井戸を埋めるにはお祓いが必要?祟りがある?井戸じまいの解体費用や手順も解説!

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「井戸を埋める」には、ただ土砂を入れて埋め立てるだけではいけません。解体の手順や「お祓い」「息抜き」といったものが必要であり、自分で行うのはなかなか難しいため、専門業者に依頼しなければなりません。

今回は、実際に井戸を埋める際の注意点やポイント、費用などについて解説していきます。

井戸を埋めるにはお祓いが必要?かかる費用や解体手順も解説!

井戸は「神聖な存在」だった

井戸は、水道設備がなかった昔の時代には人々の営みを支える重要な水源であり、なくてはならない存在でした。

しかし、近年は全国各地の水道設備が整っているため、井戸を使う機会はめっきり減ってしまいました。そのうえ、井戸を維持させるための管理も難しいため、解体を考える人も多いようです。

しかし、「井戸はただ土砂を入れて埋めればそれで済む」というものではありません。

井戸は「生命の恵み」をもたらす存在

古くから人々の信仰の対象とされてきた井戸。

一昔前までは、水の確保のためには大変な労力が必要であり、水を得るためには井戸の存在が不可欠でした。

生き物は水がなければ生きていくことができません。だからこそその水をもたらしてくれる井戸には、神聖で大きなパワーがあり、神様が宿っていると信じられてきたのです。

したがって、信仰の対象ともなっていた井戸を解体するときには、井戸の神様へ感謝をしてから取り壊しを行うことが必要だとされています。

地域によって「大きなパワーと聖なる力が宿っているもの」「異界に繋がる門である」「神様が宿っている」など、少しずつ考え方は異なるものの、たとえ埋めることになっても感謝の気持ちを持ち、丁寧に扱いたいと思うことには変わりがないのです。

お祓いの必要性は地域の風習による

実際に井戸を解体して埋め戻しをする場合には、地域の風習に合わせてどのように解体をすべきなのか確認する必要があります。

井戸の埋め戻しについて調べていると「お祓いが必要である」という情報に行きつくことがあります。

結論、お祓いは絶対に必要であるというわけではありません。土地や地域によって考え方は異なるため、経験豊富な業者や身近な家族・親族に聞いてみて、その地域の風習に合わせて井戸の解体を行うのがよいでしょう。

ただし、最終的には施工主である自身の決定次第です。

井戸の「息抜き」と「お祓い(魂抜き)」

井戸の解体をするうえでポイントとなる「息抜き」と「お祓い(魂抜き)」とはどのようなものなのかを、詳しく見ていきましょう。

「息抜き」には精神的・現実的両方の意味がある

埋め戻しを行う前には、必ず「息抜き」を行います。具体的には、井戸の底から外にパイプを通す作業であり、風習や儀式としては「神様が井戸の外に出られるように」「神様が呼吸できるように」という意味合いがあります。

しかし息抜きには現実的な意味もあり、「井戸の湿気やガスを外に逃がす」という役割も担います。長い間水を通してきた場所なので、地盤が緩み沈下するおそれがあるからです。それを防ぐために息抜きという行為によって土地を乾燥させて地盤の改良につなげるといった意味もあります。

井戸内の水が完全になくなるまで行うことで、その後埋める作業を安全に行うことができます。状態によって時間がかかることもありますが、息抜きは解体業者に作業をお願いできるので、おまかせしましょう。

「お祓い(魂抜き)」は解体工事の前に行われるのが一般的

前述したように、井戸は多くの人たちにとって神聖な存在でした。今もそのならわしにのっとって、井戸の解体の際には必ずお祓いなどの儀式を行うべきだと考える地域があります。また、自分はあまり気にしないという場合でも、信心深い人が家族や親戚にいれば、やはりその意見を尊重することが大事といえるでしょう。

実際にお祓いをする場合には、解体工事に着手する前に行うのが一般的な手順です。業者によってはまれにお祓いしない場合の工事を拒否されることもあります。

もちろん「お祓いはしなければいけない」という法律的な決まりや、科学的根拠があるわけではありません。しかし前述したように、人々に水を届け生命の恵みを与えてくれた井戸、人々の思いがこもった井戸、それを粗末に扱わず、ひとつの区切りをつけるという意味でも、お祓いを行うことには大きな意味があるのです。

