解体工事に必要な資格や講習とは?届出の手順や資格が必要な作業を紹介

業者

解体工事に関係する資格について、元請・下請事業者、現場の技術者それぞれに必要な項目を解説します。

また、解体工事の資格がどんな作業の時に必要か、許可や登録の方法も説明します。

解体工事を請負う人や現場で働きたい人、将来独立したい人向けの情報を集めました。

解体工事に必要な資格や講習について知ろう!

鉄筋コンクリート造の建物の解体工事現場

解体工事を請負う時は、事業者には都道府県の知事などの許認可が、現場には主任技術者などの資格を持つ技術者を配置する必要があります。

具体的にどのような許認可や資格が必要になるのかを見ていきましょう。

解体工事に必要な許可と登録とは?

解体工事を元請けや下請けとして請負うには、請負金額に応じて建設業許可または解体工事業登録が必要です。まずは、それぞれの要件について見ていきます。

建設業許可

大規模な解体工事の請負現場

解体工事の建設業許可は、1件当たりの請負金額が500万円以上の工事を行う際に必要になります(建設業法第3条)。解体工事業の建設業許可は、以下の2種類のうち、どちらかを取得しなければなりません。

  • 都道府県知事許可
  • 国土交通大臣許可

必要な建設業許可の種類は、営業に関わる決定権を持つ営業所が開設されている都道府県の数によって変わります。営業の決定権を持つのが本店だけであれば、本社所在地の都道府県知事許可が、2つ以上の都道府県に同等の営業所がある場合は国土交通大臣許可となります。

なお、建設業許可は基本的に5年ごとの更新が必要です。しかし、営業所を本店以外の都道府県に初めて開設したり、逆に本店以外の全ての都道府県から撤退した場合などは建設業許可も取り直しとなります。出典:建設業の許可について(国土交通省)

解体工事業登録

はつり機で床の解体工事を行う二人の技術者

解体工事業登録は、1件当たりの請負金額が500万円未満の解体工事を行う業者が、都道府県に届け出を行う制度です(建設リサイクル法第21条)。登録手続きは、解体工事を行いたい都道府県ごとに必要書類を揃えて、各都道府県の建築担当部局に提出します。

解体工事業登録は、建設業許可のうち解体工事業、土木工事業、建築工事業のいずれかを持っている業者には不要です。一方、2019年6月以降にとび・土工工事業の建設業許可を取得・更新した業者で解体、土木、建築のどの許可もない場合は登録が必要になります。

なお、解体工事業登録をした法人が途中で解体工事の建設業許可を取得した場合、都道府県の登録業者としては抹消されます。

解体工事に必要な許可と登録の違いは?

ドリルを構えるオーバーオールを着た男性

解体工事の建設業許可業者と解体工事業登録業者では、1件当たりの請負金額が違ってきます。解体工事業登録業者は500万円未満の解体工事しか請け負えませんが、建設業許可業者であればそれ以上の金額の解体工事も可能です。

また、解体工事の施工も建設業許可業者は全国で行えますが、解体工事業登録業者は登録を行った都道府県のみの工事となります。

解体工事に必要な資格と講習の種類を紹介

3人の受講生に講義する男性講師

解体工事に必要な資格は、作業を行う技術者が取得するものと、事業者が取得するものに分かれています。

解体工事業登録を受けるために必要な資格

解体工事業登録に必要な資格を一覧にまとめました。解体工事業登録を受けるためには、この6種類の資格のいずれかの合格者を技術管理者として選任しなければなりません。

  • 建築士(1級・2級)
  • 土木施工管理技士(1級・2級)
  • 建築施工管理技士(1級・2級)
  • 建設機械施工管理技士(1級・2級)
  • とび・とび工(1級・2級)
  • 解体工事施工技士

この6資格は全て国家資格となり、受験には指定の年数の実務経験が必要です。実務経験の年数は、指定学科の卒業者は学歴によって短縮されます。また解体工事施工技士は、全国解体工事業団体連合会主催の技術講習を受けることでさらに1年短縮できます。

