付帯工事の費用、相場、内訳などについて詳しく解説します。曖昧にしがちな付帯工事の判断基準、価格を安くする方法についても説明!家の建てる際、付帯工事を業者へ依頼する際に知っておくべきことも紹介するので、ぜひ参考にして下さい。
付帯工事の意味や費用相場を知りたい!
この記事では、付帯工事の意味やその費用相場について解説します。 建設業における付帯工事とは、家など建物本体とは別にする工事のことです。付帯工事の内訳はさまざまですが、例えば、水道管工事、地盤改良などがそれに当たります。
建造物がある状態で取得した土地なのか否か、また地盤の状態、工事の内訳などによって費用相場も変化するでしょう。付帯工事費用の大体の相場は、内訳にもよりますが平均で工事費用全体の10%~15%前後だといわれています。
付帯工事とは?
付帯工事の言葉の意味
家など建設工事を受注する際、基本的に行政の許可が必要です。許可なしで工事を請け負うと、違法行為に該当することがあるので注意しないといけません。
基本的に500万円以下の工事であれば、行政からの許可は必要なく開始することができます。このように規模や金額の小さい工事のことを「軽微な建設工事」と呼ぶので、その言葉と意味を覚えておきましょう。
また、許可が不要な工事の種類がもう一つがありますが、それを「付帯工事」と呼びます。付帯工事の意味と仕組みをよく理解して活用しましょう。そうすれば行政への申請作業の負担が減り、多くの仕事を受注できる可能性が広がるでしょう。
付帯工事に許可がいらない理由
例えば、防水の工事をするとします。防水工事をするには足場をセットしなければいけません。このケースでは、主要な工事は防水工事であり、足場のセットが付帯的な作業、つまり「付帯工事」に該当します。なぜこの付帯工事には、行政の許可が不要なのでしょうか。
付帯工事に許可が不要な理由は、規制を多少緩和することで行政申請の業務を負担を減らすことができるからです。
足場を組むなど軽微の作業だけで毎回許可を得る必要があると、業者の負担は増してしまい、ビジネスチャンスを逃しかねません。よって、メインの工事に付帯する軽微の工事は、許可なく工事ができることになっているのです。
付帯工事の判断基準
付帯工事に該当するかどうかは勝手に決められるものではなく一定の基準があるので、正しく意味を理解する必要があります。
付帯工事かどうかの判断基準になる要素は3つです。1つ目は、その工事形態の慣習を尊重し、付帯工事として一体化した方が発注者と受注者の両方にとって好ましいか、総合的に見て判断すること。
2つ目は、付帯工事の費用事体が主要の工事の費用よりも低くあること。3つ目は、主要の工事に付帯して実施される工事であることです。
要するに、単独の工事として独立しているのではなく、全体で1つの工事として見られるかどうかが付帯工事の判断のポイントになります。
付帯工事となるケース
建設工事を施工する結果として必要となる場合
ある工事を実施する際に、同時にその工事に必然となる工事のケースは、付帯工事です。例を挙げると、エアコンを設置する工事の際、同時に熱絶縁工事をします。
この場合、主たる工事はエアコンの設置になりますが、熱絶縁工事は冷暖房が十分機能するようにするため必須です。この際、熱絶縁工事の許可を得なくてもこれら一連の工事を受注することができます。
建設工事を施工するために必要となる場合
主要な工事を実施するために必須となるケースは、付帯工事です。例を挙げると、配線工事を実施する際の内装工事です。この場合、配線工事が主要な工事に該当しますが、そのために壁を一度剝がしたりしないといけません。
こういった工事は主要目的を達成するために避けて通れない必須の作業なので、附帯工事として認められ、一括で受注することができるでしょう。
付帯工事と認められないケースは?
