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解体費用の相場
解体費用の相場について、建物の構造別に紹介します。
構造別の解体費用の相場
建物の構造 | 坪単価 | 解体費用の目安 |
木造 | 3万~5万円 | 30坪:90万~150万円 |
鉄骨造 | 4万~6万円 | 30坪:120万~180万円 |
鉄筋コンクリート造 | 6万~8万円 | 30坪:180万~240万円 |
このように、解体費用は建物が頑丈であるほど高くなります。解体費用は木造だと安いですが、鉄骨や鉄筋コンクリートだと高額です。
解体費用を決めるポイント6つ
先ほど紹介したように、解体費用を決める大きな要素は、解体する建物の構造と広さです。しかし解体費用を決める要素には他にも立地条件などさまざまなものがあります。
立地条件や廃材処理など建物の解体以外の要素によって予想していた費用を超えてしまうこともあるので、他の要素についても確認しておきましょう。
ここでは解体費用を決める6つのポイントを紹介するので、参考にしてみてください。
1:建物の構造
解体費用は、建物の構造によって大きく異なります。基本的に固い構造体でできている建物であるほど、解体費用は高くなります。建物が固いと、必要な重機の数や職人の人数が増え、解体工事の手間が増えるからです。
建物の構造には、木造や鉄骨、鉄筋コンクリートなどがあります。解体費用は木造が安く、鉄骨や鉄筋コンクリートは高くなります。木造は従来の日本家屋で、鉄骨は柱などを鉄骨で強化した構造となります。
しかし木造でも複雑な構造や頑健な構造を採用している場合は、予想以上にコストがかかることがあります。

2:建物の広さ
解体費用は、建物が広いほど高くなります。広ければ広いほど解体する面積が増えるので、コストがかかります。建物の広さは建坪で表され、坪数が大きいほど解体費用が高額になります。
さらに2階建てなどの場合は壊す面積に加えて手間も増えるので、解体費用が高額になります。建物の地下に構造体がある場合も解体費用が多くかかります。
地下室など地下階の解体については、場合によっては特殊な重機や埋め立て作業が必要になることもあるので注意しましょう。
3:立地条件
解体したい建物がどのような立地に建っているのかによっても解体費用は変動します。「解体しやすい立地であるか」が費用を決めます。
周辺の道路の状況によっては、工事用の重機が運べないことも。たとえば住宅密集地など建物が多くある場所だと、解体に使う重機が入れないことがあります。重機が使えないと、人力で解体する部分が増えるため、多くの時間と労力がかかり、その分費用が上乗せされてしまうのです。
敷地の上に電線が張ってあり、重機のアームがぶつかってしまうような立地や、傾斜地など使える重機が制限されるしまうような立地なども、同じように費用が高くなります。
業者にしっかり現地を確認してもらった上で見積もりを出してもらいましょう。
解体工事費用の他にもかかる費用がある
建物を解体するのにかかる費用の他にも、様々な費用がかかります。
どのような費用があるのか紹介します。
整地費用
土地を平らにして踏み固め整えるための整地にかかる費用です。土地に石やコンクリート、埋没物などが何もない場合は1m2当たり500円~700円が相場。しかし地盤改良や木の伐採など追加で工事が必要な場合は、1m2当たり1万円や3万円以上かかることもあります。

