家の解体工事前後に行う申請手続き・届出一覧!注意点も合わせて解説

事前準備

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家を取り壊す手続きとは?不要なケースは?

家を取り壊す手続きとは?

家の建て替えなどで古くなった家などを取り壊す際は、取り壊す前と取り壊した後に手続きをする必要があります。

手続きの届け出先は、各自治体、警察署、法務局などさまざまです。それではどのような手続きがあるのか、どのような点に注意すればいいのか詳しく紹介します。

出典:大気汚染防止法が改正されました|環境省

手続きや届出が不要なケースは?

以下の4つの条件に該当しない場合は届出が不要です。

①床面積80㎡以上の建物の解体工事
②建築物の新築又は床面積500㎡以上の建物の増築
③請負代金1億円以上のリフォーム
④請負金額500万円以上の工作物の解体又は新築工事

要は、建物自体の解体というよりは、リフォームなどを行うための一部の解体の場合に限り届出が不要のケースがあるということです。

ただし、各自治体などによって条件が異なる場合もあるため、しっかり確認してみてくださいね。

家の取り壊し前に行う手続き6つ

家の取り壊しをする前には、各自治体や警察署に届け出をしたり、取り壊し工事を円滑に行うための準備をする必要があります。とくに各自治体や警察署に提出する届け出は、所定の用紙を手に入れたりと準備に時間がかかるものもあります。

こちらでは家を取り壊す前に行う手続きを6つ紹介します。時間に余裕を持って準備しておきましょう。

①役所に解体工事届け出を提出する
②道路を管轄する警察署に道路使用許可申請と道路占用許可申請を行う
③電気・ガス・回線の停止を行う
④近隣へ取り壊し工事の説明を行う
⑤アスベスト対象の家屋は特定粉じん排出等作業の実施の届出を行う
⑥家具・家電・私物の処分をする

1. 役所に解体工事届け出を提出する

平成14年から施行された通称「建設リサイクル法」により、床面積80㎡以上(約24坪)の建築物を取り壊すときには役所に「解体工事届け出」の手続きをしなければなりません。届け出は工事着工の7日前までに行う必要があります。

「解体工事届け出」の手数料は無料です。しかし届け出をしなかった場合には行政指導が入り、行政指導に従わない場合は20万円の罰則が科されます。必ず提出するようにしましょう。

出典:建設リサイクル法の概要|環境省

手続きに必要な書類

  • 届出書
  • 分解解体等の計画
  • 案内図
  • 設計図または写真
  • 工程表
  • 委任状(業者に委任する場合)

書式、用紙などは各自治体にご確認ください。

手続きの方法

取り壊し工事の「解体工事届け出」の手続きは、工事着工の7日前までに行う必要があります。各自治体の関連部署(建築課、環境課等)に提出します。

提出は基本的に工事の発注者である施主が行いますが、委任状を作成すれば家の取り壊しを行う業者に代わりに手続きしてもらうこともできます。

2. 道路を管轄する警察署に道路使用許可申請と道路占用許可申請を行う

家の取り壊しをする際に、敷地が狭くて道路に一時的に車両を停めたりして作業を行うような場合は、管轄の警察署に道路使用許可を申請する必要があります。

道路占用許可申請は、足場や工事車両などを継続的に使用して道路を占有する場合に申請します。

手続きに必要な書類

  • 道路許可申請書(2通)
  • 道路使用の場所、方法等を明らかにした図面
  • 道路使用の方法や形態等を補足するための書類(公安委員会が必要と認めた場合)

申請書類は、管轄の警察署のホームページでダウンロードできます。

手続きの方法

道路使用許可申請は、家の取り壊しを行う請負業者に申請義務がありますが、発注者が行うこともできます。

申請の手続きは管轄の警察署で行います。申請の期限はとくにありませんが、取り壊し工事前に申請する必要があるため、できるだけ早めに手続きをするようにしましょう。

3. 電気・ガス・回線の停止を行う

取り壊しをする家の電気、ガス等のライフラインを停止しておく必要があります。電気、ガスの他に、電話、インターネット、ケーブルテレビなども停止しましょう。

水道については、請負業者が取り壊しの際に使うことがあるため、事前に何を停止しておけばいいのか相談しておきましょう。

手続きの方法

停止の手続きは各業種によって異なりますが、多くの業者がオンラインまたは電話で手続きを受け付けています。

電気業者は、取り壊し前のアンペアブレーカー、メーター、引き込み線などの撤去を行うため、取り壊しの約2週間前までに申請するようにしましょう。また、ガス業者も手動でメーターガス栓などを閉める作業があるため、早めに申請手続きをしましょう。

