住宅を購入する際、住宅ローンを利用しないという人はほぼいません。
利用する金額はそれぞれ違っていたとしても、大きな額の借入を利用することになります。
購入を希望する住宅で住宅ローンを借入れる場合、希望額全てを借入することは可能なのでしょうか?
住宅ローンの借入可能額について、借入可能額の審査条件やポイント、計算式による年収別の借入限度額について、詳しく解説していきます。

住宅ローンの借入可能額は、住宅に合わせて借入できるわけではない
住宅購入時、住宅ローンを利用して住宅の購入を検討している人はとても多いですが、自分が借入したい金額を全て借り入れられると思っていますか?
実は借入希望額を全て借り入れることが出来るわけではありません。
借入可能額とはどのようなものなのでしょうか?
借りる人の年収を基準とする

借入可能額は住宅ローンを申し込んだ人の年収を基準として決定します。
いくら借りたいか考える時に、まずチェックされるのが年収です。
住宅ローンは高額で、返済期間も数十年と長くなります。
きちんと最後まで返済可能かが大切であり、返済可能額を元にして借入可能額が決定するのです。
年収だけで決まるわけではありませんが、年収によって借入可能額のほとんどが決まるといっても過言ではありません。
借入希望額がすべて借りられるわけではない

年収によって、おおまかに「借りられる金額が決定」するので、年収によっては借入希望額すべて借りられるということはありません。
希望額に全く届かなければ、購入は断念するしかありませんし、ある程度の金額まで借入可能であれば、購入希望の住宅の建築費用を抑えるなど検討することも必要です。
住宅購入前なので、ある程度のお金を貯めてから住宅購入をすることも考えましょう。
借入を希望した額が、全て借り入れできるとは限らないことを覚えておくようにしてください。
金融機関や公的ローンなどによって審査条件が異なる

借入可能額は基準や計算方法はありますが、金融機関や公的ローンによっても審査条件が異なるので、借入可能額が変わることもあります。
事前に審査条件を確認し、希望額が借入可能な金融機関や公的ローンを利用する方法もあります。
住宅メーカーが紹介する金融機関などは、条件が良いこともあるので検討してみるのも良いでしょう。
借入可能額を決めるための大事な審査ポイント
審査条件は金融機関や公的ローンで異なりますが、審査ポイントはどの金融機関なども同じです。

収入
収入によって住宅ローンの借入可能額は大きく変わります。
年収が高ければ、住宅ローンの返済に回せる金額が多くなるので、支払能力が高く、安定して返済が可能であると判断されます。
収入も大事な審査ポイントですが、収入とともに「職業」「勤務先」「勤続年数」も審査対象として重要になります。
「収入の安定」「昇給が見込めるか」「返済のリスクがないか」というのも審査のポイントであり、転職を繰り返したり昇給が見込めないなどと判断を受けてしまうと、借入可能額だけではなく、住宅ローン自体が利用できないこともあるので、住宅購入を考えている人は覚えておきましょう。
年齢
住宅ローンの返済は長期間にわたります。
借入希望者の年齢も借入可能額の決定に必要な要素の1つになります。
住宅ローンの借入申し込みができる年齢には条件があり、多くの金融機関などでは「20歳以上70歳以下」「完済時年齢が80歳未満」が条件であることが多いです。
住宅ローン審査では、どちらも重要な条件になりますが、特に完済時の年齢が重要だといわれています。
申込年齢だけであれば69歳でも10年返済のローンを組むことも、理論上では可能です。
住宅ローン以外の借入残高
住宅ローンを申し込む際に影響するのが、住宅ローン以外の借入残高です。
- 車のローン
- 教育ローン
- 奨学金の返済
- 携帯電話の分割支払い
- カードローンや消費者金融の借入
- クレジットカードの残高
などが借入残高として、住宅ローンに影響してきます。
借入可能額が低い可能性がある人は、審査の際に影響する可能性がある借入を、住宅ローンの審査前に清算しておくことをおすすめします。
担保物件の価値
重要な要素として出てくるのが、担保物件の価値です。
住宅ローン借入の際は、物件や土地に対して担保を設定します。
住宅ローンの支払いが出来なくなった時に、土地や建物を売却し、その売却金でローン残高を金融機関が回収するシステムになっているため、必ず担保についての情報が物件の登記情報が載ります。
これは住宅ローンを完済するまで消えることはありません。
担保となる物件の価値が高ければ、もしもローンの支払ができなくなり売却をしても回収不可能となることはないので、借入可能額が上がる可能性が高くなります。
借入可能額の調べ方
住宅の購入前に自分の借入可能額を知りたい場合、目安となる計算方法があります。

