家の解体をする際は、どのくらいの費用がかかるのか気になるかと思います。できるだけ解体工事にかかる費用は安く済ませたいですよね。
この記事では、20坪の家を解体する際にかかる費用の相場や、費用を安くする裏ワザをご紹介します。解体工事が高額になりやすい場合や、解体工事の流れと必要な手続きなどについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
20坪の家の解体費用の相場はどれくらい?
同じ20坪の大きさの建物でも、構造によって解体にかかる費用は変わります。以下では、20坪の家を解体するのにかかる費用の相場を構造ごとに見ていきましょう。
鉄筋コンクリートの場合
鉄筋コンクリート造(RC造)の家の解体費用の相場は、1坪あたり4万5,000円~8万円程度といわれています。そのため、20坪の大きさの鉄筋コンクリートの家を解体する場合の費用相場は、90万円~160万円程度です。
鉄筋コンクリート造の建物は、鉄筋とコンクリートを組み合わせて、頑丈に造られています。圧砕機工法やブレーカー工法などの特殊な方法で解体を進めていくため、解体費用は高くなります。
鉄骨造の場合
鉄骨造の家の解体費用の相場は、1坪あたり3万5,000円~4万5,000円程度といわれています。そのため、20坪の大きさの鉄骨造の家を解体する場合、60万円~90万円程度が相場です。
鉄骨造の家は、「鉄骨切断カッター工法」や「ガス切断工法」という工法で鉄骨を切断しながら、解体が行われます。鉄骨造の家を解体する難易度は鉄筋コンクリート造と木造の中間になります。そのため、費用も鉄筋コンクリート造と木造の中間くらいで、鉄筋コンクリート造よりは安く済みますが、木造よりは高くなります。
木造の場合
木造の家の解体費用の相場は、1坪あたり2万5,000円~4万円程度といわれています。そのため、20坪の大きさの木造の家を解体する場合、50万円~80万円程度が相場です。
主に木が建材として使われている木造の家は、鉄筋コンクリートや鉄骨造の建物に比べて、解体講師の難易度が下がるので、費用も安くなります。
家の解体以外にかかる費用
家を解体する場合、建物の解体費用以外にもさまざまな費用がかかります。たとえば廃材処理費や官公庁への届け出にかかる費用、付帯工事費用などがあります。
廃材処理費は、解体で排出される廃材の種類などによって異なり、1トンあたり木材なら15,000円程度、コンクリートなら1,500円~3,000円程度、金属なら6,000円程度になります。解体工事に伴う手続きには、建設リサイクル法に基づく届け出や道路使用許可申請などがあります。手続きを解体業者などに依頼する場合には、申請費用以外に代行費用が発生します。
庭木の伐採やブロック塀の解体など、建物の解体以外の工事である付帯工事にかかる費用もあります。付帯工事費用は場合によって大きく変動するため、事前にしっかり見積もりを取り、本当に解体する必要があるのかどうか検討しましょう。
解体費用が高くなってしまう事例とは?
先ほどご紹介した20坪の家の解体費用の相場は、あくまで目安です。家の大きさや構造以外のさまざまな要因が合わさることで、想定していたよりも解体費用が高くなってしまうことがあります。どのような場合に解体費用が高くなってしまうのか、家の解体費用が高くなってしまう事例をいくつかご紹介していきます。
道が狭く重機が入れない
解体工事費用は、周辺の道路事情にも左右されます。重機や大型トラックが入りにくい路地に建っている家だと、解体作業が難しくなるため費用が高くなります。
道幅が極端に狭い場所にある建物を解体する場合、重機やトラックを敷地まで持っていくことができず、解体から廃材の搬出まで手作業で行わないといけません。
手作業で解体を進めるとなると、多くの人件費などがかかり高額になる場合が多いです。解体するのに時間がかかり施工期間が長くなることも、人件費が増えることにつながってしまいます。
近隣の建物と密接している
また、隣の家と密着するように近くに建っている家を解体する場合はより慎重な作業が求められるので、このような場合も費用が高くなります。
隣の家との間が50cm程度しかないなど距離が近い場合、通常の足場を使用できないため、特殊な足場を使用する必要があります。
さらに、解体工事で出る振動で近隣の建物にひび割れを起こしてしまう恐れがあるため、重機を使用せずに手作業で解体を進めなくてはなりません。手作業での解体となると時間も手間もかかってしまうため、費用が高くなってしまいます。
複雑な構造をしている建物
建物の構造が複雑な場合は、取り壊す際に手間がかかり施工期間が長くなりやすいので、解体費用が高くなります。1階建てよりも2階建てである場合の方が、費用が高くなるケースが多いです。