4. 近隣へ取り壊し工事の説明を行う

家の取り壊しの工事は騒音や振動などが発生するため、事前に近隣へ取り壊し工事の説明を行いましょう。

住宅密集地などでのトラブルを防ぐために、工事前の近隣住民への説明を義務づけている自治体もあります。東京都目黒区では、10メートル以内の各戸に工事の期間、作業時間や安全、騒音対策などの説明会を開くまたは文書で説明することが条例で定められています。

請負業者が近隣住民の家を訪問して説明を行うことが多いようですが、可能であれば、施主も近隣への説明や挨拶に同行するといいでしょう。

5. アスベスト対象の家は「特定粉じん排出等作業の実施の届出」を行う

アスベストが使用されている家であれば、「特定粉じん排出等作業の実施の届出」を行いましょう。平成18年(2006年)以前に建てられた建築物には、有害なアスベスト(石綿)が使用されている場合があります。アスベストが使用されている可能性がある家屋であれば、事前に調査をして各自治に届け出る必要があります。

アスベストが含まれている場合、工事開始の14日前までに「特定粉じん排出等作業実施届出」をします。請負業者は各自治体の条例にのっとり、粉じんを飛散させないよう作業場を隔離したり、作業員が粉じんを吸い込まないよう取り壊し現場を適正に取り扱う必要があります。

6. 家具・家電・私物の処分をする

取り壊しする家にある家具、家電、私物は、取り壊し工事の前にあらかじめ撤去しておきましょう。取り壊しの請負業者に有料で撤去を依頼することもできます。

家電の処分はとくに注意が必要です。エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の家電4品目は、家電リサイクル法等に基づき処理する必要があります。

リサイクルショップに持っていく、不用品回収を依頼するなどして、早めに処分しておきましょう。

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家の取り壊し後に行う手続き5つ

家の取り壊しが終ったら、取り壊し後に行う手続きがあります。家の取り壊し後に行う手続きを5つ紹介します。こちらの手続きには法律で定められた義務であり、後々の金などに関わってくるため、確認しておきましょう。

①建物滅失登記申請を行う
②建物の相続人が建物滅失登記を行う場合
③状況に応じて代わりに家屋滅失届を行う
④状況に応じて土地滅失登記を行う
⑤工事終了後に水道の停止を行う

1. 建物滅失登記を行う

登記済みの家屋の取り壊しが終わったら、1か月以内に「建物滅失登記」を管轄の法務局に届け出る必要があります。「建物滅失登記申請」の提出は不動産登記法に定められています。

「建物滅失登記申請」をするには何が必要なのか、手続きの方法などを紹介します。

手続きに必要な書類

  • 滅失登記申請書
  • 請負業者が作成する建物滅失証明書
  • 請負業者証明書と業者の印鑑証明
  • 取り壊した家の登記簿や図面

申請書は法務局のホームページからダウンロードしましょう。また登記簿や図面はオンライン申請の場合、申請画面から検索できます。

手続きの方法

「建物滅失登記申請」の手続きは管轄の法務局で行います。マイナンバーカードを持っている人はオンラインで申請できますが、持っていない人は書面で届け出ます。委任状を作り代行してもらうこともできます。

また、登記の際の手数料は、書面かオンラインで金額が異なります。最新の手数料や管轄の法務局の場所については、法務局のホームページで事前に確認しておきましょう。

手続きの必要性

「建物滅失登記申請」は不動産登記法第57条により、建物滅失から1か月以内に申請しなければいけません。

申請を怠ると、取り壊した家屋に誤って固定資産税や都市開発税などの税金課税され続けてしまうことがあるためご注意ください。

土地の売却や新築の許可がおりなかったり、融資がおりなかったりするなどの不都合が生じることもあります。

家の取り壊しが終わったら必ず「建物滅失登記申請」の手続きをしましょう。

2. 建物の相続人が建物滅失登記申請を行う場合

取り壊した家の所有者が亡くなった場合、その建物の相続人が「建物滅失登記申請」を行えます。

その際、相続人であることを証明するための書類が必要になります。どんな書類が必要なのか紹介します。

追加で必要な書類

建物の相続人が申請をする場合、通常の申請書や必要な書類の他に、追加で書類を用意します。相続関係を証明するために、以下の書類を用意します。

  • 手続きを行う相続人本人の戸籍謄本
  • 亡くなった建物所有者の戸籍謄本または除籍謄本

さらに追加で各自治体が発行する住民票の除票などが必要なときもあるため、申請前に各自治体または法務局に問い合わせてみましょう。

手続きの方法

建物の相続人が「建物滅失登記申請」の手続きを行う方法は、通常の「建物滅失登記申請」と変わりありません。管轄の法務局に申請書を届け出ます。追加書類の戸籍謄本や除籍謄本は、各自治体の窓口で申請し交付してもらいましょう。