息抜きやお祓いは解体業者や神主・僧侶におまかせする

井戸の息抜きは、神社の神主やお寺の僧侶だけでなく、解体業者に依頼することもできます。解体工事の途中で行うことも可能です。

お祓いは、神社の神主やお寺の僧侶に依頼しましょう。費用は「初穂料」「玉串料」「祈祷料」などとして数万円発生します。

井戸の解体手順

井戸を埋める作業は、どのような手順で行われるのでしょうか?お祓いから埋め戻し完了までの作業手順を解説していきます。

1:お祓い(魂抜き)を行う

前述した通り、井戸を埋める際にはお祓いをしてから作業に入ります。神主や僧侶におまかせしましょう。

2:息抜きを行う

風習的な意味と実際の作業を進めるために、竹・塩化ビニールなどのパイプを挿入して、息抜きを行います。井戸の水が完全に抜けた状態になるまで時間がかかることもあります。

長期間使用していない場合、水だけでなくガスなども溜まっていることがあります。作業日程には余裕を持っておきましょう。

3:埋め戻しを行う

魂抜き・息抜きを完了させてから、本格的に埋め戻す作業に入ります。

本来であれば、井戸を掘る前の状態に戻すことが理想であり、周囲の地層に合わせて土砂を入れていきましょう。

しかし井戸は地下深くまで掘られているため、厳密にはさまざまな種類の土や砂、石などが地層になっています。完全に元通りにするのは難しいため、水質の影響や地盤沈下に注意して慎重に行っていきます。

3-1:井戸の底部分の埋め戻し

井戸の底部分は、砂利や砕石で埋め戻しをします。井戸の周囲には地下水の水脈があり、この流れを邪魔しないために行います。

井戸の中にある土管は、取り除いていきます。そのまま放置しておくと、土地が陥没してしまう恐れがあるからです。将来的に売却を予定している・決定してる場合は必ず取り除きましょう。

3-2:井戸の上部分の埋め戻し

井戸の上部分については、地表面からの雨水が入らないように土を使って埋め戻していきます

4:井戸の枠を撤去する

基本的には地上部分にある井戸の枠も撤去します。これを残して埋め戻してしまうと、やはり地盤沈下などの恐れが出てきてしまうからです。

5:仕上げ

地中の埋め立てと、地上部分の枠を撤去したら、整地してできあがりです。

井戸を埋める際にかかる費用

井戸を埋める費用相場は、埋め戻しを行う時の条件によって異なってきます。井戸のみの作業なのか、住宅の解体がふくまれているのか、それぞれの方法でかかる費用の相場について紹介していきます。

単独で井戸だけを埋める場合の費用相場

建物のない状態の土地や、井戸自体のみ使用しないため埋め戻しを依頼する際の費用は、10万円前後が相場です。とはいえ、井戸の大きさや使う重機、埋め戻しの材料の価格によって上下し、5~20万円という幅があります。

お祓いを行う場合には、この金額にプラスして3万円ほどかかると考えておきましょう。お祓いの金額は神主や僧侶によっても異なります。

家の解体工事の際に井戸も埋める場合の費用相場

住宅の解体と同時に井戸の解体が行われるケースでは、3~5万円が費用相場となります。こちらのほうが井戸単体の解体よりも安価で済むのは、住宅の解体で出た砕石を井戸の埋め戻しに利用できるからです。

また、初めから「井戸の解体のみ依頼する」ということではなく、家屋などの解体の際に予期せず地中から井戸が出てきた…というケースも存在します。

この場合は、工事前の見積りに井戸解体費用が入っていないため、追加費用として請求が発生することがほとんどです。その際にも井戸単体の解体工事ほど費用がかかることはあまりなく、3~5万円ほどの請求になる事例が多いようです。

お祓いの費用相場

お祓いの費用は先に紹介したとおり、3万円が相場とされています。これはお祓いのみの費用となり、神主や僧侶の出張費用などが別途かかることもあるので、確認しておきましょう。

