建物そのものだけではなく、その周辺や駐車場なども解体する際に、コンクリートやアスファルトで舗装されている部分の撤去が必要になることもあるでしょう。
そもそもコンクリートとアスファルトはよく似ているもののように思えますが、どのような違いがあるのでしょうか。これらの解体工事について、工法や費用・注意点などさまざまな観点から見ていきましょう。
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コンクリートとアスファルトの違い
コンクリートとアスファルトは、両方とも「道路の舗装に使う」というイメージはあるものの、明確な違いは広く知られていないかもしれませんね。
まずはそれぞれの特徴と長所・短所を見ていきましょう。
コンクリートとは
コンクリートはとにかく固くて丈夫、長持ちするという特長があります。
砂と砂利をセメントで混ぜ合わせ、さらに水を混ぜることで固めて作ります。それぞれの分量によって固さに差が出ます。見た目はアスファルトに比べて白っぽく、明るい灰色といった感じの仕上がりになります。
〇コンクリートの長所
コンクリートは固さや重さが十分にあるので、堤防やダムなど強固さが重要であるものに利用されます。耐久性も非常に高く、熱にも強い上に夏でもあまり熱くなりません。
また完成形に制限がないため、さまざまな用途で活躍できます。地面に直接平坦に打つ土間コンクリートだけではなく、上述したように堤防やブロック塀としての活用も柔軟に可能です。
強固ではありますが「曲げ」には弱いため、そこはワイヤーメッシュや鉄筋と絡めて使うことにより、構造物の主体部分にも使えるようになります。
〇コンクリートの短所
重くて丈夫な分、運搬する場合は大変な手間がかかります。同様に、撤去の際にもそれなりのコストがかさみます。
また固まるまで時間がかかり、さらに固まるまでは強度も高くないため、工期の短い工事などでは利用が難しくなります。
耐久性が高くて長持ちはするものの、一度施工してしまうとその後追加工事を行うことは難しいという欠点もあります。
重くて安定性があるコンクリート使用する際は、しっかりと地盤の固さをチェックしなければなりません。大型の建造物では、コンクリートの重さによって地盤が耐えられないこともあるからです。十分な地盤調査が必要です。
アスファルトとは
コンクリートが砂利や水をセメントと混ぜたものであるのに対して、アスファルトは砂と砂利を油で混ぜ合わせ、油を加熱することによって固めて作ります。コンクリートに比べて黒っぽい見た目に仕上がります。
〇アスファルトの長所
アスファルトは水はけが良くて固まりやすく、コストも比較的低めであるという特長があります。
一般的な道路に使われることが多いアスファルトは、やわらかくて静音性に優れており、水はけが良いという最大の特長を持ちます。固まるのが速いため手間がかからず、コストも低めで使いやすい点も良いところです。撤去を考えた際にも、比較的手間が少ないというメリットもあります。
〇アスファルトの短所
低コストで済むものの、耐久性はコンクリートに劣り、寿命が短めという欠点があります。補強工事などのメンテナンスが必要になるため、メリットである「コストが低い」という点も、長い目で見ると怪しくなってきます。
また熱を持ちやすく、真夏は熱くてさわれないほどの高温になり、さらにその熱さでやわらかくなってしまってタイヤの跡がいたり、くぼみができやすくなったりという弱点もあります。
コンクリートの解体
次にコンクリートとアスファルトの解体について、具体的に詳しく見ていきましょう。
コンクリート舗装には、地面の上に砕石や砂利を敷き詰めて、そこにコンクリートを流し込むという方法が取られています。前述したようにアスファルトとは似て非なるコンクリート、固さもアスファルトに勝りますので、解体の方法ももちろんアスファルト舗装とは異なります。
コンクリート舗装解体工事の工法
1:クラッシャー(ワイヤーソー)工法
ダイヤモンドカッターを使うのが、クラッシャー(ワイヤーソー)工法です。場所を選ばずに使える点と、作業音が出にくいのがメリットです。