また地下室がある家も、通常の家に比べて解体費用が高くなります。地下室がある家の解体では、地中深く掘り起こし、基礎をすべて取り除かなくてはならないため、とくに高額になります。見積もりの際は、基礎の図面などを用意し、できるだけ正確な見積もり金額を出してもらうようにしましょう。
家が都市部にある
家の解体費用は地域によって差があります。地方にある家を解体するよりも、都市部にある家を解体する方が費用が高くなる傾向があります。
理由は、地方に比べると都市部の方が、人件費や重機保管費用、解体業者の事務所の家賃、ガソリン代、駐車場代など物やサービスの値段が高いためです。
また、都市部は住宅が密集している傾向にあるため、解体作業が困難であることも原因になっています。
埋設物がある
家解体した後、家が建っていた場所の地中から埋没物が見つかる場合があります。こうなったら地中の埋没物を撤去する必要があります。地中の埋没井戸や浄化槽、建築時に埋められた廃棄物などが出てくることも少なくありません。
埋没物の量や位置を事前に把握することが難しい場合も多いため、発見された時点で追加工事が発生し、費用がプラスされることがほとんどです。埋没物が見つかった場合は、埋没物の撤去にかかる費用が追加されることにより、想定していたよりも解体費用が高くなってしまいます。
家にアスベストが使われている
家にアスベストが使用されていた場合は、解体費用にアスベストの除去費用が追加されるので、その分多くの費用がかかります。
アスベスト(石綿)は不燃性や耐久性、親和性に優れていることから、以前は建材として広く使用されていました。しかし、健康被害を招く恐れがあることから、2006年に使用が禁じられ、現在では使われていません。
しかしアスベストの使用が禁止される前に建てられた家の中には、アスベストが使われている家もあります。家にアスベストが使われている場合は、解体工事中にアスベストが飛散して健康被害につながるのを防止するために、アスベストを除去してから解体工事を行います。
そのため、解体工事を開始する前に、解体する家にアスベストが使われていないか調査することが義務付けられています。調査で家にアスベストが使われていることが確認された場合、アスベストを除去してから解体作業に入ることになります。
家にアスベストが使用されていた場合は、解体費用に加え、アスベストの除去費用が発生します。アスベストの除去費用は、使用されている量や使用されている箇所により大きく異なり、場合によっては数百万円程度の費用がかかってしまうこともあります。
駐車場がない
土地が狭く、敷地内に駐車場を確保できない場合も、解体費用が高くなってしまう事例です。
解体工事では、重機や廃棄物を運ぶトラック、作業員が現場に向かうための車などさまざまな車両を使用します。工事で使う車両を路上に駐車するわけにはいかないため、現場近くに有料の駐車場を借りなくてはいけません。
このような駐車場代は施主の負担になるため、解体費用に駐車場代もプラスされ、その分費用が多くかかってしまいます。
建物に大きな損傷がある
老朽化や災害などで大きな損傷がある建物は、解体費用が通常よりも高くなってしまいます。大きな損傷がある建物は、倒壊しないように慎重に解体を進めなくてはいけません。
また、災害で大きな損傷を受けた建物は、さまざまな建材が混在してしまっている場合もあります。このような場合は、解体や分別に時間や手間がかかってしまうため、費用が相場よりも高くなります。
解体費用を安くする裏ワザ
解体工事には多くの費用がかかりますが、解体費用を安くする裏ワザもあります。いくつかの工夫をすることで、解体費用を安くすることができます。解体工事にかかる費用を安くするための裏ワザを紹介していきますので、解体費用を負担に感じている人は、ぜひ参考にしてみてください。
不要品は自分たちで処分する
解体費用を安く済ませたい場合は、不要なものを自分たちで処分しておきましょう。不用品は解体業者に依頼するよりも、自治体のゴミ回収日に収集してもらう方が安く処分できます。また、まだ使えるものはリサイクルショップに売却することもおすすめです。
解体工事に入る前に処分しておかないと解体業者に撤去してもらうことになり、こうなると不用品の撤去費用が加算されて、費用が高くついてしまいます。解体工事の着工までに計画的に家具や家電などの不要品を処分しておきましょう。
庭木の撤去は自分たちで行う
庭木の撤去は自分たちで行うことをおすすめします。自分たちでできることは解体業者に依頼せず自分たちで行うことで、解体費用を抑えることができます。解体業者に庭木の撤去を依頼すると、1本あたり8,000円~5万円程度の費用がかかってしまいます。自分たちで撤去すればこのような費用はかからないため、その分費用を安く抑えることができると考えられます。ただし、高さのある木や太い木の撤去は自分達で行うことが難しい場合もあるため、無理のない範囲で撤去するようにしてください。
見積もりは複数の業者に出してもらう
見積もりを複数の業者から出してもらい相見積もりを行うことで、適正な価格の業者に依頼することができ、費用を安く抑えることができます。