付帯工事として認定されないケースとは、主要の工事全体の一環として行う必要がなく、全く別の独立した工事と考えられる場合の意味です。
例を挙げると、エアコンを設置する工事をする際、そのエアコンとは別の機械の工事も一緒に実施する場合、全く別の工事と考えられるでしょう。
発注者の希望がそうであったとしても、主要の工事から大きく外れたものは、付帯工事とは認められないのです。
家を建てる際に発生する付帯工事などの費用相場
費用相場①本体工事費
本体工事費とは、建物本体の工事にかかる費用を指します。ここでの建物本体の費用とは、基礎の工事から骨組み、内装や外装、設備も全て含んだ全体の費用の意味です。
なお、この本体工事費には、本体とは直接関係のない駐車場や庭等の費用は含まれません。本体工事費は相場は、 内訳にもよりますが平均で全体の費用の70%〜80%前後といわれています。
費用相場②付帯工事費
付帯工事費とは、建物の本体とは別にかかる付帯工事の費用の意味です。例を挙げると、庭、フェンス等の外構工事、水道工事、リフォームの解体費、地盤改良などがあります。これらの作業は建物本体の受注会社とは別で、より専門性の高い業者にかかる費用です。
付帯工事費の相場は、費用の中でも本体工事費に次いで高いです。 内訳にもよりますが平均で費用全体の15%〜20%前後だと考えておきましょう。
費用相場③諸費用
諸費用とは、登記、ローンや保険等にかかる費用、地盤調査費、不動産や固定資産にかかる税など工事以外に発生する諸々の費用のことを指します。諸費用は、 付帯工事の内訳にもよりますが平均で費用全体の5%~10%前後だと考えておきましょう。
費用相場④その他
付帯工事以外、その他の費用とは、例えば電話やインターネットの回線工事、引っ越し等にかかる費用などがあります。
引っ越しの費用は各家庭の規模により金額が大きく変わるので一概にはいえませんが、事前に引っ越し業者に相見積もりを取るなどし、必要な予算を確保しておきましょう。
付帯工事の内訳の見方
内訳①外構工事費
外構の意味は、庭、駐車場、フェンスなど建物本体の周りの部分のことを指します。これらも付帯工事に該当し、外回りの費用ともいうので覚えておきましょう。
外構工事の費用は内訳や規模によって大きく変動するので何ともいえません。建物本体とのバランスをよく考え、予算を確保しましょう。
内訳②建物解体・伐採費
取得した土地が更地でない場合、古い既存の建物を解体、植物等の伐採をする費用が必要になります。これも付帯工事に該当します。
解体費用の相場は、 内訳にもよりますが平均で1平方mあたり約1万円だと考えておきましょう。ただし、こういった相場は時期によって変化するので、複数の業者に問い合わせて相見積もりをとった方がよいです。
内訳③地盤改良工事
家を建設する前の地盤調査の結果がよくなかった場合、地盤の強化するための費用が発生します。これも付帯工事に該当します。その場合、専門家と一緒になって地盤改良の工事を進めていくことが一般的です。
内訳④引き込み工事
ガス菅、水道菅、ケーブルテレビ、インターネット回線等を敷地内に引き込むため工事を指します。これも付帯工事に該当します。その地域によって負担金が変わるので、その地域の自治体に確認してみましょう。
内訳⑤敷き設工事・屋外電気工事
敷き設工事とは、敷地に引き込んだ ガス菅、水道菅、ケーブルテレビ、インターネット回線等を家の内部に引き込むための工事のことです。これも付帯工事に該当します。
屋外電気工事とは、家の屋外の照明等の工事のことを指します。この工事のためには、屋外の配線工事が必要になるでしょう。
内訳⑥照明器具工事費
本体工事費とは別にかかるリビング、寝室などの照明器具の工事費用を指します。これも付帯工事に該当します。ただし、洗面所、風呂場など水回りの照明については、本体工事費に内包されることが一般的です。
水回り以外の照明は後でも簡単に変えられるので、まず水回りの照明を自分に合った形に予算の範囲内で決めましょう。
解体工事における付帯工事の種類
種類①庭木や庭石の撤去
