2021年12月20日公開
コロニアルにアスベストが含まれている場合の対処法についてまとめました。コロニアルにアスベストが含まれているかどうかの見分け方や、葺き替え工法とカバー工法についても解説!アスベストが使用されていた時期や、屋根撤去費用についても詳しく解説しています。

目次
- コロニアルにアスベストが含まれていたらどうするべき?
- コロニアルとアスベストについて解説
- コロニアルにアスベストが使われているかの見分け方
- コロニアルにアスベストが含まれていた場合の対処法
- コロニアルにアスベストが含まれていた場合のリフォーム費用
- コロニアルにアスベストが含まれている場合は適切に処理しよう
コロニアルにアスベストが含まれていたらどうするべき?

アスベストの使用は現在禁止されていますが、建設時期によっては屋根に含まれている場合があります。もしも、コロニアル(スレート)にアスベストが含まれていた場合、どのように撤去すれば良いのでしょう。
本記事では、コロニアルにアスベストが含まれていた場合の、撤去方法と費用について解説します。アスベストが含まれているかどうかの見分け方もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
コロニアルとアスベストについて解説
コロニアルとは?

スレートとは、多くの住宅で使われている一般的な屋根材で、デザイン性の高さと耐震性に優れていることから人気があります。コロニアルはスレートの一種で、ケイミューという会社の商品名です。
コロニアルは商品名ですが、流通量が多いことから、屋根材そのものを指す言葉として使われるようになりました。コロニアルは安価で扱いやすく、新築物件にも多く使われています。
アスベストを含むコロニアル

現在製造されているスレートには、アスベストは含まれていません。しかし、2004年(完全禁止は2006年)以前は、コロニアルを含む大半のスレートに含まれていました。
セメントにアスベストを混ぜることで、コロニアルの強度は増します。アスベストを含むコロニアルの寿命は、おおよそ30年が目安といわれています。そのため、現在もアスベストを含むコロニアルは多く残されているのです。
アスベストなし屋根の耐久性

アスベストはその危険性ばかりが注目されますが、建築材としてはとても優れていました。セメントに混ぜ込むことでスレートの強度は増すため、劣化しにくく長持ちするのです。アスベストなしの屋根は、危険性はありませんが強度が弱いというデメリットがあります。
現在、最も流通しているスレートは「コロニアルクァッド」という商品です。しかし、「コロニアルクァッド」の流通が始まったのは2008年頃ですので、耐久性についてはまだ詳しくわかっていないというのが現状です。
コロニアルにアスベストが使われているかの見分け方
見分け方①商品名で見分ける

スレートの商品名や製造番号がわかる場合は、国土交通省の石綿(アスベスト)含有データベースで検索してみましょう。石綿含有データベースは、建材メーカーが過去に製造した石綿含有建材の種類、名称、製造時期、アスベストの種類、含有率等の情報を提供するものです。
しかし、スレートの商品名自体がわからないという場合も多いでしょう。屋根の裏面に製造番号が記載されていますが、剥がさなければわからないため確認するのは実質不可能です。
さらに、建築現場では、図面と実際使われている商品が異なる場合も多くあります。そのため、商品名や製造番号から割り出すのは難しいといえるでしょう。出典:石綿(アスベスト)含有建材データベース(国土交通省)
見分け方②建築時期を目安にする

アスベストは使い勝手が良いことから、さまざまな建材に使われていました。しかし、健康に影響があるとして、2004年には重量の1%以上の使用を禁止しています。実質全面禁止となったのは、2年後の2006年です。
そのため、2006年以前のスレートには、アスベストが使用されていた可能性があります。しかし、2006年以前のスレート全てに、アスベストが使用されていたわけではありません。
2006年の規制より前から、メーカーはアスベストを含まないスレートを発売しています。あくまでも、建築時期はひとつの目安です。
見分け方③スレートの見た目で判断する

アスベストを含まないスレートは、10年ほどで細かなひびや変色が生じ、建築から20年も経過すれば、ひび、かけ、剥離、割れといった不具合が多く見られるようになります。
その一方で、アスベストを含むスレートは、耐久性があり長持ちします。築年数の割にスレートの状態が良い場合は、アスベストが含まれていると考えていいでしょう。
コロニアルにアスベストが含まれていた場合の対処法
アスベストを含むコロニアルは撤去すべき?

