土地や住宅を購入するときに、多くの方が利用する住宅ローン。しかし、住宅ローンの融資はいつから始まるのか、融資実行日が分からない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、住宅ローンの融資実行日と融資実行までの流れ、融資実行日当日の手続きを紹介します。手続きをスムーズに行うためにも一連の流れを把握しておきましょう。
融資実行日とは口座に融資が入金される日のこと
住宅ローンの融資実行日は、融資金額が口座に入金される日のことをいいます。融資を受ける側からすると住宅ローンを借り入れする日ともいえます。
住宅ローンの契約をした日に融資を借り入れするわけではないので注意しましょう。
一般的な融資実行は引き渡し日と同じ日にする
住宅ローンにおける融資実行日は、通常は土地や建物の引き渡し日と同じ日程にするケースがほとんどです。引き渡し日とは、契約の残金を支払って物件が自分のものになる日のことです。
引き渡し日と同じ日程にする理由は、買主に引き渡された土地や建物を担保として、金融機関が抵当権を設定できるようになるからです。
抵当権とは、購入する住宅の土地と建物に金融機関が設定する権利のことです。つまり、土地や建物を担保にするということになります。
抵当権を設定することで、万が一支払いができなくなった場合に金融機関は担保を競売にかけることで返済額へあてることができます。
引き渡し日以降でも融資実行はできる
一般的には引き渡し日と同じ日程で融資を実行しますが、引き渡し日以降であればいつでも融資の実行は可能です。しかし、引き渡し日よりも後にしてしまうと、買主が残金を全額立て替える必要があり、負担が大きくなってしまいます。
通常は全額立て替えることはできないため、引き渡しと同じ日にします。
住宅ローンの申し込み時に物件の引き渡し日を伝えて、融資実行日と同じ日にしてもらうように事前に調整しましょう。
住宅ローンの融資実行までの流れ
住宅ローンの契約をする前に、融資実行日までの流れを把握しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。
以下の項目で、はじめの物件探しから融資実行までの手続きの流れを紹介します。
物件探し
物件探しの前に、まずは資金計画を立てましょう。現在の収入や貯金からどれくらいの住宅ローンなら無理なく返済が続けられるか把握することが大切です。
予算は年収の5倍程度の借入額を目処にするといいでしょう。返済比率は年収の20〜25%が理想です。
おおよその予算が決まったら物件情報を集めます。予算を決めておくことで、物件探しも効率よく行えます。気に入った物件は積極的に見学に行くのがおすすめです。
中古物件の購入を検討している場合は、値引き交渉を必ずしましょう。インターネットに掲載している価格は、売り手の希望価格なので交渉次第で値引きできる可能性があります。
金融機関を決める
購入する物件が決まったら、どこの金融機関で住宅ローンを契約するか検討します。
物件を紹介する不動産会社が提携する金融機関のなかから決めるか、自分で金融機関を探すのか、2つの方法があります。
不動産会社の提携先のほうが金利が優遇されたり、手続きがスムーズに行えるメリットがあります。特に決めていないようであれば、提携先の金融機関から検討するのがおすすめです。
金融機関を選ぶときは複数の金融機関から話を聞いて比較することが大切です。金融機関によって、金利・手続きの詳細や内容は異なりますので、自分の目的に合う住宅ローンを選びましょう。
事前審査を受ける
多くの金融機関では、住宅ローンの本審査に申し込む前に事前審査があります。事前審査は仮審査ともいわれ、結果がでるまでにおおよそ3日〜1週間程度かかります。
住宅ローンを申し込むときに、契約締結後にローンが下りなかったという事態を防ぐためにも、段階を踏んで審査を行うことが大切です。
仮審査が通らなかった場合は金融機関や条件を変えて、再度仮審査を行います。
売買契約
事前審査の結果、問題がなければ購入を希望している土地や物件の売買契約をします。通常は、売買契約をしたあとにローンの本審査を通すことになります。
事前審査なしでも売買契約はできますが、審査承認を得ていない状態だと売主側にリスクがあるため断られる可能性もあります。
売買契約をするときには、不動産会社の宅地建物取引士から重要事項の説明を受けます。契約書に目を通してサインをしたあと、契約内容の変更を申し出ると規約違反になってしまう場合もあります。
疑問がある場合は契約する前に相談して、納得がいった上で契約書にサインをしましょう。
売買契約をするときに、購入価格の一部を手付金として支払いする必要があります。契約後の債務不履行を防ぐための意味もふくまれており、契約破棄をすると手付金は戻ってこないので、注意してください。
本審査
売買契約後に住宅ローンの本審査を行います。審査には10日〜2週間程度かかることもあります。
