空き家でも火災保険に加入できる?オーナーが抱えるリスクも調査

解体工事

空き家でも火災保険に加入できるのか気になるポイントをまとめました。空き家のリスクに備えるために必要な、火災保険のおすすめや相場についても詳しく解説しています。火災保険に契約する際の注意点や、保険料を抑える方法も参考にしてください。

空き家でも火災保険に加入できる?オーナーが抱えるリスクも調査

空き家でも火災保険に加入できるのか知りたい!

放置された空き家は多くのトラブルの温床となるため、社会全体の問題として深刻化しています。特に放火リスクが高いため、空き家であっても火災保険に加入することはメリットがあるといえるでしょう。

本記事では、空き家の放火リスクについて取り上げ、火災保険に加入するためのポイントや相場について解説していきます。火災保険に加入する際の注意点や、おすすめの火災保険も紹介するので参考にしてください。

空き家でも火災保険に加入できる?

高齢化によって年々増加している空き家は、放火や倒壊のリスク大きいことから社会的な問題となっています。もしも空き家オーナーになってしまったら、火災保険に加入すべきなのでしょうか?

空き家の状態によって加入の可否は異なる

転勤や相続など、空き家オーナーになる理由はさまざまです。空き家だから火災保険に入らなくても良いのでは、と考える人も多いでしょう。しかし、空き家は放火や倒壊のリスクが大きいため、火災保険に加入するのがおすすめです。

しかし、空き家はどのような用途で使用されているかによって、保険料が変わります。建物には、住むための専用住宅・共同住宅、一部を店舗や事務所にしている併用住居、事務所や店舗として使用している一般物件があります。

そのため、火災保険加入を検討する際は、空き家がどのような用途で認定されているか確認しましょう。転勤で数年だけ空き家にする場合や別荘の場合は、専用住宅と同じ保険に加入できる場合が多いようです。

それ以外の場合は、保険会社によって扱いに違いがあり、一般物件と同様の扱いになることもあります。また、保険会社によっては、加入そのものを断られるケースもあります。

地震保険への加入を断られる場合もある

空き家が一般物件扱いになった場合、地震保険への加入はできません。なぜなら地震保険は、生活を再建するために必要だからです。そのため、地震が原因で起きた火災や壊れた家財には、保険金が出ないので注意しましょう。

万が一、地震や災害で空き家が倒壊すれば、解体や後片付けに費用がかかります。空き家オーナーになる場合は、そのようなリスクにも備えておくことが必要です。

空き家のオーナーが抱えるリスク

空き家オーナーは、放火以外にも多くのリスクを抱えることになります。どのようなリスクがあるのか詳しく解説します。さらに、損害賠償の相場や範囲も併せて見ていきましょう。

最も注意したいリスクは「放火」

空き家オーナーになった場合に、最も懸念しなければいけないのが放火のリスクです。放火及び放火疑いによる火災は、全国の火災原因のトップを占めています

放火を防ぐには、放火されにくい環境を作ることが大切です。しかし、空き家は放置されているため、放火されやすい環境になっています。

全国の出火件数は年間44,000件を超えており、1日で換算すると120件もの火災が起きていることになります。そのため、火災のリスクは決して他人事とは考えない方がいいでしょう。

さらに、地震や災害、老朽化による家屋の倒壊、飛散によって被害が出た場合も、空き家の持ち主が損害責任を負うことになります。このように、空き家オーナーには放火以外にも多くのリスクがあることを知っておきましょう。

放火された場合は損害賠償責任が発生する?

放火であっても、空き家の持ち主が損害賠償を支払わなければならないのでしょうか?民法709条によると「加害者に故意または過失がある場合に、被害者が加害者に対して損害の賠償を請求できる」としています。

しかし、その例外が失火責任法です。失火責任法によると「失火により他人に損害を与えた場合は、重過失がある場合のみ損害賠償責任を負い、軽過失の場合は損害賠償責任を負わない」としています。

簡単に説明すると、重過失(有害な結果を予見できたのにわずかな注意を怠ること)がある場合にのみ損害賠償の責任が発生するということです出典:民法の過失責任の原則の例外・失火責任法をわかりやすく解説(リラックス法学部)

失火責任法が不利に働くケースもある

失火責任法は、狭く木造住宅が密集している日本ならではの法律といえます。失火者は、重過失でない限り損害賠償責任を負わなくて済みます。

しかし逆をいえば、近隣で火災が発生し自分の空き家が被害を受けた場合も、重過失でない限り損害賠償を請求できないということです。そのため、被害を受けた場合でも、自身で修繕や解体などにかかる費用を用意する必要があります。

空き家の火災による損害額と範囲

空き家でも、火災が発生すると損害は少なくありません。家財の損失の相場は、場合によっては数百万円程度になります。焼け跡の残骸処理や解体処理の相場は、数十万円から数百万円と幅があります。

