屋根は地域や気候で素材・形状に違いがある!細かい特徴を徹底解説

解体工事

地域によって屋根が変わる

日本には、古来ある伝統的な家の様式に加え、屋根の形状もたくさんあります。

長細い国土の日本では列島がゆえに地域によって気候が変わります。北海道や東北に見られる豪雪地帯の雪害や、九州沖縄で猛威を振るう台風の雨や風の被害などは年々大きなものとなっています。

気候が少しずつ変化することによって、北海道にはめったに来ない台風が来たり、西日本でも九州や沖縄で見られる大雨の被害などがあったりもしますが、それぞれの地域の伝統文化が独自に発展し、さまざまな対策が取られています。風土によっても、屋根の形状には特徴が、見られるのです。

九州・沖縄によく見られる屋根の形状

沖縄・九州地方は、梅雨前線が停滞したり、夏から秋にかけては台風の進路になりやすかったりということから、毎年大雨や暴風による被害が多く出る地域です。

そのため、屋根に風水害対策を取っている家が多く見られます。屋根の勾配をきつくし、瓦と瓦の間に漆喰を塗り固めるなどの伝統的な補強を行っているのです。

こういった地域では、基本的には雨や暴風の影響を受けにくい形状の屋根が選ばれることが多くなっています。

近年では、降った雨が浸透しないガルバリウム鋼板や、アスファルトシングルなどの建材を使用しての建築も増加しています。また、台風などの暴風雨に耐えうる強度のものに変更するケースもあります。

余談ですが、九州の、阿蘇山や桜島のような活火山のあるところでは、降り注ぐ火山灰にも注意が必要です。火山灰対策として、屋根にたまった火山灰での悩みを解消するために、屋根に火山灰が堆積しにくくする働きや、たまってしまった火山灰の除去を容易にできるという特徴を持つ、鹿児島県の克灰住宅というものまであります。

東北・北海道によく見られる屋根の形状

東北、北海道地方では、瓦屋根よりもトタン屋根が多く見られます。雪は雨と違って流れ落ちず、瓦の裏などに蓄積して徐々に浸透してしまうことによって、雨漏りの原因になってしまうからです。

また、雪下ろしの際に瓦を踏み抜き、割ってしまうという危険性も考えられます。

雪が降る地域では、屋根の形状はシンプルにするほどよく、三角屋根なら切妻屋根、そうでなければ、片流れ屋根で大きな傾斜がある形状が望ましいとされています。

加えて、屋根材には滑りやすいガルバリウム鋼板がよいでしょう。

しかし、一見すると不思議な家もあります。雪国にもかかわらず、屋根の勾配をあえて浅くし、雪が屋根に残りやすい形状のものにしている家を見かけることがあるのです。

積雪の多いエリアだと、かえって逆効果だと思われますが、これにもちゃんとした意味があります。屋根の積雪が道路に落下しないようにするための配慮なのです。

市街地などの家屋では、隣地や前面道路などに雪が落ちてこないような設計にしたり、雪止め金具を屋根に設置したりと、周りの人に配慮した北国ならではの対策が見られます。

沿岸部によく見られる屋根の形状

海の近くに住むと、必ずといってもいいほど塩の被害があります。塩分は雨や火山灰のように目に見えるものではありませんが、 長い年月をかけて少しずつ蝕んでいき、建物に甚大な被害を及ぼします。

この塩による被害を塩害といい、金属製の屋根などを使用していると特に錆による被害を受けやすくなります。錆が進行すれば建材が腐食してしまい、建物自体も腐ってきてしまいます。一度発生してしまうと、「もらい錆」という現象が起きてどんどん広がってしまい、大きな痛手となってしまう恐れがあるので注意が必要です。

沿岸部は、強い浜風にも注意しなければなりません。日常的に強い風にさらされているということは、台風などのときにはさらなる強風になってしまうのです。

そういったものから受ける影響を最小限にとどめるために、沿岸部ではシンプルな屋根の形状を選ぶことが望ましいとされています。

また、日常的にやってくる潮風からも家を守るためには、金属製の屋根などの使用は避け、スレート系の屋根材や瓦などの粘土系を選ぶとよいでしょう。

山間部によく見られる屋根の形状

山間やそれに近い場所では、森の陰になる部分も多く、日照時間も少なくなります。そのため、湿度が高く、家の中の湿気も溜まりやすくなります。

特に日本の山間部は湿気が多く、住宅を傷めやすい条件が重なってしまいます。そういったことから、山間部の家では屋根裏や室内の空気を循環させる設備をつけるなどの対策を講じていることもあります。

加えて、山間部は降雪地帯でもあることが多いので、三角屋根で屋根の勾配が45度から60度の尖った屋根を使用しているものがほとんどです。これは、雪が屋根に積もりにくくする構造で、今でも山間部の古民家で見かけます。

