家屋を建てる際に、土留めや擁壁といった言葉を聞くことがあります。土留めという文字だけではイメージしづらいものですが、どのような役割があるのでしょうか?また、ただの塀や柵と擁壁とはどのような差があるのでしょうか?その違いも見ていきましょう。
土留めは家屋や建物を守る役割がある。土留めと擁壁には「工事そのもの」と「構造物の呼び名」という違いがある。
土留めは基礎工事として、家屋や、そこに住む家族の生命を守ります。斜面に家屋を建てる際に土砂崩れによる崩落を防いだり、隣地との境界線を明確にするために構造物として作る壁を擁壁といいます。
土留めの役割とメリット①土砂崩れを防ぐ
土留めの一番のメリットと言えば、やはり土砂崩れの防止です。家屋を建てる敷地が斜面である場合、必要な面積を確保するために地面の一部を削ります。その他にも、盛土をして土地の凹凸を平坦にならす造成工事を行います。
しかし、ただ土を削っただけの崖や土を盛っただけでは、大雨や地震で土砂崩れを起こす危険性があるでしょう。こうした事態を防ぐために必須なのが、土留め工事です。
土留めの役割とメリット②防犯効果が期待できる
土留め工事によって土地の高さ(レベル)を上げたり、擁壁が自分の敷地と隣地や道路等とを区切ります。そのため、空き巣等にとっては侵入しにくい家と思わせることにもつながるでしょう。こうした心理的効果は、ただの塀や柵にはない違いとなります。
土留めの役割とメリット③隣接地との境界の見分けがつく
また、土地の見た目が周囲と違うということは、外部とのはっきりとした境界線ができます。隣人との土地の所有権があいまいなことでトラブルの原因になる、といったリスクを回避できます。
土留めの役割とメリット④花壇を利用したおしゃれな土留めも
土留め工事で作る擁壁はコンクリートや石の外観が多いです。擁壁にレンガを用いておしゃれな花壇を作るなど、アイデア次第でバリエーション豊かな外観にすることも可能です。腕に覚えのある方であれば、自分でdiyしてしまうのもいいかもしれません。
土留めと擁壁との違い
土留めは、自宅の敷地を造成する際に盛った土や、斜面を削ってできた崖が崩落しないように土をせき止めるための工事です。
この時、コンクリートやブロック、合板などを下地として作る壁のことを擁壁と呼びます。特に斜面や崖地、山間部に家を建てるときには、擁壁を支える杭打ちも必要になることが多いです。
擁壁にはさまざまな種類がある
- 石造り
- プレキャスト
- コンクリート造り
- 鉄筋コンクリート造り
石造りは、石やレンガ、コンクリートブロックを必要な高さまで積み上げた、石垣のような擁壁です。素材そのものが合板の役目も兼ねています。単純に積み上げただけのものは空積み式、石やブロックの隙間にモルタルやコンクリートを充填し強度を高めたものは練積み式となります。
プレキャストは、工場であらかじめ大量生産したコンクリート壁を現地に運び込んで設置します。作業効率が高く強度もあります。既製品であるため、地盤や土地の状態と必ずしも適合するとは限らないことに注意が必要です。
コンクリート造りは、コンクリート製の擁壁ですが、現地で職人がコンクリートを練って作ることが違いとなります。プレキャスト擁壁同様、コンクリート製であるため相応に頑丈で、現場の土地や地盤の状況に合わせて工事をしてもらえます。
鉄筋コンクリート造りは、コンクリートの中に骨組みとして鉄筋を併用した、現在最も選ばれている擁壁です。事前準備として土砂の崩落を防ぐ支保工を行った後、擁壁となる鉄筋コンクリートを設置し、さらに補強として杭を地面に打ち込みます。費用はやや高くなりますが、最も強固な擁壁となります。
擁壁の選定基準は「安全性」
擁壁は家づくりにおいて、あなた自身やご家族の生命と財産を守る、縁の下の力持ち。日ごろはあまり意識されないことも多い部分ですが、何よりも安全性を重視し、敷地の性質を熟知した業者と納得いくまで相談すべきポイントです。
土留めの解体費用の相場
解体費用は、擁壁の規模、種類、立地条件で大きく変わってきます。距離が長く、高さがある擁壁ほど費用がかさむのに加えて、頑丈な擁壁の解体には特殊な機材が必要です。特に鉄筋コンクリート造りであれば合板だけでなく、杭の処分費用もかかります。
また敷地が広い道路に面していない場合は、大型重機・車両が進入できません。解体した擁壁材を運ぶ、別の小型車両や作業員も必要になります。