長い間使用しておらず、今後も使用予定のない物置は、処分することも検討する必要があります。物置をそのまま粗大ごみとして回収してもらうことはできないため、解体をしなければなりません。
しかし、家屋のような大きなものの解体工事であれば、もう迷わず業者に頼むところですが、物置ぐらいの解体だったら自力でもできそう…と思ってしまいますよね。
そもそも物置ほどの大きさのものなら、使わずにそのまま置いておいても問題ないのでは?と考えてしまうところでもあります。
今回は、古くなったら物置を解体しようかと考える際のポイントについて、さまざまな面から解説していきます。
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使わない・古くなった物置はなぜ解体すべきなのか
もう使ってはいないけれど、手間をかけて処分するのが面倒だし、ただ置いておくだけならいいだろうと考えて、ついつい放置してしまいがちな古い物置。でも、そのままにしておくことには意外にもデメリットがたくさんあるのです。
たとえば、以下のようなことが考えられます。
土地の活用がしづらくなる
使っていないものが敷地に置かれていると、それだけでその場所を有効活用することができません。
また、老朽化が激しいものであれば、単純に見栄えもよくないものです。
犯罪の手助けになる可能性がある
空き巣などにとっては、死角や足場になりやすい物置が置かれている家はターゲットとして大変好都合だといわれています。
ただ置いてあるだけで犯罪を招いてしまう可能性があるとしたら、今すぐに撤去してしまうのがいいですよね。
自然災害などで転倒・倒壊・破損の危険が生じる
自然の力はときに人間の予想をはるかに上回るものです。大きくて重いはずの物置が、暴風で軽々と飛ばされて車や家屋の壁を破壊した、人がケガをした…という事例は実際に起こっていることなのです。
安全のためにも、もう使っていない物置は早めに処分することをおすすめします。
解体は業者に頼むか自力でやるか…判断基準はどこ?
有名なイナバの物置のようなスチール製のものであれば、組み立ての段階で溶接などはされておらず、ボルトとナットでの接合のみの場合がほとんどです。したがって、ある程度の工具がそろっているのであれば、自力での解体が可能なこともあります。
しかし、思った以上に時間や体力を消費したり、廃材の処理まで自分で行う必要があったりで、途中までやってみたはいいが挫折するということも往々にしてありえるものです。
そのため「どういう場合であれば、業者に頼むべきか」「どんな条件がそろっていれば、自力解体も可能か」というある程度の判断基準を知っておくといいでしょう。
大きさ・材質
大きければ大きいほど解体に時間がかかるのはいうまでもありません。
また、前述したようにスチール製以外の物置は構造が複雑であったり、基礎部分がしっかりと造り込まれていたりして、やはり解体にもかなりの手間がかかります。こういったものは、業者に頼むのが賢明といえるでしょう。
劣化の程度
経年劣化によってあまりにも老朽化が激しいと、解体時に倒壊の危険があったり、前述したようにサビにより接合部分のボルトが動かなかったり、ということが考えられます。
このようなケースでは特別な工具や道具が必要になるため、やはり自力での解体はやめておくのがよいでしょう。
アスベストの有無
有害物質であるアスベストの除去は、素人には不可能です。
現在では使用が禁止されているアスベストも、昔の物置であればまだ使われているおそれがあるものも存在します。アスベストの含有が疑われるものは、すみやかに業者への解体依頼をすべきといえるでしょう。
業者に物置解体を頼んだ場合
実際に業者に物置解体を依頼した場合のポイントを見ていきましょう。
物置だけの解体や撤去は可能なのか
家屋などの解体と同時に、物置も一緒にお願いするという場合は、付帯工事という扱いになって物置単体の解体よりも安く請け負ってくれることが多くあります。
しかしもちろん物置だけの解体でも引き受けてもらうことは可能です。
物置解体の一般的な費用相場の目安
高さ・幅・奥行きの合計 | 費用 |
---|---|
~400cm | 15,000~17,000円程度 |
400~500cm程度 | 17,000~21,000円程度 |
500~600cm程度 | 21,000~30,000円程度 |
上記の表は、物置の高さと幅と奥行きを合わせた寸法ごと解体費用の目安です。しかし、さまざまな条件によって値段が異なるので、一概にはいえません。また、
これは純粋に解体費用であって、基礎の撤去や廃材の処分が必要な場合は、この金額にさらに上乗せとなることがほとんどです。場合によっては、自分が考えている予算よりも、大きく異なる場合があります。