解体工事にかかる技術資格・講習

マークシートの択一式問題を解く受験生

また、現場の技術者の主な資格・講習については下記に一例を挙げます。取得した技術者が多いほど、業務の幅や請け負える現場の数に違いが出ます。

  • 建築物等鉄骨の組立て等作業主任者技能講習
  • 足場の組立て等作業主任者技能講習
  • ガス溶接作業主任者講習
  • 車両系建設機械(整地・運搬・積込及び掘削)の運転
  • 車両系建設機械(解体用)の運転
  • アスベスト建築物の解体・改修工事における石綿障害の予防特別教育
  • 特定化学物質等作業主任者技能講習
  • 職長・安全衛生責任者教育
  • 玉掛け技能講習
  • コンクリート造の工作物の解体等作業主任者講習
  • 木造建築物の組立て等作業主任者技能講習

講習のうち、「作業主任者」と書かれたものや、アスベスト建築物の解体・改修工事における石綿障害の予防特別教育は特に重要になります。というのも、該当する作業を行う際には、受講者を作業主任者として配置することが義務付けられているためです

また、職長・安全衛生責任者教育は現場の技術者の労働環境における安全確保の観点から不可欠な講習となっています。

解体工事業登録に関する要件と届出の方法

建設業許可や解体工事業登録の書類提出先の一つである東京都庁

解体工事業登録を行うには、以下の3つの要件を満たさなければなりません。

それぞれについて見ていきましょう。

また、解体工事登録の届出の手順も合わせてお伝えします!

解体工事業登録に関する3つの要件

こちらでは、解体工事登録に関わる要件をお伝えします!

1.都道府県ごとに申請が必要となる

解体工事業登録は、解体工事を行う都道府県ごとに、登録申請書、誓約書、実務経験証明書、登録申請者の調書、登録票、帳簿を提出します。各書類のテンプレートは、各都道府県のホームページからダウンロードできます。

2.技術管理者を配置する

技術管理者は、解体工事に関連する資格と、一定年数の実務経験を有する技術者です。関連する資格とは、機械・土木・建築の施工管理技士や技術士(建築部門)、建築士、とび工の資格や、解体工事施工技士試験の合格者を指します。

実務経験は、高校や大学で土木工学、建築学、都市工学、交通工学に関する学科を卒業したり、指定の講習を受講した場合は短縮されます。ただし、最短でも1年以上の経験が必要になります。

3.欠格要件に該当しないようにする

申請者が欠格要件に該当する場合は、解体工事業登録を行うことができません。欠格要件は概ね、以下の4つのパターンに分けられます。

  1. 書類の重要事項に不備等がある
  2. 一定期間内に行政処分歴がある
  3. 暴力団員である
  4. 技術管理者を選任していない

①の書類の重要事項の不備とは、記載内容に虚偽があったり、重要事項についての記載がない場合です。行政に提出する公的書類なので、間違いがないようにしましょう。

②の行政処分歴は、解体工事業登録の取り消しや、建設リサイクル法違反で罰金刑以上の刑罰を執行されて2年以内である場合などです。他にも、業務停止命令における停止期間中である場合や、2年以内に解体工事業を取り消された法人で、処分日より前の30日以内に役員を務めていた場合も同じです。

③は、申請者が現在、または過去5年以内に暴力団員であったり、事業活動を暴力団員が支配している場合が該当します。

特に②と③は、解体業者が法人である場合の役員や、未成年のため立てた法定代理人が該当した場合も欠格要件となります。

解体工事業登録の届出の方法

こちらでは、解体工事業登録の届出の手順をお伝えします!

ぜひご覧ください。

1.解体工事登録の申請要件を満たしているか確認する

上記の必要な3つの要件を満たしているかチェックしましょう!

2.申請書類の作成と収集を行う

以下の申請に必要な書類の作成と収集を行いましょう!

解体工事業申請書
誓約書
登録申請者の調書
実務経験証明書
配置する技術管理者が要件を満たしているか確認する書類
申請者の所在を確認する書類
技術管理者が在籍しているか確認できる書類
事業所の所在地が確認出来る書類
本人が確認出来る書類

細かな様式や記載事項は、こちらの東京都の申請手引き」をご確認ください。

3.申請書類の提出を行う

完成した申請書類を事業所がある自治体の窓口に提出します。

ほとんどの自治体では、原則持ち込みとなっているため注意して下さい!

