地震や台風といった自然災害で被災した場合、生活の基盤を立て直すために被災者生活再建支援制度が設けられています。
そもそもどのような制度なのでしょうか。
誰が対象に当てはまるのか、期限などは設けられているのか気になります。
今回の記事では、被災者生活再建支援制度について、支給額の内容や申請方法などをご紹介いたします。
ぜひ、被災者生活再建支援制度について詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
被災者生活再建支援制度とは
被災者生活再建支援制度とは、地震や台風といった自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支援金を給付する制度です。
資金については、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用しています。
なお、国からも基金が支給する支援金の2分の1相当の額を補助します。
自然災害はいつ起きるかわかりません。
被災者生活再建支援制度のポイントについて、しっかり押さえていきましょう。
被災者生活再建支援制度の対象となる自然災害
制度の対象となる自然災害は、10世帯以上の住宅の全壊被害が発生した市町村等が当てはまります。
なお、隣接した地域で、少なからず被害があった地域も含まれます。
他にも、災害救助法の適用基準のうち1号、または2号を満たす被害が発生した場合が当てはまります。
以下、制度の対象となる自然災害についてまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
◆第1号関係
・「市町村の区域内の人口」→「住家が滅失した世帯の数」
・「5,000人未満」→「30」
・「5,000人以上、15,000人未満」→「40」
・「15,000人以上、30,000人未満」→「50」
・「30,000人以上、50,000人未満」→「60」
・「50,000人以上、100,000人未満」→「80」
・「100,000人以上、300,000人未満」→「100」
・「300,000人以上」→「150」
◆第2号関係
・「都道府県の区域内の人口」→住家が滅失した世帯の数」
・「1,000,000人未満」→「1,000」
・「1,000,000人以上、2,000,000人未満」→「1,500」
・「2,000,000人以上、3,000,000人未満」→「2,000」
・「3,000,000人以上」→「2,500」
また、以下の項目に当てはまる場合も、被災者生活再建支援制度の対象となる自然災害に認定されます。
・都道府県で100世帯以上の住宅が全壊被害にあった場合
・該当する市町村や都道府県で5世帯以上の全壊被害があった場合
・該当する市町村を含む都道府県が2つ以上ある場合
なお、被災者生活再建支援制度の対象であるか確認するためには、市区町村のHPを見るとわかります。ぜひ、チェックしてみてください。
被害認定の調査方法
自然災害で住まいが被害を受けた時、被害状況を確認するために、第1次調査と第2次調査が行われます。
第1次調査では、家の外観の損傷状況や「屋根」「外壁」「基礎の損傷」を目視で把握し、道具を使って家の傾斜の計測を行います。
第2次調査では、第1次調査を行った被災者より申請があった場合に実施します。調査方法は第1次調査と同じです。
被災者が立ち合いのもと、家の内壁や天井、床、柱、建具、設備の損傷を目視で把握します。
なお、被害認定は4段階「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らない」に分類されます。
全壊は、家の損害部分が50%以上と判断された場合において分類されます。
補修を行っても再び住むことはできないと感じられる状態です。
大規模半壊は、家の損害部分が40%以上、50%未満と判断される場合において分類されます。
補修すれば再び住むことができると感じられる状態です。
なお、修理費用が半壊より高くなるケースを含みます。
半壊は、家の損害部分が20%以上、40%未満と判断される場合において分類されます。
補修すれば再び住むことができると感じられる状態です。
「半壊に至らない」に分類されるのは、家の損害部分が20%未満と判断される場合です。
家の損害内容が軽微と見られる状態です。
支援金の種類
被災者生活再建支援制度の支援金の種類は2種類あります。
なお、該当する方は、2種類の支援金を貰うことができます。
以下、順番に解説いたします。
基礎支給金
基礎支給金は、家の被害程度によって支給される支援金です。
全壊、大規模半壊、半壊の3つの種類を基準にしており、解体世帯と長期避難世帯にも同様の額が支給されることになります。
加算支給金
加算支給金は、生活再建に向けて支給される支援金です。
建設・購入、補修、賃貸の3つの再建方法を基準にしております。
支援金の支給額