また、ブロック塀やコンクリート壁の撤去にも最適です。より精密な作業を行う場合は、クラッシャー工法ではなく、次項のウォールソー工法が採用されます。
2:ウォールソー工法
コンクリートの切断面に直線を引いてレールを置き、その上に切断機を走らせて解体していく方法です。
クラッシャー工法よりも精密に作業を進めることができるという特長があります。しかし、工法の難易度が高くなっているため、高い技術を持つ作業員が必要です。
3:ウォータージェット工法
ウォータージェット工法は、超高圧水の水を吹きかけて、コンクリートを破砕していく方法です。
超高圧無振動で作業できるため、公害もなく環境にもやさしいというメリットがあります。
特に老朽化したコンクリートを一気に解体していくのに向いており、その性能も年々アップしています。以前ほど大量の水量を必要としなくなっており、環境に配慮した工法として使われる場面が増えています。
4:圧砕(圧搾)工法
圧砕(圧搾)工法は、圧砕機を使って、コンクリートを砕くようにして解体していく工法です。
振動や騒音は比較的小さいのですが、粉じんが出やすいというデメリットがあります。
うまく活用することで周辺地域に迷惑をかけずに作業が行えるでしょう。
コンクリート舗装解体の費用相場
1:単価相場
「コンクリートの厚み」「鉄筋の有無」によってによって費用目安を設けている業者が多いようです。
土間コンクリートの厚さと仕様 | 単価の相場(㎡) |
---|---|
厚さ5cm・鉄筋なし | 700円~(㎡) |
厚さ5cm・鉄筋あり | 1,000円~(㎡) |
厚さ10cm・鉄筋なし | 1,000円~(㎡) |
厚さ10cm・鉄筋あり | 1,500円~(㎡) |
あくまで目安ですが、コンクリートの厚みが5cm~であれば、鉄筋なしでおおよそ700円~/平方メートル、鉄筋ありで1,000円~/平方メートル、厚み10cm~であれば、鉄筋なしでおおよそ1,000円~/平方メートル、鉄筋ありで1,500円~/平方メートルというぐらいで考えておくといいでしょう。
2:解体費用の全体の目安
コンクリートの解体費用の目安は、実例を参考にすると1.5㎡で18,000円になります。
ただし実際の解体現場の状況などによって単価や解体方法が異なってくるため、金額も変動することに注意が必要です。
また、土間コンクリートを解体したあとに、整地などの作業をしてもらう場合は、その分が追加費用となります。建物全体を解体する場合などは、セット料金として単価が割引されることもあります。
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アスファルトの解体
次にアスファルトとコンクリートの解体について、具体的に詳しく見ていきましょう。
アスファルト舗装解体工事の工法
1:IH式工法
アスファルトの舗装部分に電磁誘導加熱で熱し、アスファルト舗装の下部にある鋼床版というものとの接着を解いて剥がす工法です。
時間と費用はそれなりにかかりますが、騒音や振動を抑えて作業を進めることができる上、鋼床版に傷をつけることもないなど、重機で力まかせに解体するよりも多くのメリットがあります。
2:オーバーレイ工法
オーバーレイ工法は、厳密にいうと解体工法ではなく「補修」の工法です。亀裂ができたり劣化したりしたアスファルト舗装の表面部分だけを一部剥がし、その上に新しいアスファルトを敷くというものです。
短時間で済み、費用も安上がりですが、あくまで「補修工事」としての工法です。
アスファルトの解体工事費用相場
「アスファルトの厚み」によって費用目安を設けている業者が多いようです。
こちらもあくまで目安ですが、アスファルトの厚みが5cm~であれば、おおよそ1,000円~/平方メートル、10cm~であれば、おおよそ1,500円~/平方メートルぐらいで考えておくといいでしょう。
コンクリート・アスファルト解体工事の注意点
費用を少しでも抑えるためには「相見積り」を
コンクリートに限ったことではありませんが、解体費用を少しでも抑えるためには、必ず相見積りをしましょう。もちろん、相場よりも単価や人件費が安すぎる業者には注意が必要です。
自力で解体すると費用は安くなる?