特に注意したいのが、固定資産税率です。空き家が空き地になると、税金の優遇処置から除外されます。その結果、固定資産税率は6倍に増えるので、注意しなければいけません。

延焼等による第三者への損害賠償の相場

たとえ放火であっても、空き家の管理が悪かった場合は、責任を問われる可能性があります。延焼による損害賠償の相場は、1件につき数百万円にも及ぶようです。金額はあくまでも相場ですので、一概はいくらとはいえません。

火災保険に加入したくても、管理状態が悪い場合は、加入そのものを断られるケースもあります。空き家の管理ができない場合は、空き家管理サービスの利用も検討しましょう。

漏電による火災の恐れも

放火以外にも火災の原因は多々ありますが、老朽化が進んでいる空き家ならではのものとして、漏電が挙げられます。配線が劣化していたり、ネズミなど野生動物がかじったり、ということで漏電し、火災につながることもあるのです。

自然災害による破損・崩壊も考えられる

家屋というものは、人が住んでおらず掃除や換気が行われないと、想像以上に劣化が激しく進みます。傷んだ家屋はもろくなり、通常の家屋では十分耐えられる風雨でもダメージを受けてしまい、壁が剥がれたり屋根が崩壊したりということにもつながります。

火災保険は、こういった自然現象による被害も補償してくれるものがあり、火災以外の原因で空き家に何かあったときにも保険に入っていることで安心できるでしょう。

空き家の火災保険料に関するポイント

火災保険の必要性がわかったところで、次に気になるのが保険料です。保険料は、空き家の状態やプランによってそれぞれ違います。ですが、保険料を決めるルールはあるので、火災保険料が決まる要素を知っておきましょう。

火災保険料が決まる要素

火災保険料は、「補償範囲」「保険期間」「補償金額」の3要素で決まります。補償範囲とは、補償対象が空き家のみなのか、家財道具も含めるのかその範囲のことです。火災保険には、水害、台風、ひょうなどの自然災害、盗難なども補償範囲に含まれているものもあります。

補償金額は、災害などに遭った時に支払われる保険金の上限です。保険期間は、物件の保険対象期間を指します。

火災保険料を抑える方法

火災保険に加入する際は、保険料を少しでも抑えたいところです。しかし、気をつけないと、いざというときに保険金が下りないケースもあります。そのため、空き家の状況を踏まえながら保険会社に相談しましょう。

保険料は、補償上限を引き下げることで下げることができます。さらに、保険期間を短くすることで、保険料を下げることができます。

家財がない場合は補償範囲を絞り、家財補償を外すことも有効です。しかし、家財が無いということで、住宅物件とはみなされない場合もあるので注意が必要です。

空き家で火災保険を契約する際の注意点

空き家には多くのリスクがあるため、火災保険の加入は必須といえます。空き家で火災保険を契約する際は、3つのポイントに注意しましょう。

注意点①空き家の現況を定期的に把握しておく

火災保険に加入する前に、しっかりと空き家の状況を把握しておく必要があります。空き家がどのような状態なのか、家財はどの位あるのかで保険料は変わります。

家屋がどのくらい老朽化しているか把握しておくことで、倒壊や飛散のリスクも減らすことができるでしょう。保険会社に適切な見積もりをしてもらうためにも、空き家の状況は定期的に把握しておきましょう。

注意点②空き家の維持や管理の方針を決めておく

空き家の維持や管理方法を、家族間でしっかり話し合っておく必要があります。空き家は所持することで多くのリスクを抱えることになり、時間が経つほど老朽化していきます。

いずれ売却するのか、家族の誰かが住むのかによっても管理方法は変わるでしょう。今後、空き家をどのように取り扱うのかによって、保険期間などプランも変わります。

注意点③見積もり内容を比較して保険会社を決める

火災保険を契約する場合は、複数社に見積もりを依頼しましょう。複数見積もりを依頼することで、保険料の相場もわかります。

1社に契約を断られても、違う保険会社では契約できるかもしれません。空き家の火災保険契約は条件が厳しいので、保険料を抑えるためにも相場を把握しておきましょう。

空き家でも加入できるおすすめの火災保険

空き家でも加入できる、おすすめの火災保険を紹介します。条件によっては加入できない場合もありますが、選択肢のひとつとしてチェックしておきましょう。

損保ジャパン ビジネスオーナーズ(一般物件用)

  1. 火災
  2. 落雷
  3. 破裂・爆発
  4. 風災・雹災・雪災
  5. 建物外部からの物体の衝突・飛来
  6. 給排水設備の事故等による水漏れ
  7. 騒擾およびこれに類似の集団行動等
  8. 盗難による盗取・損傷・汚損
  9. 水災+休業損失

