解体業者に必要な許可とは?解体工事業登録と建設業許可との違いも合わせて解説

解体工事

解体工事を依頼する場合、その業者が違法に営業しているのではないかという不安がつきまとうものです。解体工事は大きな危険も伴うものだけに、住人や工事関係者の安全面を考えても、きちんとしたところと契約したいですよね。

また違法な業者と契約してしまい、法外な金額を要求されるだけでなく違法な工事に加担するようなことは避けたいと思うのは当然でしょう。

それでは、違法な業者とそうでない業者を見分ける方法はあるのでしょうか?

現在の解体業者は「建設業許可」または「解体工事業登録」のどちらかが必要となっていますが、上記の2つがなぜ必要なのかということと、具体的に何が違うかについて解説していきたいと思います。

解体業者に直接たずねなくともこの2つどちらかを取得しているか確認する方法も紹介します。解体工事を依頼する場合に気になった方はぜひ活用してください。

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請負金額500万円未満の解体工事を行う場合解体工事業登録が必要

解体工事業登録とは、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化に関する法律)によって定められた登録制度です。

営業する現場の都道府県で登録することで、請負金額税込み500万円未満の解体工事を行うことができるようになります。

登録に必要な要件としては、2つの条件をクリアしなければなりません。

1.登録が拒否される事由に抵触していないこと

建設リサイクル法第24条第1項に規定されている登録拒否事由に該当してる場合は、解体工事業登録ができません。

登録拒否事由としては、次のようなものが挙げられます。

・過去に解体工事業登録を取り消されてから2年を経過していない業者および業者の役員
・解体工事の事業停止を命じられ、停止期間中の者
・建設リサイクル法に違反し、刑罰の執行から2年経過していない者
・暴力団員および暴力団員でなくなってから5年経過していない者

2.技術管理者を選任していること

技術管理者とは解体工事を行う際に、安全管理や廃棄物処理と資源のリサイクルについて指導や監督を行うために配置される人のことです。

技術管理者に必要な資格として代表的なものに解体工事施工技士があります。その他では1級建設機械施工技士や、1級土木施工管理技士なども選任することが可能です。

資格がない場合は、解体工事業の実務経験を8年以上が必要となります。特定の学科を卒業していた場合短縮され、大学および高等専門学校卒業の場合は2年以上の実務経験が必要です。

解体工事業登録と建設リサイクル法の関係

一般的な建設工事では、請負金額が税込み500万円未満の軽微な工事であれば建設業許可がなくとも建設工事を行うことが可能です。

解体工事も同様に、以前までは特別な許可がなくとも工事を行うことができました。

しかし、建設リサイクル法が平成14年5月30日に本格施行され、解体工事の場合は解体工事業登録が必要になったのです。

では、どうして解体工事だけ税込み500万円未満の工事であっても許可を取らなければ行けなくなったのでしょうか。

大きな理由としては、解体工事を行う際に発生する廃棄物の処理方法が問題となったことが挙げられます。

廃棄物処理の適切な処理のために解体工事業が必要となった

建設リサイクル法が交付される以前から、廃棄物の発生量の増大および不法投棄が問題視されていました。

建設工事で廃棄されるコンクリートやアスファルトといった廃棄物は、産業廃棄物全体の約2割を締めており、不法投棄の6割を超えていたのです。

将来的には廃棄物のさらなる増大が予想され、対策のために建設リサイクル法が制定されました。

建設リサイクル法が制定される前の解体工事では、建材廃棄物を分別せずに重機で一気に取り壊す手法が採用されていました。これはミンチ解体と呼ばれ、分別作業が不要なために工期が早く工事費用が安いというメリットがあります。

しかし、まとめて壊してしまうと廃材が混ざり、アスベストといった危険物も含まれているためリサイクルが不可能になってしまうのです。

そのため、建設リサイクル法により分別解体が義務化され、廃棄物処理を適正に行うために登録制度制となったのです。

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請負金額が500万円以上の解体工事では建設業許可が必要

解体工事登録では行えない請負金額500万円以上の解体工事を行う場合には建設業許可が必要です。

建設業許可は建設業法による許可制度で、業種区分「解体工事業」の許可を事務所のある都道府県から取得しなければいけません。

平成28年5月以前までは、建設業法の業種区分に解体工事の区分は存在しませんでした。それまでは「とび・土木工事業」の許可を取得していれば解体工事が可能だったのです。

