。すでに完成しているものを購入するため、自由度は高いとはいえませんが、最新式の設備ですべてのものが新しいというのは安心で気持ちがよいものです。
注文住宅を建てる
希望のエリアに土地を購入し、1から自分で設計するのが注文住宅です。非常に自由度が高く、予算の許す限りは希望をそのまま叶えることができます。
こだわりや理想がしっかりとある人には向いている方法です。
中古住宅を購入する
一戸建て・マンションに限らず中古住宅を購入し、そのまま住んだりリノベーションしたりする方法です。また、すでにリノベーションされている中古住宅を購入する、というパターンもあります。
前者は、新築であることよりも立地や利便性を重視する人に向いているでしょう。後者は、ある程度のこだわりを予算は抑えつつ実現できる、というメリットがあります。

家族と一緒に考えよう!住宅に望むもの
マイホームに望むものは、家族といえども人それぞれ違うはずです。大人の視点、子どもの視点、主婦の視点、高齢者の視点…その家に住む家族全員の希望を寄せ合い、みんなが満足できる家を作り上げるのが理想です。
まずは大まかなコンセプトから
家族の人数分だけ、住宅に期待する要素は挙がるはずです。まずは細かいことは置いておき、大まかなコンセプトを考えましょう。
たとえば「リビングにみんなが集まる家」「家事がスムーズに進む作りにしたい」などといったことです。家族構成やライフスタイルによって、コンセプトはさまざまなはずです。
希望条件を出し合い、優先順位をつけていく
大まかなコンセプトが決まったら、それをもとに家族それぞれの細かい希望も出していきましょう。
家族それぞれの希望がすべて洗い出されると、相当な量になるかもしれません。大事なのは、その希望条件に優先順位をつけていくことです。「絶対に譲れない条件」「できれば叶えたい条件」「予算に余裕があれば加えたい条件」といった具合にです。
優先順位をつけることで、資金計画もスムーズに進めることができるので、家族みんなでどんどん意見を出し合いましょう。
このときはまだ間取りや部屋のデザインについてまでしっかり絞り込んでいくのは難しいため、ざっくりと形にしておければよしとしましょう。次の「情報収集」の段階でさまざまな物件情報に触れることで、具体的なイメージが湧くようになっていくはずです。
資金計画を立てる
次に、住宅購入にどのくらいの予算を充てられるのかということも考えておきます。現在の貯蓄額から自己資金はどのくらい用意できるのか、住宅ローンの無理のない返済計画は、といったことまでしっかり計算しておきましょう。
予算がぼんやりしていると、せっかく理想の住まいを見つけたときに「やっぱりお金が足りないから無理だ」ということになってしまい、また物件探しを初めからやり直さなければいけなくなる恐れも出てきてしまいます。

情報収集しよう
購入したい住宅のイメージがだいぶ固まってきたら、いよいよ情報収集に移ります。これまでの準備を活かして、情報収集を効率的に行っていきましょう。収集する情報の量が多いほど、相場観も養われていきます。たくさんの物件を比較していきましょう。
収集したい情報は何か
まずは「収集したい情報は何か」ということを明確にしましょう。欲しい情報が何かがわからなくては、それを手に入れることもできません。ここで効率的に情報を探すには、前項までの事前準備が生きてくるのです。
たとえば、「物件の種類(新築か中古か)」や「物件のタイプ(マンションか一戸建てか)」といったことは、これまでの家族との話し合いや希望の洗い出しですでにある程度絞られているでしょう。そうすれば、おのずと収集が必要な情報とそうでない情報が分別できるはずです。
下記のような事項が、収集すべき情報の要素として挙がってくるのではないでしょうか。
〇エリア
〇予算
〇最寄り駅からの距離
〇建築年数(築年数20年以内など)
〇物件の方角
〇広さや間取り
〇周辺施設
いずれも購入動機を踏まえたうえで、住宅に何を望むのか、重視するのかを明確にしておくことが重要です。
情報収集の注意点
「情報」の前に「知識」も得ておく
前項までの「住宅購入の目的・希望条件」を洗い出す段階で、ある程度達成できていることかもしれませんが、一般論としての「住宅購入までの流れ」や「住宅を選ぶポイント」といったものも、まずしっかり勉強しておくことをおすすめします。
それによって、正確な情報を見る目が養われていきます。
インターネットで得る知識だけでなく、書籍を利用するのがもっとも確実です。具体的な情報を得る目的ではなくても、不動産屋に相談してみるのもよいでしょう。
相場を知る
希望エリアが絞れていれば、情報収集の際にそのエリアの物件相場を知ることができます。予算も立っていれば、予算と相場がかけ離れていることがあっても希望エリアの修正をはかることができるでしょう。
情報収集をしながら、相場観を養い、さらに正確な情報を見極めていくことが可能になります。
常に最新の情報に触れる
不動産の情報は、日々めまぐるしく変化していきます。特に自分が良いと思った物件は、他にも目をつけている人がたくさんいるはずです。今日いいなと思った物件が明日にはすでに売れていた、ということもよくあることです。
常に鮮度の高い、最新の情報を収集していくことを心がけましょう。

