アスベストの使用箇所や製品の種類は?使用が禁止となった時期はいつ?

解体工事

アスベストは建築資材として重宝されていましたが、現在は使用が禁止されています。いつから使用禁止になったのか、時期や理由について解説していきます。さらに、アスベストが使用されている箇所や製品についても取り上げますので、チェックしてください。

アスベストの使用箇所や製品の種類は?使用が禁止となった時期はいつ?

アスベストの使用箇所は多種多様で、製品の種類は大きく分けて6つある。法改正が行われたことで、アスベストの使用が禁止となった。

建築資材として重宝されていたアスベストですが、健康被害が大きいことから使用が問題になりました。建築現場で多用されていたアスベストは、いつから使用され始め、いつから使用が禁止になったのでしょう。

さらに、アスベストを使用している製品や、使用箇所についても取り上げていきます。アスベストの使用を見分ける方法も、併せてチェックしてください。

アスベストは建材製品として使用されていた

アスベスト(石綿)は天然の鉱物繊維で、建築資材として多くの使い道があることから重宝されてきました。その用途は3000種以上ともいわれ、約8割は建築製品としての使用です。

アスベストがいつから使われ始めたかというと、1941年頃からではないかといわれています。1955年から1960年代になると日本は高度成長期に突入し、使い勝手の良いアスベストは多くの建築物に使用されることになります。

アスベストは一般住宅でも使用されている可能性がある

アスベストの使用は、高層ビルや商業施設に限ったことではありません。使い勝手が良く安価なアスベストは、一般家庭のさまざまな箇所に使用されています。

屋根材や壁材、天井材などに、アスベストを使用した建築資材が使われている可能性があります。さらに、マンションなどでは、駐車場に吹付けアスベストが使用されている可能性があります。

アスベストが使用されていた理由

アスベストの繊維は非常に細かく、吸い込むことで肺がんや中皮腫を発症するリスクがあります。健康被害が問題となり、現在は現在は製造も使用も禁止されています。

そのような危険があるアスベストが多用された理由は、建築資材として優れていたからです。アスベストは熱に強く、酸やアルカリといった薬品、摩擦に強いという特徴があります。

耐火性、断熱性、耐薬性、防音性、断絶性など、多くの機能がある上に、安価なことから建築資材として重宝されました。

アスベストの使用が禁止となった時期

アスベストの使用に関する法改正が行われたのは、1975年のことです。この時の法改正では使用の禁止ではなく、「アスベスト含有量が5%を超えてはいけない」というものでした。

その後1995年には「アスベスト含有量が1%を超えてはいけない」2006年には最終的に「アスベスト含有量が0.1%を超えてはいけない」と制限されています。

2006年2月には「アスベストの飛散のおそれのある次の建築材料の使用を規制し、これにより、既に吹付けアスベスト等が使用されている建築物の増改築等の際の除去等を促進」と建築基準法の規制が改正されています。出典:建築基準法による規制等(国土交通省)

アスベストを使用した施工方法①吹付け石綿

石綿とセメント、水を一定の割合で混合し、吹付け施工します。使用時期は1956年頃からで、1975年頃まで使用されていました。原料にはクリソタイル(白石綿)、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)などが使われていました。

アスベストを使用した施工方法②吹付けロックウール

1975年に吹付けアスベストの使用が禁止になったことで、取り入れられるようになったのが吹付けロックウールです。石綿含有量を5%以下にし、1990年代頃まで使用されていました。現在は吹き付けロックウールに、石綿は使用されていません。

アスベストを使用した製品の種類①石綿含有保温材

石綿含有保温剤には、クリソタイルを使ったものとアモサイトを使ったものがあります。石綿とその他の天然鉱物を原料にした、珪藻土保温材、パーライト保温剤などの種類があります。これらの保温剤は、ボイラー本体や配管、化学プラントの保温に使われていました。

アスベストを使用した製品の種類②石綿含有摩擦材

クリソタイルや、石綿布を樹脂で固めた摩擦材です。主に自動車やクレーン、エレベータなどのブレーキライニングやブレーキパッド、クラッチフェーシング、クラッチライニングに使用されていました。2004年10月以降、輸入、製造、使用は禁止されています。

アスベストを使用した製品の種類③石綿セメント製品

石綿セメント製品は、さまざまな用途に使われてきました。石綿はセメントとの親和性が良いため、特に多くの製品に活用されています。パイプ状の製品は、煙突、排気管などの低圧管と、上下水道用の高圧管があります。

アスベストを使用した製品の種類④シール材やジョイントシート

パイプラインの接続部分の継ぎ目をパッキングするシール材として利用されたり、ガスケットなどのジョイントシートとして石綿製品が使われていました。ゴムと石綿を主原料にしたジョイントシートは、2012年3月に製造、使用禁止となっています。

アスベストを使用した製品の種類⑤石綿紙や石綿リボン

石綿リボンは、歯科技工で使用されていました。石綿リボンの販売時期は1992年頃までで、それ以降は販売禁止されています。石綿紙は、電気絶縁材やソーダ用電気隔膜などに使用されていました。

アスベストを使用した製品の種類⑥その他の石綿含有建材製品

耐火性や耐音性が高いアスベストは、多くの建築製品に使われていました。鉄骨等の耐火被覆材や吸音、結露防止材、内装材、外装材など用途はさまざまです。1955年頃から1989年頃までは、石綿を含んだ塩化ビニール石綿床タイルも使用されていました。

アスベストの使用を見分ける方法

アスベストが住宅に使われているか正確に調べるには、専門知識がなければ難しいでしょう。アスベストの有無を知りたいのであれば、専門家に依頼するのが確実です。

アスベストの調査には、建築物石綿含有建築調査者や、日本アスベスト調査診断協会の登録者に依頼すると良いでしょう。また、住宅販売会社や施工会社に、アスベストの有無を確認する方法もあります。

確実ではありませんが、アスベストの使用がいつから始まったのか知っていれば、アスベストの有無を予想することはできます。アスベストが日本で使われ始めたのが1941年頃ですので、それ以降に建てられた建築物には、アスベストが含まれている可能性はゼロではありません。

日本では1970年代から1990年代が、アスベスト使用のピークといわれています。この頃に建てられた建築物はアスベストが使われている可能性が高いですが、あくまでも予想ですので確実に知るためにはやはり専門家に依頼するしかありません。

アスベストに関する補助金制度

アスベストの調査には補助金制度があります。ですが、自治体によって補助金制度の条件は違います。アスベストを調査する際は、まず地域の担当部署に問い合わせてみてください。

アスベストが使われていなくても補助金の対象になるので、少しでも心配な場合は補助金を利用して調査を依頼してみましょう。

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