予定よりも審査に時間がかかってしまう場合があるので、契約から引き渡しまでの期間が短い場合は、本審査の申し込みから引き渡しまでスムーズに行えるようにする必要があります。
事前審査に通っても本審査で落ちてしまう場合もあります。その場合はローン特約によりペナルティ無しで契約を解除できます。
万が一審査に落ちてしまった場合に困ることがないように、契約書にローン特約について記載されている内容を事前に確認しておきましょう。
住宅ローン契約
本審査が通ったあとは融資を受けるために、借入額や金利・返済方法など契約内容を細かく決めて住宅ローンの契約をします。
住宅ローンの契約は正式には「金融消費賃貸契約」とよばれます。
契約は金融機関の店舗で平日の日中に行うケースが多いため、事前に予定をあけておきましょう。
住宅ローン融資実行
売買契約が完了したあとにローン契約も完了したら、引き渡し日に最後の手続きをします。
購入代金の残金と各諸費用を支払い、書類や鍵の引き渡しなどの手続きをすませて引き渡しになります。
融資が入金された口座から売主に残金を支払うので、引き渡しは司法書士同席のもと、融資を受ける金融機関で行われる場合が多いです。
司法書士が登記に必要な書類を売主・買主から受け取り、法務局にて所有移転・抵当権設定登記を行います。
司法書士や金融機関の担当者、売主・買主それぞれの日程をあわせる必要がありますので、住宅ローン契約からおおよそ1週間以内の日程で決めることが多いです。
登記が完了した時点で物件の引き渡しが完了します。この時点で住宅ローンの担保になってることを把握しておきましょう。
住宅ローン融資実行日の必要書類
融資実行日に必要なものは以下のとおりです。
・権利証
・委任状
・実印(印鑑証明書)
・住民票
・通帳と銀行印
委任状は司法書士が用意してくれる場合が多いです。
印鑑証明や住民票は役所で取得できるのであらかじめ準備しておきましょう。
融資実行後は売主の口座にお金を振り込むため、買主は通帳と銀行印を持参する必要があります。
必要な書類などを忘れてしまうと登記に影響を及ぼすため注意しましょう。
融資実行前に知っておくべき注意点
最後に、融資実行前に知っておくべき注意点をお伝えします。
融資実行日は土日祝日にはできない
融資の決済はローンを契約した金融機関で行われるのが一般的です。融資金額も平日に振り込まれるため、融資実行日は土日祝日にはできないので注意しましょう。
また、銀行の営業時間は9時〜15時なので、手続きに時間がかかることを前提に、余裕を持ってスケジュールを組んでおきましょう。
つなぎ融資が必要なケース
新築注文住宅や土地を購入するときは、住宅ローンが実行されるまでの間につなぎ融資を受けるのが一般的です。金融機関によってはつなぎ融資を扱っていない場合もあります。
新築注文住宅は資金の流れが複雑で、6回にわけて代金決済のタイミングがあるので、住宅ローンを2本立てで借りなければならない場合もあります。
引き渡し日に融資の実行が間に合わない場合にもつなぎ融資を利用します。通常は物件などの引き渡し日に融資実行日を設定しますが、まれに別日に設定してしまい、引き渡しに融資の振込が間に合わないことがあります。
その場合はつなぎ融資を利用することになります。通常の住宅ローンより金利が高く設定されることが多く手数料もかかりますので、支払総額が増えるというデメリットはありますが、引き渡しに間に合わない場合はつなぎ融資を利用すれば予定通り決済ができます。
つなぎ融資を利用する場合も金融機関の承認を得る必要があります。事前に引き渡し日に融資の実行が間に合うか間に合わないか確認しておきましょう。トラブルが発生したら早急に金融機関や不動産業者に相談することが大切です。
金融機関によっては融資実行日が限定される場合もある
金融機関によっては、融資実行日を自由に設定できない場合もあります。たとえば、フラット35は取り扱う金融機関によっては融資実行日として一部指定できない日があります。
事前に、住宅ローンを契約する金融機関の融資実行日を確認しておきましょう。
融資実行日に書類を忘れたら手続きが遅れる可能性がある
融資実行のときに必要な書類を忘れてしまうと、手続きを行えない可能性があります。
融資実行日には、金融機関の担当者と売主、買主、それぞれの仲介業者、司法書士などが集まります。
手続きに必要な書類を忘れてしまうと、一旦家に取りに帰ったりすると時間がかかったり、別で日程を組み直さなければいけなくなる場合もあります。
集まっていただいた方の時間も無駄にしてしまうので、事前に必要なものを念入りにチェックして、忘れないようにしましょう。
まとめ
住宅ローンの融資実行日は通常は引き渡し日と同じ日程で組みます。融資実行日が引き渡し日以降になる場合は、つなぎ融資を利用して決済に間に合わせる必要があります。
また、不備があると融資の手続きができない可能性もありますので、融資実行日の注意点をあらかじめ確認して、失敗がないように手続きを進めることが大切です。