損保ジャパン

損保ジャパンの、企業向け一般物件用の火災保険です。保険対象は建物、設備や什器、商品、製品などで、契約プランは基本補償がセットになったものしかありません。財物損害リスクの補償に加え、休業損失リスクも補償してくれる、おすすめの火災保険です

AIG損保 企業財産包括保険

  1. 火災、落雷、破裂・爆発
  2. 風災・雹災・雪災
  3. 水災
  4. 電気的・機械的事故
  5. 不測かつ突発的な事故

AIG損保

AIG損保の火災保険の保険対象は、建物のみです。契約プランは基本補償①のみ必須で、他の補償は選択式です。

あいおいニッセイ同和損保 タフビズ事業活動総合保険

  1. 火災、落雷または破裂・爆発
  2. 風災・雹災・雪災
  3. 水漏れ
  4. 騒擾およびこれに類似の集団行動等
  5. 航空機の墜落、車両の衝突等
  6. 建物の外部からの物体の落下、衝突等
  7. 盗難
  8. 水災
  9. 電気的・機械的事故
  10. 不測かつ突発的な事故

あいおいニッセイ同和損保

次におすすめする火災保険は、保険対象は建物と家財で、4つの契約プランから自身に合ったプランを選ぶことができます。基本補償も幅広いので、しっかりカバーしたい人におすすめです。

チャブ保険 企業財産総合特約付普通火災保険(一般物件用)

  1. 火災
  2. 落雷
  3. 破裂・爆発
  4. 風災・雹災・雪災
  5. 物体の落下、飛来、衝突、接触、倒壊等
  6. 水漏れ
  7. 騒擾およびこれに類似の集団行動等
  8. 盗難
  9. 水災
  10. 電気的・機械的事故
  11. 不測かつ突発的な事故

CHUBB損害保険株式会社

次におすすめするのが、チャブ保険の企業向け火災保険です。保険対象は建物と商品で、3つの契約プランから選ぶことができます。

東京海上日動 企業総合保険(財産補償条項)

  1. 火災、落雷または破裂・爆発
  2. 風災・雹災・雪災
  3. 水漏れ
  4. 騒擾およびこれに類似の集団行動等
  5. 車両・航空機の衝突等
  6. 建物の外部からの物体の衝突等
  7. 盗難
  8. 水災
  9. 電気的・機械的事故
  10. その他偶然な破損事故等

東京海上日動

東京海上日動の火災保険も、空き家におすすめです。保険対象は建物と商品で、6つのプランから選ぶことができるのもおすすめポイントです。

楽天損保 ビジネス総合保険

  1. 火災
  2. 落雷
  3. 破裂・爆発
  4. 風災・雹災・雪災
  5. 水災
  6. 給排水設備に生じた事故または他人の戸室で生じた事故による水漏れ
  7. 騒擾・集団行動・労働争議に伴う暴力または破壊行為
  8. 破壊行為
  9. ガラス損害
  10. 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突等
  11. 盗難
  12. 建物内における現金・預貯金証書の盗難
  13. 不測かつ突発的な事故

楽天損害保険株式会社

楽天損保の企業向け火災保険は、保険対象が建物のみです。さらに、契約プランは上記の基本補償がセットになったものしかありません。臨時費用保険金、損害防止費用など、費用補償も自動セットされます。

共栄火災 普通火災保険

  1. 火災
  2. 落雷
  3. 破裂・爆発
  4. 風災・雹災・雪災
  5. 臨時費用
  6. 残存物取り片付け費用
  7. 失火見舞費用
  8. 地震火災費用
  9. 修理付帯費用
  10. 損害防止費用

共栄火災

共栄火災の企業向け火災保険は、建物と家財が保険対象です。契約プランは一般物件用の、基本補償全てセットのみとなっています。失火見舞金費用や地震火災費用も含まれている、おすすめの火災保険です。

セコム損保 企業財産の保険(安心ビジネスプラン)

  1. 火災、落雷、破裂・爆発
  2. 風災・雹災・雪災

セコム損害保険株式会社

セコムの火災保険は、基本補償が全てセットになったプランしかありません。保険対象は建物、設備・什器、商品・製品等、屋外設備・装置、収容動産、野積みの動産です。その他、失火見舞費用保険金損害防止費用などが自動セットされます。

空き家のリスクを回避するには火災保険への加入が必要!

空き家は、誰も住んでいないからといって放置していい訳ではありません。定期的に管理しないと放火や、地震、災害による倒壊などのリスクにさらされます。

火災保険料は空き家の状態によっても変わるので、複数社に見積もりを依頼して相場を把握しましょう。保険加入が必要な場合は、紹介したおすすめの火災保険もぜひ参考にしてください。

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