使っていない別荘は維持費が嵩んでいく
今まで使っていた別荘をあまり使わなくなったり、使わないような別荘を相続したりと不要な別荘をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
使わなくても別荘を所有していることで、管理の手間や固定資産税、有名別荘地の熱海市では別荘等所有税が課税されるなど維持費が嵩んでいきます。
維持費の負担から逃れるために検討したいのが、別荘の処分です。その方法について、解説しますので参考にしてください。
別荘を処分する7つの方法
別荘を処分することに決めたら、物件を見た時の印象を良くするために建物の手入れと、除草作業を行いましょう。
別荘の第一印象で手入れが行き届いているように見えることで、売却の可能性が高まります。準備ができたらどのように処分すればいいのでしょうか。ここでは、7つの方法を紹介していきます。
- 売り出し価格を下げて売却する
- 別荘の管理会社に相談する
- 別荘専門などの不動産業者に買取を依頼する
- 不動産一括査定サイトを利用する
- 空き家バンクを利用する
- 親族や友人に譲る
- 隣の別荘オーナーに譲る
1:売り出し価格を下げて売却する
処分を考えている場合、売り出し価格を下げて売却するのが1つの方法です。ただし、極端に安くすると価格を付けなおすのが難しくなったり、事故物件のように思われたりするため注意しましょう。
あらかじめ最低の売却価格を決めておき、価格交渉があっても最低価格以内なら売るように決めておけば、値下げ交渉で決断に時間がかかり売り逃すといったこともないでしょう。
2:別荘の管理会社に相談する
別荘の管理会社は管理費を支払うことで、別荘地の道路や水道の維持や管理、消火栓など防災設備の整備、敷地の不正使用の防止などを行ってくれます。
また、別荘の管理会社に相談することで、地元の買取業者を紹介してくれる可能性もあります。
3:別荘専門などの不動産業者に買取を依頼する
別荘の買取を依頼するなら、別荘専門の買取業者に依頼するのも1つの方法です。
買取の場合は、売却の手間や時間をかける必要がなく、さらに情報公開をすることなく別荘を手放せるでしょう。
4:不動産一括査定サイトを利用する
不動産一括査定サイトを利用するのも、別荘の売却に強い不動産を探す方法の1つです。同時に複数の不動産会社に査定を依頼でき、結果を比較できます。
査定の後に、それぞれの不動産会社の担当者と電話で話をしてみて、別荘の売却経験を確認し、販売力がある会社を選ぶと良いでしょう。
5:空き家バンクを利用する
増えていく空き家の対策として、様々な自治体が取り組んでいる施策が空き家バンクです。自治体が営利目的ではなく行っているため、無料で登録できるものが多いのがメリットです。
一方で、空き家バンクというシステムの知名度が低いため、売れる可能性が低い点がデメリットと言えるでしょう。
例として「ちちぶ空き家バンク」では、秩父市と近隣市町村が埼玉県宅地建物取引業協会秩父支部と協力して運営しており、別荘も物件として取り扱っています。
出典:ちちぶ空き家バンク|ちちぶ空き家バンク推進委員会 事務局・(一財)秩父地域地場産業振興センター
6:親族や友人に譲る
売却をすることが難しいようであれば、親族や友人に別荘を譲ることも1つの方法です。
ただし、無償で譲ったとしても不動産の評価額により贈与税がかかる可能性があることや、別荘の維持費や管理費などのデメリットがあることを、譲る相手に説明をする必要があるでしょう。
7:隣の別荘オーナーに譲る
過去に別荘がブームとなった時代がありました。その頃に開発された別荘は、土地が狭いことがあります。
そこで、隣の別荘オーナーへ譲渡を打診するという方法も考えられるでしょう。隣のオーナーが「別荘の土地を広くしたい」と思っていれば、譲渡を受けてくれる可能性があります。
費用を払って別荘を処分する方法もある
不動産の処分費用を払うことで、不動産を引き取るサービスもあります。売却が困難で買い手がつかないような不動産でも、引き取りサービスであれば、数十万円の費用を支払うことで処分が可能です。
固定資産税の支払いや維持や管理の費用と手間を考えた場合、素早く確実に処分できるという点でメリットがあります。
二地域居住の広まりによる別荘地の需要の高まり
国土交通省は地域振興策の1つとして、全国二地域居住等促進協議会を令和3年3月9日に設立しました。
地域づくりの担い手となる人材の確保のため、都市住民が農山漁村にも生活拠点を持つ、二地域居住の推進を図っています。
さらにコロナ禍でテレワークが普及し、場所にとらわれずに地方からテレワークという選択肢が増え、結果として別荘地の需要の高まりに結び付きました。
相続放棄とは?
相続放棄とは、亡くなった被相続人の財産と負債の全部を、相続人が相続せずに放棄することです。被相続人が多額の負債を残した場合などでも、相続放棄をすることで、負債を引き継がずに済みます。
相続を開始してから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てれば、相続放棄が可能です。使わない別荘が負担になるようであれば、相続放棄を選ぶのも1つの方法でしょう。
相続放棄の3つの注意点
使わない別荘の相続がある場合、相続を放棄することで固定資産税を払わなくて済むというメリットが得られます。
では、別荘の相続放棄にはどのような注意点があるのでしょうか。3つの注意点について解説していきます。
- 負の財産だけを相続放棄することはできない
- 家や土地以外に相続財産がないか確認する
- 相続放棄後も管理義務を負う場合がある
1:負の財産だけを相続放棄することはできない
相続放棄の注意点の1つが、相続放棄する場合はすべての権利を放棄するということです。現金などプラスとなるものだけを相続して、処分しにくくて固定資産税がかかりそうな別荘だけを相続放棄するということはできません。
2:家や土地以外に相続財産がないか確認する
相続放棄をする前に注意したいのが、処分しにくい家や土地以外に、どのような資産があるかということです。
相続財産の中の金融資産が十分あり、別荘の管理費や維持費を十分支払えそうなら、相続放棄を見合わせるという考えもあります。相続放棄をするには、相続開始から3ヶ月以内という決まりがあるため、早めに確認しましょう。
3:相続放棄後も管理義務を負う場合がある
相続を放棄した別荘の管理義務はどのようになるのでしょうか。自分以外の相続人がいない状態での相続放棄の場合は、民法940条の規定により別荘の管理者となります。
また、複数の相続人がいても全員が遺産を相続放棄した場合、やはり管理者としての責任を持たなければなりません。
相続放棄の手続き
相続をする時に、相続人には3つの選択肢があります。相続人が被相続人から土地所有の権利や借金まですべて含めて受け継ぐ単純承認、一切相続を受けない相続放棄、相続する財産の限定で債務を負担する限定承認です。
相続放棄は民法の規定により、相続を開始してから3ヶ月以内に行う必要があります。手続き先は被相続人の住所地にある家庭裁判所です。相続放棄の申述書を提出して行います。
別荘を処分する方法を検討しよう
使っていない別荘は維持管理の費用に加えて固定資産税がかかり、負担となります。とはいえ、別荘をいらないからとすぐに捨てられるわけではありません。この記事で紹介した別荘の処分方法や相続放棄の注意点を参考に、処分方法を検討してみて下さい。