マンション建て替えの流れを紹介します。マンションを建て替えするときに必要な費用や、反対して売却するときのポイントを解説!分譲マンションの建て替えにおける負担金、どういった部分を検討材料にすればいいかまとめています。建て替えに関係するお金をチェックしてください。
マンション建て替えの流れや参考ポイントを徹底解説!
老朽化したマンションをそのまま使うことは危険です。マンションにも耐久年数があり、建て替えを行わなければなりません。このマンションの建て替えに関する流れや、費用をどれぐらい負担するかについて解説します。
入居者がいるマンションでは、解体や建築費用だけでなく、立ち退きに関する交渉も必要になるのです。マンションのオーナーも入居者にも重要な、マンションの建て替えのポイントを確認していきましょう。
マンションを建て替える時期
マンションの寿命
まずは、マンションの耐久年数を確認しておきましょう。マンションは適切なメンテナンスを施すことで、鉄筋コンクリート造であれば、寿命は120年ほどと考えられています。しかし、築30年を超えると、さまざまな部分で問題が発生し、大規模な修繕が必要になるのです。
こういった理由から、国は約60年を目処にマンションを建て替えるようにアドバイスしています。このマンションの寿命や国の指針を参考に、建て替えを検討していきましょう。
寿命年数は延ばすことができる
マンションの寿命は120年ですが、建てたままでは長持ちしません。寿命年数を延ばすためには、定期的なメンテナンスが必要です。築30年を超えると、配管や給水設備に耐震性の問題が出やすく、寿命を延ばすために大規模な補修が必要になります。
基本的には、約12年周期で大規模修繕を行い、劣化が激しくなる前に工事を行うのが一般的です。ちなみに、マンションの建て替えが行われるのは全国平均で築33.4年ほどになっています。
マンションの建て替えが少ない理由
理由①住民の建て替え費用負担が大きい
老朽化したマンションの建て替えを検討しても、なかなか実行に動かすのは難しいです。その理由は、いくつかあります。たとえば、分譲マンションの場合は、建て替え費用は住民が負担します。
これは、居住者にとってマンションの一部は資産であり、建て替えるときも負担する必要があるためです。この資産価値は立地条件が大きく関係しており、良い条件の物件は資産価値が落ちにくいことも覚えておきましょう。
理由②既存不適格の対象になる分譲マンションが多い
一般の住宅の場合、建て替えの大きな壁となる「再建築不可」というものが存在します。マンションの場合も「既存不適格」というものがあり、これが建て替えの壁になることがあるのです。
既存不適格とは、建築時の旧法律の基準で建てられたもので、その後の法改正等によって、現在の法律に適応していない建築物を意味します。特に耐震性に関する法律が変更されたことで、1980年より前のものは既存不適格のものが多いです。
その他では「土地に対して何階の建物を建てるか」という、容積率を超過しているマンションもあります。住戸の床面積を減らすか、住戸の数を減らすなどの対策が必要であり、こちらも建て替える上で検討しなければなりません。出典:既存不適格建築物の増築等について(国土交通省)
理由③建て替えが実施されるまでの複雑な過程
建て替えを検討する段階に入ると、その段取りの複雑さに悩むオーナーも多いです。大きく分けて、準備段階、検討段階、計画段階、実施段階の4つの過程があります。
後ほど詳しく解説しますが、この過程ではさまざまな問題に取り組まねばなりません。マンションを建て直すことを検討しても、費用の負担や入居者とのやり取りなどで、計画を断念することも起こりうるのです。
話し合いが行われてから、実際に建て直されるまで10年以上かかることも多くなっています。場合によっては15年以上も話し合いが行われることもあり、それぞれの事情から建て直しが進まない事例も多く確認されているのです。
マンションの建て替えにかかる費用
建て替え費用には解体費用や建築費用などが含まれる
マンションの建て替え費用には、解体費用や建築費用が含まれます。分譲マンションの建て替え費用の相場は、一戸あたり約1800万円です。解体費用と建築費用は、居住部分の面積やマンションのグレードによって異なります。
また、60平方メートル以上になると、さらに費用が上がるのでこの点も検討材料に入れておきましょう。
自己負担を軽くできる場合もある
建て替えにおいて、自己負担を軽減できる場合があります。これは、容積率をフルに使っていなかったマンションにおいて、建て替え後に総戸数を増やした場合です。
このとき、新たに作った分の住居を一般販売し、建て替え費用にあてることで、以前から住んでいる住民の負担が軽減されます。しかし、こういった軽減を考えても、自己負担は1000万円はかかると考えておきましょう。
建て替え以外にかかる費用
マンションの解体費用や建て替え費用以外では、専門家に支払う調査費や手続きにかかる費用が必要になります。そして、仮住まいの費用を忘れないようにしましょう。
新しいマンションになるまでの間、別のところで生活する必要があります。また、新しく分譲されたマンションに戻ることを考えると、引っ越し費用は2回分かかるので忘れないようにしてください。
マンションの建て替えが実施されるまでの流れ
段階①準備
マンションの建て替えが実施されるまでの流れを確認しましょう。さきほど紹介したように、4つの流れを経て、マンションの建て替えが行われます。
最初の準備の段階では、マンションの建て替えを行うべきか検討しましょう。マンションの建て替え自体は避けられない課題であり、築30~築40年ほどで行うことになります。専門家や管理組合で、建て替えに関する検討を行いましょう。
気をつけたいポイントとして、分譲マンションの空室割合が30%を超えると、維持管理費が適切に集まりにくくなります。この状態では管理組合も機能しなくなるため、負の不動産に陥る可能性があるのです。そうならないためにも、話し合いは早い段階から行ってください。