情報収集方法
インターネット
不動産の情報収集においても、主流はやはりインターネットを利用した方法です。なんといっても情報量の豊富さと、情報の更新スピードが速いこと、そして検索機能によってその膨大な量の情報から必要なものを簡単に得ることができます。
不動産会社のポータルサイトでは、会員登録をするとメールで新着情報を送ってくれるサービスを行っているところがあります。そういったものも積極的に利用するとよいでしょう。
ただし、その分情報の正確さを見極める目は必要です。一定の知識や判断力がなければ、情報の海に溺れてしまいます。インターネットでの情報収集には、ある程度のスキルがなければいけないのです。
不動産情報誌や広告
新聞の折り込み広告やポスティングチラシ、住宅情報誌などのアナログ媒体は、インターネットでの情報掲載が主流になってからだいぶ数は減ってしまいましたが、地域限定配布の要素が強く、新築物件に関してはまだまだ利用できます。
情報を一覧で確認できるのも魅力ですが、掲載物件数に限りがあるのと、インターネットのように情報の即時更新ができないため、チラシを見てから検討しているとすでに成約されていた、ということがあるのが欠点です。
直接不動産会社や建築会社を訪ねる
不動産会社を訪ねるのは十分に情報収集してから…というのももちろんよいのですが、住まいの希望条件がある程度固まってきたら、一度相談に行ってみるのもおすすめです。
インターネットには掲載されていない最新の物件情報を提供してくれたり、疑問点をその場で解決してくれたり、直接のやり取りを早い段階から始めて相性のいい業者を見つけられれば、その後の流れもスムーズにいく可能性が高くなるでしょう。
ピンポイントで気になるメーカーなどがあるなら、建築会社を訪ねて住宅の性能や工法について詳しく話を聞いてみるのもよいですね。
ただ、不動産会社や建築会社はあくまでも販売が第一の目的であるため、ひとつのところで得た情報だけをそのまま鵜呑みにして頼るのは禁物です。金融機関やFPなど、ほかにも住宅ローンのような情報もあわせて相談できる専門家をいくつか確保しておくことで、バランスよく情報収集できるでしょう。
現地(住宅展示場・モデルハウスなど)
中古住宅の購入を考えている場合は、その物件の所在地に、新築住宅を考えているのであればモデルハウスや住宅展示場に足を運んでみるのもよいでしょう。
ただしモデルハウスは一社だけの情報に偏ってしまう、住宅展示場ではハイグレードな仕様の住宅が並んでいて現実味に欠ける、などの理由で情報収集には適していない部分もあります。
ここでも、行く目的をきちんとはっきりさせてから訪れることが大事です。
中古・モデルハウス問わず内覧の際には、メジャーや方位磁石・筆記用具・カメラなどを持参するとよいでしょう。
チェックしたいのは、まず広さ。数字で知っていても、実際見てみるのとでは印象が全然違うこともあるため、体感しておくことが必要です。廊下の幅などもきちんと測っておきましょう。
収納の数や大きさ、コンセントの数や位置も十分か、使い勝手がよいか、ということをチェックしておきましょう。
中古物件は、これに加えて室内に不具合やひどい汚れがないかも確認します。日当たりや風通し、眺望なども実際の物件を見るからこそ確認できることです。
マンションの場合は、駐車場やゴミ置き場など共用場所も状態や位置も見ておきます。中古マンションであれば、現在の管理状況、住民のマナーなども気にしましょう。
建物自体だけではなく、立地の利便性や治安・安全性まで確認できればなおよしです。

まとめ
以上の事前準備をしっかりと済ませてから、本格的な物件探しを始めると失敗が少ないはずです。
不動産屋に行ったときに「住宅を購入したい」というだけの漠然とした状態の顧客と、「このエリアにこれだけの予算でこんな感じの新築一戸建てがほしい」という顧客、どちらに対して営業マンは具体的で的確な情報を提示してくれるでしょうか?
いうまでもなく、後者ですよね。
良い物件に出会い、スピーディーに成約に向かうためには、しっかりと事前準備に時間をかけるべきなのです。やみくもに、勢いだけで動こうとせず、順を追って「人生最大の買い物」を満足いくものにしましょう。