3. 状況に応じて代わりに家屋滅失届を行う

登記済の家屋を取り壊した場合は「建物滅失登記申請」を提出すると説明しましたが、以下にあてはまる場合は「家屋滅失届」を税務課まで提出します。

  • 未登記家屋を取り壊した場
  • 滅失登記を行わない場合
  • 「建物滅失登記申請」の手続きが家屋を取り壊した翌年以降になる場合

手続きの方法

管轄地域の税務課様のホームページなどからダウンロードして印刷し必要事項を記入して、税務課に提出してください。

4. 状況に応じて土地滅失登記を行う

滅多に提出することはありませんが、土地についても「土地滅失登記」があります。地震や台風などにより、堤防が決壊して海水が流れ込んだり土砂が流されたりして、土地が海面下に没したり河川の流水下に没したりすることがあります。こうして海面下や川底の土地となった場合は、「滅失登記」をすることになります。

しかし復旧できるものであれば、滅失したと見なされないため、「滅失登記」をする必要はありません。

手続きに必要な書類

  • 申請書
  • 印鑑証明書
  • 権利証

手続きの方法

建物の場合と同じく法務局に提出しましょう。

5. 工事終了後に水道の停止を行う

工事終了後に水道の停止を行うための手続きをします。家を取り壊す前に、電気やガスなどのライフラインの停止をしました。しかし家の取り壊し工事の際に出る塵やほこりなどの粉じん防止のため、請負業者は水をまきながら取り壊しを行います。このため水道だけは取り壊し後に停止の手続きをします。

この際、水道代はどちらが払うのかなどの取り決めを契約の際に確認しましょう。自治体によっては、取り壊し開始前に水道局への届け出が必要な場合もあるため、確認しておくといいでしょう。

相続によって家の取り壊しをする際の注意点3つ

相続で所有することになった家の取り壊しをする際は、事前に登記簿、抵当権、法定相続者の有無などを確認することが大切です。

ここでは相続によって家の取り壊しをする際の注意点を3つ紹介します。トラブルを避けるためにも必ず確認しましょう。

①相続した家を取り壊すときの注意点をわかりやすく説明する
②建物の法定相続人で家を取り壊しを話し合う
③建物の抵当権の確認をする

1. 法務局で登記簿謄本の確認をする

まずは管轄の法務局で取り壊す家の登記簿謄本の確認をしましょう。登記簿謄本にはその建物または土地の登記名義人の名前が載っています。

亡くなった方が名義人ではなく、その両親や祖父母が名義人のままになっている場合もあります。何代も相続登記をせず登記名義人が変わっていない場合は、さかのぼって相続登記をしなければなりません。

2. 建物の法定相続人で家を取り壊しを話し合う

費用のことなど取り壊しについて法定相続人同士で話し合うことが大切です。

相続した家に法定相続人が何人いるかによって、その家の取り壊しの手続きに大きな違いが出てきます。登記簿謄本を調べた際に、登記名義人が先代や何代も前になっていると法定相続人の数も増えてきます。

法定相続人が少ない場合でも、知らないうちに家の取り壊しが行われればトラブルになりかねません。取り壊しの費用や取り壊し後のことも含めて、法定相続人たちで話し合うことが大切です。

3. 建物の抵当権の確認をする

抵当権設定が付いていた場合は、抵当権者は誰なのかなどを確認しましょう。相続した建物に抵当権設定が付いている場合、抵当権者の承諾を得ずに家の取り壊しをすることはできません。

抵当権設定が付いていた場合は、まず債務の返済が済んでいるのか、抵当権者は誰なのか(金融機関か個人かなど)を確認しましょう。管轄の法務局や行政書士などに相談するのもおすすめです。