段階②検討
次に、建て替えを行うのか、大規模修繕にするのかを検討します。また、場合によっては建て替え時期を延長することも決断しましょう。マンションの築年数によって、話し合いの内容も変わってきます。
マンションの管理会社や建設会社、コンサルタントなどの外部の専門家にチェックしてもらいましょう。また、管理組合の中で建て替えに関する検討委員会を立ち上げることも重要です。検討の結果、建て替えをすることになったら、管理組合において推進決議を行います。
段階③計画
建て替えを決断したら、具体的な計画を立てましょう。中心になるのは管理組合で、デベロッパーの選定や建て替え計画全般を話し合ってください。また、管轄行政との調整や近隣住民との協議も必要です。
その後、説明会で計画内容を住民に行い、建て替え決議を行いましょう。区分所有者の5分の4の賛成が得られると、建て替え実施が決定します。建て替えが決定したら、団体法人の建替組合を設立し、最終的な手続きを行いましょう。
段階④実施
建て替えを行う前に、所有者の権利を新しいマンションへ移す手続きが必要です。この権利には区分所有権、敷地利用権、住宅ローンの抵当権などが含まれます。この手続と同時に、居住者は仮住まいへの引っ越しも行ってもらわなければなりません。
準備から実施までの流れは4段階ですが、実際はなかなか簡単なものではなく、反対者も出てきます。次のマンション建て替えの賛成者と反対者に関するトピックもチェックしていきましょう。
マンション建て替えの賛成者が知っておくポイント
建て替え中は仮住まいに引っ越しする
マンションの建て替えに賛成する人、反対する人それぞれの考えがあるでしょう。まず、賛成する人は、建て替え中に仮住まいに引っ越しをしなければなりません。
引っ越し費用は往復の2回分と工事期間分が必要です。マンションの建て替えは2年ほどの年数がかかるため、引っ越しや仮住まいの費用は合計で約200万円ほどを想定しておきましょう。
満60歳以上は返済特例制度を利用することができる
マンション建て替えの費用は高額であり、賛成していても負担金が重荷になることがあります。国や自治体の支援助成制度などがあり、100万円ほど補助してくれる制度が存在しているのです。
また、満60歳以上は「返済特例制度」を活用しましょう。こちらは、毎月の利息分のみを返済する形で、最大1000万円まで借入可能です。高齢の場合は返済特例制度を検討して、売却以外の方法を利用してください。出典:まちづくり融資(住宅金融支援機構)
マンション建て替えの反対者が知っておくポイント
建て替えが実施された際は立ち退くことになる
建て替えに対して賛成できない場合は、立ち退きをすることになります。費用は決して安いものではなく、分譲マンションから新しい住居に切り替える人も多いです。
つまり、分譲マンションを購入する際は、こういった築年数によってかかる費用を事前に考えておかなければなりません。分譲マンションを売却し、一軒家を検討することもおすすめです。
売渡請求権が実行される
マンションの建て替えに反対して売却する場合は、売渡請求権が実行されます。これは、自分の住戸部分を「時価」で建て替え組合に売り渡す形です。所有者側から行う買取請求もありますが、建て替えに関しては売渡請求権が実行されます。
建て替えに反対する意思が確認されると、売渡請求権を行使する意思表示を行うことになります。その上で、時価による売買契約が成立するのです。売却によって得た資金で、新しい住居に移りましょう。出典:建物の区分所有等に関する法律(e-Gov法令検索)
マンションの建て替えが検討される前に売却する方法もある
売却額を調査する
マンションから引っ越す場合、売却額が重要になります。売却するときのポイントとして、まずは売却額を調査しましょう。自分のマンションに近いものを確認し、どれぐらいの金額で売却されたかチェックしてください。
調査するときのポイントとして、立地や築年数を参考にするとよいでしょう。売却は早ければ早いほどいいので、引っ越しを検討するなら早めに動くのがおすすめです。
複数の不動産会社で比較する
マンション売却のために、信頼できる不動産を見つけることも重要です。分譲マンションを購入してくれる人を探すのには、不動産会社に仲介してもらいましょう。
必ずしも大手不動産会社が良いとは限らず、地域密着型のほうが力になってくれることがあります。そのため、複数の不動産会社に相談し、自分の分譲マンションのことを理解してくれるパートナーを見つけてください。
マンション建て替えの検討案が出る前に行動する
マンション建て替えの検討案が出る前に動くことも重要です。同じように売却する人が増えると、値崩れが起きる可能性があります。また、買い手がつきにくくなるため、いつまで経っても次の計画に動けないこともあるのです。
自分の分譲マンションの築年数などを参考に、大規模修繕や建て替えの話が出そうになったら、早めに動くようにしましょう。そのためには、自分のマンションの情報をよく知ることが大切になります。
そして、自分の分譲マンションを査定してくれる不動産会社を、はやい段階から見つけておきましょう。不動産会社に見積もりを行ってもらっていると、買い手が見つかったときに連絡が来ることがあります。その段階で売却をするか、住み続けるかを考えるようにしましょう。
マンションの建て替について知識を持ち適切な判断をしよう!
マンション建て替えの流れや売却に関する情報を解説しました。築30年ほどで大規模修繕や建て替えに関する検討が行われます。このときに、住民は建て替えに関して負担金を支払わなければなりません。
1000万円を超える額を負担するのか、自分の部屋を売却するかは日頃から検討しておくことが重要です。相談できる不動産会社を作ること、近隣のマンションの売却額を確認しておくようにしましょう。そのためにも、自分のマンションに関する知識を蓄えておくのが重要です!