計算式があるのでおおまかな限度額が分かる
金融機関などで異なる借入可能額ですが、おおまかに限度額が計算できます。
- 住宅ローンの年間返済可能額÷12ヶ月÷審査金利での100万円当たりの月返済額×100万円
借入可能額となります。
住宅ローンの年間返済可能額は
- 額面年収×返済負担率
で計算することが可能です。
年収500万円の場合
上記の計算方法を利用して年収400万円の場合の借入可能額を計算してみましょう。
(返済負担率35%、適用金利年0.5%、審査金利年3.0%で計算)
年収(税込) | 500万円 |
返済負担率 | 35% |
年間返済額(上限) | 175万円(他のローンなし) |
適用金利での借入可能額(上限) | 約5,610万円 |
審査金利での借入可能額(上限) | 約3,780万円 |
年収600万円の場合
上記の計算方法を利用して年収400万円の場合の借入可能額を計算してみましょう。
(返済負担率35%、適用金利年0.5%、審査金利年3.0%で計算)
年収(税込) | 600万円 |
返済負担率 | 35% |
年間返済額(上限) | 210万円(他のローンなし) |
適用金利での借入可能額(上限) | 約6,230万円 |
審査金利での借入可能額(上限) | 約4,210万円 |
借入限度額を増やす方法
希望借入限度額に届かなかった場合、諦めてしまうしか方法がないのでしょうか?
借入限度額を増やす方法について紹介します。

収入合算をする
収入合算とは、夫婦または同居する親子で住宅ローンを組む方法です。
「ペアローン」などという名前のローンとなり、申込条件は夫婦・親子などどちらの場合であっても、ペアローンを一緒に組む2人共に収入があることが条件であり、それぞれの収入に応じた借入可能額が決められることになります。
借入希望額が5,000万円であった場合、1人では3,000万円程度の借入しかできなかった場合、2人であれば5,000万円の借り入れができる可能性があります。
ペアローンは、それぞれが住宅ローンの契約者となり(そして相手の連帯保証人にもなる)、住宅ローンが2本ということになります。
登記費用などが2倍になるので、事前の資金計画に注意する必要があります。
借入期間を長くする
住宅ローンの一般的な借入期間は、最長で35年となっています。
もちろん年齢によっては最長まで借入できない可能性もあります。
当初の借入期間が35年以下で、借入期間に余裕があるのであれば借入期間を長くできるか検討しましょう。
借入期間の延長によって返済負担率をさげることでも、借入可能額が増やせます。
返済負担率を変える
ある程度年収が高い場合、返済負担率を上げることで借入可能額を増やすことが可能となります。
年収が800万以上であれば、返済負担率が35%であっても問題なく返済をすることが可能です。
他の大きなローンを完済させる
現在住宅ローンの他にローンを返済中であれば、先にローンを完済させることで、借入可能額を増やすことができます。
大きなローンがなくなることでその分の金額を住宅ローンに充てることが可能となるので、借入可能額が大きく変わる可能性が生まれます。
「借入可能額」と「無理がない返済額」

「借入可能額」と「無理がない返済額」は異なります。
借入可能額は金融機関などが審査をした時点で返済可能だと判断した金額であり、実際に返済できる金額とは異なる場合もあります。
長期間返済を続けていく中で、予定外の出費が出たり、環境が変わり収入が減ることも考えられ、これまで無理がない返済額だと思っていた額が支払えなくなる可能性もあるのです。
借入可能額まで借りてしまうことによって、後からの返済が大変にならないように将来を見据えた資金計画を立てていくことも必要になります。
まとめ

住宅ローンの借入可能額とは?住宅購入時の借入限度額はどのように決まるのかについて、解説をしました。
住宅ローンの借入可能額は、「収入」「職業」「勤務先」「勤続年数」あらゆるものを金融機関や公的ローンで審査をした結果によって決められます。
審査から出された借入可能額以上に借入をすることは難しいですが、借入限度額を増やす方法はあるので、検討をしてみるのも1つの方法です。
住宅購入を考え住宅ローンの利用を検討している場合には、一度自分が借りられる借入限度額を調べてみることをおすすめします。おすすめします。