解体時に養生をするかどうかで業者を判断するポイントについてまとめました。解体時の養生の役割、養生の種類や組み方や費用の目安について解説します。又養生シートの質で解体業者を見極める方法もまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
養生の役割や解体業者の見極め方を解説!

解体工事現場によく見かける養生シート。普段通りすがりに見ていますが、実は解体工事に欠かせない、重要な役割であることを知っていますか?養生シートは解体時における粉塵の飛散や、騒音による近隣被害を防ぐなど、リスク回避には欠かせない存在です。
ところがまれに、養生シートなしでの解体工事を行っている業者も見受けられます。それは違法なのでは?と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
それでは解体工事における養生シートの重要性と、そこから見える解体業者の見極め方について解説します!
解体における養生の役割
粉塵飛散や騒音による近隣被害を防ぐ

建物を解体するときに、建材の破片や粉塵などは自然に周辺に飛び散るものです。例えばお隣の庭に干してある洗濯物、自転車や自動車、その他屋外にある近隣住民の所有物なども汚す可能性があります。
そして解体時の粉塵を、現場近くを通りかかった人が吸ってしまい、第三者に迷惑をかけてしまうことも。解体作業はリスクが伴います。作業が行われる敷地内を養生シートで被うことにより、粉塵の飛散を最小限に抑えることができるのです。
落下・転落時の被害を最小限に留める

養生シートは安全な解体作業を行うため、重要な役割を果たします。足場の組み方にもよりますが、通常は解体する建物の周りに足場を設置します。その際高所での作業となりますので、工具や資材が落下する恐れがあるのです。
作業員は基本的に安全帯を使用し、転落に気を付けながら作業をしますが、それでも誤って転落してしまうこともあるでしょう。転落は命にもかかわることですし、たまたま下を通りかかった第三者を巻き込んでしまう可能性もあります。
このようなリスクを最小限に留めるべく、養生シートの外に落下、転落する危険をなくします。よって第三者を事故に巻き込むリスクも回避することができるのです。
養生の設置は義務付けられている?

養生シートを設置しなかったとしても違法にはなりませんが、さまざまなトラブルや事故のリスクが高まることを理解しておく必要があります。解体業者として、そのリスクを踏まえて養生シートを設置し作業をすることが重要となります。
それではどのような場合に養生なしでも解体工事を行うケースがあるのか、以下を例にあげます。
- 解体現場周辺に他の建物も近隣住民もいない場合
- 散水で粉塵の飛散を防ぐよう対策をとっている場合
- 隣家との間隔が極端に離れている場合
解体で使用する養生の種類と費用の目安
種類①足場養生シート

足場養生シートは一般的な養生シートを指す場合が多く、足場が組みあがったら足場を含めて建物全体を覆います。粉塵の飛散を防いだり、工具や資材の落下を防ぐ役割があり、費用の目安は1,500~2,000円程度/㎡です。
ただ養生シートは通気性がないため、風が強い日はシートがあおられて養生ごと道路に倒れ込んでしまうことも。そのようなときはメッシュ素材のものを使うなどして、風通し対策をしておくことも大切です。
種類②仮囲い養生

仮囲い養生とはガードフェンスやパネルなどを指し、 費用の目安は、2,000~2,500円程度/㎡です。工事範囲を明確にし、近隣住民や子供たちに現場内に入らないように促すためのものです。
その名の通り仮囲いの意味で使うため、粉塵の飛散や防音に関してはあまり期待はできません。しかし、外からの侵入者を防ぐために、ガードフェンスやパネルは効果的な方法といえます。
種類③防音シート・パネル

解体工事に騒音はつきものです。防音シートは家の解体時によく使われ、0.5から1mm程度の銀色か黒のシートが一般的で、費用の目安は2,000~5,000円程度/㎡です。建物全体を覆うことにより防音効果を期待でき、住宅密集地や騒音が出やすい現場などには効果的です。
かわって防音パネルは板状になったもので、シートタイプと比べると密度の高い造りになっています。防音パネルはビルやマンションなど大きな建築物に使うタイプとなり、密度の高さから音漏れしにくいところが特徴です。
種類④水撒き養生

水撒き養生とは、解体工事を行うタイミングで散水をし、粉塵の飛散を最小限に抑える方法です。 費用の目安は300~400円程度/㎡となります。
効果的な組み方としては、足場養生シートや仮囲い養生にそれぞれ水撒き養生も追加することです。すると、粉塵の飛散による近隣への被害やリスクを更に抑えることができます。粉塵が発生しやすいコンクリート造や木造などを解体する場合にも水撒き養生の併用は効果的です。
養生シートの質で解体業者を見極める方法
壊れたものを使い続ける業者はNG

安全管理という面で、養生シートが破れたものを使い続ける業者はNGです。破損したものはすでに機能が低下しているうえに、事故につながる恐れもあります。
破れた部分に解体した資材や破片がひっかかり、大事故につながることも考えられます。また、破れた部分から粉塵が飛散し、近隣住民に迷惑をかけてしまうといったリスクも考慮しないといけません。
古くても状態が良ければOK
古いながらも綺麗な養生シートを継続して使っている解体業者は、技術があると考えられます。それは養生を傷つけずに作業ができることを指し、職人の腕が良く重機の扱いや養生の組み方にも手馴れていることを意味します。
会社名などがプリントされている業者を選ぶ

養生シートに会社名が入っているということは、何かあれば第三者でもすぐに連絡ができるという利点があります。近隣住民への安心感を提供しますので、会社への信頼度は高まります。
現場の職人さんはその会社の顔になるわけですので、責任感も強くなりモチベーションもあがります。そういったポジティブな効果が、会社名を養生シートにプリントすることにあるのです。
解体業者の良し悪しは養生の有無や質でわかる!

解体業者を探す際に費用も気になりますが、仕事の質という面では、機材や備品、養生の組み方などからその業者の仕事ぶりを垣間見ることもできます。正しい方法で養生をし、正当な理由なく養生を省略する業者はNGと判断しましょう。
養生シートは消耗品です。しかし必要以上に丁寧に扱う職人さんは、当然仕事のクォリティも高いと考えられます。そしてトラブルが起きたとしても養生シートに会社名が入っていればしっかりとコミュニケーションが取れ、安心してお仕事を任せられる業者といえるでしょう。