4.手数料を支払う

自治体の窓口にて、申請手数料として新規33,000円を払いましょう。

ほとんどの自治体が33,000円ですが、東京都の手数料のみ45,000円になります。

手数料は都道府県によって異なるので、事前に確認しておきましょう!

建設業許可に関する要件と届出の方法

こちらでは、建設業許可に関わる要件と届出の手順をお伝えします!

ぜひご覧ください。

建設業許可に関する5つの要件

建設業許可には以下の5つの要件を満たしている必要があります。

ぜひご確認ください。

1.経営業務の管理責任者等を設置する

建設業許可を申請する際、経営業務の管理責任者を設置しなければいけません。

また、管理責任者になる者は、以下の3つの条件を満たしている人でなければいけません。

①受けようとする許可業種で5年以上の経営経験がある人
②常勤でき下記の条件を満たしていない人

経営業務の管理責任者は、申請会社で常勤する必要があります。

そのため、以下に該当する人は経営業務の管理責任者になることはできません。

・他社の代表取締役(一人取締役含む)

・他社の建設業における経管・専任技術者・使用人・国家資格者等

・住んでいる場所から営業所までが遠距離であり、常識的に通勤不可能な方

③適切な社会保険に加入している

適用事業所が必要な社会保険に加入しているかあらかじめ確認しておきましょう!

法人と個人事業主によって、加入しなければいけない保険が異なるためしっかり把握する事をおすすめします。

経営業務の管理責任者についての詳しい情報は、こちらをご覧ください。

2.営業所ごとの専任技術者を設置する

「専任技術者」とは、建設業の業務について専門的な知識や経験を持つ人を指します。

「専任技術者(専技)」も細かい要件を満たしている必要があるため、あらかじめチェックしておきましょう!

詳しくは国土交通省のサイトをご確認ください!

3.請負契約の締結やその履行に対して誠実性がある

法人:当該法人・その役員等・使用人

個人:その者(申請者)・支配人

請負契約に際して、不誠実な行為をするおそれがない者であることを示します。

上記の者が建築士法・宅地建物取引業法等で不誠実な行為を行ったことで、免許の取り消し処分などを受け、最終処分の日から5年が経過していない場合は、許可がおりる事はありません。

4.財産的基礎または金銭的信用がある

自己資本が500万円以上や500万円以上の資金調達能力があるなどの財産や金銭的信用があり、請負契約を履行するにふさわしいと認められた場合を指します。

一般建設業と特定建設業によって要件が異なるため、細かくチェックしましょう!

《一般建設業》

次のいずれかに該当すること。

自己資本が500万円以上であること

500万円以上の資金調達能力を有すること

許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

《特定建設業》

次のすべてに該当すること。

欠損の額が資本金の20%を超えていないこと

流動比率が75%以上であること

資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること

(許可の要件)出典:国土交通省

5.欠格要件に該当しないようにする

以下の欠陥要件に該当する場合は許可がおりないため、しっかりとチェックしておきましょう!

許可申請書類など重要な事項について虚偽の記載があった場合や重要な事実の記載を欠いたとき

破産者で復権を得ないもの

許可を取り消され、その日から5年を経過しない者

許可を取り消され、廃業の届出から5年を経過しない者

建設業を適正に営めない状態の心身として国土交通省令が定める者

建設工事の不適切な施行で公衆に危害を及ぼした・及ぼすおそれが高い者

不誠実な行為などにより営業が停止され、停止期間が経過しない者

禁錮以上の刑に処せられ、その刑執行の終わりの日・その刑の執行を受けなくなった日から、5年を経過しない者

暴力団員またはそうでなくなった日から5年を経過しない者

欠陥要件に関して、該当者が一人でもいる場合は許可がおりないので注意して下さいね!

詳細は国土交通省のホームページにあるので、一度確認しておきましょう。

建設業許可の届出の方法

こちらでは、建設業許可の届出の方法を紹介します!