井戸を埋める際の注意点

1:水資源保全を意識する

井戸を埋める際にはいくつか意識しておくべき「考え方」があります。そのひとつが「安易に埋めてしまうのはもったいない」というものです。

昔の人々にとって井戸は貴重な水資源であったため、せっかく掘った井戸を簡単に埋めてしまうのはもったいないという意識があるのです

最近では災害時の緊急用として見直されてきていることもあり、井戸の埋め戻しを検討する際には、本当に埋めてしまってよいのか考え直してみることも必要です。

埋めることに決めた場合も、いいかげんに埋めて周辺の水質を汚染する、ということのないようにしなければなりません。

2:地下構造物を確認する

井戸の解体・埋め戻しを進めていく過程で、地下構造物や地中埋蔵物が見つかることもあります。

地下構造物は周囲の地盤を支える役目を果たしていることもあるので、解体作業を行う際には慎重さが求められます。安易に壊すことはしないようにしながら最善の方法をとりましょう

3:地中埋設物を確認する

地中埋設物については、売却予定がある場合確実に撤去し、取り除いたあとにはきちんと埋め戻しをする必要があります。取り除き漏れがないようにしなければなりません。

4:井戸の解体は専門業者にまかせる

これまで紹介してきた通り、井戸の解体は「土砂を入れてしまえばできる、単なる埋め立て作業」ではありません。

まず、埋める前に井戸の底に残っている水やゴミを取り除く作業、砂や砂利を流し込む作業、そして井戸の枠を撤去する作業、すべて特殊な道具や工具・重機が必要であり、素人が扱えるものではないのです。

さらに、素人判断でいいかげんに土砂を流し入れて埋め立ててしまうと、地盤がゆるくなって地盤沈下を引き起こしたり、水質を損なってしまって周辺に迷惑をかけたり、という可能性も出てきます。

特に地下水の水質汚染を起こしてしまうと、その水脈の下流域の住民に大きな影響を及ぼしてしまうため、万が一のことを考えて、安易に埋め立ててしまう前にしっかりと周辺の調査や確認が必要になってきます。

調査診断・作業の内容、いずれも素人には手に負えないことばかりです。ここはきちんと専門業者にまかせるのがいいでしょう。

5:業者選びには細心の注意を

業者選びのポイントは、井戸を埋める工事の経験が豊富かどうか、周辺の風習やしきたりに対して配慮しているか、などの点です。特にお祓いに関しての取扱いは、売買契約に影響する可能性もあるため、しっかり考慮してくれるかどうかは重要な判断ポイントです。

よい業者かそうでないかは、一社だけ見てもわからないものです。必ず複数社に見積りをお願いして、納得できる業者を選びましょう。

6:お祓いの有無の判断には細心の注意を払う

お祓いはあくまで風習や儀式であり、法律で決められていないため、必ずしも行う必要はありません。最終的にお祓いを行うかの判断は施工主に委ねられますが、気持ちよく井戸を埋めるためにはお祓いをするべきです

前述した通り、お祓いという儀式への考え方や認識は、人によって大きな差があります。自分自身はさほど気にしないからとお祓いを行わずに井戸を埋め、その後土地売却の予定があるときなどは特に注意が必要です。なぜなら「お祓いの有無」に関しての情報を求められ、お祓いをしていなかったことで売買契約が成立しにくくなる、ということも起こりうるからです。

お祓いをしていないために、そもそも井戸の解体工事を請け負ってくれない業者もあるほどです。

そういった可能性もよく考慮のうえ、お祓いをするかしないかはひとりで判断せず、家族や親類、業者などに相談して決めるのがよいですね。

井戸を埋めるときはお祓いの必要性について確認しよう!

古い井戸を埋める場合に必要とされるお祓い、埋め戻しの方法と手順について紹介しました。

家屋など、他の解体工事では見られない「息抜き」「お祓い」というものが存在する井戸の解体には、人々の間で井戸がどのような存在だったかを理解することで、ポイントをおさえることができるでしょう。

「お祓いは迷信だから必要ない」と決めつけることなく、そこにこめられた意味や知恵をしっかり考えて、最終的な判断をしてくださいね。

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