耐震・免振・制震の違いとは?それぞれのメリットとデメリット、住宅性能表示制度も紹介 

建て替え

日本は地震大国であり、住宅を建てる場合は何よりも地震対策を行うことが必要とされています。

地震に強い家を建てるためには揺れに強い構造が必要です。

地震に耐えることが可能な構造として「耐震」「免震」「制震」がありますが、言葉だけを聞いてもどのような構造であるか分かる人は少ないはずです。

私達の命を守るための建物に必要な構造の種類と、地震に強い家の目安とされる住宅性能表示制度について詳しく解説をしていきます。

これから住宅を建てる人や戸建て・マンションの購入を検討している人は、ぜひ確認して理解をしておきましょう。

地震大国日本で住宅を建てる場合には「耐震・免振・制震」が重要となる

日本は地震大国といわれています。

世界で発生しているマグニチュード6以上の地震の2割が日本周辺で発生し、記憶に新しいところでは、平成23年の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)や平成28年の熊本地震、記憶をさかのぼれば、平成7年の阪神淡路大震災(兵庫県内部地震)、平成16年の新潟県中越大震災(新潟県中越地震)など最大震度6以上の地震が頻発しています。

大きな地震が発生すると、住宅が損壊する可能性が高くなり人的被害を引き起こすこともあります。

外へ逃げることも二次災害などの危険性があるので、建物が安全であれば建物内で避難をすることが一番です。

地震に対して強い家を作ることが必要であり、法律でも定められています。

住宅を地震から守る構造「耐震」「免震」「制震」が私達を守ってくれる、重要なものになるのです。

出典:日本付近で発生した主な被害地震(平成8年以降)|気象庁

住宅を守るための構造とは

住宅を守るための構造には「耐震」「免震」「制震」があると紹介しましたが、そもそもどういうものなのでしょうか?

「耐震」「免震」「制震」はどのような仕組みで私達と建物を守ってくれるのか、詳しく説明します。

そもそも構造とは?

住宅の構造とは、建物を支える骨組みのことを指しています。

建物を支え、一度造ると簡単には変えることができない部分であり、建物の中で最も重要な部分です。

構造がしっかりしていなければ建物は簡単に壊れてしまいます。

住宅の構造は構造体(壁・柱・床などを組み合わせた骨組みの総称)の材質によっても異なり「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造(RC造)」と3つに分かれます。

構造をさまざまな方法によって強化することで、地震に強い家が造られます

耐震とは?

地震に強い家づくりに必要な地震対策の1つである「耐震」は、地震の揺れに耐えるための構造体が重要になります。

耐震は、構造体が強いことで地震の揺れに耐え、建物の倒壊を防ぐ仕組みです。

木造住宅の場合、柱を太くすれば地震に強い家になると思われますが、耐震性能は柱よりも耐力壁(壁)の強さが重要になります。

建物全体で地震の揺れを分散させることにより、建物の倒壊を防ぎます。

制振とは?

制震は地震の揺れを抑える目的で作られた方法です。

地震の揺れを分散させたり吸収するのではなく、地震の揺れに耐えられる家づくりになります。

大地震で大きな揺れが起きても、建物が倒壊せずに避難できることが前提となる強度を持つ構造が、制震構造です。

耐震・制震とは異なり大きな揺れを感じることになりますが、すぐに倒壊するようなことは避けられます。

免震とは?