5:付帯工事の費用
付帯工事とは、塀や庭木、倉庫、庭石など、建物以外のものを解体し撤去する工事のことです。
解体業者のホームページなどに記載されている解体費用には、付帯工事の費用は含まれていないことがほとんどなので要注意。付帯工事の費用を含めてしっかり見積もってもらってから契約しましょう。
6:廃材の処理費用
解体工事によって発生した廃材を処理するのにも費用がかかります。工事によって出た廃材を、木材、金属というように分別して運び出すので、この作業にも費用がかかります。
廃材の処理費用は、廃材の量により変動します。廃材が多くなればなるほど運搬や処理にコストがかかります。さまざま種類の建材を使っていればいるほど分別する手間が増えるので、高額になります。
しかも最近は廃材処理のコストが高くなってきているといわれています。理由として、2000年以降に制定されたリサイクル関連法によって解体工事で発生した廃棄物をまとめて処理できなくなったことがあります。近年は産業廃棄物処理や不法投棄への対策が強化されてきているため、現場ではよりていねいな分別作業が行われていることも理由のひとつです。
解体工事の前に自分で家財などを整理してリサイクル業者などへ持ち込むなどして解体工事後の廃材の廃棄量を減らすことで、廃材の処理費用を削減することも可能です。
諸費用
諸費用には、工事前の近隣へのあいさつにかかる費用や、各種工事のために行う申請費用などがあります。
解体業者によってさまざまな項目を諸費用に組み込んでいるので、疑問があれば業者に聞いてみてください。
アスベストの調査と工事
建物を解体する前に、解体する建物にアスベストが含まれていないか調査することが法律により義務付けられています。調査してアスベストが含まれていることが判明した場合は、適切な手順で除去しなければなりません。
アスベストは天然の鉱物繊維で、「いしわた」や「せきめん」とも呼ばれています。アスベストは熱や摩擦に強い特性があるため建材や自動車、電気製品などに使用されていましたが、発がん性などの有害性があることがわかり、現在は使うことが禁止されています。
築年数が古い建物にはアスベストが使用されている可能性があるので、調査しなければなりません。目安として1975年以前に建築された建物はアスベストが使われている可能性が高いです。
調査して使用されていると判明したら除去することになりますが、除去にかかる費用は使用されている場所や量によって異なり、20万円から数百万円までさまざまです。

解体の流れ
家の解体工事はどのような流れで行うのか、家を解体する流れについてご説明します。
一般的な一戸建ての解体工事は次のような流れになります。
- 業者に問い合わせ
- 調査をしてもらう
- 見積もりをもらう
- 依頼する業者を決めて契約
- 近隣へあいさつ周り
- 配管・配線を撤去
- 足場の組み立て
- 建物の解体工事
- 廃材の撤去
- 地中埋没物の撤去と整地
この流れの中から確認しておくべきことを紹介します。
見積もり
見積もりは解体費用が決定される工程です。複数の業者を選び、問い合わせて実際に現地を見てもらって見積もってもらいます。同じ解体工事であっても、業者によって解体費用の見積もりの金額は異なります。
複数の業者に見積もってもらった後、依頼する業者を1社決めて契約します。

解体準備
解体準備では近隣へのあいさつや配管配線の撤去などを行います。
近隣住宅へのあいさつ周りは業者が行ってくれます。解体工事では騒音やほこりが出るので、必ず近隣住宅へあいさつ周りをして、工事の内容や工事期間を伝えます。
電気やガスの停止依頼、配管や配線の撤去依頼は自分で行うことになります。電力会社やガス会社に依頼しましょう。
水道については解体工事で業者が使用することが多いので、一般的に停止依頼は行いません。
解体工事でかかる水道代の負担をどうするかは業者によって異なるので、前もって確認しておきましょう。
解体工事
準備ができたら、解体工事が始まります。まず足場を組んだり防音シートで覆ったりして近隣住宅への影響を軽減するための処置を行います。
次に内装材やドア、設備機器、備え付け家具を解体。次に骨組みである梁や柱、屋根を解体していきます。最後にコンクリートの基礎を掘り起こして撤去したら、建物の解体は完了です。
廃材処理と整地
木やガラスなどの廃材を素材ごとに分別して運び出します。
その後、地中に何かが埋没していないか確認して、整地工事を行い土地を平らにして、工事は完了です。
解体費用を安くおさえるコツ3つ
解体費用をおさえるポイントは3つあります。
具体的には、「各自治体による補助金に申請する」、「見積りを複数業者に依頼する」、「廃材を少なくするために不用品を自分で処分しておく」ことです。
ここからは、解体費用を安くおさえるポイントについて、それぞれ詳しく紹介します。

