アスベスト含有建材の見分け方を解説します。アスベストが含まれる屋根や壁の建材、法律の変遷について紹介!吹き付けアスベストの見分け方も要チェックです。老朽化した建物を解体する際に重要な、アスベストの見分け方を参考にしてください。
アスベストの危険性や見分け方を知りたい!
アスベストの危険性や見分け方について解説します。ニュースでもたびたび取り上げられるアスベストですが、人体にどういった影響を与えるのでしょうか?
また、アスベスト含有材の見分け方を知ることで、解体工事のときの危険性を軽減しましょう。アスベストの除去方を参考にして、解体工事を行ってください。
アスベストの特徴と危険性
一般住宅用の建材として使用されていた
アスベストは代表的なものとして、3つの種類があります。白石綿、青、石綿、茶石綿の3つです。青石綿と茶石綿は1995年に製造も使用も禁止、白石綿は2004年10月から禁止になりました。
アスベストは鉱石が繊維状に変形した綿で、建材や断熱材に混ぜ込むことで使用されていたのです。また、建材だけでなく自動車や家庭用品などさまざまな部分で使用されました。そのため、アスベストは「奇跡の鉱石」や「夢の材料」と呼ばれていたのです。出典:アスベスト対策Q&A(国土交通省)
アスベストにはさまざまな健康被害を起こす危険性がある
大量に使用されていたアスベストですが、次第にその危険性が確認されるようになりました。アスベストは、建材に使われているだけでは、必ずしも健康被害につながるわけではありません。
その理由は、アスベストはセメントや合成樹脂で固められているからです。しかし、解体工事や建材の劣化によって、アスベストの粉塵が飛散すると危険性が高まります。アスベストの粉塵が肺に吸い込まれ、健康被害の原因になるのです。
代表的な健康被害は、石綿肺、肺がん、悪性中皮腫です。また、症状が現れるまで長い時間がかかるのも特徴なので、解体工事に関わっている人は定期的に検査を受けましょう。出典:アスベストによる健康被害について(茨城県)
アスベストの処理を行うには資格が必要となる
アスベストの処理には、資格が必要です。アスベスト診断士、特別管理産業廃棄物管理責任者、石綿作業主任者などが該当します。資格が無い業者が処理するのは、違法なので注意しましょう。出典:建築物石綿含有建材調査者講習(厚生労働省)
アスベスト含有建材の見分け方
アスベストは建物のどのような場所に使われている?
アスベストは建物のさまざまな部分に使われています。外壁や屋根、軒天断熱材、内装です。特に外壁や内装などは、複数の建材にアスベストが含まれていたのです。
見分け方①住宅の建築時期で見分ける
では、どのようにアスベストの見分ければいいのでしょうか?基本的に、法律などが改正された2007年以降の建物であれば安全です。アスベストは目で見ても分かりにくいので、建設時期を確認し、設計図書を見ましょう。
アスベストに関する法規の変遷
改正された年 | 改正法規 | 概要 |
---|---|---|
1975年(昭和50年) | 労働安全衛生法施行令 | 含有率5%を超える吹き付けアスベストの使用禁止 |
1995(平成7年) | 労働安全衛生法施行令 | 青石綿および茶石綿の製造等禁止 |
同年 | 特定化学物質等障害予防規則 | 含有率1%を超える吹き付けアスベストの使用禁止 |
2004年(平成16年) | 労働安全衛生法施行令 | 石綿含有建材など10品目が製造等禁止 |
2006年(平成18年) | 労働安全衛生法施行令 | 代替が困難な一定の適用除外製品等を除き、石綿0.1%重量%超の製品の全面禁止 |
2021年(平成24年) | 労働安全衛生法施行令 | 石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべての物の製造等が禁止 |
こちらがアスベストに関する法規の変遷です。危険性が認知されたことで、どんどん厳しくなり、特に2006年の変更は厳しい変更でした。同時にアスベスト被害者に対する、保障も進んでいます。
見分け方②使用されている外壁(屋根)材で見分ける
アスベストの見分け方として、外壁や屋根を確認する方法があります。外壁や屋根で使われる建材で、建築用仕上げ塗装材、建築用下地調整塗材、石綿含有金属系サイディング、繊維強化セメント板に注意です。
屋根のストレート、セメント瓦にアスベストが含まれていることが多く、2004年より前が該当します。建材の商品名などを仕様書から確認し、メーカーに相談しましょう。
見分け方③専門業者に調査を依頼する
仕様書などを確認して、気になる点がある場合は専門業者に調査依頼をしましょう。建替えの際に断熱材や建材などからアスベストが飛散してからでは遅いです。トラブルが起きないように相談することをおすすめします。
見分け方④指で剥ぎ取って酢をかけてみる
吹き付けアスベストの場合、ある簡易的な見分け方があります。外壁や屋根、断熱材などを指で剥ぎ取り、指先でコロコロと転がしてみましょう。通常は粉々に砕けて粒状になりますが、アスベストが含まれていると繊維の状態を維持します。
また、同じように指で剥ぎ取ったものに酢をかけましょう。通常は酢の酸の効果で建材が溶け始めます。しかし、アスベストが含まれている場合は、酢を吸収してゲル状に変化するのです。
あくまで簡易的な見分け方ですが、ニトリで販売されて問題になった、珪藻土のバスマットなどのチェックにも使えます。アスベスト、ロックウール、グラスウールの見分け方として利用してください。
アスベストを除去する方法
除去工法を活用する
アスベストを除去する場合、除去工法を活用することになります。これは、アスベスト含有建材を取り除く方法で、リムーバル工法とも呼ばれる方法です。
囲い込み工法を活用する
アスベスト含有建材を板状材料等で覆い隠すのが、囲い込み工法です。カバーリング工法とも呼ばれ、飛散防止対策の一つとして利用されます。
封じ込め工法を活用する
アスベスト層に薬剤を含浸、または造膜材を散布して固着・固定化するのが、封じ込め工法です。こちらは、エンカプスレーション工法と呼ばれます。囲い込み工法と封じ込め工法が、建物の解体時にアスベストを除去するために使われる方法です。
アスベストの見分け方を覚えておこう!
アスベストの見分け方について解説しました。2007年以前に建設された建物に含まれている可能性があります。外壁や断熱材など、解体作業のときは専門家に相談することがおすすめです。
吹き付けアスベストは、指や酢を使った方法で簡易的な見分け方ができます。しかし、建物の解体では仕様書などを確認し、適切な解体作業を行ってください。健康に大きな被害をもたらすアスベストに注意し、取壊しを行いましょう。