そのため、業者に依頼する前には、必ず何社かに見積もりを出してもらいましょう。また、解体費用と撤去費用は別であることが多いので、その点も業者に確認しておく必要があります。
費用を左右する条件
一般的な費用相場は上記の通りですが、費用の変動条件としては以下の要素が考えられます。
〇物置の大きさ・材質
当然ながら、物置が大きければ大きいほど解体作業に時間がかかるため、それに伴い工事費用も高くなります。見積もりの際には、事前に3辺の合計サイズを測っておきましょう。
また、600cm以上の大型物置は、家屋を解体するような専門業者でないと、対応できない場合もあります。
材質でいえば、イナバ物置のようなスチール製であれば、解体後の廃材をリサイクルすることができるため、費用はあまり高くならない傾向にあります。
が、木製やプレハブタイプであれば、解体の手間と廃材の処分費用がかかるため、スチール製よりは費用が高めになるでしょう。
〇基礎の有無
こちらもイナバ物置などのスチール製のものであれば、たいていはコンクリートブロックを置いただけの土台の上に物置を設置しますが、なかには基礎工事をしっかり行っているものもあります。この場合は基礎の撤去も必要となるので、その分の費用もかかります。
〇劣化の状態
老朽化や劣化が激しいものだと、接合部分のボルトやナットがサビついていて外すのに時間がかかる…など、状態によっては費用に響いてくることがあります。
〇残置物の有無
いわゆる「残置物」がある状態、つまり物置をからっぽにしない状態で解体工事に至ると、残置物の処分費用もかかります。
〇養生の有無
物置の設置場所によっては、養生が必要になります。
たとえばベランダや屋上に物置を設置している場合は、搬出の時に壁や階段などにぶつかり、破損してしまうかもしれません。物置が敷地内の広い場所にあったとしても、老朽化の程度によっては解体作業時にホコリや粉塵が舞ってしまい、近隣住宅に迷惑をかけてしまうかもしれません。
そのようなトラブルを防止するためにも、養生で囲うことが必要な場合もあります。家屋の解体時に比べれば養生の数量も少なく済むとはいえ、多少は解体費用全体に影響を及ぼすでしょう。
業者に頼む場合のポイント
業者に頼むからといって、全ての作業を丸投げしてしまうと、その分費用もかさみます。自分でできることは自分で、前もって行っておけばそれだけでかなりの費用を節約することもできるでしょう。
たとえば、前述したように残置物が大量にあると、その処分費用までもが解体費用に上乗せされてしまいます。あらかじめ自分で処分をして、物置の中をからっぽにしておくようにするだけでも、ずいぶん違います。
〇複数業者に見積もりを依頼するのがおすすめ
解体費用はさまざまな条件によって異なります。事前に正確な費用を知っておきたい場合は、解体業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。
また、業者によっても見積もりの仕方が違うため、複数の業者に見積もりを出してもらうと、料金の比較ができます。電話やメールで概算料金を算出してくれる業者もあるので、まずは気軽に尋ねてみましょう。
〇補助金・助成金は利用できるか?
物置の解体工事の際は、自治体の助成金を利用できるケースもあります。
いくつかの条件をクリアする必要はありますが、該当していれば受けることができるため、一度確認してみるといいでしょう。
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自力で解体する場合
次に、業者に依頼せず、自力で物置解体を行う場合の手順とポイントを見ていきましょう。
1:服装と道具の準備
〇必ず用意すべきもの
自力で物置の解体を行おうと考える場合は、最低でも以下のものは用意しましょう。
・軍手
・スパナまたはレンチ
など
ケガを防ぐためにも、軍手は必須です。素手での作業は危険が伴うので、必ず用意するようにしましょう。
また、スチール製の物置はたいていの部分がボルトとナットで固定されているため、それを外していくためにはスパナかレンチといった工具が必要です。
〇場合によっては用意すべきもの
・バール
・ハンマー
・電動ドライバー
・脚立
など
ボルトとナットがサビついていてなかなか回らない…などという場合には、バールという道具が活躍します。また、基礎がしっかり打ってあるような物置であれば、ハンマーでの破壊が必要になることもあります。
その他、大きめの物置であれば作業を楽にするための電動ドライバーや脚立などもあるといいでしょう。
また、作業着や保護ゴーグル・防塵マスク・ヘルメット・安全靴などの装備品も、あれば快適に作業が進むためしっかりと身につけておきたいところです。
2:上から下へ分解していく
