今日のキッチンや水回りの設備は、住まいを快適に過ごすための便利な機能が欠かせません。
1980年代にさまざまな給湯器の商品が開発され、一気に家庭に浸透していくようになったことを皮切りに、ここ20~30年で、キッチンにもどんどん便利な機能が登場し、その設備は目覚ましい進歩を遂げています。
その恩恵をこれから受けようと、キッチンのリフォームを考えている方に、今回は10年や20年前のキッチンから今のキッチンへと変更する際に知っておきたいことや、リフォームをするための準備などをお話します。
リフォームをするための準備
- 今抱えている不満を洗い出す
今使っているキッチンのどこが不満なのか、問題点はどこにあるのかを明確にしましょう。
10年前や20年前のキッチンだと今使っている電化製品との相性も合わないかもしれませんし、収納の量も昔とは違ってきます。
特に、キッチンでの電化製品は昔に比べると増えていますので、コンセントの位置や数、電化製品の配置なども考えなくてはなりません。
キッチンの間取りやタイプを決める
キッチンの使い勝手は間取りで大きく変わるので、自分の使い勝手の良いタイプを選びましょう。
調理の効率やキッチンの雰囲気など、さらには作業動線にも、間取りは大きく影響を与えます。それに加え、ワークトップ(作業台)の高さも自分に合ったものを使うことで作業の効率は大幅にアップします。

リフォーム後のサイズとレイアウトを決める
独立型キッチン
独立キッチンは、他の部屋と完全に分かれていて、独立しているのが特徴です。
主なメリットとして、キッチンそのものの空間が独立しているため、調理に集中することができる点や、リビングなどのその他の空間に調理で出た煙やにおいが広がりにくいなどということが挙げられます。
また、来客があったとしても、洗い物やストックしている食材を見られずに済み、生活感を感じさせることがないということを最大のメリットと感じる人も多いでしょう。独立していることで活かせる特徴もあるのです。
ダイニングキッチン
ダイニングキッチンは、キッチンと食事スペースが同じ空間にある間取りです。
主なメリットとして、食事の配膳がスムーズにできる、リビングとは別のコミュニティスペースになる、という点が挙げられます。
そのほかにも、独立型のキッチンには及びませんが、油や煙が広がりにくいという長所があります。
リビングダイニングキッチン
リビングダイニングキッチンとは、ダイニングキッチンにリビングも同じ空間に加わった間取りです。
主なメリットとして、食事の支度時から家族とのコミュニケーションが取れるという点が挙げられます。小さな子どもから目を離さずに調理ができるほか、キッチンが1つのスペースにあるため、開放的な空間にすることが可能です。
反対に、リビングからキッチンが丸見えになってしまう点や、調理時の油や煙がリビング全体に広がりやすいといったデメリットもあります。

リフォームにかかる費用や期間
日々使っているキッチンは、少しずつ調子が悪くなると意外にも気付かないものです。
仮に気が付いたとしても、騙し騙し使っていると、本来のキッチンでの効率や便利さなどが損なわれ、調理の時間もかかってしまい、時間や労力を無駄に使ってしまう可能性もあります。できればメンテナンスは定期的に行うのが望ましいといえるでしょう。
ここでは、比較的規模の大きめなリフォームの大まかな費用目安を紹介します。
工事費用の目安
100万円以下
従来のキッチンの位置を変えずに食洗器付きの新しいキッチンに総交換すると、仕様にもよりますが、費用はおおむね60〜80万円以内といったところでしょう。工事期間は、3〜10日前後要します。
100〜200万円未満
独立キッチンからの間取り変更で、LDKの間仕切りや収納を撤去して空間を広くし、キッチンスペースを広げるような工事がこれくらいの価格帯に入ります。
キッチン自体も、100万円以下のものよりグレードが上がります。
このあたりになると、キッチンの間取り変更でL型キッチンから調理台とシンクを独立させることや、アイランドキッチンにすることも可能です。
工事期間は、7〜14日前後要します。
200万円以上
これぐらいの予算があると、キッチンの間取りとスペースを完全に変更して、さらには最上級グレードのシステムキッチンに交換できます。キッチンに合う壁紙から収納戸棚までフルリフォームが可能になってきます。
工事期間は、10〜20日前後要します。