1:自治体による補助金を利用する
各自治体により制度化されている解体工事補助金の利用をおすすめします。
工事前に、自治体の認定を受ければ解体工事費用の一部を補助してくれます。ただし、認定には一定の要件がありますので、事前に自治体の窓口へ相談しましょう。
出典 :老朽建築物等の除却工事費用の助成 | 東京都台東区役所
2:自分で片付けられるものは自分で処分する
不用品などの廃材を自分で処分すると、解体工事費用を抑えることが可能です。
不用品は、できるだけ自分で処分しましょう。不要な家財道具や植木、塀などは、自治体の処分回収を利用すると便利です。このように、廃材の量を減らすことで産業廃棄物処理費用が安くなり、最終的に解体費用を抑えることが可能となります。
3:複数の解体会社に見積もりをしてもらう
解体費用を抑えるには、複数の解体業者への見積り依頼が重要です。
解体費用は、一定の相場はありますが業者によって実際の金額はさまざまですので、複数の業者に見積りを依頼して、比較することが大切です。
また、複数の業者に見積りを依頼することは、価格と工事内容の比較もできるので重要と言えます。
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解体費用が高くなっている理由3つ
空き家への対策が進んでいることもあり、ますます解体工事の需要が高まり費用も高くなっています。
解体需要に高まりによって、工事で排出される産業廃棄物の処理も比例して多くなります。処分費用の割合は、解体工事費用のおよそ半分を占めるとも言われています。処分業者の稼動が逼迫すれば、人件費などにより価格も上昇し解体費用にも影響がでます。
以下で、解体費用が高くなっている理由をそれぞれ詳しく紹介します。
1:中国への資源ごみ輸入禁止
中国政府による固体廃棄物の輸入禁止措置により、解体費用に影響が出る可能性があります。
従来中国政府が輸入していた、廃プラスチックや古紙、廃紡績原料、固体廃棄物などを全面禁止する措置を発表しました。
この措置が実施されると、国内の産業廃棄物の輸出国が中国であるので、国内での廃棄物処理が必要となります。これにより国内の産廃業者の稼動がさらに逼迫され、解体工事廃材処理にも少なからず影響がでる可能性があるようです。

2:廃棄物処理費用の高騰
空き家解体や建替えの需要が増えて、解体による産業廃棄物の処理が圧迫されており、処理費用の高騰が続いています。
産廃業者が需要に反して業者数は増えていないので、ますます需要に追いつかず、処理費用の高騰に拍車をかけています。
業者によっては、解体業者が自社の処理場を保有して処理を自前で実施しているケースもありますが割合としては少なく、ほとんどが産廃業者へ委託しているのが現状のようです。
3:アスベストに対して費用が別にかかる
解体対象の建物の部材にアスベストが使われている場合は、別途費用が必要となります。
現在では禁止されているアスベストですが、以前は建物の部材に多く使われていました。有害なアスベストが使われている建物の解体には、特別な工事が別途必要となり、処理費用も発生します。
一般の解体業者では処理技術がないので、専門業者へ依頼することとなり、工事期間も長くなるでしょう。
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解体する前に知っておくべき注意点
解体する前に知っておくべき注意点があります。ここで紹介する内容は解体する前にぜひ確認しておきましょう。
「再建築不可」になっていないか確認する
解体しようと考えている家が建っている土地が現在「再建築不可」になっていないか確認しましょう。
土地によっては、建物を解体すると、新たに家を建てることができなくなってしまうことがあります。
家を建てた当時は「建築可」であった土地が、家を建てた後に法が変わり現在は「再建築不可」となっている場合があります。このような場合は、建物を解体すると新たに家を建てることができなくなってしまいます。
解体しようと考えている家が建っている土地が現在も「再建築可」であるかどうか、家を解体して更地にする前にしっかり確認しておきましょう。
「市街化調整区域」に指定されていないか確認する
現在「市街化調整区域」に指定されていないかどうかも要チェックです。建築物を建てるときにどのような建物であれば建てられるかを決める「用途地域」という規定があります。
この用途地域に含まれていない、つまり住宅を建てることができない区域が市街化調整区域です。これは宅地化などの開発による市街化を抑制するために決められた区域です。この市街化調整区域では基本的に開発などが制限されていて、住宅を建てることができません。
農地は基本的に住宅建築を規制する市街化調整区域になっていることが多いので要注意です。