同じ工事内容でも、業者によって提示してくる見積もり金額は異なります。1社だけに見積もりを依頼すると、提示された工事内容と金額が適正なものであるか判断できず、相場とかけ離れた高額な金額を提示してきた業者と契約してしまう恐れもあります。そのため、最低2、3社から同じ工事内容で見積もりを取り、比較するようにしましょう。
また、見積もりを比較する際は、必ず見積もり書の内容を確認してください。内容が不明瞭な業者は、後から追加費用を請求してくる可能性があります。内容が詳細に書かれている業者の方が信頼できると考えられます。
必要な手続きは自分たちで行う
工事に必要な手続きには、建設リサイクル法に基づく届け出や道路使用許可の届け出、建物滅失登記があります。
たとえば、建物滅失登記を代行してもらうと、4万円~5万円程度の費用が発生してしまいます。これを自分たちで行えば、登記手数料を支払うだけで済み、費用が安く済みます。
このように、工事に必要な届け出や手続きを自分たちで行うことで、代行費用を支払う必要がなくなるため、解体費用を安くできます。
重機を保有している業者を選ぶ
重機を保有している業者を選ぶことも、コストダウンにつながります。業者を選ぶ場合、重機を保有しているかどうかも重要なポイントです。解体業者の中には、自社で重機を保有している業者と保有していない業者があります。
重機を保有していない業者に依頼してしまうと、解体作業のために業者が重機をレンタルする必要があり、業者が重機をレンタルする料金が余計にかかってしまいます。
自社で重機を保有している業者に依頼すれば、重機をレンタルするのにかかる料金が発生しないため、その分費用が安くなります。
自治体の補助金を活用する
自治体によっては解体工事に補助金を出しているところもあります。補助金を活用することも、解体費用を安くするために有効な手段です。
補助金には、空き家対策補助金や建て替え工事助成金、解体補助金といった種類があり、その内容や受給要件、申請方法は自治体によって違いがあります。工事を依頼する前に、解体する建物のある自治体の補助金制度について調べておくようにしましょう。
20坪の家を解体する手順
建物の解体工事を依頼する場合には、どのような手順で建物の解体が行われるか知っておくことも大切です。ここからは、20坪の家建物を解体する際の手順を紹介していきます。
相見積もりをして業者を選ぶ
まずは、業者を選ぶために複数の業者に見積もりを出してもらいます。複数の業者に同じ工事内容で見積もり依頼をする相見積もりをすることで、適正価格で施工しているかどうか見分けることができます。業者を選んだら、解体工事の準備に取りかかりましょう。
建設リサイクル法に関する届け出
建設リサイクル法に関する届け出とは、建物を解体することを都道府県知事に知らせるための手続きのことです。
アスファルトやコンクリート、木材、鉄といった特定建設資材を使用した、床面積の合計が80㎡以上の建物を解体する場合には、建設リサイクル法に基づく届け出が必要です。
施主が工事着工の7日前までに各自治体の窓口に届け出を行う必要があります。届け出には、届出書や案内図、工程表などの書類が必要です。解体業者が代理で届け出を行うこともできますが、代行費用を抑えたい場合は施主自身が届け出を行いましょう。
道路使用許可の届け出をする
道路使用許可とは、工事で歩行者や車両の通行を妨げる場合に、警察署に届け出る手続きです。敷地内に重機などを駐車するスペースがなく、公道に停めておく場合には、道路使用許可の届け出を行わなくてはなりません。
解体現場を所管する警察署に、道路使用許可申請書や道路使用の場所付近の見取図などを提出して届け出を行います。
一般的に、道路使用許可の届け出を行うのは解体業者です。届け出が行われていないと近隣に迷惑をかけてしまうため、施主は届け出が行われたか確認しましょう。
建物滅失登記をする
解体工事で建物がなくなったら1ヶ月以内に、法務局で建物滅失登記を行います。手続きには建物滅失登記申請書や案内図、建物滅失証明書、解体業者の登記事項証明書、解体業者の印鑑証明証などが必要です。
建物滅失登記は土地家屋調査士に代行してもらえますが、自分で行うことで代行費をコストカットすることができます。
不用品の処分を行う
不用品は、使えなくなったものは自治体のゴミ回収日に収集してもらったり、まだ使えるものはリサイクルショップに売却したりして、処分しておきましょう。
解体工事に入る前に処分しておかないと解体業者に撤去してもらうことになり、不用品の撤去費用が加算されてしまいます。不要品は解体工事の着工までに計画的に処分しましょう。
あいさつ回り
あいさつ回りをして、解体工事を行うことを近隣住民に伝えておくことも大切な準備の1つです。解体工事では騒音などで近隣に迷惑をかけることになるので、前もってあいさつ回りをしておくことで、後で近隣トラブルが発生するのを防止することができます。
