初めて住宅を購入する場合、一体どのように予算を決めれば良いのかお悩みの方は多いでしょう。
「頭金はいくら用意すれば良いの?」「住宅ローンの返済額はどれくらいにすればいい?」
といったように知りたいことは山ほどありますよね。
今回は注文住宅の予算の決め方として、住宅ローンの頭金割合や月々の返済金額などを全国的な平均を踏まえ、適切な目安の解説をしていきます。
ご自身の経済状況から、無理のない住宅ローンの返済計画を導き出すための目安になるでしょう。
また、注文住宅を購入する費用の内訳についても紹介します。予算の配分を決める際の参考にしてください。

全国平均相場から見る注文住宅の購入金額
建売住宅と違い、自分で間取りや導入設備を決められるのが注文住宅。
まずは注文住宅の予算相場を把握しておくことで、どのくらいの資金を用意すればいいかの目安を作ることができます。
国土交通省が発表した2021年度の住宅市場動向調査で、土地購入資金を除いた住宅の建築資金の平均が載せられました。
全国平均では3,168万円で、三大都市圏の平均は3,383万円とされています。土地の購入資金を含んだ購入資金の場合は、全国平均で4.606万円です。
注文住宅購入の頭金の相場は借入れ先で上下する

注文住宅の購入金額の相場はわかりましたが、そのうち頭金はいくら用意すれば良いのか気になる方もいるでしょう。
頭金の相場の平均は住宅を購入する方の年齢と、住宅ローンを利用する金融機関によって上下することがデータからわかります。
住宅ローンにおける頭金の割合は、厳密にいうと自己資金比率といい、住宅購入時の頭金と購入時の諸経費を合計した手持ちの資金のことをさします。
土地購入資金を含まない住宅建築資金の自己資金は、全国平均で848万円となっており自己資金比率は26,8%となっています。三大都市圏の平均は1,057万円で自己資金比率は31.2%です。
自己資金の内訳としては、預貯金の他に退職金や有価証券の売却、親族からの贈与などが当てはまります。
頭金として用意する金額としては、少々高いと感じる方もいるでしょう。これには退職金や親族からの贈与が含まれていることが大きいのです。
しかし、住宅金融支援機構と全国300以上の金融機関が提携して提供している「フラット35」の場合は、自己資金比率が下がります。
住宅金融支援機構が発表した2020年度のフラット35利用者調査によると、土地を含まない注文住宅の自己資金比率は17.5%と大きく下がりました。
住宅購入時に利用する金融機関によっても自己資金比率は変化することは覚えておいた方がいいでしょう。

頭金も大事だが手元に残す資金のことも考えておくべき
注文住宅の購入時における頭金の相場を紹介しましたが、注意してほしいことがあります。
それは、預貯金のすべてを頭金として使うことは避けるべきということです。
住宅を購入した場合には固定資産税が発生しますし、子供の教育費などのことも考えるとある程度の預貯金は残しておいたほうがよいでしょう。
将来の出費や不慮の事態に対応できる分として、半年分の生活費程度の預貯金があると安心できます。
しかし、頭金を減らし過ぎても住宅ローンの返済額が増えてしまうので、どの程度の預貯金を残しておくかはご自身の経済状況と相談してください。
住宅ローンの年収倍率について
自己資金比率の平均がわかったので、次は住宅ローンを利用する場合の適正な借入金額について考えていきたいと思います。
住宅ローンの借入金額を決める際には、現在の年収を基準にして考えることが重要です。
その場合、世帯年収に対する住宅購入価格の割合である「年収倍率」がひとつの目安となるでしょう。
2020年度のフラット35利用者調査によると、土地を含む注文住宅の年収倍率の全国平均は7.4倍でした。
世帯年収が600万円だった場合、全国平均では4,440万円まで住宅ローンで借入をしているという計算です。
これはあくまで平均であって、頭金の金額や家族構成などの経済状況によって返済に回せる金額は異なります。
また、住宅ローンは返済まで長期に渡るため、年収が変動する可能性も考慮しなければいけません。
年収倍率の全国平均は7.4倍でしたが、ご自身の経済状況と照らし合わせて無理がなく返済できる借入金額を設定しましょう。