物置に限りませんが、解体作業は「上から下へ」が基本です。まずは屋根を外し、次にドアを外し、壁を経て床板に至ります。
スチール製の場合は、ボルトやナットで接合されていることがほとんどですので、1つずつ丁寧に外していきましょう。
必要以上に力を入れすぎてしまうと、資材が変形して解体しにくくなるので注意が必要です。物置の老朽化が激しく、ボルトやナットが錆びついて外せなかったり、大きなものだったりすると想像以上に時間がかかるものです。とにかく安全を重視して、ゆっくりじっくり作業を進めていきましょう。
無理だと感じたら、その段階で業者にお願いすることも考えましょう。
3:基礎を撤去する
床底まで解体したら、最後に残った基礎部分を撤去します。スチール製物置の基礎であれば、コンクリートブロックを使っていることが多いです。その場合はコンクリートブロックを撤去するだけですので、簡単にできるでしょう。
違う素材でしっかりと基礎を作っている場合は、ハンマーなどで破壊しなければなりません。自力で解体する場合は、最後まで安全に留意しながら、ゆっくりと進めていきましょう。
4:廃材を処分する
解体が全て終了したら、最後に廃材を処分します。廃棄物は各自治体の決まりに従って処分し、金属類や鉄くずは買取業者に依頼すれば買い取ってもらえる場合があります。
〇スチール素材の処分方法
スチールの場合は、自治体に粗大ごみとして回収してもらう方法と、金属回収業者に買取をしてもらう方法があります。
可能であれば、粗大ごみとして捨てるよりも、金属回収業者に買取をしてもらう方がよいでしょう。ただし、買取の場合は自分でスチールを軽トラックなどに積んで、運搬しなければなりません。
自分で運搬するのが難しい場合は、専門の回収業者に依頼することもできます。また、業者の都合もあるため、解体後すぐには回収してもらえないこともあるでしょう。その点も考慮して、検討してみてください。
〇コンクリート素材の処分方法
物置の基礎部分のほとんどは、コンクリートのブロックが使用されています。コンクリートブロックは、一般的に粗大ごみとして処分することが可能です。
ただし、地域の自治体によっては、コンクリートが粗大ごみの分類に含まれていないこともあります。その場合は、専門の業者に問い合わせてみましょう。
物置を解体する際の注意ポイント
1:解体に関する許可申請が必要な場合がある
解体作業を行うにあたり、許可申請が必要なケースもあります。
たとえば、解体した後の廃棄物を処分するために、軽トラックなどを公道に駐車する場合は、道路使用許可の申請が必要になります。ただし自宅敷地内の駐車場など私有地に駐車する場合は、道路使用許可の申請は必要ありません。
こうした許可は、管轄の警察署で申請をし、受理されるまでに約3~4日かかります。そのため、解体予定日を考慮して、余裕をもって申請することをおすすめします。
ほかにも、解体を考えている物置の床面積が80平米以上ある場合は、建設リサイクル法により解体工事業の登録を行なわなければならないため、元々登録のある業者に依頼する方がよいでしょう。しかし、そもそも物置の床面積がそうした大きなサイズになることはまずないうえ、そのような大きさの物置は自力で解体することは不可能といえるため、この点についてはあまり心配はいらないでしょう。
出典:建設リサイクル法の概要(環境省HP)出典:道路使用許可の概要、申請手続等(警察庁HP)
2:リサイクルショップに引き取ってもらうことも考えよう
物置の状態がある程度よければ、わざわざ解体しなくてもリサイクルショップが買取をしてくれる場合があります。
小型サイズであれば、そのままの状態で引き渡すことができるかもしれません。解体する前に、リサイクルショップに問い合わせてみましょう。
状態によっては、「買い取ることはできないけれど、無料で引き取りはOK」というケースもあります。無料で回収してくれるならば解体する手間が省けるうえに、解体業者に依頼する費用もかからないので、お得であると考えてよいでしょう。
老朽化が激しいものはともかく、まだ使えそうな状態の物置であれば、まずはリサイクルショップに問い合わせてみましょう。
物置の解体費用の相場や解体方法を知っておこう!
物置を解体する際の費用相場や、自力で解体する方法を見てきました。
小さめのスチール製物置であれば、自力で解体することも可能です。ただし、物置の解体を業者に依頼するか自力で行うかというのは、物置の状態などさまざまな要素によって判断する必要があります。解体作業を開始する前に、自力でできるような条件を満たしているのか、よく確認しておきましょう。無理だと感じたら、安全のためにも業者に依頼することを検討するようにしてくださいね。
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