屋根や外壁のリフォームには、大きな金額の費用がかかります。概ね10年に一度やってくる、大掛かりなメンテナンスです。
もちろんマイホームである以上しっかりとしたメンテナンスをして、長く財産価値を持たせておきたいですよね。
しかし、ただのメンテナンスではなく、「何かの目的」に対して行うリフォームとなれば、基準値や該当する項目さえあれば各自治体からの助成金や補助金の交付を受けられる可能性が出てきます。
一体どんなものがあり、基準とはどんなものなのでしょうか。
屋根のリフォームにうまく助成金・補助金を活用し、少しでも出費を抑えるために、詳しく見ていきましょう。
助成金・補助金とは
ここでの助成金や補助金とは、地方自治体が行っているものを指します。
家屋の省エネや耐震性の向上を図る目的で行われるリフォームに対して、個人による工事代金の負担を軽減させるために交付されるのです。
そういった意味では、助成金や補助金は目的に対して該当していなければ、活用することはできません。
助成金、補助金の役割
各自治体によって目的や趣旨が異なる場合もありますが、基本的には助成金や補助金を交付することによって、生活の向上を図るといったねらいがあります。自治体の推奨しているものに近づける働きがあるものともいえるでしょう。
たとえば、ある町では、築年数の経っている建物が多く、地震での被害が出やすいとします。そしてその町では地震に備えるために、家の耐震補強を推奨しているとしましょう。
このとき、耐震補強のためのリフォームに助成金や補助金を設けたとしたら、それを利用してリフォームを行おうとする住民は確実に増えるはずです。結果的に、その町で推奨している耐震補強も、進んでいくということにつながります。
助成金や補助金は、このように町の施策が一定の効果を出せることねらって設けられているともいえるのです。
どこから受けられるのか
国や各自治体など、期間や期限などの細かい設定は住んでいる地域によっても変わります。
大きな災害などの被害にあった地域は、助成金や補助金だけではなく、家の火災保険や地震保険などにも適用されるケースがあります。一度お住まいの市町村などに確認を取るのもよいでしょう。
基準や条件とは
助成金や助成金にはそれぞれ基準や条件があります。自治体によって細かく分かれているものもありますが、基本的なものを紹介します。
リフォーム工事に着手する前に申請すること
基本的には、申請する前に工事に着手してしまうと、申請が通りません。工事をしたから助成金や補助金をください、と後から申し出ても、通らないのです。
なぜなら、助成金や補助金には明確な基準や事前に受けるべき審査があるからです。順を追って行わなければせっかくの交付のチャンスを逃す可能性があるので、慎重に進めましょう。
交付が受けられる工事と受けられない工事の同時申請は無効
たとえば、屋根の助成金・補助金が出る基準を満たしている工事を申請していると仮定しましょう。
どうせやるのならその工事と一緒に外壁の塗り替え工事もと思い、工事を同じ業者で同じ工事の内訳に入れてしまった場合、助成金・補助金の交付が無効になってしまうこともあります。交付対象の工事とそうでない工事の区別がつかなくなってしまうからです。
指定されたリフォーム業者を利用すること
交付の条件として、同じ自治体に本社、あるいは支店などがある業者を選定しなければならないことがあります。値段や口コミを頼りに該当しない業者を選定してしまうと、交付対象から外れてしまう恐れがあります。
その自治体に住んでいる、もしくは引っ越しの予定がある
交付の条件として、同じ自治体に本社、あるいは支店などがある業者を選定しなければならないことがあります。値段や口コミを頼りに該当しない業者を選定してしまうと、交付対象から外れてしまう恐れがあります。
その自治体に住んでいる、もしくは引っ越しの予定がある。
どんな家屋にも当てはまるものではなく、基本はその自治体に家がある、もしくは住んでいることが条件になる場合があります。引越しでこれから住もうとしている家にも当てはまることがあるので、詳しくは各自治体に問い合わせてみてください。
物件がその自治体にある
居住用であれば本人が住んでいなくても、親戚が住んでいたり、第三者に賃借していたりという物件でも可能な場合もあります。こちらも各自治体によって詳細は変わってきますので、確認が必要です。
居住用の物件である
住居としての物件に限られています。テナントや商業ビルには該当しません。
税金の滞納がない
市県民税やその他の税金の滞納がある方は、交付対象から外れてしまいす。
交付までの流れ
申請書を入手する
各自治体に立ち寄り、申請書をもらうか、インターネットから自治体のホームページにアクセスしてダウンロードする。
業者に見積もりを依頼
屋根のリフォーム業者に工事の見積もりを依頼します、その時に助成金や補助金を利用しての工事ということを説明しておきましょう。
事前審査
事前審査には、必要な書類があります。申請用紙の他に、住民票や工事の見積書、対象エリアの図面や写真など、詳細は各自治体のものを確認してください。
審査後に交付決定
書類審査に不備がないか、必要書類は足りているかなどの確認と、交付資格があるかの審査を行います。時期や混雑具合で多少の誤差はありますが、3週間くらいをめどに結果が出ます。
リフォーム工事
交付が決定したら、施工会社と正式に工事契約を結び、工事の着工をします。工事が完了したら代金を支払います。
リフォーム会社との契約書の写しは、自治体への提出が求められますので、失くさないようにしましょう。
実績報告書の提出
屋根のリフォームが完了したら、実績報告書と助成金や補助金交付の申請書を自治体へ提出します。