自宅のスレートにアスベストが使われていた場合、すぐに撤去しなければいけないのでしょうか?アスベストの危険性は、レベル1から3まであり、屋根材は危険レベルが最も低いレベル3です。
屋根材、外装材、内装材等の成形板などの中にはアスベストを含有するものもありますが、こうした成形板は切断、削孔などの作業を行わない限り、特別な管理は必要ないとされています。そのため、大きく破損したり劣化しない限り、すぐに撤去する必要はありません。出典:アスベスト対策Q&A(国土交通省)
葺き替え工事による対処法

コロニアルが大きく劣化している場合は、葺き替え工事を行います。葺き替え工事とは、元々の屋根材を撤去して、新しい屋根材に変える工法です。場合によっては下地材の張り替えも必要になるので、費用は他の工法に比べると高くなります。
しかし、屋根材を新しくするので、長持ちするというメリットがあります。また、アスベストを完全に取り去ることができるので、安心して過ごせるのは大きなメリットです。自宅の築年数と合わせて、葺き替え工事にするか検討すると良いでしょう。
カバー工法による対処法

カバー工法は、現在のコロニアルの上に別の屋根材を重ねる工法です。アスベストごと屋根を封じ込めることになるので、ひとまずの危険はなくなります。
しかし、アスベスト自体を撤去するわけではないため、問題を解決するのではなく、先送りすることになります。さらに、一度カバー工法でリフォームした屋根は、再度カバー工法をすることはできません。
元々の屋根に新しい屋根材を重ねるため、費用は葺き替え工事より安く済みます。さらに、防音性、断熱性が高くなるといったメリットもあります。
カバー工法ができないケースもある

費用を抑えて屋根リフォームできるカバー工法ですが、どのような屋根にも適用できるわけではありません。屋根の下には、野地板という合板が敷かれています。この野地板が劣化している場合は、カバー工法は適用できません。
野地板の耐久性は、専門業者に依頼して調べることができます。カバー工法を希望しても、野地板の状態次第では、葺き替え工事になる可能性があるということを念頭においておきましょう。
コロニアルにアスベストが含まれていた場合のリフォーム費用
1㎡あたりの撤去費用相場

アスベスト含有コロニアルの場合、1㎡あたりの撤去費用は3,000円〜が相場です。コロニアルの種類によって撤去費用は若干変わるので、ひとつの目安として知っておきましょう。
図面に記載されたコロニアルと実際の商品が違うことも多いため、しっかり調査してくれる業者に見積もりを依頼することが大切です。費用が高すぎる場合はもちろんですが、見積もりが相場より安すぎる業者は、不法投棄を行なっている可能性があるため注意が必要です。
コロニアルの葺き替え工事の費用相場

葺き替え工事の場合、費用はカバー工法よりも高くなります。アスベストが含まれていない一般的な住宅の場合(30坪)、費用は100万円から150万円ほどです。
さらに、アスベストに関する処理費用をプラスすると、合計150万円から200万円ほどが相場です。屋根材や防水シートの種類によっても費用が変わるため、必ず見積もりをチェックしましょう。
コロニアルのカバー工法の費用相場

カバー工法は特別な処置が必要ないため、葺き替え工事よりも費用は安く済みます。一般的な住宅の場合、80万円から150万円が費用の相場です。
葺き替え工事と比較すると20〜30万円、アスベストを含む場合は30〜50万円程度、費用を抑えることができます。野地板に問題がなく、重ね張りできる状態であれば、カバー工法を選んでも良いでしょう。
コロニアルの塗装費用相場

リフォーム内容 | 費用 |
---|---|
シリコン塗料 | 25万〜40万円 |
屋根塗装と棟板金交換 | 40万〜60万円 |
汚れたコロニアルをきれいにするには、屋根塗装を行います。塗装によってコロニアルの耐久性が延びることはありませんが、美しい見た目を保持することができます。また、強風などで棟板金が外れることも多いため、併せて定期的なメンテナンスが必要です。
コロニアルにアスベストが含まれている場合は適切に処理しよう

コロニアルには、製造時期によってアスベストが含まれています。建築時期が2006年以前の住宅のコロニアルには、アスベストが含まれている可能性は大きいでしょう。
しかし、建築時期が2006年より前であっても、必ずしもアスベストが含まれているとは限りません。大きく損傷していなければすぐに健康被害はないため、コロニアルをリフォームする場合はゆっくり検討しましょう。