解体作業の現場に欠かせない、作業員をはじめとした4つの仕事を紹介します。また、解体作業に携わるうえで必要なことや、注意点についても説明します。現場の仕事に就きたい人はもちろん、解体工事を検討中の人にも読んでほしい記事です。
解体作業の仕事内容や仕事に必要なことを知りたい!
解体工事は、家の建て替えや新たな土地活用の際に、既存の建物を撤去する目的で行われます。街中で見かけることも珍しくない工事ですが、現場の具体的な作業内容までは、あまり知られていません。
解体作業にはどのような仕事があり、どのような資格やスキルを必要とするのか。また、解体作業で禁止されていることや、工事を依頼する施主側の注意点についても紹介します。
解体作業現場での仕事内容
作業員の仕事内容
「解体工」とも呼ばれる作業員は、解体作業現場の前線で工事を進める存在です。建物の構造や立地条件にあわせて、ユンボ等の重機で一気に崩すこともあれば、ハンマー等の工具で地道に人力解体を行うこともあります。
毎日、その日の段取りを確認してから解体作業を開始します。安全かつ円滑な工事のために、天候や近隣への対策を事前に行うことも欠かせません。
オペレーターの仕事内容
人力では難しい建物の壁や柱の解体作業時に、重機を操作して対応するのがオペレーターです。「重機作業員」とも呼ばれ、作業員の中でも資格や経験、技術をもつ職人がその仕事を任されます。
壁や柱といった大枠の解体以外に、大きな瓦礫の粉砕や運搬車への積み込みを行うのも、オペレーターの仕事です。
作業員同様、解体作業の前には一日の工事内容の確認や危険予測を必ず行います。大規模な解体の際は特に、安全管理や準備に細心の注意を払います。
鳶工の仕事内容
解体工事の現場における鳶工は「足場鳶」といい、解体作業に必要な足場を組んだり、防音パネルや養生シートを設置することが主な仕事です。
作業員の安全な高所作業に、職人による足場の架設は必要不可欠です。また、パネルやシートには、粉塵や騒音による近隣トラブルを防ぐ役割があります。解体作業へ直接関わることはありませんが、鳶工の仕事内容はいずれも重要といえるでしょう。
現場監督の仕事内容
作業員やオペレーターは、内容や安全を日々確認しながら解体作業を進めています。その進捗に問題がないか、トラブルが起きていないかを把握し管理することが、現場監督の仕事です。
現場監督の管轄は広く、工事前に近隣へ挨拶や説明を行うことも、大事な仕事といえます。そのほか、工事に遅れが生じれば、工期の延長について施主と話し合いを行うこともあります。建て替え前提の解体であれば、建設会社へも対応しなければなりません。
業者によっては、営業職と兼任することもあります。常に全体を把握して適切な指示を出す必要があるため、知識や判断力と同じくらい対人スキルが求められます。
解体作業で必要なこと
資格が必要な作業がある
解体作業において、資格は必須ではありません。ただし、あくまで仕事内容次第です。オペレーターの仕事に就く場合には、扱う重機ごとに資格を取得する必要があります。
解体作業は資格をもたずに始める人が多い仕事です。まずは作業員として現場に慣れることから始めて、いずれキャリアアップの一環として、さまざまな資格取得を目指すとよいでしょう。
身体を鍛えておくことが重要
重機を使用しない解体作業に資格は必要ないため、現場のスキルは日々の経験で身につけていけば問題ありません。とはいえ、スキルを身につけるまでには、相応の体力や筋力が必要となります。
解体作業は肉体労働です。加えて、夏でも冬でも関係なく、屋外での作業がメインになります。悪天候の際は基本的に作業を翌日へ繰り越しますが、工期等の都合で、雨や雪の中での作業を余儀なくされることもあるでしょう。
こうした環境下で意欲的に仕事を継続するためには、多くの他業種よりもタフな身体が求められるのです。健康のためにも安全のためにも、日ごろから身体を鍛えておきましょう。
メンタルを鍛えておくことも大事
解体作業に携わる場合、メンタルの管理も重要です。常に危険と隣り合わせの現場では、緊張の連続で精神的に疲弊してしまうことがあります。トラブル等のリスクを気にするあまり気疲れしてしまう、ということも考えられるでしょう。
あらゆる事態に備えてどれだけメンタルを強く保てるかが、仕事の質やスキルアップの道のりに影響するのです。疲弊時に短時間で回復できれば、その分だけ、健全なメンタルで仕事と向き合う時間も増えます。
解体作業を行う時の注意点
ミンチ解体は禁止されている
ミンチ解体とは、重機のみを使って一気に建物を解体し、発生した廃材や建築資材を分別せずに処分する工法です。昔の解体工事ではミンチ解体が主流でしたが、建設リサイクル法の施行後は禁止されています。
解体工事で発生したコンクリートや木くず、金属等の廃棄物は、現場で種類ごとに分別する必要があります。ミンチ解体に比べると工期や人件費はかかりますが、法律で定められていることや、環境への配慮を目的としていることを覚えておきましょう。
不法投棄も禁止されている
不法投棄は、ミンチ解体同様に禁止されている行為です。現場で種類ごとに分別した廃棄物は、中間処理施設を経て最終処分場で処分されます。これは廃棄物処理法で定められた流れです。
規定に反して廃棄物を地中に埋めたり森林に放置した場合、違法行為として罰せられる場合があります。また、産業廃棄物の運搬処理には収集運搬免許が必要となるため、あわせて注意が必要です。
工事を依頼する側は悪徳業者に注意が必要
ミンチ解体や不法投棄のような違法行為が実際に行われれば、最悪の場合、施主も罰則の対象となってしまいます。
悪徳業者を見分けるためには、見積もり依頼時の対応を注意深く観察しましょう。ひとつの業者だけで良し悪しを判断しにくい場合は、相見積もりが有効です。対応の違いだけでなく、見積もり内容からも業者を比較することができます。
見積金額が他社より極端に安い業者は、違法行為や手抜き工事を行っていたり、後から高額請求をしてくる可能性があります。費用を抑えようとして悪徳業者と契約してしまうことのないよう、選定は慎重に行いましょう。
解体作業は日々の暮らしに欠かせない仕事!
解体作業は資格がなくても始められる仕事です。一方で、常に危険や緊張と隣り合わせのため、心身ともに強さを求められる仕事でもあります。
しかし、老朽化した建物を放置しておけば大事故に繋がりかねません。解体をしなければ、新たな建築をすることもできません。解体作業に携わる職人は、安全で快適な生活や街づくりに欠かせない人材なのです。
業者と施主、近隣住民の三者が解体作業の重要性や規則を理解し、気持ちよく工事を終えられるよう協力し合うことが大切です。