建物を解体すると納める税額が増える
建物を解体することで、納める税額が増えてしまうことを覚えておきましょう。
家が建っている土地は、固定資産税や都市計画税の軽減措置を受けられます。住宅用の建物がある土地については200m2以下の部分で固定資産税が1/6に、都市計画税が1/3に減額されるという制度があります。
建物を解体してしまうとこの軽減措置が受けられなくなり、固定資産税や都市計画税がもともとの税額に戻るので、納める税額が増えてしまいます。土地が売れるまでの間、高くなった税額を納め続けなければなりません。
解体した方が良いケース
家を解体した方が良いケースについて紹介します。ここで紹介する内容にあてはまっている場合は、家を解体するのがおすすめです。
建物が著しく老朽化している場合
建物が著しく老朽化している場合は、解体しておいた方が売れやすくなります。多くの買主は「購入した後に負担が少ないかどうか」を考慮します。そのため建物が著しく老朽化している場合は解体しておいた方が良いです。
建物が著しく老朽化している場合は、買主が「住めない建物なので結局購入した後に解体しなければならない」と考えるからです。
解体費用の負担を考えると、買主にとっては更地になっている土地の方が魅力的に感じられます。
古い家を残したまま売却しようとすると、売却価格の交渉をするときにも不利になることがあります。買主から建物の解体費用の分値引きするべきだと交渉される可能性があるからです。
埋設物や土壌汚染が見つかる可能性がある場合
家を建てる前に埋設物や土壌汚染の調査を行ってもらっていない場合など、埋設物や土壌汚染が見つかる可能性がある場合は、建物を解体しておくと安心です。
家を解体しないまま売却すると、買主が建物を解体したときに埋設物や土壌汚染を見つけてしまう可能性があります。こうなった場合、売主は契約不適合責任を問われてしまうことがあるのです。
売買契約の際に、売主が責任を負う期間についても取り決めておくと安心です。

解体しない方が良いケース
一戸建てを解体するのには費用や時間がかかりますが、解体しない方が良いケースもあります。一戸建てを解体しなくて良いのはどのような場合なのかについても確認しておきましょう。
解体費用を上乗せして売却価格が高くなりすぎる場合
解体工事をしてその費用を上乗せすることによって売却価格があまりにも高くなってしまうような場合は、解体をしないで売るという方法も検討しましょう。
家を解体すると売却価格に解体費用が追加される分高くなるので、解体しない方が良い場合があります。
解体費用として多くのコストがかかってしまいます。解体費用は建物の状況にもよりますが、100万円以上かかる場合がほとんど。
一戸建てを解体すると多額の費用が発生するので、更地の売却額に解体費用を上乗せすることが多いです。しかし価格があまりにも高くなると買い手がつきにくくなってしまいます。
解体工事をすることによって売却価格の相場を大幅に上回ってしまうような場合は、解体をしないで売るという方法も検討してみてください。
家自体に売れやすくなるポイントがある場合
2階からの眺めなど家自体に売れやすくなるポイントがある場合は、家を解体せずに残しておくことも検討しましょう。
家がある状態で売却した方が、買主が暮らしをイメージしやすく、購入してもらいやすくなる場合もあります。
建物の広さや室内の日当たり、2階からの眺めなどを買主に体感してもらえるので、売りやすくなることがあります。
2階からの眺めなど売れやすくなるポイントがある場合は、家は解体せずに残しておくのがおすすめです。それでいて築年数が浅くまだ家が新しい場合やきちんと修繕してある場合など、買主がそのまま住める状態であれば、家付きでも売れる見込みがあります。
家の解体費用の相場を知っておこう
家の解体費用は、建物の構造や立地条件により異なってきます。
解体費用の相場は、構造が木造なのか鉄筋や鉄筋コンクリートによるかで大きく異なってきます。木造の場合は、他と比べて安価となりそれ以外の構造は高額になるでしょう。
また、立地条件も解体費用相場に大きく影響します。都市部や接面道路が狭い場所、狭小地なども割高になると考えられます。建築部材として使われているアスベストの撤去費用などがかかる場合は、その分解体費用に上乗せされます。
家を解体しようか検討している場合は、ぜひ今回紹介した解体費用の相場や注意点などを参考にしてみてください。
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