建築協定とはどのようなもの?意味と内容について詳しく解説

解体工事

「建築協定」という言葉を聞いたことはありますか?

建物を建てる人同士の、仕事を譲り合う取り決めに感じるかもしれません。

実際は建築基準法を元に取り決められる、環境保全や個性的なまちづくりを作るための協定です。

日本各地で建築協定は取り決められており、私達が知ってる都市でも景観保護の観点から建築協定が取り決められていることがあります。

本記事では、

  • 建築協定の意味
  • 建築協定を取り決めする人
  • 建築協定の内容
  • 建築協定のメリット・デメリット

について、詳しく解説していきます。

これから住宅を建てる予定がある人が何に気をつけるべきか、知ることができるので、ご活用ください。

建築協定の意味とは

建築協定とは、敷地・建物に関する協定であり、民間協定になります。

民間協定であっても、知事や市長など特定行政府の認可を受けているものです。

建築協定は、協定を締結する地域の土地所有者全員が締結内容を合意することで、生活環境の確保・維持や個性的な街づくりをすることができる制度になります。

建築協定は協定の内容を細かく決めることが多く、建築協定を取り決めることで、統一的な街並みを保全することができます。

歴史的建造物が立ち並ぶ都市や地域で、建築協定が締結されている場合が多いです。

誰が建築協定を決めるのか

建築協定は民間協定です。

この民間協定を実際に締結する人、建築協定を結べる地域の選定は誰が行うのか解説していきます。

建築協定が締結できる場所を決めるのは市区町村

建築協定は民間協定なので、建築協定が必要だと判断した地域住民が話し合いをしたうえで締結をしますが、締結できる場所を決めるのは市区町村になります。

勝手に建築協定を取り決め、締結した後に認可を得ることはできません。

建築協定が締結できる場所は、市区町村が条例で定めた区域内であり、定めた区域ではない場所の場合には建築協定が取り決められません。

建築協定を締結するのは区域内の土地所有者

建築協定を締結するのは区域内の土地所有者です。

区域内の土地所有者全員の合意が必要になります。

細かな条件を設定して建築協定を締結することになるので、建築協定を結ばない、建築協定を締結することができない場合もあります。

すぐに建築協定が結べるような内容ではないので、時間をかけて話し合いをし、建築協定を締結することになります。

建築協定で定められる制限とは

住民が話し合いのうえで締結する建築協定ですが、建築協定で定めることができる制限にはどのような種類があるのでしょうか。

細かな制限を定める建築協定で決められる制限を解説していきます。

建築協定は建築基準法に定められる

建築協定とは、住宅地としての環境や商店街として利便を高度に維持増進する等のための協定です。

市町村が条例で建築協定を締結できる旨を定めた区域内において、その区域内の土地の所有者および借地権を有する者が、自主的にその区域内のおける建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠または建築設備に関する基準を定めたものである。

(建築基準法第69条)

以上のように、建築基準法で定められている建築協定なので、必ず建築基準法に沿って定める必要があります。

建築物に関する基準

建築協定は協定内容が細かな物であると紹介していますが、実際にどのような協定内容が必要になるのか例を紹介します。

敷地土地分割の禁止、最低敷地面積制限、地盤高(盛土・人口地盤)の変更禁止、区画一戸建て等
位置建築物の壁面から敷地の境界や道路の境界までの距離の制限
(例:1m以上の距離が必要)
構造木造に限る、耐火構造等
(例:ブロック塀の禁止)
用途専用住宅に限る、共同住宅の禁止、兼用住宅の制限等(例:店舗の禁止)
形態階数の制限、建ぺい率や容積率や高さの制限など
(例:最高の高さ9m、建ぺい率40%)
意匠色彩の制限、屋根形状の制限、看板など広告物の制限等(例:外壁の色彩・色の統一)
建築設備屋上温水設備の禁止など