ここでは、基礎支給金と加算支給金の支給額についてご紹介いたします。
基礎支給金
基礎支給金の支給額は以下の通りです。
なお、世帯人数が1人の場合、各該当欄の金額の4分の3の額となります。
◆「住宅の被害程度」→「基礎支給金の額」
・「全壊(損害割合50%)」→「100万円」
・「解体」→「100万円」
・「長期避難」→「100万円」
・「大規模半壊(損害割合40%)」→「50万円」
・「中規模半壊(損害割合30%)」→「なし」
加算支給金
加算支給金の支給額は以下の通りです。
なお、世帯人数が1人の場合、各該当欄の金額の4分の3の額となります。
◆「住宅の再建方法」→「加算支給金の額」
・「建設・購入」→「200万円」
・「補修」→「100万円」
・「賃借(公営住宅を除く)」→「50万円」
ただし、中規模半壊(損害割合30%)に当てはまる世帯の、加算支給金の支給額は以下の通りです。
・「建設・購入」→「100万円」
・「補修」→「50万円」
・「賃借(公営住宅を除く)」→「25万円」
基礎支給金と加算支給金を合計すると、最高300万円受け取れることがあります。
支援金の支給申請をするには
支援金の支給申請をするには、各市町村の申請窓口で行う必要があります。
なお、必要な書類と申請期間は以下の通りです。
◆基礎支給金の場合
◇必要な書類
・被災者生活再建支援金支給申請書
・罹災証明書
・世帯全員の住民票の写し
・振込口座の通帳のコピー
・閉鎖事項証明書(必要に応じて)
・敷地内被害を証明する書類(必要に応じて) など
◇申請期間
・災害発生日から13月以内
◆加算支給金の場合
◇必要な書類
・契約書(住宅の購入、賃借等)
・被災者生活再建支援金支給申請書
・罹災証明書
・世帯全員の住民票の写し
・振込口座の通帳のコピー
・閉鎖事項証明書(必要に応じて)
・敷地内被害を証明する書類(必要に応じて) など
◇申請期間
・災害発生日から37月以内
支援金が給付されるまでの流れ
被災者生活再建支援制度の支援金が給付されるまでの流れは以下となります。
1.支援法適用
2.都道府県から国、支援法人、市町村に適用報告、公示
3.罹災証明書の交付
4.支援金支給申請
5.市区町村で受付、都道府県がとりまとめ、支援法人に送付
6.被災世帯に支援金の支給
7.支援法人から国に補助金申請
8.国から支援法人に補助金交付
被災地社会生活再建支援制度に該当すると判断された場合において、国、支援法人、市町村に適用報告、公示されることになります。
該当者に当たるかどうかは、専門の調査員が対象者の家を訪れた上で、現地調査を行い判断します。
被災地社会生活再建支援制度に認定されると罹災証明書が発行されますが、こちらと併せて必要な書類を揃えた上で、各市区町村の窓口で支援金の支給申請を行います。
なお、申請期間を過ぎると受理してもらえないので日付に余裕を持ち行動に移すようにしましょう。
申請期間は基礎支給金で災害発生日から13月以内、加算支給金で災害発生日から37月以内です。
その後の流れとしては、各市区町村で受付、都道府県がとりまとめ、支援法人に送付し、支援法人から国に補助金申請し、国から支援法人に補助金を交付して、被災世帯に支援金の支給を行い完了です。
支援金を受け取るまで、場合によっては時間がかかることもあるので日付に余裕を持ち取り組むようにしてください。
被災者生活再建支援制度で気を付けること
支援金は複数世帯と単数世帯によって支給される金額が異なります。
被災者生活再建支援制度では複数世帯であるほど、支給金額も多く受け取れるように設定されています。
被災者生活再建支援制度が全域適用になった例
被災者生活再建支援制度が全域適用になった例は以下の通りです。
・平成28年の熊本地震→熊本県が全域適用の対象
・平成29年の九州北部豪雨→福岡県が全域適用の対象
・平成30年の豪雨→ 岡山県、広島県、愛媛県が全域適用の対象
まとめ
地震や台風といった自然災害で家が全壊しても、生活の再建を支援する被災者生活再建支援制度があります。
予期せぬことが起こると動揺してしまい、冷静な対応が取りにくくなるので、事前に制度の仕組みについて押さえておくことが大切です。
被災者生活再建支援制度では、家の被害状況によっては、支援金の支給額も異なります。
また、支援金は、基礎支給金と加算支給金の2種類がありますが、該当する方はどちらも貰うことができます。
家が全壊したら、避難所生活を送る必要がありますが、プライバシーの空間が保たれにくく、できるだけ早い家の再建を目指したいものです。
一つの方法としては、家を解体して売却するという方法があります。
不動産会社で、不動産の査定を行ってもらうと、どのくらいの金額で売れるのか目安の金額がわかります。
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今回は、被災者生活再建支援制度について、支給額の内容や申請方法などをご紹介いたしました。