ぜひご覧ください。

1.許可要件を満たしているか確認する

上記の必要な5つの要件を満たしているかチェックしましょう!

2.許可申請書の作成と添付書類の収集を行う

建設業許可申請書類や申請の手引きは、国土交通省のホームページなどからダウンロードすることができます。

また、各都道府県の建設業課等で購入することも可能です!

詳細はこちらをご覧ください!

3.許可行政庁に申請をし、審査を受ける

行政庁によっては、事前予約が必要な場合や郵送申請が認められない場合があるのであらかじめ調べておきましょう!

東京都の場合、初めて申請を行う方は原則として予備審査を受ける必要があります。

都庁内の相談コーナーにて、申請書類が整っているかどうかなどの基本チェックが行われます!

4.手数料を支払う

都道府県知事の許可を受ける際、新規で9万円かかります。

また、国土交通大臣の許可を受ける際は、15万円の手数料がかかります。

以上が、建設業許可の届出の手順でした。

申請書が無事受付されたとしても、審査に1か月~4か月程度はかかります!

そのため、スケジュールに余裕をもたせて申請してくださいね。

解体工事で資格が必要な5つの作業例

解体工事では、特定の資格の取得や技能講習などの受講者による指示や指揮を必要とする作業があります。また、こうした指揮者の指示のもと、対応する講習を受けた作業員が行うものもあります。

1.鉄骨造建築物や足場の組立て作業

ビルの外壁に組まれた足場の上で作業を行う技術者たち

鉄骨造の建築物や鉄塔の解体工事には、建築物等鉄骨の組立て等作業主任者技能講習が必要です。また、高さ5m以上の足場の組立て作業には、足場の組立て等作業主任者技能講習の受講が義務付けられています。

鉄骨造建築物等の解体工事や、5m以上の足場作業を行う際は、作業主任者の直接の指示が必要です。作業主任者の受講資格は、3年以上の実務経験と、それを証明する事業所からの書類です。

2日間にわたり作業手順や関係法令についての講習を受け、各科目4割以上かつ全科目6割以上を取れば合格となります。

2.アセチレン溶接装置での溶接作業

防護服を着て溶接する技術者

アセチレン溶接装置による金属溶接・溶接作業は、ガス溶接作業主任者の有資格者による作業方法の選定と指揮が必要です。この資格の試験ではアセチレン溶接だけでなく、ガス集合溶接装置についても出題内容に含まれます。合格後は登録が必要になるので、忘れないようにしましょう。

3.車両系建設機械の運転

解体工事現場で稼働する建設機械

3t以上の車両系建設機械の運転には、作業指揮者の選任及び、技能講習を受けた作業員が必要です。解体工事の現場では、主に3t以上のショベルカーやブルドーザー等が該当します。

また、建設機械のアタッチメントの装着や修理にも作業指揮者が必要です。ただしこちらは、事業所内に建設機械施工技士(1級または2級第1種〜3種)が在籍していれば特定自主検査として兼任することができます。

4.解体作業でのアスベストの取扱い

内壁に絵が描かれた建物の解体工事

アスベスト(石綿)の処理が必要な現場では、石綿作業主任者技能講習の修了者から選任された作業主任者の配置が必要です。石綿作業主任者技能講習では、関係法令のほか、アスベストによる健康被害の防止措置や作業の保護具について学びます。

5.移動式小型クレーンの運転

工事現場の移動式クレーン

5t未満の移動式小型クレーンは、移動式クレーン運転特別教育の修了者であれば運転が可能です。講習は学科と実技です。なお、5t以上の移動式クレーンの運転にはクレーン運転士免許が必要になります。

解体工事に必要な資格を覚えておこう!

うどん屋の店舗跡地の解体作業を行うクレーン車

解体工事を元請や下請として請負うには、小規模なら解体工事業登録が、大規模であれば建設業許可が必要です。また、現場の技術者として働く時には、様々な資格や講習が必要なことが分かりました。

この記事が、解体工事を元請や下請として請負う人や現場の技術者にとって、適切な手続きや有資格者の再確認となれば幸いです。

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