【デベロッパーとは?】不動産やゼネコンとの違い・仕事内容や大手7社について簡単に解説!

解体工事

主に不動産業界や建築業界で使われる業界用語のひとつとして、「デベロッパー」があります。不動産会社やゼネコンと何が違うのでしょうか。それぞれ言葉は聞いたことがあるとしても、なかなか違いはわからないものですよね。 今回はデベロッパーの役割や、ゼネコンや不動産会社との違いを解説します。

デベロッパーとは

デベロッパー(Developer)とは、不動産業界において「土地や街の開発をする事業者」を指します。マンションやビル、大型商業施設などの開発をするのがデベロッパーの役割です。 土地や建物を扱う不動産業は、主に、「企画」「開発」「販売」「仲介」「賃貸」「管理」など、さまざまな業務がある中で、デベロッパーといわれる企業はプロジェクトの基礎になる部分の「企画」と「開発」を担っています。さらにはリゾートやホテル事業、大規模な宅地造成なども手掛けたりします。

デベロッパーの特徴

デベロッパーの仕事は、幅広い不動産業の中でも「企画」と「開発」に特に重点を置き、クライアントの要望と地域の特性を生かし、どういった建物があるといいか、どんな施設だといいのかを思案することです。企画・開発段階では街の企画開発や、都市開発などがメインとなります。

これらの事業にはたくさんの企業がかかわりますが、デベロッパーはその事業の主体となります。

デベロッパーと不動産会社の違い

不動産会社は、先ほど述べた通り、不動産業の中の「企画」「開発」「販売」「仲介」「賃貸」「管理」でいうと、主に「販売」「仲介」「賃貸」「管理」の部分に重きを置いた会社といえます。

確固たる線引きはありませんが、街の賃貸不動産会社が企画や開発はまず行いませんし、会社の中に部署はあったとしても、デベロッパーがアパートなどの賃貸の仲介をメインとして行うこともありません。川上の仕事をデベロッパーが行い、川下の仕事を不動産会社が行うというイメージになるでしょう。 しかし、ビジネスモデルとしては、住宅やマンションを売って売却益を得たり、商業施設のテナントから賃料を得たりといったこともあります。

デベロッパーとゼネコンの違い

ゼネコンは、「General Contractor(ゼネラル・コントラクター)」の略称で、「建設に関して総合的に請け負う事業者」を指します。工事施工だけでなく、設計や研究開発などさまざまな部署を持っています。デベロッパーが街や建物の企画・開発を行い、ゼネコンに建築工事を発注します。ゼネコンは発注された建築工事を請け負った後、工事を担当する建築業者を雇い、現場の取りまとめや指示役を担います。デベロッパーが発注者、ゼネコンが受注者となりますが、大規模プロジェクトにおいては、ゼネコンとデベロッパーが共同事業者として企画や開発を進めることもあります。

デベロッパーの仕事

デベロッパーと不動産会社やゼネコンの違いがわかったところで、次にその仕事内容を流れに沿って説明します。

用地取得

これは、建物を建設するための土地を取得する手続き関連の仕事です。

不動産業者や行政と連携を取りつつ、目的やクライアントの意向に沿った土地を選定し、実際に取得に至るまでの交渉を行います。そして、土地の候補が見つかると、大体のプランや建設費用を算出して事業計画の提案をします。 ここでは、最新情報を集める情報収集能力や各セクションへの仕事に対してのレスポンスの速さが要求されるため、いかに早く、そして正確に物事を進めていけるかが重要なカギとなります。

企画・開発

取得した用地の周辺環境や歴史を調査し、街のコンセプトを設定したうえで、その土地に最適な建物の計画を立てていく仕事が「企画」です。

企画段階で設定したコンセプトをもとに、建物のデザインや設計を検討するのが「開発」の仕事です。開発段階では、建築士やデザイナーと協力して仕事を進めていきます。

建設・施工管理

次に設計と施工管理です。

企画を考案するデベロッパーに対して実際の設計・施工はゼネコンが行いますが、企画を提案しているデベロッパーはゼネコンが行う設計や施工に対して、プランのチェックを行い、クライアントの要望通りの工期や竣工時期・予算などと合致するように調整します。

この段階において、建築物の品質チェックや工事の進捗管理を行うのがデベロッパーの仕事です。

営業販売

実際の売り出しやテナント募集の営業を行います。マーケティング戦略を元に、インターネットのサイトやパンフレット、DMなどを作成し、顧客や一般利用者へ宣伝を打ち出します。 デベロッパーの仕事は、不動産の川上の仕事と述べましたが、自社で開発した物を売り出し、テナント料を得るような仕事も大切な仕事のひとつです。

