新築、中古に限らず、マイホームの購入や建替えなどではまとまった資金が必要となります。
マイホームのローンを検討している人にとっては、各種のローンの特徴を調べたり、自分に合ったものを探したりと苦労が絶えません。
金融機関の担当者の言うままになっていませんか?
優先するものは金利?安定?それとも安心ですか?
まず、どういったものがあり、何を優先するかで借り方や借りる場所など、大きく変わってきますので、一から計画を立てるのに少しでも本記事がお役に立てば幸いです。
ローンの種類

ローンには大きく分けて、公的ローン(公的融資)と民間ローン(民間融資)とがあります。
公的ローンは、財形住宅融資や自治体融資などの公的機関が行うもので、これまでは政府系金融機関の住宅金融公庫が行う公庫金融が公的ローンの代表格でした。
しかし2007年に行政改革の流れで、住宅金融公庫は廃止となり、その後住宅金融支援機構が一定の業務を引き継ぐ機関として誕生しました。
その住宅金融支援機構では、特別なものを除いて、個人に対する直接融資は行ってはいません。
当時、民間ローンは審査が厳しく、住宅の購入に対してローンの融資といった概念があまりなかったうえに金利も高く、民間の銀行で住宅のローンを組むのは一筋縄ではいきませんでした。
住宅金融公庫の廃止以降、民間の金融機関も住宅ローンの商品の開発に力を入れ、今日ではさまざまな特色のローン商品が誕生しました。
その影響から、住宅金融公庫廃止以降の公共ローンの代表格は、財形住宅融資と自治体融資になり、次第に民間金融機関も積極的に住宅ローンに取り組むようになり、今では住宅ローンのほとんどが民間金融機関によるマイホームローンに取って代わられています。
公的ローン

住宅金融公庫の廃止以来、財形住宅融資と自治体融資の二本立てとなりました。今ではあまりメジャーではなくなりましたが、融資の内容的にも条件が合えば選択肢として十分検討しうるものとなっています。
財形住宅融資
財形住宅融資とは、国と会社が連携して、従業員の資産づくりを支援することを目的とし、福利厚生の一環でこの制度を導入している企業の従業員が対象の制度です。
利用条件はいくつかあり、下記の通りです。
・自身で所有および居住するための住宅の購入または建築
・完済するまで融資を受けた住宅に住むこと
・従業員が財形貯蓄を1年以上継続していて、かつ、申込日前2年以内に一般財形の預け入れを行っている。
・貯蓄額が50万円以上ある
・勤務先から住宅における住宅手当や利子補給等の援助など、負担軽減措置が受けられる人
※負担軽減措置は、住宅手当や利子補給等の援助措置を5年以上受けられる期間が必要。
限度額は、財形貯蓄の残高の10倍額以内までとされています。
※最高4000万円まで。および住宅取得価格の90パーセントまで。
金利タイプは5年ごとの適用金利を見直し、全期間5年固定となっています。
その他、融資を受けられる住宅にも細かな条件はありますが、新築住宅の購入や中古住宅の場合でも、土地のみの購入代金には利用ができません。
財形貯蓄は、公務員や従業員の賃金を天引きして行う貯蓄なので、財形住宅融資はいわばサラリーマンを対象にした融資といえます。
自治体融資

自治体融資とは、全国の都道府県、あるいは市町村などの地方自治体が行う融資です。
この自治体融資は全国のすべての自治体が行っているものではありません。
各自治体で行っている融資の条件や内容は、統一されているものではなく、自治体によって異なります。
たとえば、「フラット35」地域連携型は、自治体と住宅金融支援機構が連携し、補助金交付などの財政的支援をあわせて「フラット35」の借入金利を一定期間引き下げる制度です。
その他にも、地方銀行のマイホームローン商品などもあります。
地元の発展があってこその地域密着型の金融機関であるために、人口の減少抑制対策や、空き家の解体、さらにはリノベーションなどに対しても補助金と合わせた金利引き下げを行っています。
地方銀行からの観点で、優遇金利とローン商品を組み合わせた自治体の補助金制度などを提案してもらえます。
気になる方は、お住いの自治体への確認を行ってください。
民間ローン
民間の金融機関と、不動産会社やローンの申込人の勤務先が提携している住宅ローン、およびそれ以外の非提携ローンとがあります。
提携ローン
提携ローンとは、不動産会社と金融機関が提携し、取り扱いをしているマイホームローンのことです(勤務先と金融会社が提携しているケースもあります)。
対象物件を購入する人用に準備された通常のローンと比べると、金利などの条件や取り扱いにいくつかの違いはあるものの、利用者にとっては便利で扱いやすい内容となっています。一方で、使う人によっては使い勝手が合わない場合もあります。
金利のタイプ
マイホームローンを選ぶうえで、重要な要素の一つとして、金利のタイプがあります。それぞれの特徴を確認しましょう。
変動型

