前編では主に、過去に起きた金融危機について詳しくお話ししました。
その金融危機の影響から、大切な資産を守る方法などを後編ではお話します。
世界を震撼させる金融危機はいつ起こるかわかりません。
そのためにできるだけリスクを避けておきたいという気持ちは皆同じでしょう。
では一体どんな方法があるのかをお話していきます。
金融危機が起ころうが起こらなかろうが資産は守る

金融危機はアメリカをはじめとする主要国であまりにも増えすぎた負債が原因で起こり得ます。インターネットの普及によりどんどんグローバル化していく中で、主要国同士の経済の綱引きもますます複雑になっていき、力の均衡化が難しくなっています。
そんな中、米中間の長引く貿易戦争が重なり、その後にコロナショックもありました。
金融危機はいつも違った顔で現れてきます。今日の世界情勢では、大きな金融危機がいつ起きてもおかしくない状況にあるということを念頭に入れ、考えておかなければなりません。
金融商品
最もポピュラーな考え方として、金融資産の分散が挙げられます。
金融資産を分散していると、ある分野の資産カテゴリにおいて損失を出したとしても、違うカテゴリで利益を上げればそれを補うリスクヘッジができるというものです。
多岐に渡り分散することで、よりリスクが低減するといった考え方です。
しかし、これら金融商品は世界規模での金融危機が発生すれば関連性が強いため、大なり小なりのダメージは避けることはできません。長期国債など一部を除き分散投資の効果は得られにくいのが実状です。
そのため、金融資産に偏った分散投資は通常の経済状況では通用するものの、金融危機という大きな有事の際には通用しにくいものなのです。
預貯金

銀行での預貯金は、貯金していても資産が増えることはほとんどありません。バブル崩壊後の日本の銀行の預金利息は著しく低下してしまい、そもそも運用できるほどの資金がなかったために預金しておく方がいいといった人の思いから、経済にお金が回らずどんどん不景気になっていきました。
そのため、銀行に預けるよりもタンス貯金の方が安全だという人が現れ、より経済にお金が回りにくい状況になっていました。近年、デフレからの脱却はしましたが、原油高や電気料金の相次ぐ値上げ、物価高などによる価格高騰で、実際にはお金は回れど、景気低迷からの脱却とは言えません。
現物資産
金融資産もメリットは多いのですが、やはり金融危機のような大きな経済のうねりが発生してしまったときには、現物資産(リアルアセット)が大切です。
リアルアセットの代表的なものは、貴金属や宝石、高級腕時計、絵画、不動産などでしょう。
実際、日本で売られている高級腕時計のローレックスなどは、店頭に商品がありません。理由は一つではないのですが、10年ほど前に売られていた時に比べると価格が1.5倍から2倍ほどに跳ね上がっていて、現物資産を持とうとする人で買い尽くされてしまい、今では見本品のみで商品の在庫はないといった状況になっています。
金融危機に強い不動産
バブル期の不動産投資

不動産と言えば、1980年後半から1990年初頭にかけて株式や不動産などの資産価格が高騰し、好景気となったバブル経済が思い起こされます。しかしその後は、実体経済とかけ離れた価格上昇で、最後には資産価格も下落しバブル崩壊を招きました。
当時不動産は、土地の値段は必ず上がるという「土地神話」を背景に投資が繰り返されていましたが、利益目的の売買が盛んにおこなわれた末の転落は強烈な印象を持ったことでしょう。
そのために、不動産=下落といったイメージが染みついてしまいました。
実態のある不動産投資
不動産は、他の現物資産とは違い、そのものの価値だけではなく、不動産経営からなる利益もあります。
先に述べたバブル期の不動産投資は、土地神話からなる売買がメインでしたが、それでは実体がありません。10年20年と見据えた上での賃貸事業こそが実態のある現物投資といえるでしょう。
しかし、不動産経営とはたやすいものでもないうえに、売買のような利益は発生しません。地域を見据え、戦略を持ってじっくりと構えたうえで初めて成るもので、まさに「ローマは一日にしてならず」なのです。
他の投資と比較した場合の不動産投資

不動産投資は、この先値上がりしそうな物件を購入し、値上がったところを売る売却益と、購入した不動産で家賃収入を得る家賃収入があります。
前者は今のご時世では誰もが得をするような物件は少なく、後者のようなアパートやマンション、または一軒家などを賃貸し家賃収入として収入を得るのが主流です。
では、他の投資と比較をして何がどのように違うのかを検証していきます。
不労収入を得られる
所有した不動産のローンの支払いは、家賃収入から得た利益で支払うのが基本的です。
仮にその時点では、1円も手にすることはなくても他人資本で不動産を手に入れることができるので、その時点で既に立派な不労所得といえます。
ローンを全て返済することができれば家賃収入がオーナーに入るので、長期的な投資という面では魅力のあるものとなります。
レバレッジをかけることができる

FXのような分野でのレバレッジはよく耳にしますが、実は不動産にもレバレッジをかけることが可能です。
多くの不動産投資では、物件の購入価格の全額を支払っての購入は行いません。一部自己資金として用意することはあっても、あとは金融機関からの借り入れで調達することが多いです。
したがって自己資金が少なくても購入することができるので、レバレッジをかけることが可能ということになります。
もちろん借り入れをしたものについては返済する必要がありますが、これは家賃収入という他人資本でまかなうので、実質的には投資効率が非常に高く、長期に渡り安定している投資です。
株やFX、CFD、先物取引などでのレバレッジと不動産投資のレバレッジでは本質が全く異なります。
株やFXに用いられるレバレッジは、手持ち資金が少なくても大きな投資ができるといったもので、思惑通りのトレードができれば大きな利益を得ることが可能ですが、逆の方向にいった場合には大きな損害となります。
一方で不動産投資でのレバレッジとは、他人資本を活用して資産を購入し、少しずつ利益を積み上げるものなので、両者の意味合いは全く変わってくるのです。
年金代わりになる
不動産投資には、年金効果となる要素があります。不動産会社のサイトなどを見てみると度々出てくる内容ですね。
健全な不動産経営を行っていると、毎月決まった金額の家賃収入が入り続けます。それは建物と入居者がいる限り続くもので、定年後であろうと変わることはありません。
現役世代に不動産を購入し、賃貸経営を行っていれば、老後の年金代わりになるのです。
生命保険の代わり

生命保険の保険料を支払うつもりで不動産を購入していれば、家賃収入が入ってきてそれを積み立てることができます。
その仕組みを作っておくことで、一家の大黒柱に万が一のことがあったとしても、家賃収入が毎月入ってくるので支えになり、生活を安定させることが可能となるでしょう。
加えて、住宅ローンや不動産投資でのローンの多くは団体信用生命保険への加入が発生するため、ローンの返済をしている本人に万が一のことがあったとしても、規定要件を満たしていれば返済はなくなります。
従って、不動産投資ローンを組んだと同時に生命保険に加入したのと同じことになるといえます。
まとめ
万が一のことはゼロパーセントではないので、備えないより備えておく方がよいでしょう。
グローバル化した時代には金融危機も大きなものとなることの方が可能性は高いとされています。こんな時代だからこそ、平時のリスクヘッジと有事の際のリスクヘッジをしっかり分けて考え.分の資産は自分で守る意識を高めましょう。