無理のない返済ができる金額の目安は「年収の20%以内」
次に、住宅ローンを利用するうえで無理のなく返済ができる金額について考えて行きましょう。
住宅ローンの返済金額を設定する場合、「返済比率」を知る必要があります。
返済比率とは、額縁年収に対して住宅ローンの年間返済額の割合のことです。
・返済比率=年間返済額÷額縁年収
住宅ローンの返済比率は金融機関側は30から35%を想定していますが、実際の返済金額に直すと家計にとって大きな負担となることがわかります。
額縁年収が500万円で返済比率35%での毎月の返済額は、ボーナスを考慮しない場合は約14万6,000円です。
返済比率は額縁年収で計算されているため、手取り年収で計算した場合の負担はさらに上がります。
返済比率の30から35%という数字は、住宅ローンを提供する金融機関側が想定している割合であり、実際に無理のない返済ができる返済比率とは限りません。
国土交通省が発表した2021年度の住宅市場動向調査では、注文住宅購入者における住宅ローンの返済比率の全国平均は17.9%です。
額縁年収が500万円で返済比率17.9%の場合、毎月返済額の返済額は約7万4,000ですから、格段に負担が減っていることがわかります。
住宅ローンの返済比率に関しては、全国平均を参考に額縁年収の20%以内に収まるように計画を建てた方が良いといえるでしょう。
住宅ローンの借入期間について
住宅ローンを利用する場合、借入金額の他に借入期間についても考える必要があります。
住宅ローンの借入期間は一般的に最長で35年までとなっている場合がほとんどです。
しかし、多くの金融機関では住宅ローン完済時の年齢に制限を設けているため、住宅ローンを申し込んだ年齢で借入期間の上限は変化します。
例えば、45歳の方が完済時の年齢上限70歳までの金融機関に申し込んだ場合、借入期間は最長でも25年までということです。
借入期間が短くなると、毎月の返済額が上昇し返済比率が高くなってしまう可能性があります。
また、定年後まで住宅ローンの返済が残っていると、老後資金が減って生活が苦しくなる可能性もあるでしょう。
住宅ローンの借入期間については、現在の年齢と定年後の生活を考慮して考える必要があります。

注文住宅を購入する場合に必要な費用の内訳と割合
注文住宅に必要な費用は、土地購入の費用と住宅を建てる際の費用とそれ以外の諸経費の3つに大別されます。
注文住宅購入における土地購入費用の割合としては、全国平均ではおよそ3割ですが、購入する土地によって大きく前後します。
2020年度のフラット35利用者調査によると、首都圏が最も土地購入費用の割合が高く55%を占める結果となりました。
それに対して、首都圏と近畿圏および東海圏以外の地域では25%まで低下しています。
そのため、住宅を建てるエリアによって土地購入資金と住宅工事費用のバランスが異なることは頭に入れておいてください。
土地購入費用の内訳
注文住宅を建てる際に、住宅を建てられる土地がない場合は土地を最初に購入しなければいけません。
その場合に土地の代金はもちろんですが、それ以外では以下のような費用が発生します。
・不動産取得税
・印紙代
・登記にかかる登録免許税
・不動産会社への仲介手数料(消費税含む)
・司法書士への報酬(消費税含む)
・固定資産税と都市計画税
・ローンの手数料と利息
不動産会社を通じて土地を購入する場合、仲介手数料や印紙代に登録免許税が必要です。
仲介手数料は、土地の売買価格の3%+6万円が上限とされています。

住宅を建てるのにかかる費用の内訳
住宅の建築でかかる費用としては大きく分けて以下の2つが存在します。
・建物本体の建築費
・付帯工事費
建物本体の建築費は、建物の基礎や外装と内装の他に家の設備の設置費用などが含まれます。住宅の建築費用の内訳で多くの割合を占め、およそ70%程度になるといわれています。
付帯工事費は住宅以外の部分の工事にかかる費用で、駐車場や庭といった外構部分や水道管とガス管を住宅に引き込む費用もこちらに含まれます。
住宅にかかる費用のうち、付帯工事費の割合は15から20%が目安とされていますが、地盤改良工事を行う場合には割合が高くなるので注意が必要です。
土地購入と住宅建築費用以外にかかる諸経費
注文住宅を購入するにあたっては、土地と住宅の他にもさまざまなことで費用が発生します。
・工事請負契約の印紙代
・建築確認申請手数料
・住宅ローン融資手数料
・住宅の登記手数料
・火災保険料
・地鎮祭やあいさつ回りでの経費
その他では、新しく家具や家電の購入費や引っ越し代金、仮住まいが必要な場合は仮住まいにかかる費用などがあります。
仮住まいの期間によっては非常に大きな出費となるので、予算計画を立てる場合は事前に施工期間のシミュレーションをしておくことが重要になるでしょう。

購入費用相場と経済状況を照らし合わせて無理のない返済計画を
注文住宅の購入予算を考えるために、購入費用などの全国平均相場を紹介しました。
注文住宅の土地を含んだ購入資金の全国平均相場は4.606万円で、住宅ローンの年収倍率は7.4倍が平均値となっています。
住宅ローンの年収倍率はあくまで目安であり、ご自身が用意できる頭金によって最適な年収倍率は変わってきます。
無理のない返済計画を建てるためには、年収と返済比率や住宅ローンの借入期間も考えて予算を設定する必要があるでしょう。
返済比率を抑えるためには借入期間を何年にすればよいかや、頭金をいくら用意すべきかなど複合的に考えて返済が可能な金額を求めてください。
また、注文住宅の購入費用には土地代や住宅の工事費用以外にもさまざまな費用が発生します。
注文住宅の費用の内訳を理解して、細かな支出も把握しておけば詳細な予算計画を立てることができるでしょう。