運営・管理

建築した施設の運営や管理業務もデベロッパーの仕事です。より良い街を作るため、地域住民やテナントと協力し、建物や街の運営を行います。

大手デベロッパーの場合は、運営・管理業務はグループ会社が行っていることが多いです。

デベロッパー大手6社

三井不動産株式会社

オフィスビルや商業施設、ホテルなど総合的に強みを持つ業界最大手のデベロッパーです。 主要開発エリアは東京、日本橋で東京ミッドダウンやコレド室町などを手掛けています。東京・日本橋・八重洲・日比谷などの再開発を進めています。また、三井アウトレットパークの開発も担っています。

三菱地所株式会社

1890年に東京・丸の内一帯を購入して開発を進めてきた歴史から、主要エリアは、丸の内・大手町などです。代表的な建物として、丸ビル・横浜ランドマークタワーなどがあります。三井不動産株式会社とは東京駅を中心に二分するような形となっています。プレミアム・アウトレットの開発も行っています。

住友不動産株式会社

主要エリアは新宿で、東京都心部を中心にオフィス賃貸や、分譲マンション事業に注力しています。マンションの供給戸数はトップを誇り、オフィス事業には依存しない経営体制となっています。再開発事業としては、六本木・西新宿・飯田橋などの都心を中心に36か所。代表的なものは泉ガーデンや住友不動産新宿グランドタワーなど、大規模複合開発を行っています。

東急不動産ホールディングス株式会社

東急グループの中の1社です。オフィスビル事業や都市開発事業、住宅事業、海外事業、小売り事業など、幅広く事業展開をしており、主要のエリアは渋谷です。東急電鉄とタッグを組み渋谷液周辺の再開発を手掛けます。鉄道系のグループを活かして事業展開をしているのが特徴で、東急プラザや、キュープラザなど大規模な商業施設を手掛けています。

野村不動産ホールディングス株式会社

分譲マンションの売り上げが半分以上を占め、建設・販売・管理を一貫体制としているのが特徴です。主要エリアは新宿で、諸都県を中心とした「PROUD」と呼ばれるブランドでマンションや戸建てを展開しています。オフィスビルは中規模程度のサイズでかつ高級感のある「PMO」ブランドを展開し、他社と差別化しています。今後は、都市型のコンパクトタウンへの取り組みを強化するとともに、野村不動産の強みを生かした「住宅を核とした大規模複合型」を推し進めています。

森ビル株式会社

都市再開発、不動産賃貸・管理事業・文化・芸術・タウンマネジメント事業を展開。六本木ヒルズや表参道ヒルズ、虎ノ門ヒルズなどを都心に大型複合施設を多数所有しているので、賃貸管理事業の割合が大きく、そのため安定した経営となっているのが特徴です。

ヒューリック株式会社

都心部を中心に、約190のオフィスビルや賃貸マンション等不動産物件を保有する会社です。不動産賃貸事業を中核にしていますが、高齢者施設の開発・高級リゾート温泉「ふふ」シリーズの開発・展開など、積極的な不動産投資・不動産開発を行っています。

今後のデベロッパー業界

この業界は社会情勢に敏感で、大変大きく左右されます。大規模開発になると莫大なお金が動くため、金利の上昇や景気の変動といった社会情勢に大きく影響される業界といえます。そのため、景気が悪くなると業績が落ちる可能性もあります。

しかし大手のデベロッパーは、根ざしている拠点ともいうべき主要都市があったり、幅広い事業展開をしていたり、毎月安定した収益が上がるような取り組みも行っています。高層ビルの老朽化に伴った解体工事の後の開発や、大型の公共工事に伴う街の再開発など、そういった分野での事業も多くあるので、今後の街づくりでデベロッパーの活躍が期待されます。

まとめ

デベロッパーの仕事内容や、不動産・ゼネコンとの違いなどについて解説しました。

デベロッパーは、不動産における「企画」「開発」の仕事をメインとする会社ですが、中には「販売」や「賃貸」、「管理」まで行っている会社もあります。

施工のプロであるゼネコンに対して、デベロッパーは土地の仕入れからテナントの管理まで行うので、不動産業界のプロといえるでしょう。 ゼロから建設提案のプランを考案し、それをゼネコンに施工してもらい、デベロッパーは竣工した施設などのテナント募集などを担当します。そういった点では、ゼネコンと切っても切れないパートナーの間柄といえるでしょう。

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