狭い範囲であれば、アスファルト舗装の解体工事くらい業者に頼まずに自分でできるのではないか…と、DIY熟練者などは考えるかもしれませんね。
コンクリートやアスファルトを解体するために専門的な資格などは不要ですが、実際には簡単なことではありません。
アスファルトカッターというものが販売されているため、結論をいえば「自力でできないことはない」といったところですが、カッターの購入費用のみで済むから安上がりだという理由だけで自分で施工しようと思うのであれば、オススメはできません。
思った以上に時間がかかったり、ケガをしたりという予期せぬことが起きて、費用以上の問題が発生する可能性が大きいからです。
また、コンクリートに関してはアスファルトよりもさらに強固で重量もあるため、素人には扱いが非常に難しいといえます。
よほどのことがない限り、コンクリートやアスファルト舗装の解体は、きちんと専門業者に依頼するようにしたいですね。
工期は比較的短いが近隣への挨拶は忘れずに
コンクリートやアスファルトの解体工事の工期は、1日から2日程度と考えましょう。作業自体は難しいものではないので、専門業者に工事を依頼すれば、スムーズに撤去作業が進められます。
騒音が連日続くわけではありませんが、瓦礫などの運搬のために大型のトラックなどが出入りすることにもなります。迷惑をかける旨や、車の通行・駐車に関する情報も伝える意味で、事前にご近所にはしっかり挨拶回りをしておきましょう。
埋設物に注意する
アスファルトやコンクリート舗装の撤去というと、たとえば駐車場の解体工事などがよく挙げられます。
このとき注意したいのが「地下埋設物」。元々建物があった土地を更地にしてから舗装し、駐車場などにしたといった場合、地面を掘り返してみると予想もしていなかったものが埋まっていた…ということがあります。
たとえば建物を解体したときのガレキや廃棄物。これは建物の解体を担当した業者に責任があることですが、上から土をかぶせてアスファルトやコンクリートで舗装してしまえば見えなくなるため、あってはならないことながらもよくあるのだそうです。
また、建物の基礎がそのまま埋め立てられていることもあります。
埋設物を残したままでは解体工事もうまく進まないため、見つかってしまったら撤去するしかないのですが、当然予定外の高額出費となりえます。
アスファルトやコンクリート舗装の解体工事前には、まず地中の状態の確認をしっかり行うようにしましょう。
さらに、それでも予定外の埋設物が出てきてしまった場合はどうなるのかという対応や費用について、前もって舗装解体を担当する業者と打合せを行っておくのがいいですね。
土地活用を視野に入れておく
コンクリートやアスファルトを解体したあとの土地は、整地をしておくことで土地売却につながりやすくなります。きれいにならされた土地のほうが、買い手がつきやすいからです。
老朽化したコンクリートやアスファルトを解体して整地することには、たしかに費用がかかるでしょう。しかし長い目で見れば、土地を売れやすい状況にして有効活用するほうが利益を得られることもあるのです。
コンクリートの解体業者の選び方
サービス内容やアフターフォローは充実しているか
解体業者の選び方として、サービス内容やアフターフォローが充実しているかどうかを確認することは必須です。
また、専門家ではないとわからないような説明ではなく、工法や工期などを施主にもわかりやすく丁寧に、詳しく説明してくれるかどうか、作業後の不具合にも対応してくれるかを確認しましょう。
見積書の内容は適切か
見積書の内容も、業者の選び方の参考になります。
見積書の項目が大雑把になっており、それぞれの単価に関しても不明確になっている業者は要注意です。見積書に対して質問をして、誠実に回答してくれるか確認しましょう。
過去の実績は豊富か
業者を依頼する際に、ホームページなどで過去の施工実績などをあらかじめチェックしておくことも大事です。
経験豊富な業者のほうが安心して仕事をまかせられます。
もちろん実績が少ない業者でも、適切な費用相場で仕事をしてくれるところなら問題はありません。問題は、実績が少ないのに、相場よりも高すぎる・安すぎるようなところです。そういった業者は避けておくのが賢明です。
遠方の解体業者も選択肢に入れる
解体業者は近隣だけでなく、遠方の業者でも問題ありません。事業所までの距離よりも、実際に施工してもらう条件に対して、経験や知識がある業者を選ぶことが大切です。
解体の工法も多数存在しており、特殊な工法が得意な業者もいます。建物の条件などによっては、特殊な工法が必要なこともあるため、そういった場合は遠方の業者にも相談してみましょう。
新しい解決法が見つかることもあるので、ネットなどを活用して積極的に探してみるのがよいでしょう。
まとめ
アスファルトとコンクリートは似て非なるもので、それぞれの解体工事のポイントや費用・注意点なども違いがあります。費用を抑えるために自分で作業をすることは無理ではありませんが、手間のほうがかかります。
建物の解体よりは容易なものと軽く考えず、専門業者としっかり話し合いながら進めてくださいね。
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