ライフラインの停止手続きを行う
電気やガスなどの引込配管を残したままでは解体工事に入れないため、解体工事の前にガスや電気などのライフラインを止める手続きを行います。ライフラインの停止手続きは、施主自身が行います。停止手続きとともに、電気やガスの配管の撤去まで依頼してください。
各供給会社に、ネットや電話で停止の依頼をしましょう。「解体工事をするため」と伝えるとスムーズに手続きをしてもらえると思います。
ただし、水道は工事中に使う場合があるため、停止するべきかどうかを解体業者に事前に確認してから手続きを行うようにしてください。
配管の撤去作業に入るまでに、10日程度かかることがあります。工事までに撤去が完了できるように、余裕を持って連絡しておきましょう。
足場や養生など解体の準備がる行われる
解体工事では、安全に高所作業を行うための足場を設置し、粉塵や騒音で周囲に迷惑をかけてしまうことを防ぐために養生シートで建物の周りを囲います。
養生シートの設置の義務はありませんが、近隣とのトラブルを防ぐためにも、養生シートを設置してくれる業者を選ぶようにしましょう。
また、足場や養生シートが近隣の敷地や住宅に当たってしまうと、トラブルになってしまうことが考えられます。施主として、足場や養生シートが敷地外に出ていないか、近隣に迷惑をかけていないか確認するようにしましょう。
手作業でできる部分から解体作業が行われる
解体工事では、廃棄物の種類ごとに分別しながら解体を行う「分別解体」が義務付けられているため、この方法で解体が進められます。蛍光灯、畳やフローリングなどの床材、石膏ボード、断熱材、サッシといった建築設備や内装材の取り外し・分別のほか、瓦など屋根材の撤去などが手作業で行われます。
出典:分別解体と再資源化(対象建設工事): 建設リサイクル|神奈川県ホームページ
重機で解体を行う
敷地が狭い場合は外装の解体も手作業で行いますが、一般的に、建築設備や内装材、屋根材の撤去が終わったら、重機を使った外装の解体に移ります。
重機で解体すると、粉塵が大量に発生するため、散水しながらの作業が一般的です。散水することで周囲が汚れるため、掃除がしっかり行われているか確認してください。
また、重機での解体が始まると、騒音や振動、粉塵で近隣に迷惑をかけることがあるため、遅くてもこの段階までには近隣へのあいさつ回りを終わらせておきましょう。
廃材を運び出す
解体終了後、廃材の運び出しが行われます。
解体工事で排出される廃材は、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)を守りながら、処分を行わなくてはいけません。
建設リサイクル法では、アスファルトやコンクリート、木材などの特定建設資材を使用した建物を解体する場合、分別解体と再資源化することが義務付けられています。施主として、廃材の処理が適切に行われているか確認すると理想的です。
整地が行われる
廃材の運び出しが終わると、土地を平らに整えるために整地が行われます。整地の際には、地中に埋没物がないか確認が行われるのが一般的です。埋没物として古い浄化槽や廃材などが出てくる場合もあります。
地中の埋没物は解体してからはじめてわかることが多く、埋没物があった場合、撤去するために追加費用が請求されることを覚えておきましょう。埋没物の確認や撤去が終わり、整地が完了したら、解体工事は終了です。
未相続の家の解体費用は誰が払うべき?
相続する人が決まる前に、家が未相続の状態で解体されることもあると思います。ここからは、未相続の家を解体する場合に、費用を払うべき人は誰なのかということについてご紹介していきます。
法定相続人
解体費用を負担する可能性がある人として、法定相続人がいます。法定相続人とは、死亡した人の財産を相続できる人のことです。死亡した人の配偶者は常に相続人となり、それ以外は次のような順序で相続人になります。
第一順位は死亡した人の子供(子供がすでに死亡している場合は、その子供の直系卑属である子や孫)、第二順位は死亡した人の直系卑属、第三順位は死亡した人の兄弟姉妹(すでに死亡している場合は、その人の子供)です。
誰が家を相続するのかを決め、解体費用は誰が支払うのか(分割する場合にはどのように部分割するのか)を関係者同士で話す必要があるでしょう。
その土地の相続人
法定相続人とは関係なく、土地の相続人が決まっているケースもあります。土地の相続人が決まっている場合は、その土地に建てられた建物の責任は相続人にあるという考えから土地の相続人が解体費用を支払うことが一般的です。
裏ワザで工夫して解体費用を抑えよう
家の解体工事を行う際は、多くの費用がかかりますが、工夫次第でコストカットすることも可能です。ぜひ今回ご紹介した解体費用を安くする裏ワザを参考にし、自分たちでできることは自分たちで済ませて、解体費用を安く済ませられるよう工夫してみてください。