庭木や庭石の撤去も付帯工事に該当しますが、これらにも費用がかかります。庭木は、木の大きさや数により金額が変動しますが、 平均で1本につき1万円前後だと考えておきましょう。
また、根から抜く抜根と呼ばれる作業であれば、 平均で5万円以下くらいになります。庭石の撤去の場合、 内訳にもよりますが平均で1tにつき1万円前後です。
種類②ブロック塀や門扉の撤去
ブロック塀の撤去も付帯工事に該当しますが、これらについては1平方mにつき、 平均で2,000~3,000円前後といわれています。撤去した後の廃棄物がその料金に含まれるかどうがは、業者に確認しましょう。
家を囲っているフェンスや門戸の撤去にも費用が掛かり、同じく付帯工事に該当します。これらを撤去するとき、根の基礎部分から取り除くのか、地上以上の表面だけを撤去するのかをまず決めます。
それによって多少金額が変化するでしょう。 内訳にもよりますが平均で2万円前後で収まるといわれています。
種類③残置物の処分
工事の後に発生する残置物の処分にも費用が掛かります。これも付帯工事に該当します。解体業者に事前に相談しておけば、付帯工事として作業してくれることが多いです。一般的には、 内訳にもよりますが平均で1平方mにつき8,000~1万円前後で済みます。
工事後の廃棄物の量を多く出さずに費用を抑えたいのであれば、工事の事前に自分でできる分だけの物を処分するようにしましょう。
種類④駐車場施工
建物の解体後の土地利用の方法の一つとして、駐車場にすることがあります。駐車場を作ることも付帯工事として認められるでしょう。 駐車場の施工方法は複数ありますが、全て費用が異なります。
安い順に並べると、コンクリート、アスファルト、砕石になるのが一般的です。運搬費や作業費など、どこまで費用に含まれるかは各業者によって異なりますので、問い合わせてみましょう。
付帯工事の注意点
注意点①500万円以上の施工には技術者が必要
付帯工事では、専門の技術者は必要ありませんが500万円以上の費用がかかる工事をする場合、2つのうちいずれかを選択しなければなりません。
一つは、主任技術者または監理技術者を自社で用意し、施工する。もう一つは、その分野で許可を取得してる業者に下請けで発注することです。
500万円以上の付帯工事を自社のみで実施できるのであれば許可はいりませんが、専門の技術者を自社で用意する必要があります。
また、そういった専門の技術者を自社で用意できないのであれば、既に許可を得ている他の業者に下請けとして発注しないといけません。この「専門技術者」になるには資格や試験などはなく、最長10年の実務経験があれば自称できます。
ただし、消防や電気工事を付帯工事として行う場合、これらの原則が当てはまらないことがあるので、確認しましょう。主任技術者、監理技術者は、資格の要件に当てはまっていれば兼任することもできます。
注意点②管理責任者に必要な「工事の実績」にならない
どの分野でも技術者となるには実務経験、実績が必要となりますが、付帯工事の場合はその分野の実績として認められません。あくまで補助的に行った作業に過ぎず、アルバイト経歴のような認識に近いです。
注意点③下請けに出す工事が丸投げとならないようにする
専門の技術者を自社で用意できない場合、他の許可を得ている業者へ下請けとして、付帯工事を発注することがあります。ただし、発注する業者に丸投げにしてはいけません。
丸投げ=独立した別の工事とみなされ、付帯工事とは認められない場合が発生してしまう可能性があるからです。そうなれば違法行為になりかねないので、注意しましょう。
付帯工事の費用相場や内訳への理解を深めよう!
建設業や付帯工事の仕組みをよく理解すれば、負担の少ない許可申請で多くの仕事を受注でき、ビジネスチャンスが広がります。
500万円未満の軽微な工事は、建設業の申請許可が必要ありません。また付帯工事では、500万円以上の工事であっても建設業の許可が必要なく実施することができます。
その際の注意点は、主任の技術者を用意すること、下請け業者に完全に丸投げしないようにしてください。付帯工事かどうかの判断を自分の都合よく判断すると、後でトラブルになりかねません。業者や行政の建設業関係部門に事前にするのがよいでしょう。