根切りとはどのような工事なのか詳しくまとめました。根切りを行う目的や種類、深さの適正や工事の確認ポイントについても取り上げます。根切り以外の基礎工事や残った土の処理方法など、建築物の基礎である根切りについて、解説しているので参考にしてください。
根切りとはどんな工事か詳しく解説!
根切りとはどのような工事なのか、種類やチェックすべき確認ポイントについてまとめました。基礎工事の流れや、山留めの工法についても取り上げていきます。
さらに、根切りの確認すべきポイントを、さまざまな角度から解説していきます。建築工事の基礎である根切りについて、施主もチェックできるように知識を深めていきましょう。
根切りは建築物工事の基礎
根切り(ねぎり)とは、建築物の基礎を作るために地面を掘る工事のことです。根切りは、建物の基礎やピットを作るための重要な工事です。根切りの種類や、根切り以外の基礎工事についても解説するのでチェックしていきましょう。
解体工事でも行われる根切り
根切りとは、建物の基礎やピットを作るため、地面を掘る工事です。建物の基礎は地面の下に埋める必要があるため、地面を一定の深さまで掘らなければなりません。
また、根切りは建物を立てる時だけでなく、解体する時にも行われます。根切りを行うことで、工事に適した空間を作ることができるため、解体工事にとっても建築工事にとっても重要といえるでしょう。
根切りの種類
根切りには3つの種類があり、基礎の種類によって変更されます。さらに、工事によっては、3種類の根切りを組み合わせることもあります。根切りの種類について説明するので、それぞれの特徴をチェックしましょう。
種類①つぼ掘り
つぼ堀りとは、柱などの基礎ごとに掘る根切りの方法です。独立基礎の際に行われることが多く、必要な寸法を計算し掘っていきます。
種類②布掘り
布掘りは、布基礎や基礎梁部分のみ掘る方法です。布基礎の壁下をつなげていくので、細長い線状に掘っていくのが特徴です。基礎だけでなく、杭打ちのために行われる場合もあります。
種類③総掘り
総堀りとは、ベタ基礎の一番下を全て掘る方法です。総堀りは、別名ベタ掘りとも呼ばれ、基礎梁下、柱下、床下などを区別せずに根切りしていきます。
根切り以外の基礎工事
まずは根切りの前に、水糸などで地縄工事を行うのが一般的です。地縄工事は、敷地に建物をどのように建てるか確認するための工事です。
その後、土地に対する建物の位置や基礎の高さを、杭、貫等で土地上に打ちます。この柵を目印に基礎を作っていくので、とても重要な作業です。
その後根切りを行い、掘ったところに砕石を敷き詰めていきます。昔は丸い天然石を並べていましたが、現在は1cm〜4cm程度の砕石を並べ、突き固めるのが一般的です。砕石を締め固めたら、捨てコンクリートを打ちます。
その後、防湿シートを敷き、上から部材で固定して防湿性能を高めます。除湿シートを張った後は鉄筋を配置し、型枠を組んでコンクリートを打っていきます。型枠を外し、不要なコンクリートを取り除けば基礎の完成です。
根切り工事の確認ポイント
根切り工事は業者が行いますが、施主も根切りの知識を持っていると安心です。根切り工事の確認ポイントについて解説するので、知識を深め、疑問や不安は業者に確認しましょう。
ポイント①根切り深さの適正
基礎によって、根切りの深さの適正は決まっています。確認する際は、図面通りの深さかどうかチェックすることが大切です。
もしも根切りの深さが足りない場合は、砕石を敷き詰める作業や捨コンクリート打設の厚みに影響が出て、図面通りに建物が建築できない可能性もあります。
根切りの底は「根切り底」、地盤面から根切り底までの深さを「根切り深さ」といいます。根切り底は平坦になるように仕上げ、工事管理者が確認しなければなりません。
ポイント②根切り幅の適正
根切りをチェックする際は、深さだけでなく幅にも注意しましょう。幅も深さ同様、図面に記載されているためチェックすることができます。
布基礎は、場所によって幅が違うことがあり、分かりづらい場合があります。わからない場合はそのままにせず、管理者に同席してもらってチェックすることが大切です。
