90坪の家の解体費用はどのくらいかかる?
木造90坪の一軒家を解体する場合の相場は、約190万円~260万円強と言われています。この解体費用には、撤去費用と整地費用も含まれます。
相場の幅が大きいのは、地域によって平均坪単価が違うためです。
大都市圏では廃棄物の処分にかかる費用、人件費などが他よりも高くなりがちです。人件費が高い理由は、給与相場の違いだけではありません。住宅の立地により、工事に必要な人数や日数が増えることも関係しています。
解体費用は坪単価で計算する
解体費用は坪単価の合計+付帯工事費で決まります。一坪あたりの単価に延床面積をかけて算出した金額が、建物の解体費用です。解体する現場により内容が異なるため、付帯工事費は坪単価に含めず別に計算されます。
では、解体費用を計算するにあたって、気をつけるポイントを紹介していきます。
坪単価は解体業者によって違う
解体費用の坪単価は、木造であれば約3~5万円/坪、鉄骨造であれば約4~7万円/坪、鉄筋コンクリート造であれば約6~8万円/坪が一般的な相場です。
しかし、広さや築年数、階数や地下の有無、使われている建材によってはコストが余計にかかる場合があり、坪単価が上がる可能性があります。また、解体業者によっても坪単価が異なるため、相見積もりを取って比較することが重要です。
解体する家の延床面積を調べる
解体費用を算出するためには、解体する家の延床面積を調べましょう。
延床面積とは各階の床面積の合計で、手元に建物の平面図があれば確認することができます。平面図がない場合は、法務局で登記簿謄本を取得することで確認できます。
正確な延床面積を知ることで、解体業者からの見積もりに間違いがないか確かめることもできるでしょう。
【種類別】建物90坪の解体費用
90坪の建物の場合、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造それぞれにおいて、どのくらいの解体費用がかかるのでしょうか。
業者や建物の条件によって異なりますが、一般的な相場を紹介していきます。
鉄筋コンクリート造住宅
鉄筋コンクリート造の坪単価は一般的に約6~8万円のため、90坪の建物になると約540万~720万円になります。
鉄筋コンクリート造は他の構造と比べ強固な造りのため、特殊な工法を用いて解体する必要があります。また、柱と梁を構造体とするラーメン構造と、壁面と床面が構造体となる壁式構造があり、構造によって費用が異なる場合があるため注意が必要です。
鉄骨住宅
鉄骨造の坪単価は一般的に約4~7万円のため、90坪の建物になると約360万~630万円になります。
鉄骨造には軽量鉄骨造と重量鉄骨造があり、使用する鉄骨の厚みに違いがあります。重量鉄骨造の方が鉄骨に厚みがあるため、解体する手間や処分費がかかり割高になるでしょう。
木造住宅
木造の坪単価は一般的に約3~5万円のため、90坪の建物になると約270万~450万円になります。
しかし、木造の場合は建物が大きくなると坪単価が安くなる傾向にあります。
これは、廃棄物の処分などは建物の大きさにより量が増えるため、比例して処分費用も増えますが、人件費や重機の利用料などは余程大きな規模の建物にならない限り大幅に変わらないため、坪単価にすると延床面積が大きいほど経費が割安になるためです。
解体工事にかかる費用例
90坪の一軒家の解体費用に影響を与えるのは、地域や構造の違いだけではありません。解体の仕方や家の周辺環境など条件によっても費用は変わります。
ここでは、どのようなものが解体費用に含まれるのか内訳を見ていきます。見積もりに含まれる可能性のある項目をチェックしてみましょう。
足場の設置費用
解体工事では、高所での作業のために足場を設置する必要があるでしょう。足場にはくさび足場や枠組み足場、単管ブラケット足場などさまざまな種類があり、建物の大きさや足場を設置するスペースに合わせて選びます。
足場の種類や建物の大きさ、業者によっても異なりますが、一般的な住宅の解体で使われるくさび足場は約800~1,200円/平米が相場となっています。
養生シートの設置費用
養生シートは、解体工事中に発生する破片・埃の飛散防止や防音のために役立ちます。解体工事を行う上で、養生シートをすることは近隣トラブルを回避するために重要です。
養生シートの設置費用は、足場シート養生や仮囲い養生、防音シート養生など養生の種類や業者によって異なりますが、一般的な相場は足場シート養生で約1,500~2,000円/平米です。
重機回送費
解体工事の際には、パワーシャベルや油圧ショベルなどの重機を使用します。これらの重機は公道を自走できないため、保管場所から解体現場まで運搬する必要があり、この重機を運搬させる費用のことを重機回送費といいます。
重機回送費の一般的な相場は約3~5万円ですが、現場から重機保管場所までの距離や運搬の回数、業者によっても大きく変わるため注意が必要です。
建物の付帯工事費用
敷地内にある住宅以外の設備を撤去、解体する際は付帯工事費がかかります。屋根瓦、門、庭石や庭の樹木、ソーラーパネルなどあらゆるものの撤去に費用が発生するでしょう。
付帯工事は撤去する内容が一軒ずつ異なるため相場は出せませんが、例えば、庭石撤去の場合は約1万円/トン、ブロック塀撤去の場合は約2,000~3,000円/平米が一般的です。
付帯工事にどのくらいの費用がかかるかを知りたいときは、解体業者に見積もりを依頼して明確にしましょう。
整地費用
解体後は土地を平らにならし、地固めをする整地まで行うことが一般的です。そのため、解体費用の内訳に整地費用まで入っていることがほとんどでしょう。