しかし、平成28年6月1日に建設業法が改正され、解体工事業がとび・土木工事業から独立し解体工事業の許可を取得することが必要となりました。

独立した背景としては、解体工事の需要増加と工事技術や施工管理の重要性が高まってきたことが挙げられます。

請負金額500万円以上の解体工事では、原子力発電所や高層ビルなどといった複雑な構造物も対象となる場合が増えました。

そのため、解体工事の質の確保と事故防止の観点から、解体工事業を独立するに至ったのです。

建設業許可は解体工事業登録よりも取得難易度が高い

解体工事業を登録するための要件として、登録拒否事由に触れていないことと技術管理者を専任することの2つが必要なことは上記で述べました。

建設業許可の場合はさらにハードルが上がり、以下の要件が必要です。

建設業許可は一般建設業許可と特定建設業許可の2つ存在しますが、今回は一般建設業許可の例を解説していきます。

1.経営業務の管理責任者がいる

建設業の経営能力を持った方が会社の役員として必要になります。個人事業主であれば本人にその能力を求められます。

「建設業の経営能力」として具体的には「建設業者の役員および執行役員経験が5年以上ある」ことです。

建設業であれば解体工事以外でも良く、とび・土木工事業といった他業種での経験が5年以上あれば管理責任者とすることができます。

また、建設業にかかわる部長職などを経験することでも要件は満たされ、その場合は6年以上の経験が必要です。

その他にも、一定の条件を満たした役員とそれを補佐する人物を用意することでも要件を満たすことが可能になります。

2.社会保険の加入義務

建設業法が令和2年6月1日に改正され、新しく社会保険の加入義務が追加されました。

健康保険・厚生年金は法人の業者であれば、加入が必須となりました。個人事業主の場合は従業員が5人以上いるのであれば加入しなければいけません。

雇用保険は労働者を雇用する場合は法人・個人事業主に関わらず加入する義務があります。

労災保険に関しては労働者の労働形態に関わらず、全ての労働者を対象として加入しなければいけません。

3.専任技術者の選定

解体工事業登録における技術管理者と同様に、解体工事を監督する技術者が必要になります。

技術管理者との違いとしては、専任技術者は営業所ごとに配置する必要があることです。

一般建設業で専任技術者になるための要件としては以下のものが挙げられます。

・解体工事施工技士や平成28年度以降に1級土木施工管理技士などの資格を取得している
・土木工学科などの建築学科の大学・高専・高校を卒業し3年から5年以上の実務経験がある
・解体工事の実務経験が通算10年以上ある
・とび・土木・建設工事の実務経験が12年以上あり、うち8年以上の解体工事の実務経験がある

1級土木施工管理技士などを平成27年以前に取得していた場合は、1年以上の解体工事の実務経験もしくは登録解体工事講習の受講が必要になります。

3.請負契約において不正・不誠実な行為を行わないこと

建設業許可を受けようとする法人や役員、個人事業主が請負契約において、不正な行為や不誠実な行為を働いていないことも要件の一つです。

不正な行為とは、詐欺や横領もしくは脅迫といった法律に違反する行為を指します。

不誠実な行為が該当するのは、契約内容に違反した工事を行った場合です。

建設業許可の申請から5年以内に建設業法などに違反していたり、営業停止処分を受けていた場合は「誠実性がない」とみなされます。

4.請け負った工事を施工できる財産の基盤がある

建設業許可の場合は財政状況も要件の一つとなっていて、契約した工事を履行するために必要十分な資産があることも求められています。

自己資本が500万円以上であること、会社の預金通帳に500万円以上の残高があることが具体的な要件です。

5.欠格要件に抵触していない

解体工事業登録でも、欠格要件に抵触していないことが要件になっていました。建設業許可の場合は建設業法8条が対象の法律となっています。

欠格要件の対象として法人の役員や個人事業主の他、支店長といった使用人や5%以上の株式を保有する株主がなどが挙げられます。

欠格要件の対象者が以下の条件いずれか一つでも抵触していた場合は建設業許可の取得はできません。

・認知症やアルツハイマーなどにより成年被後見人もしくは被保佐人とみなされている場合
・禁固刑以上の刑を受けており、刑の執行また刑の執行を受けることがなくなった日から5年経過していない
・不正の手段により許可を受けたなどで許可を取り消されてから5年経過していない

これらは建設業法8条の一部でしかなく、他にも複数の欠格要件が存在しています。

解体工事業登録と建設業許可は事前に確認できる

解体業者が2つの許可を所持しているか確認したい場合、インターネットを利用する方法があります。

大抵の場合は解体業者のホームページ上に記載していますし、各都道府県の公式ホームページ上で検索することも可能です。

また、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」から検索できます。

解体業者に解体工事を依頼する時に、直接確認するのがはばかられる場合にはこちらを活用するのがいいでしょう。

出典:建設業者・宅建業者等企業情報検索システム 国土交通省

解体工事は請負金額に関わらず営業登録や許可が必要

解体工事業者は請負金額500万円未満の工事であっても、解体工事業登録をしないと工事の施工を行うことができません。

これは、解体工事で発生する廃棄物を適切に処理し、リサイクルできるものを確実に分別する必要性があるためです。

また、請負金額500万円以上の解体工事の場合は、他の業種と同様に建設業許可が必要でとなり厳しい要件をクリアする必要があります。

解体工事業者は建物が複雑になったことにあわせ、安全な解体工事を行うため年々レベルの高い技術と資格を要求されるようになりました。

解体工事業登録と建設業許可は、違法な工事を行わない優良な解体業者の証ともいえます。

解体工事を依頼する業者を探す場合は、2つの許可のどちらかを受けている解体業者に依頼するようにしましょう。

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