▼この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。


マンションの建て替えにかかる期間とは?

通常、鉄筋コンクリート造マンションを建築する場合の工期は、階数×約1ヶ月に、プラス約3ヶ月程度の期間が見込まれます。
10階建てのマンションであれば、工期は約13ヶ月です。
作業は、1フロアのコンクリートが固まってから次のフロアに取りかかります。そのため、1フロアに約1ヶ月ほどの工期を要するのです。
建て替えの場合、ここに既存マンションの解体工事期間が加算されます。マンションの解体は約1~2ヶ月かかるため、10階建てのマンションを解体し建築する場合の工期は約15ヶ月です。
工期は、周辺環境や進み具合によって変わるため、一概には言えません。また建て替えの場合も事前の話し合いや計画などに多くの時間がかかるため、建て替えを検討し始めてから実際に完了するまでの期間は、長期に渡ることを想定しておきましょう。
マンションの建て替えに必要な費用相場

マンションを建て替える場合、1戸あたりの費用相場は1,000万円前後です。ただし、これは一般的な相場で、物件の資産価値などによっても増減します。
これに加え、仮住まいに転居する際と完成後、計2回の引っ越しが必要になるため、その費用も想定しておかなければなりません。また仮住まいの物件にかかる家賃なども含めると、最低約1,400万円の費用が必要とされています。
費用を集める方法
費用を集めるには、管理組合が金融機関から借り入れる方法や、マンションの区分所有者から集める方法があります。
また、建て替えに伴って戸数の増加が可能な場合、増えた部分をデベロッパーに売って利益を得て建築費用に充当することにより、負担軽減させることが可能です。
▼この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。

建て替えの費用が高くなってしまう3つの要因

建て替え工事は、敷地条件で工事費用が変わります。注意が必要なのは、敷地条件によって通常よりコストが増加してしまうケースです。あまりにコストが増えてしまうと、建て替えが難しくなる場合もあるため、敷地条件をよく確認しておく必要があります。
ここからは、建て替えの費用が高くなってしまう3つの要因について紹介していきます。
1:傾斜になっている土地である
傾斜のある土地に工事で必要な資材や重機を運び入れることは、平坦な土地での工事に比べると困難です。そのため、クレーンを使用するケースなどには、費用が増加してしまいます。
費用がかさむ理由には、他に傾斜対策としてスロープを仮設置する場合などがあります。傾斜のある土地は、平坦な土地に比べてコスト増が予想されることが多いです。
2:旗竿敷地である
旗竿地とは、道路に接している土地の入り口部分が狭く、入り口から細長い敷地を奥に進んだ先に敷地がある土地です。通常、奥の敷地は他者の土地に囲まれており、その形状が竿についた旗のように見えるため、旗竿と呼称されています。
入り口が狭い敷地の場合、大きさのある重機を敷地内に入れることが難しいため、工事に制約が発生しかねません。そのため、効率が悪くなり、コストがかさむ懸念があります。
3:敷地までの道路が狭い土地である
杭工事は、マンションと地面をしっかりつなげるために行われるのが工事です。使用する杭はとても長く、通常は長い車で運び入れます。
敷地まで向かう道路が狭い場合は、杭を運び入れることが難しくなるため、工法の変更を検討しなければなりません。その結果、コスト増加につながってしまう懸念があるのです。
マンションの建て替えが少ない5つの理由

管理組合がマンション建て替えを検討していても、実際に実行されるケースは少ないのが実情です。多額の費用や大がかりな工事、長期にわたる工期などの面からも、安易な気持ちでは同意できない提案といえるでしょう。
ここからは、建て替え事例が少ない5つの理由について整理します。
1:住民の負担する費用が高い
先に述べたとおり、マンションの建て替えにかかる1戸あたりの費用は、最低でも約1,400万円を想定しておかなければなりません。マンションの資産価値次第ではさらに費用がかかるケースもあり、建て替えに同意するハードルが必然的に上がってしまいます。
2:建て替えが難しい場合がある
建て替えが困難な要因として挙げられるのは、容積率です。容積率は、敷地面積に対する延べ床面積の割合を指し、容積率の基準は地域別に決められています。
建築当時には、その時代のルールに従って容積率を満たしていたマンションでも、年数を経て基準が変わった現在では、求められる基準を満たしていないケースがあります。
現行の容積率を超えている場合は、建て替え時に1戸あたりの床面積を狭くするか、戸数自体を減らす対応が必要です。
逆に容積率が余っていれば、前よりも戸数を増やしてデベロッパーに売り、利益を得ることもできます。しかし、その利益を見込んでおいて容積率に余剰がなければ、資金のアテが外れてしまうことになるため、事前の確認が必須です。
3:同意をとるのが難しい
建て替えにあたっては、同意を住人から得る必要があります。反対意見が多い場合では、建て替え案が頓挫したまま年数だけが経過し、老朽化の一途をたどることが増えているのが実情です。
4:建て替えに期間を要してしまう
規模にもよりますが、マンションの建て替えには期間を要します。工事期間中は仮住まいに移ることになり、住人によっては引っ越しに抵抗を感じる人もいます。そのため、建て替えへの同意が得にくくなってしまうのです。
5:高齢者が多い
マンションが老朽化しているということは、住人も年齢を重ねているということです。若い住人であれば、ライフステージにあわせて新しいマンションや戸建てに転居して行く選択が容易にできます。
高齢の住人が多い状況には、建て替えの同意を得なければならない約8割以上の世帯が1,000万円以上の費用を負担できるか、という点が懸念されます。
終の棲家と考えて購入したマンションを、建て替えのための限定的な引っ越しとはいえ、仮住まいに移ることへ抵抗を感じる高齢者も少なくありません。
マンションの建て替えを行う時に注意すべき事

敷地内に計画道路が通ると、敷地面積が減ってしまい、その分、床面積が削られてしまうので注意が必要です。また先にも述べたとおり、容積率との関係で、建て替えにより一戸あたりの専有面積が減ってしまうケースも考えられます。
建て替えにおいては、必ずしも以前と同じ広さの部屋を手に入れられるわけではない、ということに留意が必要です。
マンションの建て替えに必要な費用相場を知っておこう
マンションの建て替えは、現状ではあまり行われていないのが実状です。建て替えは、居住者の同意を得ることから始まり、ステップを踏んで進められていくため、今居住しているマンションがすぐさま建て替えになる可能性は低いと言えます。
建て替えが決まった場合には、費用を負担して建て替え後も居住するか、マンションを売却して新居に移るという方法があります。どちらを選ぶべきなのか正しく判断するためにも、建て替えに必要な費用相場を確認しておきましょう。
▼この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。