ポイント③耐震性のある地盤
耐震性のある建物を建てるためにも、地盤の確認は重要です。耐震に問題のない地盤であっても、根切り工事後に問題が発生する可能性もあります。
耐震性に不安が残ったまま建築した場合、地震によって被害を受ける可能性は大きくなります。地盤の耐震性をチェックするには、専門家に立ち会ってもらいましょう。万が一、耐震性に問題がある場合は、耐震補強を行う必要があります。
ポイント④隙間の有無
根切り完了後、防湿シートを敷く作業があります。防湿シートは、厚さ0.1mm以上のポリエチレンやアルミ圧着フィルムを使い、水蒸気の流入を防ぐ役割があります。
壁内結露を防止するために重要ですので、防湿シートに破れや隙間がないかチェックしましょう。もしも、破れや隙間があった場合は、防湿シートに防湿テープを貼って修繕します。
布基礎ではなくベタ基礎の場合は、基礎のコンクリートにも防湿効果があるので、隙間を細かくチェックする必要はありません。それでも気になる部分があった場合は、担当者に確認してみましょう。
ポイント⑤ゴミや廃棄物などの異物
根切り工事中に、地中からゴミや廃棄物が見つかる場合があります。今まで何もないと思っていた土地でも、地中を深く掘ることで異物が発見されるケースもあります。
万が一、大量に異物を発見した場合は、撤去後に地盤を再調査しなければなりません。大量の異物は、地盤の強度や地質に影響が出るだけでなく、工事のスケジュールに影響が出ることもあります。
ポイント⑥山留め
「山留め」とは、根切りの穴が深くなった場合に、地面が崩れないように行う作業です。深く掘ることで地面が不安定になるため、リスク軽減のために山留めを設けなければいけません。
オープンカット工法
山留めは地面が崩れないよう、専用の板やたなを使って設置作業します。ですが、敷地が広い場合は、土が崩れない勾配で根切りすることも可能です。
この工法は「オープンカット工法」と呼ばれ、少ない費用で簡単に行えるというメリットがあります。ただし、敷地が狭い場合は行えません。
ポイント⑦埋戻し
掘削してできた空間を、土で埋め戻す作業を「埋戻し」といいます。基礎の強度が発現した後、建築現場では必ず埋戻しが行われます。
埋戻しは、基礎構造が完成した最後に行うのが一般的です。または、工事自体を中止する場合も、埋戻しは行われます。
埋め戻すときに用いる土は「埋戻し土」または「盛り土」と呼び、根切りした土をそのまま利用する場合もあれば、別の土を使う場合もあります。
埋戻し土は4種類あり、かかる金額や性質が違うため注意しましょう。それぞれの土の性質について、詳しく解説していきます。
土の種類①A種
A種は山砂の砂質土で、水締めや機器を使用した締固めが一般的です。山砂は、川砂や海砂に比べ均等係数が高く、締固めると強固になります。
土の種類②B種
B種は根切りによって発生した土で、質の良い砂質土です。有機物やコンクリートガラを含まない良質土を想定しているため、粘土質や有機物の多い土はB種にできません。
土の種類③C種・D種
C種は他の建築現場で発生した良質土で、D種は再生コンクリート砂です。どちらも建設発生産廃の有効利用のため、積極的に使用することが推奨されています。
ポイント⑧残った土の処理方法
掘削された土は大量で、その量が多ければ多いほど処分に費用がかかります。敷地が広ければ残土の処理を敷地内で行えますが、狭小地の場合は処理場に運ばなければいけません。
残土の処理費用の目安は、1㎥あたり5000円〜7500円ほどです。40㎥の残土を処分するには、おおよそ20万〜30万程度の費用がかかります。敷地内で残土の処理を行えれば良いのですが、通常は施工業者が処理方法を決定します。
根切りを理解して施主もチェックできるようにしよう!
一般にはあまり馴染みがない根切りという言葉ですが、建築物の工事では必ず行われる作業です。建物の強度を保つための重要な作業ですので、作業工程や確認ポイントを知っておくことは大切です。
施主が直接作業に関わることはありませんが、知識を持っておくことで疑問点や不安を解消できるでしょう。