整地の費用も土地の状態や業者によって異なりますが、一般的な相場は約500~1,500円/平米です。大きな段差や庭木の抜根、地盤改良は必要な場合は、別途費用がかかったり割高になったりする可能性があります。
解体工事以外にかかる場合の費用例
解体工事の直接費用以外に、建物や周囲の条件次第で別途費用がかかる場合があります。これらの費用まで加味して解体工事費を把握しておかなければ、予算と合わないといったことが起こり得るため注意が必要です。
ここからは、解体工事以外にかかる場合の費用例を紹介します。
地中埋設物の撤去費用
地中埋設物とは、地中に埋まっている廃棄物やごみ、コンクリートなどをいいます。過去の解体工事がずさんで、廃棄物を埋めたままにしておいたなどの理由で見つかるケースがあります。
地中埋設物が見つかった場合、再びそのままにしておくと不法投棄の疑いをかけられる場合があるでしょう。また、地中に放置しておくことで地盤が軟弱になる可能性もあります。そのため、地中埋設物が見つかったら撤去する必要があります。
撤去費用は、埋設物の種類や業者によって異なるため一概にはいえませんが、例えば、2トントラック1台分で約2万円からが相場になるでしょう。
残置物の撤去費用
残置物とは、解体する建物や敷地内に残った家具、家電、衣服、生活用品などの不用品のことです。残置物をそのままにしておくと解体業者で処分しなければならないため、撤去のための追加費用がかかります。
残置物の撤去を解体業者に依頼する場合、業者によって費用は異なりますが、約5,000円~1.5万円/立米がかかるでしょう。
警備や交通誘導の費用
解体現場周辺の交通量が多い場合や通学路などで通行人が多い場合などは、安全確保のためにガードマンを雇い、警備や交通誘導をする必要があるでしょう。これは、車や通行人を守るだけでなく、解体業者の作業員の安全を守りトラブルを回避する意味もあります。
警備や交通誘導の費用は警備会社や解体業者によって異なりますが、一般的には日当約1.5〜2.5万円です。
官公庁届出の費用
解体工事では、官公庁へいくつかの届出をする必要があります。それぞれの届出費用の相場は以下の通りです。
・建築物除去届 約3~5万円
・建設リサイクル法に関する届出 約3~5万円
・道路の使用許可申請 約3~5万円
・アスベスト除去の届出(アスベストが含まれている場合) 約3~5万円
・建物滅失登記申請 約3~7万円
・ライフラインの停止 無料
それぞれの届出には期限もあるため、注意が必要です。
家の解体費用を安くするためにできること
依頼方法の工夫や制度の利用、自分でできる作業を済ませておくことなどにより、本来かかる解体費用よりも安い金額で解体工事してもらえる可能性があります。
ここからは、家の解体費用を抑え支払金額を少なくするためのポイントを紹介します。
相見積もりサービスでリサーチする
90坪の一軒家という条件が同じでも、業者によって見積もり金額は異なるでしょう。最初に連絡した会社の対応が良くてもすぐ1社に絞らず、他の業者の見積もりも依頼し比較してみてください。
その際には、さまざまな解体業者から一括で見積もりを取れる、相見積もりサービスがあります。無料で利用できるサイトのため、サービスを活用して解体費用を比較してみるのがおすすめです。
不要な残置物を撤去しておく
できるだけ家財や植木などの残置物を撤去しておくと、解体費用を安くできます。前述の通り、撤去や処分は解体業者へお願いできますが、その分費用がかかってしまうでしょう。
通常家庭ゴミとして捨てられるものも、解体業者に依頼すると産業廃棄物として扱われ、処分の費用が高くなります。分別しなければ廃棄できないものや分別しづらいものは、特に注意が必要です。
ただし、回収によって解体業者にメリットがあるものは、無料で引き取ってもらえる場合もあるでしょう。
天候が安定している時期を選ぶ
解体工事における安全管理については、雨天時の措置について細かい規定はありません。そのため、雨が降っても行われることがほとんどです。
しかし、雨により足元が滑りやすかったり、視界が悪くなったりすることで、作業に危険が及ぶ可能性があります。大雨の場合は、安全確保のために中止することもあるでしょう。
工事が中止になると、工期の遅延や追加費用が発生する場合があるため、解体工事は天候が安定している時期を選ぶのがおすすめです。
90坪の家の解体費用で利用できる補助金制度
「空家等対策の推進に関する特別措置法」により各区市町村が主体となって空家対策を行っているため、自治体によっては補助金制度を利用できます。自治体で名称は違いますが、老朽化した建築物の解体に活用できる制度です。
制度には災害などでの倒壊を防止するための建て替えを目的としているものと、危険性がある空家の解体推進事業の一環として設けているものがあります。
どちらも自治体により対象物件の条件や補助金の算定基準が異なるため、90坪の家を解体する際はホームページなどで調べてみましょう。
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索
一括見積もりサービスなどを利用して優良業者を探そう
90坪の家の解体費用について、その相場や内訳、解体工事以外にかかる費用などを解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解体工事は業者によっても金額が大きく異なります。そのため、一括見積もりサービスなどを利用して適切な金額で請け負ってもらえる優良業者を探し、安全に解体工事してもらえるようにしましょう。