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手続きや届け出書類を怠った場合

家の取り壊し前後に手続きや届け出書類の提出を怠った場合は、科料または懲役の罰則を科せられる場合があります。

たとえば、家を取り壊す旨を各自治体に知らせる「対象建設工事」の届け出を怠った場合は、20万円の罰則が科せられます。また、人体に有害なアスベストを含む建築物の取り壊しをする際の届け出をしなかった場合、3か月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

「届け出をしなかった」「間に合わなかった」などのミスがないように事前に準備しておくことが大切です。

家の取り壊し手続きの費用を安くする方法2つ

家の取り壊し手続きにかかる費用を安く済ませることが可能です。家の取り壊しには、工事そのものの費用に加え、さまざまな費用がかかります。

手続きは工事の請負業者や行政書士などに委任をして役所などへの届け出をしてもらうこともできますが、自分で行えば委任するのにかかる手数料などの費用がかかりません。

こちらでは自分で行える紹介する手続きを2つ紹介します。なるべく費用を抑えたい方は、以下の手続きを自分で行ってみてください。

1. 道路使用許可申請と道路用許可申請を自分で行う

家の取り壊しの際、道路で作業をしなければいけない場合や作業車などを駐車して作業をする場合は、「道路使用許可」を申請します。また足場、作業車、資材などを継続して道路に置いておかないといけない場合は、「道路占有許可」を申請します。

申請は管轄の警察署で行えます。支払う手数料は警視庁の場合、2,000~2,700円程度です。オンラインでも申請できる警察署もあるため、管轄の警察署のホームページで調べてみましょう。

2. 建物滅失登記申請を自分で行う

建物滅失登記申請は管轄の法務局で自ら行えます。誰かに頼む場合は、「土地家屋調査士」の資格を持っている人に委任しなくてはいけません。家の登記簿謄本や土地建物の地図や図面の証明書なども法務局で発行できます。

建物滅失登記申請に手数料はかかりませんが、添付する登記簿や土地建物の地図などの証明書に1,000円程度かかります。こちらの申請もオンラインで行えます。法務省のホームページで確認しましょう。

家を取り壊した後の注意点3つ

家を取り壊した後、土地は更地になり、家を維持するためのメンテナンスをする必要はなくなります。しかし、そのまま土地を放置していると、さまざまな問題が起こりかねません。建物がなくなった後にはどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。家の取り壊し後に気を付けること3つを紹介します。

①固定資産税が増額される場合がある
②今後の土地活用を考える必要がでてくる場合がある
③定期的な土地のメンテナンスが必要になる場合がある

1. 固定資産税が増額される場合がある

固定資産税とは、所有している土地や建物にかかる税金のことです。土地や建物の価値によって金額が変わってきます。固定資産税は土地に建物が建っている場合は、特例措置として減税の対象になります。200㎡以下の土地建物に関しては、課税額の6分の1です。

家を取り壊した後の土地をそのままにしていると、この減税措置が適用されずに、今までの6倍の固定資産税を払うことになる場合があります。さらに都市計画法の範囲にある土地には、都市計画税も同様に課税されるため注意が必要です。

2. 今後の土地活用を考える必要がある

家を取り壊した後の土地について、今後どうするのかを考えることはとても大切です。更地にした土地であっても、固定資産税がかかります。そのため、そのままにするのか、新しく家を建てるのか、駐車場にして副収入を得るのか、売却するのかなど、家族や法定相続人と話し合う必要が出てくるでしょう。

3. 定期的な土地のメンテナンスが必要になる

家を取り壊した後の土地をそのまま放置しておくと、雑草が生えたり、ごみの不法投棄などの問題が出てきます。これらのトラブルを防ぐためには、定期的な土地のメンテナンスが必要になります。草むしりやフェンスの設置・補修などに時間と労力もかかる他、土地が遠方にあるような場合には交通費なども加味する必要があります。メンテナンスや土地の管理を業者に頼むことも可能ですが、経済的負担が大きくなる場合があります。

家の取り壊しに必要な手続きを理解しよう

家の取り壊しに必要な手続きや注意点などを紹介してきました。手続きや届け出には決まった書類や書式、提出期限を守る必要があります。違反をすると罰則などを科せられるだけでなく、家の取り壊しそのものができなくなったり、遅延する可能性も出てくるでしょう。

すべてを請負業者などに頼んでしまうこともできますが、手続きを理解しているといないとでは料金の交渉や、工事後のアフターケアなどの際に違いが出ます。家の取り壊しに必要な手続きを十分理解し、安心安全でスムーズな家の取り壊し工事ができるようにしましょう。

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