キッチン形状の主な特徴
キッチンの形状にはいくつかり、I型、II型、L型、U型、アイランドキッチン、同じI型やL形でも壁付けキッチンから対面キッチンまで幅広くあり、使い方や使う人の好みで選ぶことになります。中でもアイランドキッチンは憧れも強く、人気もあります。
定番のI型キッチン
一番多いのがI型キッチンです。
冷蔵庫とシンク、コンロの距離が遠かったり、近すぎたりすると作業効率が悪くなるのですが、I型キッチンはその距離が保たれていることが多く、自然な距離で調理することができます。
そのため、今も根強い人気があり、L型キッチンやワークトップとシンクが独立したキッチンから、定番のI型キッチンへのリフォームも少なくありません。
また、複数人での調理をする際にもI型キッチンは動線もよく、作業しやすいのが特長です。
収納力と効率のL型キッチン
L型キッチンは、キャビネットをアルファベットのL型に配置したキッチンです。
基本的には、コンロとシンクが90度で配置されていることが多く、壁付けキッチンでも対面キッチンでも配置することができ、リフォームの際に導入を検討しやすいキッチンです。
このキッチンは、キッチン内での作業動線が短いことや、作業スペースを広く取ることができ、それによって調理の効率も良くなり、複数人での調理もやりやすくなります。
L型にすることで、奥行きのある配置が可能になり、収納スペースも多く取ることができるほか、コンロとシンクを90度で配置するので背面の冷蔵庫との「ワークトライアングル」を短く設計することができます。これによって、作業動線がよりよいものになるといわれています。
憧れのカウンターキッチン
カウンターキッチンのレイアウトは多種多様で、使う人の好みで大きく変わるといってもよいでしょう。さまざまな形状のキッチンでも、対面は可能です。
基本的な特長としては、壁付けのキッチンに比べると開放感があって、さらにリビングやダイニングとつながっているので、調理する人の視界が広がります。
リビングやダイニングの様子を見ながら調理することができるので、特に小さいお子さんがいる場合には子どもを見守りながらキッチンで過ごせるため、安心です。
近年では、一人でこもっての調理はしたくないといった声も多く、対面キッチンやカウンターキッチンを希望する方も多いようです。
もう一つの特長は、出来上がった料理をカウンター越しに配膳できることです。ワークトップに出来上がった料理がいっぱいにならないほか、配膳をするためにキッチンから離れなくてもいい点です。
魅せるアイランドキッチン
アイランドキッチンは、キッチンを壁から離れて独立した場所にある島のように設置されたキッチンです。
対面キッチンの一種で、おしゃれなデザインで開放感があふれていることで人気のキッチンです。
キッチンが主役になるため、空間デザインを考える上でもキッチンが大きな役割を果たしています。そのデザイン性に魅力があり、どのメーカーも力を注いでいて、各メーカーによって特徴的なデザインのキッチンがラインナップされています。
アイランドキッチンの大きな特長の一つに、コミュニケーションがとりやすいということが挙げられます。
キッチンの対面に遮るものがないため、リビングやダイニングにいる家族や来客と調理をしながらコミュニケーションをとることができるので、ホームパーティなどが好きな方にはうれしいデザインですね。
もちろん、小さいお子様から目を離さないで調理できるほか、テレビを見ながらの調理も可能です。

リフォーム時期のシグナル
キッチンはさまざまなパーツで成り立っていますので、それぞれに耐用年数は異なってきます。
パーツごとの耐用年数と不具合について、以下のような症状が出てきたら交換時期かもしれません。
10年まで
換気扇
・換気扇が回らない
・異音がする、あるいは明らかに音が大きくなった
・換気ファンの回転が不規則
・油汚れがひどく、掃除しても取り切れない、手の届かない奥の油汚れがひどい
食洗器
・電源が入らない
・異音がする
・作動中に水漏れを起こしている
・洗浄力が以前より著しく落ちた
蛇口・水栓
・水漏れがする
・レバーが固い、蛇口が回りづらい
・ガタつきがある

10〜15年目
ガスコンロ
・火が付かない、付きにくい
・火力調整ができない
・火にばらつきがある
・ガスのにおいがする
・炎の色が違う
・電源が入らない
・温度調節ができない
・異音がする
・トッププレートの損傷
給湯器
・お湯が出ない、温度が安定しない
・煙が出る
・ガスのにおいがする
15〜20年目
天板(ワークトップ)
・傷やへこみが目立つ
・変色や色あせが目立つ
・汚れやサビがひどい、掃除をしても落ちない
シンク
・傷やへこみが目立つ
・変色や色あせが目立つ
・汚れやサビがひどい、掃除をしても落ちない
キャビネット
・引き戸のガタつき
・棚板の変形や反り
・シンク下の排水トラップや排水ホースの損傷
20〜30年目
排水管
・水漏れ
・水の流れが悪い
・悪臭がする

修理よりリフォームがお得
上述した耐用年数は目安で、使う頻度や環境によって大きく異なってきます。使っているうちに気になる不具合が出てきたら、早めの対処が肝心です。
特に15年以上が過ぎたキッチンでは、部品が廃版になっていることも多く、修理のための部品がないということも発生してきます。
日ごろから注意して使用しておかなければ、突然の不具合が原因で連鎖的に複数個所の部品の交換を余儀なくされてしまう可能性もあります。
調理ができないだけではなく、部品の調達に時間がかかり、さらには修理代が高くついてしまうリスクもあります。
そこまで深刻になってしまう前にキッチンをリフォームする方が、使い続ける上で不安もなくなります。加えて、最新機器にすることで安全性も利便性も上がり、調理する環境が数段に良くなるでしょう。
まとめ
キッチンリフォームに関するあれこれをお話ししましたが、今回はほとんどデメリットを挙げませんでした。メリットもデメリットも使う方次第になってくるからです。
キッチンで過ごす時間は少なくはありません。その時間を有意義にするためにも、家族との時間を共有するにも、自分に合った最適のキッチンを選択する必要はありますが、何よりも不具合のあるものを我慢して使い続けるより一新した方が、気持ちも豊かになります。
キッチン選びにはワークトライアングルや作業動線、背面通路の確保が大切になるので、しっかりと吟味し、使い勝手の良いキッチンを選んで、充実したキッチンライフにしましょう。