分かりやすい例でいうと、古い町並みを守るために建築協定を制定するなどが建築協定を設定する理由です。

コンビニやスーパーなどが本来のカラーの店構えではなく保護色のような色になっているなどは、建築協定で決められた基準により変更していることが多いです。

土地の区域

建築協定は市区町村で条例によって決められた区域が対象です。

市区町村によって詳細は異なりますが、おおまかな区域の条例は決められています。

条例で建築協定の設定を認めている地域の例をいくつか紹介します。

市区町村名条例内容
神奈川県川崎市地形的条件…道路・公園等の都市施設での境界、町会、自治解答の境界が望ましい
大阪府枚方市ある程度まとまった規模の区域である
地形的条件…道路・公園など、自治会・町内会などの組織単位
埼玉県春日部市都市計画法「用途の制限」を参考にする
道路・公園などの地形的条件や、町内会・自治会などの境界で定めるこ

協定の有効期間

有効期間に対する考え方は、地域によっても異なります。

有効期間を定めている地域もありますが(公告された日からある程度形が出来上がるまでの期間)、一般的には10年を有効期間とし、期間の終了前に過半数の権利者からの異議申し立てがなければさらに10年の有効期間が設けられます。

自動更新の条項がなければ期限が来れば失効してしまいますが、事前に更新準備をして更新をすれば再延長が可能です。

協定違反があった場合の措置

建築協定は、公告後に土地の所有者・借地権者・建築協定に該当する借主となった人が該当しますが、新しく借主や所有者になった人も効力が及びます。

もしも、建築協定の内容を知らずに建築協定違反を起こしてしまった場合や、建築協定を理解した上で協定違反をしていた場合、故意ではない場合であっても協定違反部分の撤去を請求することが可能です。

協定内で違反があった場合の措置を決めていれば、協定の内容に沿って対応します。

建築協定の運営方法

建築協定は住民の総意により協定の締結を行ないますが、協定を運営していくためには、誰がどのような方法で運営をしているのでしょうか。

運営方法は地域の住民が行う

建築協定は住民が協定を締結します。

そしてその運営を行うのも、建築協定を締結している地域住民が中心となり運営を行います。

自分達が作り上げたルールを「建築協定運営委員会」で運営していくことになります。

活動内容

運営委員会活動内容はそれぞれ異なる部分もありますが、主な活動内容を紹介します。

  • 建築計画の審査
  • 建築工事中、完了後の物件のチェック
  • 違反があった場合の措置
  • 啓発活動
  • 建築協定の更新作業 等

建築協定の変更・廃止

建築協定に変更が生じた際や廃止をする際にはどのような手続きが必要なのか解説していきます。

変更

建築協定の内容に変更等が生じる場合、以下の通りで変更を行ないます。

  1. 変更事項に対して全員の合意を得る
  2. 特定行政庁に申請する
  3. 認可を受ける
  4. 公告する

廃止

建築協定を廃止する場合、以下の通りで廃止を行うことになります。

  1. 過半数以上の合意を得る
  2. 特定行政庁に申請する
  3. 認可を受ける
  4. 公告する

一人協定とは

建築協定は1人でも定めることが可能です(分譲地の事業会社など)。

土地を区画割りして分譲する前に最初からしていしておくことができます。

ただし、その協定の効力が発生するのは、認可の日から3年以内に協定区域内の土地に2人以上の土地所有者がいるようになった時です。

それまでは、建築協定は効力がなく、3年以内に所有者がいない場合は効力がなくなります

建築協定のメリット・デメリット

建築協定にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

メリット

  • 住みやすい街づくりが可能
  • 住宅地としての環境を維持できる

デメリット

  • 自由な建築ができない
  • 土地の分割ができない
  • 小規模・低価格の住宅が供給できなくなる

まとめ

建築協定について、意味と建築協定の内容について詳しく解説をしました。

協定を締結する地域の土地所有者全員が締結内容を合意することで、生活環境の確保・維持や個性的な街づくりをすることができる制度であり、建築協定を取り決めることで、統一的な街並みを保全することができます。

建築協定はさまざまな制約があるので、これから住宅購入を考えている人は建築協定についても確認しておく必要があるので、事前の確認が必要です。

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