変動金利タイプのうち、固定期間が全くないものがこちらです。
景気や世界の情勢の変化に左右される特徴があります。そのため、返済の途中であっても、定期的に金利が変動するリスクがあります。
借り入れ後にも変動はしますので、返済額の合計が確定しません。
固定期間選択型
あらかじめ決めていた年数は固定金利で返済し、その後は変動金利に切り替わるというものです。
固定期間中の返済額は一定金利なので計算しやすいのですが、その後は変動金利タイプになるため、全ての見通しは不透明となっています。
金利を安く抑えたいけれど、変動金利に不安があるのであれば、最初の数年は固定金利で安定させておき、その後じっくりと考えたい、という人におすすめです。
全期間固定型
借り入れた時点で返済額の総合計が確定しています。将来市場金利が上昇したとしても、借入返済額は一切変わらない安心感があります。
より確実性をもって返済したい方にはおすすめです。しかし、完全固定型になると、金利は高くなってしまいます。
マイホームローン ランキング
マイホームローンのランキングは、インターネットで検索すると山ほど出てきます。
しかし、金融商品も日々変わっていて、少し前のランキングではすでに古いものとなり、情報の最新さに欠ける場合があります。加えて、重視する項目によってもランキングが変わってきます。
そのため、何を重要視するかを決めておき、ある程度の方向性を持っておくことで、後から気持ちの振れが少なくて済むかもしれません。
金利ランキング
変動金利のランキングは以下の通りになっています。(2023年01月時点)
2023年1月は変動金利に変化はありませんでした。
固定金利は、長期金利の影響で金利に少し動きはありました。
マイホームローン 変動金利型編
PayPay銀行 0.349パーセント~
みずほ銀行 0.375パーセント~
auじぶん銀行 0.389パーセント~
住信SBIネット銀行 0.390パーセント~
ソニー銀行 0.397パーセント~
マイホームローン 一定期間固定型編(10年)
ソニー銀行 0.945パーセント~
イオン銀行 0.99.パーセント~
SBI新生銀行 1.050パーセント~
PayPay銀行 1.050パーセント~
三菱UFJ銀行 1.050パーセント~
マイホームローン 全期間固定型編
埼玉りそな銀行 1.395パーセント~
りそな銀行 1.395パーセント~
SBI新生銀行 1650パーセント~
みずお銀行 1660パーセント~
ARUHI 1.670パーセント~
変動金利、固定金利の推移

変動金利は変動なしで、固定金利は先月より下落しています。
住宅金融支援機構が発表している「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」によると、主要都市銀行の金利(中央値)は、変動型で2.475パーセント、固定期間選択型(3年)3.350パーセント固定期間選択型(10年)3.780パーセントとなっています。
金利の推移をみると、変動金利については2010年以降には変動がありませんが、固定金利については動きがあります。
各金融機関の変動金利を確認すると、まだまだ低金利が続いていて、金利を引き下げている金融機関もちらほらと散見しています。
2022年以降は長期金利の上昇に伴い、固定金利選択型(3・10年)の金利は上昇しています。
長期金利のマイナス金利政策が実施されて以来、実に6年ぶりの高水準となりました。
それに合わせる形で、三菱UFJ銀行などの大手銀行が10年固定のマイホームローンの金利を引き上げました。
民間での金融機関が打ち出しているマイホームのローンは、契約した月ではなく、ローンを実行したタイミングでの金利が適用されることが一般的なため、2022年2月以降の金利が変動しているので、固定金利を検討する際は実行のタイミングも注意が必要となってきます。
マイホームローンを検討する際には、金利のほかにも事務手数料などの経費もあり、それも返済計画に関係してくるので、各金融機関への確認はするべきでしょう。
今後の金利がどのように推移していくかが注目されます。
金利の決定要素

変動金利型の場合
マイホームローンの借入金利はさまざまな要素で変動しますが、変動型の金利の場合には、日本銀行(日銀)の政策金利に大きな影響を受けます。
日銀の政策金利とは、景気の過熱やインフレを抑える目的で金利を上昇させたり、逆に景気を刺激するために金利を下げたりなどを行うことです。この場合の金利とは、物価や景気の安定を図るために上下する短期金利を指します。
主な指標としては、日本銀行ウェブサイトのコール市場関連統計の無担保コールレート(オーバーナイト物)で確認ができます。
無担保コールレート(オーバーナイト物)は、2016年からマイナス金利が続いています。マイナス金利政策は2%のインフレ率が目標で、なおかつ安定的に持続するまで継続することとなっています。
消費者物価は、先の携帯電話通話料の引き下げによる影響と、エネルギー価格の上昇で、穏やかに上昇すると予想されていますが、賃金の上昇が伴わないと企業が単価に転嫁しにくいことから、2022年の日銀政策決定会合で当面の間は金融緩和政策は変えない方針を固めました。
固定金利型の場合
固定金利型に影響を及ぼすのは、新発の10年国債の利回り(長期金利)となります。
長期金利も現在、日銀の金融政策により0パーセントプラスマイナス0.25パーセント(-0.25〜0.25パーセント)程度にコントロールされています。
しかし、2022年2月は当初10年固定金利などで0.05~0.06パーセント程度の上昇を見せた金融機関もありました。
アメリカの金利上昇に影響を受けるなどして、日本の長期金利も2022年1月の1ヶ月間で、0.085パーセントから0.17パーセントに上昇したためです。
金利が上昇したとしても、固定金利でマイホームのローンを組んでいれば、借りる側としては固定期間の金利上昇リスクを避けることができます。そして、返済額は一定のままです。
今後の動きとしては、低金利が続くのであれば、変動金利型だけでなく全期間固定金利型も選択肢に入ってくると言えるでしょう。
まとめ
マイホーム購入のためのローンには、いろいろな借入先があります。
どれをとっても一長一短があり、とても難しい選択です。
マイホームは大きな買い物となるので、しっかりと見極めて決断しなければなりません。
近年は、アメリカは景気が上がり、金利も上がっています。日本もそれに追従する形でいつどうなるかという予想もつけづらくなっています。
当面は、日銀の金融政策に影響されて低金利が続いていますが、いつ政策が打ち切られるかわかりません。
しかし、ローンを一度決めたからといって後戻りができないわけではありませんので、状況を見つつ借り換えなどの手段も選択肢に入れることができるので、あまり肩に力を入れなくてもいいでしょう。さまざまな情報を集めて、検討していけるといいですね。