住宅街や、家が密集している場所では不向きですが、まばらに家が建っている地域では有効な手段の一つといえるでしょう。

屋根材の種類

屋根に使われている素材は細かく分類すると、たくさんありすぎるほどですが、地域や風土、伝統的なものから流行りのものまで、大きく分類すると4つに分けることができます。下記でそれぞれについて詳しく説明していきます。

スレート系

セメント成分に繊維質の材料を配合してできた薄い屋根材のことで、スレート以外にも、カラーベストやコロニアルといった商品名で呼ばれることもあります。

一般的に広く使われていることから、屋根材のメーカーが作るデザインやカラーなど、種類は豊富にあります。

耐久年数はものにもよりますが、概ね20年から25年とされています。流通量が多く価格もこなれてきて安価になってきたのも普及に一役買っているのかもしれません。

屋根材単体での耐久性はさほど高くはありませんが、優れた塗料や遮熱性塗料などがあらかじめ塗られたものもあり、中には耐久性を高めた商品もあります。

メリットは、種類が多く、デザインやカラーバリエーションも豊富で、安価な点です。一部高価なものもありますが、瓦に比べるとまだまだ安いといえます。

また、もっとも普及している屋根材なので、取り扱える業者も多いこともメリットといえるでしょう。

デメリットは、表面がザラザラとしていて、水分が滞留しやすく、コケやカビが発生しやすい点です。雨水材質を貼り合わせているので、暴風雨にも弱く、間から雨水が侵入する恐れがあることも挙げられます。また、耐久性もあまり高くないので、人が歩くと簡単に割れてしまいます。

金属系(ガルバリウム鋼板)

ガルバリウム鋼板は、アルミニウムの含有量が約55パーセントあるために、アルミニウムの特徴である耐食性、耐熱性、熱反射性といった性質を持ち合わせています。さらにトタン屋根のメリットである亜鉛メッキの含有量も高く、その効果である犠牲紡織機能が従来製品のトタン屋根よりも優れていて、耐久性が向上しています。

耐久年数は、概ね塩害地域で15年、それ以外の地域では30年とされています。

メリットとしては、不燃性の材質のため耐火性に優れていて、瓦などよりも軽く、耐震性が高いという点です。カラーバリエーションも豊富で、また一般的なトタンに比べると約4倍の防錆性があります。

デメリットは、耐熱性や熱反射性はありますが、断熱効果は低く、夏場は熱くなり断熱対策が必要となる点です。とても薄く作られているので、軽さの面では優れていますが、その分衝撃に弱く破損しやすいという側面もあります。防音性や断熱性を高めるには工事が必要で、その分費用がかかってしまうでしょう。

金属系(トタン)

よく見るトタン屋根は、亜鉛メッキ鋼板でできているもので、耐久年数は概ね10年から20年とされています。

最大のメリットは雨漏りがしにくいという点で、かつ軽量・安価なので、昭和の時代にはトタン屋根の家がたくさんありました。

しかし、サビが発生することや、断熱性がないことから最近ではトタン屋根を使用した住宅がどんどんと減少しています。

メリットは、前述の通り雨漏りがしにくいことと、施工が簡単で工期も短く、安価で済む点です。また、軽いので耐震性の面で一役買っているところがあります。

一方でデメリットは、断熱性が低く、夏場は熱くなるので対策が必要な点です。断熱効果がないということは、温めた室内の空気が冷やされやすくなるため、反対に冬場は寒くなります。

金属そのものであるために、雨が当たる音がダイレクトになり、防音性も低いことから音が大きく響きます。

確かに安価ではありますが、安っぽく見えてしまうこともデメリットでしょう。

セメント瓦

セメント瓦は、セメントと砂を配合して作られた瓦です。陶器瓦よりも製造がしやすく、価格も安いため、昭和45年から昭和55年の住宅不足だった高度成長期に爆発的に使用されていました。

耐久年数は概ね30年から40年と長く、陶器瓦と見た目が似ているのが特徴です。近年ではスレート瓦やガルバリウム鋼板などに取って変わられていて、新築に使用することはほとんどありません。

メリットとしては、古くからあるためデザインが豊富にあることが挙げられます。

セメント瓦はセメントを原料にしているため加工しやすく、さまざまなデザインを作ることができます。和風だけでなく、洋風のデザインもたくさんあり、バリエーションも豊かで、どんな家にも違和感なく使うことができます。

そのため、見た目の印象を重視している方にとっては好みの形状や色など、自由に選ぶことができるでしょう。

デメリットとしては、硬くてしなりがないため、衝撃に弱くて割れやすい点です。何かしらの衝撃によりひび割れを起こしてしまったところから、雨漏りが発生してしまう可能性もあります。