実績報告書を受けた自治体の担当者が、実際に現場に足を運び、完了検査を行います。申請時と工事後の内容のチェックをして、相違がなければ交付という流れになります。
万が一、工事の変更などがある場合には変更手続きをしておきましょう。申請内容と工事内容が異なっていると、助成金や補助金の交付がされない場合もあります。
助成金や補助金の交付
すべての項目に不備がなく完了検査もクリアすると、申請書に記入した指定口座へ入金されます。支払われる金額については、こちらも各自治体によって異なります。
交付対象
屋根のリフォームで助成金や補助金といったものを受ける条件は、先ほど上述したもの以外に2項目あります。その2項目をお話します。
省エネリフォーム
省エネリフォームとは、省エネ化を促進し、環境に配慮した住宅にするリフォームのことを指します。
太陽光パネルの設置
太陽光パネルを設置することによって、自家発電が可能になり、電力会社からの電気使用量の削減が期待されます。
なお、国による補助金制度は2014年にすでに終了していますが、自治体からの助成金や補助金は設けているところもあります。
また、太陽光発電による助成金や補助金制度はなくても、新築の場合には、ZEH系の住宅による補助金制度が新たな形となって残っている場合もありますので、こちらについてもお住いの自治体に確認をしてみるとよいでしょう。
アスベスト除去
こちらは屋根のみならず、外壁などにも関係する補助金です。
アスベストに関する助成金・補助金は大きく分けて2種類あります。吹付アスファルトが使用されている可能性のある建物の調査費用助成と、アスベストが使用されているものの撤去費用助成です。
どちらにしても、古い建物にはアスベストが使用されている可能性は大きいので、調査は行っておきたいところです。
断熱化・遮断化
こちらは、屋根材や塗料に関する助成です。断熱効果のある塗料や太陽光の反射率が高い塗料などがあたります。こちらも自治体によって交付金額の上限や細かい規定がありますので、確認をおすすめします。
耐震リフォーム
耐震リフォーム助成金・補助金は、耐震基準を下回る耐震性能の家を補強し、耐震性能を向上させる工事に対して行う助成です。
実は多くの自治体で住宅の耐震化を目的としたリフォームの助成金・補助金があります。対象となるものをいくつか挙げていきます。
屋根の軽量化
瓦屋根などは耐用年数も長く、塗装をやり直す手間もありません。それ以外のメリットも多いのですが、重量面だけでいうと家にとっては負担が大きくのしかかってしまうというデメリットがあります。
屋根を軽量化することで、地震の際に屋根の崩落や家屋自体の倒壊を防ぐことができるため、屋根軽量化のリフォームにも助成してくれる自治体があります。
ただしこれにはガルバリウム鋼板の使用を義務付けている内容のものがありますので、注意してください。
屋根の塗装
屋根の塗装は、省エネリフォームの中でも住宅の熱の遮断と断熱化につながる項目に該当します。
塗料には、遮断性や断熱性に優れたものもあります。
遮断塗料には、セラミックや特殊な顔料が配合されていて、太陽光の中の紫外線を効率よく反射して熱の吸収を抑える効果があり、断熱性のある塗料は、塗膜の中に空気の層を作り、夏の暑さから室内を守り冬の寒い外気と温かい室内の空気を遮断し外気に逃がさないという両方の効果が得られます。
そのため、屋根の塗装の遮断性や断熱性を高めることは省エネリフォームとなるわけです。
屋根の補修(金物補強)
屋根のリフォームには、葺き替えや塗装の塗り直しの他に、金物による瓦の連結や屋根そのものの補強工事もあります。
いくつかの基準をクリアすることによって、助成金や補助金の交付される場合があります。
重ね葺き
重ね葺き(カバー工法ともいう)とは、既存の屋根の上に新たに防水シートを張り、その上から屋根材を被せる施工方法です。
こちらは屋根の補修のような主軸の工事の副産物として、既存の屋根と新たに施工した屋根の間に空気の層ができることから、遮熱性や断熱効果が高まります。そのため、自治体によっては助成金や補助金の対象となっているところもあります。
その他の助成金と補助金
屋根工事に対してに限らず、助成金や補助金は数多くあります。
大きく分けて新築時に適用のものや、リフォーム時に適用されるものもあります。
行っている場所も国や地方自治体とさまざまで、東京都で行われているからといってその他の地域でも同じものがあるとは限りません。
たとえば、新築時に適用されるものとしては、環境保全を目的として、長期優良住宅やZEHに対する補助金があります。
環境保全に対しての基準値が設けられており、その基準を満たすことにおいて省エネ住宅と認められた住居の新築で得られる補助金です。
一方で、すでに建築されている家に対してのリフォームに関してのものもあります。屋根の葺き替え、外壁塗装の塗り替え、玄関ドアの改修、バリアフリー改修などがこれにあたります。
近年では、テレワーク改修なども対象となっています。
まとめ
助成金や補助金は、幅広い範囲に存在しますが、その多くは期日や定員数などで締め切りがあるので、注意が必要です。有効なものなのかどうかを国や地方自治体のホームページで確認したり、直接問い合わせたりして、調べておきましょう。
新築にしてもリフォームにしても、必要なものを探し出し、優先度に応じて取り入れていくことで、本当に必要なものだけをチョイスすることができます。そうすることで、より良い快適な住まいを作りあげていくための助成金・補助金を得ることができるでしょう。
ひとつ注意点として挙げるのであれば、補助金目当てにはならないことです。
補助金はあくまで補助金です。工事の代金の一部を軽減してくれるものなので、工事代金が安くなることには間違いありませんが、全額無料になるわけではないのです。この点には、留意しておきましょう。