免震は地盤と建物の間に免震装置を入れて地盤と建物を切り離すことにより、地震のエネルギーを直接建物に伝えないようにする技術になります。

アイソレーター(振動・騒音の絶温装置)やダンパーを設置することで地震の揺れを吸収するのが免震の仕組みです。

耐震が揺れに耐えるのに対して、免震は揺れ自体を伝えないので、同じ震度であっても免震構造の家よりも揺れません。

耐震工法・免振工法・制震工法のそれぞれのメリット・デメリット

「耐震」「免震」「制震」はそれぞれ異なる方法で、地震から家を守る構造になります。それぞれメリット・デメリットについて詳しく紹介していきます。

耐震工法

耐震は、構造体が強いことで地震の揺れに耐え、建物の倒壊を防ぐ仕組みです。

建物全体で地震の揺れを分散させることにより、建物の倒壊を防ぎます耐震は、建物を強くすることで地震の揺れに耐えようとする構造です。

壁に筋かいを入れたり、部材の接合部を補強したりして、建物を強くします

耐震は、最も一般的な構造であり、一戸建て住宅やマンション、オフィスビルや学校といったさまざまな建物で採用されています。

耐震のメリット

揺れに耐えることで住宅を守るのが耐震構造ですが、耐震構造のメリットは以下の通りです。

  • 地震対策にかかる費用が安く抑えられる
  • 強風や台風の揺れにも耐えられる
  • 設置制限がない

免震や制震に比べて、とても安価なので住宅を建てる場合にすぐに取り入れることが可能なのが耐震のメリットです。

耐震のデメリット

安価で取り入れられる耐震構造ですが、デメリットももちろんあります。

  • 地震の揺れが直接住宅に伝わるのでダメージを受けやすい
  • 倒壊はしないが住宅の劣化が早い
  • 揺れるので家具の転倒リスクが高い

家具の転倒防止など、事前に地震対策をしておく必要があります

免震工法

免震は、地震の揺れが建物へ直に伝わりにくくする、建物と地盤を切り離した構造です。

 免震装置は、揺れを吸収するダンパーや、建物を支えるゴム状のアイソレータが使用されます。

 免震の大きな特徴は、耐震や制震と比較して、大きな地震が発生しても建物は揺れにくいことであり、建物を倒壊しにくくします。

免震のメリット

免震構造は、地震のエネルギーを建物に伝えない構造です。

  • 揺れをほとんど感じさせない
  • 内部の損傷がほとんどない

免震のデメリット

免震は現段階では一番優れている地震対策といわれていますが、もちろんデメリットも存在します。

  • コストが高い
  • 施工できる業者が少ない
  • 実証例が少ない

免震構造のコストは300~600万円ともいわれていますが、施工業者が近くにない場合はそれ以上のコストがかかることもあります。

実証例が少ないので、本当に免震が優れているか知る機会が少ないです。

制震工法

制震は、建物内で地震の揺れを吸収する構造で、建物の内部にダンパーや重りなどで構成された制震装置を設けて、地震による揺れを小さくします。

 高層ビルやタワーマンションといった高い建物は、上階ほど揺れが大きくなる傾向がありますが、制震構造を採用することで、上階における揺れの増幅を緩和できます。

制震のメリット

制震は耐震と免震の中間といえる構造であり、メリットも多いといわれています。

  • 倒壊や内部損傷も最小限に抑えられる
  • 耐震構造よりも安全性が高い
  • 免震構造よりも短期間・低コスト

制震のデメリット

制震構造は、アイソレーター(振動・騒音の絶温装置)やダンパーを設置するため、地盤によっても設置の可能性が変わります。

  • 地盤が弱いと導入が難しい
  • 耐震構造に比べて費用が高くなる
  • 建物が倒壊などする可能性は少ないが、損傷をしないわけではない

新建築基準法について

地震から住宅を守るため「耐震」「免震」「制震」は必須といえる構造であるということが証明されました。

そしてこれらの構造は新建築基準法が施行され、新築住宅の耐震化が義務付けられています。

新建築基準法の耐震化とは

建築基準法は1981年に大きく改正し、耐震基準がより厳しいものとなりました。

耐震基準を改正するきっかけになったのは、昭和53年(1978年)6月12日に宮城県仙台市で発生した、マグニチュード7.4(最大震度5)の宮城県沖地震でした。

この地震では、80,000以上の住宅が全半壊し、その後の新耐震基準に改正するきっかけとなりました。

新耐震基準は、現在も用いられている基準です。

「旧耐震」「新耐震」の異なる点

旧耐震基準と新耐震基準で大きく異なる点は以下の通りです。

旧耐震基準(1981年5月31日以前)

  • 震度5程度の地震で崩壊・倒壊しないレベルの耐震性
  • 震度5を超える地震に対する規定は特になし

新耐震基準(1981年6月1日以降)

  • 震度5程度の地震でほとんど損傷しないレベルの耐震性
  • 震度6強~7程度の地震で崩壊・倒壊しないレベルの耐震性

変更点から見てもわかる通り、より耐震強化を重要視するようになりました。

耐震・免震・制震は義務化された?

「耐震」は法律で義務化されているものですが、「免震」「制震」は法律で義務化されているものではありません。

耐震された住宅を更に安全にする工法になります。

住宅性能表示について

購入した住宅が実際にどの構造を使用し、どのくらいの地震の揺れを抑えられるのか知りたい場合には住宅性能表示制度を利用した「住宅性能証明」が必要です。

住宅性能表示制度とは

客観的に住宅の性能(耐震等級など)を第三者機関が客観的に評価し、共通のルールで表示した制度です。

「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて運用されています。

必須項目として

  • 構造の安定
  • 劣化の軽減
  • 維持管理・更新への配慮
  • 温熱環境

これらの表示が必要であり、「構造上の安定」の中に耐震性などの建物の強度が表記されます。

等級は1~3で評価されます。

「住宅性能評価」と「住宅性能証明」を貰おう

建物の性能を証明する公的な制度として「住宅性能評価」と「住宅性能証明」があります。

構造の評価をしるだけではなく、住宅ローンや保険などの減税措置や優遇措置を利用する際にも活用することが可能であるため、貰っておいて損はありません!

まとめ

「耐震」「免震」「制震」の違いについて解説しました。

それぞれのメリットとデメリット、住宅性能表示制度についても紹介しましたが、地震から建物を守るための構造が「耐震」「免震」「制震」であり、建物と私達の命を守るために重要な構造になります。

これから住宅建築・住宅購入を検討している場合には、構造のチェックと「住宅性能評価」と「住宅性能証明」を確認してください

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