瓦の一種ではありますが、防水効果はないので、定期的な塗装が必要となります。このメンテナンスを怠ってしまうと、ひび割れや雨漏りといったことにつながってしまいます。

高度成長期に爆発的な流通を起こしましたが、今となってはめっきりと需要も減ってしまいました。今ではその需要減少を受けて生産は中止され、価格も高騰しています。

同時に、セメント瓦を取り扱う業者もめっきりと減少していて、一部のみの補修が困難で屋根の葺き替えが必要となってしまうケースも出てきているほどです。

さらに大きな問題としては、アスベストが使用されている可能性があるという点が挙げられます。

アスベストとは、鉱石が繊維状に変形したもので、建設物によく使用されていましたが、発がん性などの健康被害への懸念があるとされ、2006年以降はアスベストを含んだ製品の製造、使用が禁止されました。しかし、2005年以前の製品にはアスベストが含まれている可能性があります。

アスベストは解体時や処分にも費用が追加でかかりますので、予算の計画には十分注意が必要です。

粘土系

粘土を使用した焼き物の、一般的な製造方法で造られる瓦です。耐久年数は50年から100年とされていて、非常に耐久性が高いといえます。

他の屋根材に比べると重量も厚みもあるため、遮音性・断熱性・耐熱性に優れています。しかし、最大のネックはその重量で、耐震性を考慮した設計が求められるところです。

メリットとしては、不燃材料なので、耐火性に優れている点です。瓦も製造過程で加工がしやすいのでデザインが豊富にあります。また、焼き物の風合いが個性的で存在感があるのもメリットといえます。

日本の風土や気温に合っていて、特に日本瓦は日本家屋には欠かせないものともなっています。

上述したように、屋根裏に熱がこもらないので夏は涼しく、断熱性も優れているため、冬に熱を外に逃がさない効果も見込めます。

デメリットは、ランニングコストは低いのですが、イニシャルコストは非常に高い点です。

加えて、下葺材や棟部の漆喰の定期点検などが必要となります。また、厚みや凹凸があるため、カバー工法は不向きとなっています。

デザインで選ぶ屋根

家の印象に大きく影響を与える屋根ですが、機能や特徴、さらには地域の風土や気候に合わせるだけでなく、デザイン選びも大切になってきます。

デザインから見た屋根のこう配

急こう配の屋根は、傾斜がきつく、水はけのよいことから雨により汚れが流れおちやすくなる・雨漏りにも強い、という利点があります。

デザイン的な印象でいうと、こう配がきつくなり、屋根の面積も大きくなることで、屋根が見える範囲が広がります。それによって家の印象は、よりダイナミックなものとなってきます。

並こう配の屋根とは、一般的な家のこう配の屋根です。シンプルだからこそ、幅広いデザインのものがあり、目立たず引っ込みすぎずといったものになります。

そのため、ある程度のインパクトのある家の印象から、味わい深い印象の家まで、幅広く対応することができます。これといって大きな欠点もなく、突出した長所もない無難な屋根といったところでしょう。

軒先を長くして、落ち着いた印象にするのであれば、緩こう配の屋根がいいでしょう。家自体をモダンにしたい人にはピッタリです。

しかし、緩やかなこう配にすることにおいてのリスクは発生してしまいます。雨が流れにくくなったり、カビやコケが発生したり、何かの原因で水が滞留しやすく、雨漏りや室内への湿気を誘発する可能性もあります。

緩こう配の屋根を選ぶ際には、メンテナンスをしっかりと行うといった心がけは必要でしょう。

屋根業界の今後

屋根のリフォームやメンテナンス業界の今後の動向は、右肩上がりになるといわれています。単純な数の原理でもその傾向にあり、たとえば団塊の世代が屋根のリフォームをした回数は、すでに2回、3回となっているでしょう。

次いで団塊ジュニア世代も、1回から2回のメンテナンスを行っているといわれています。その次の現在子育て真っただ中の世代は今後メンテナンスを行う、いわば予備の世代だといわれています。

数こそ団塊世代には及びませんが、必ず訪れるメンテナンスを控えていることには違いありません。

市場がこのような状態でありながら、職人の数は年々減少の一途をたどっています。そうすると、今後は需要が高まるが供給が追い付かないといった現象が起きるかもしれません。

まとめ

日本には、地域によって独自の文化で進化してきたさまざまな屋根の形状、材質などがあります。特長、耐久性、デザイン、そのすべての要素ひとつひとつ大切であり、どれをとっても無視をすることはできないものです。

間違った屋根選びをしてしまわないためにも、地域やエリアを踏まえた上で、しっかりと選ぶことが後悔しないための近道となります。

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