2021年12月20日公開
マニュフェストの意味や種類について解説します。建築や解体におけるマニュフェストの必要性を紹介!マニュフェスト制度の内容や、交付の仕方についてまとめています。排出業者が廃棄物を処分するときに重要な、マニュフェストについて確認しましょう。
目次
マニュフェストについて知識を持とう!
建設に関する業務を行う際に、マニュフェストの作成が非常に重要です。政治の世界でもマニュフェストの言葉が一時期流行しましたが、建設業界では産業廃棄物を管理するために必須の業務になります。
マニュフェストは法的義務のある行為で、必ず作成する必要があるのです。そういったマニュフェストに関する基本的な知識や制度、また排出業者が守らなければならないルールを確認していきましょう。
建設系マニュフェストとは?
排出事業者が交付する伝票のこと
建設系マニュフェストは、産業廃棄物の名称や業者名などを記載した、排出業者が交付する伝票のことを意味します。産業廃棄物の処理は、排出業者の責任であり、その責任者を明確にする必要があるのです。
マニュフェストを交付して、適正に処理されていることを確認することが重要になります。特に排出業者が産業廃棄物の処理を外部委託されるときに、マニュフェストの交付は必須なので、必ず忘れないように手続きを行いましょう。
マニュフェストの交付は義務づけられている
平成2年に厚生省(現環境省)が、マニュフェスト制度を制定しました。当初は行政指導の形でしたが、平成5年から爆発性や感染性など、人体や生活環境に被害が生じるおそれのある特別管理産業廃棄物処理を外部委託する際に、マニュフェストの交付を義務付けました。
そして現在は、適用範囲がすべての産業廃棄物に拡大されています。排出業者の責任は重く、中間処理や最終処分の確認が義務付けられているのです。
また、マニュフェストは産業廃棄物の処理を委託せず、排出業者で行う場合は交付不要です。その他、産業廃棄物の処理をしている都道府県などに運搬処分を委託する場合や、再生利用目的で構成された産業廃棄物の該当物のみを委託する場合も不要になります。出典:産業廃棄物管理票・電子マニフェスト関連(環境省)
マニュフェストの種類【電子マニュフェスト】
マニュフェストは2つの種類が存在します。平成10年から電子マニュフェストが導入され、インターネット上で産業廃棄物処理を確認することが可能になったのです。
この電子マニュフェストは、日本産業廃棄物処理振興センターが運営しており、産業廃棄物の適正な処分を確認しています。排出業者は、マニュフェスト情報の登録をし、運搬業者は終了の報告を行う形です。
報告されたものを、センターが確認し、排出業者に終了の通知を行います。そこから、中間・最終処分業者がそれぞれセンターに報告し、最終処理の通知をして完了となるのです。処理が紙よりもスピーディーに行えるのがメリットといえるでしょう。
マニュフェストの種類【紙マニュフェスト】
電子マニュフェストの制度ができるまでは、紙マニュフェストがメインでした。紙マニュフェストは、7枚の複写式伝票を使用します。
A票・B1票・B2票・C1票・C2票・D票・E票で紙マニュフェストは構成されており、排出業者はここに必要事項を記入します。A票以外を運搬業者に渡し、A表は5年間の保管義務があるので注意しましょう。
運搬業者は処分業者にマニュフェストを渡します。その後、処分業者はB1票とB2票を運搬業者に返却し、運搬業者はB1票を保管、B2表を排出業者に送付してください。処理後、処分業者は運搬業者にC2票、排出業者にD票表を送付し、C1票を保管します。
最終処分が完了したら、処分業者がE票を排出業者に送付してください。最終的に排出業者はA票とB2票、D票、E票をセットにして、5年間保管すれば完了です。
マニュフェスト制度の目的
目的①産業廃棄物の処分情報を記録する
マニュフェスト制度ができた理由は、産業廃棄物の処分情報を記録するためです。産業廃棄物を不法投棄する業者が増え、適切な処分方法を守ってもらうのが目的になります。
そのため、排出業者はマニュフェストの作成が必須であり、処理を適切に行なっていない場合は、行政から指導を受けることになるのです。
目的②適切な処理ができたか確認する
紙マニュフェストも電子マニュフェストも、複数のチェック作業を経て、最終的な確認が行われます。工程ごとに記録されているため、適切な処理されているかをすぐに確認でき、不正を防げるのがポイントです。
目的③不法投棄を防止する
しっかりとしたチェック体制が構築できることで、不法投棄を防止します。通常の委託契約書などには、廃棄物の搬出日や最終処分業者が明確化されていないことがあり、不法投棄を防げないことがあるのです。
マニュフェストを制度化することによって、廃棄物の流れが明確になり、管理体制も強固なものになりました。不法投棄はさまざまな問題を引き起こす危険な行為だけに、マニュフェストは必ず交付するようにしましょう。
マニュフェストを運用するときの注意点
注意点①マニュフェストには返却期限がある
マニュフェストは返却期限があることを忘れないようにしましょう。B2票やD票を扱う収集運搬業者や処分業者からの返却期限は90日以内です。また、E票は180日以内と定められています。
注意点②マニュフェストに対する違法行為には罰金がある
建設系マニュフェストは発行の義務があります。また、内容の虚偽や保管義務も守らなければなりません。これらの義務を違反した場合、廃棄物処理法違反として、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
廃棄物を扱う上で必須のルールなので、知らなかったでは済まされません。紙マニュフェストか電子マニュフェストを発行し、正しい手続きを行いましょう。
マニュフェストについて理解し適切な運用をしよう!
建設系マニュフェストについて解説しました。マニュフェストは産業廃棄物の処理を委託する際に、必ず発行しましょう。廃棄物が適切に処理されているかを確認するために必要で、排出業者が交付する義務があります。
不法投棄などを防ぐためにも重要な役割があり、マニュフェストにはトラブルを避ける効果もあるのです。紙マニュフェストや電子マニュフェストを発行し、ルールを守った業務を行いましょう。
この記事のライター
浅倉恭介
ギターや写真撮影、野球やコンビニの新商品が好きです。特にコンビニは自身が勤めていたこともあり、今でも新商品チェックはやめられません。そういった情報を発信するサイトを運営していたこともありました。また、趣味で山の中にある家を改装中でぽつんと一軒家を楽しんでいます。昔からパソコンを触るのが好きで、自作パソコン作りをするなどガジェット系の情報にも興味を持っているので記事に活かしたいです。一足先にWindows11に変更するなど、新しいことにはガンガン挑戦するタイプですので、ビジネス関係の最新情報もどんどん吸収して、みなさまに発信していきます。