必要なくなった空き家や実家などの老朽化した家を、売却したり土地活用に使う場合は、解体して更地にしておくことで、買い手や借り手が見つかりやすくなります。そうなると、家の解体費用はどのくらいかかるのか気になると思います。
この記事では、30坪の家の解体費用の相場や、その内訳、解体費用を抑えるためのポイントなどをご紹介します。
30坪の家の解体費用の相場とは?
解体するのが簡単な木造住宅を解体するのであれば解体費用は安く、反対に頑丈な鉄筋コンクリート造の住宅を解体するとなると高額の解体費用がかかります。
家の解体費用について、それぞれの構造ごとに、坪単価と、30坪の家の場合の解体費用の相場を下記にご紹介します。
家の構造 | 解体費用の坪単価 | 30坪の解体費用 |
木造 | 約2万円〜4万円 | 約60万円〜120万円 |
鉄骨造 | 約3万円〜4万円 | 約90万円〜120万円 |
鉄筋コンクリート造 | 約4万円〜6万円 | 約120万円〜180万円 |
家を解体するのにかかる費用は、解体費用の坪単価に「延べ床面積」をかけることで算出することができます。
たとえば、2階建ての戸建てで、1階部分が30坪、2階部分が20坪の住宅である場合は、延べ床面積は50坪で計算する必要があります。
こちらで紹介している坪単価は「家の解体費用」のみを計算したものになります。ブロック塀や井戸、カーポートなどの解体や撤去にかかる費用は含まれていません。
30坪の家の解体費用の内訳は?
30坪の家の解体費用の内訳についてです。30坪の家の解体工事では、建物そのものの解体にかかる費用に加えて、足場や防音・防塵シートの設置、解体後の土地の整地などの費用もかかります。
ここでは、どのようなものが解体費用に含まれているのか内訳を見ていきます。見積もりに上がる可能性のある項目をチェックしておきましょう。
仮設工事費
仮設工事費は、解体費用全体の約1割〜2割を占めている費用です。家の解体工事を始める前に建物本体を作るために仮設で設置する足場を組み立てるのにかかる費用や、養生を設置するのにかかる費用が含まれています。
そのほか、仮囲い、敷き鉄板、安全看板、クレーンなどの揚重設備を設置する費用もあります。職人さんの仮設トイレや、休憩用の詰め所などを設置する場合はそこにストーブを置いたり、椅子や机を置いたりする費用も含まれることになります。
工事に必要な現場で使う電気代や水道代、それの引込や排水工事費用に必要な費用も含まれています。
このように、仮設工事費は、解体工事をおこない、安全を確保し、また近隣に迷惑をかけないよう配慮しておこなう上で必要な費用です。
解体工事費
解体工事費は、家を取り壊す工事にかかる費用です。解体費用全体の約3割〜4割を占めている費用になります。
木造の住宅のように解体しやすく発生する廃材の量も少ない住宅であればあるほど費用は安くなり、反対に鉄骨造の住宅や鉄筋コンクリート造の住宅を解体する場合の解体費用は割高になります。
先ほどご説明した坪単価から、解体工事費のおおよその金額を計算することが可能です。30坪の家を解体する場合にかかる解体工事費は約60万円〜180万円が目安になります。
解体工事費の内訳としては、人件費や重機のレンタル・リース料などが大きな割合を占めています。そのため工期が長引けば長引くほど工事費は高額になりやすい傾向にあります。
これまで解体工事では、廃材などをまとめて処分する「ミンチ解体」という方法で行われていましたが、建設リサイクル法の施行により、ミンチ解体から分別と解体を同時に行う方法へ切り替えられました。
80㎡以上の建築物には建設リサイクル法が適用されるため、30坪の一軒家も対象に含まれることになります。廃棄物の種類は、明細書の産業廃棄物リサイクル処分費の欄で確認できるので、気になる方は確認してみてください。
廃棄物処分費
廃棄物処分費は、解体費用全体の中で約4割〜5割と、最も大きな割合を占めている費用です。解体工事費が大部分を占めていると思う方が多いかもしれませんが、実は廃棄物処分費が解体費用全体の中で最も大きな割合を占めているのです。そのため、この廃棄物処分費をコストカットできるようにすることで、効果的に出費をおさえることができます。
廃棄物処分費は、家の解体に伴って発生した木材やコンクリート、ガラスなどの廃材の処分費用のことを指しています。
家庭ごみである「一般廃棄物」とは異なり、解体工事における廃材は「産業廃棄物」として扱われるため、処分するためには高額な処分費用を支払わなければなりません。
主な廃材の種類と処分費用は、以下のようになっています。
廃材の種類 | 処分費用(㎥あたり) |
コンクリートガラ(コンクリートのがれき) | 5,000円~ |
タイル・ガラス | 2万5,000円~ |
石膏ボード | 1万5,000円~ |
木くず | 5,000円~ |
家の中に不要な家具などが残っている場合についてですが、解体業者に依頼することで不要な家具なども廃材として家の解体に伴って発生した木材やコンクリート、ガラスなどの廃材といっしょに処理してもらうことも可能です。
しかしこのように解体業者に依頼し不要な家具などを廃材として処分してもらう場合は、その分廃棄物処分費が加算されることになるので、出費が増えることになってしまう可能性が高いです。
そのため、なるべくコストカットしたい場合は、不要な家具などの家庭ごみや粗大ごみとして排出できる不用品は、できるだけ自分で処分していくことがおすすめで、このような工夫が費用の削減につながります。
整地費用
整地費用は、解体工事全体のうち約1割を占めている費用です。家を解体した後の土地の整備にかかる費用であり、1平米あたり1,000円程度が相場になっています。
地面を平らにならす作業に加えて、地中にコンクリートや廃材が埋まっている場合は、埋まっているコンクリートや廃材を確認・撤去する作業も含まれることになります。
大きな段差をならす場合や、樹木の抜根をおこなう場合、地盤改良などをおこなう必要があるケースでは、整地費用が高額になる場合があります。
住宅を解体した後に、土地を売却したり、土地活用をしようと考えている場合は、整地費用についても十分な予算を見積もっておきましょう。
整地には種類があり、粗仕上げは、整地の中で最も簡単な整地方法で、土地活用の方法が特に決まっていない場合におこなうことが多いです。
諸経費
諸経費は、解体費用全体の約1割を占める費用になります。建物の調査費用、官公庁への手続きや申請にかかる費用なども含まれています。
また、住宅の建っている敷地内に、職人が乗るための車や工事に使うトラックなどの車両を駐車することができるスペースが確保できない場合には、他に近くのコインパーキングなどに職人が乗るための車や工事に使うトラックなどの車両を停めなければなりません。このような場合は、近くのコインパーキングに停めるための駐車場代が加算されることになります。
特に田舎に比べて首都圏では駐車場代が高額になるケースが多いため、見積もりの際には確認しておくのがおすすめです。
別途費用が発生する場合
30坪の家の解体にかかる費用は上述した通りですが、これらの費用に加えて別途費用が発生する場合があります。
このように、家の解体工事をおこなう場合にはさまざまな種類の費用が必要になります。そのため、30坪の土地に建っている住宅を解体して、新たに土地活用を検討されているのであれば、多額の資金が必要になります。
まずは、解体費用としてどのくらいの費用がかかるのか知っておくことが大切です。あらかじめ解体費用としてどのくらいの費用がかかるのか知っておくことで、今後の資金計画などが立てやすくなります。
どのくらいの費用がかかるのかを明確に把握しておくことが大切です。付帯工事にどのくらいの費用がかかるか具体的な金額を知るために、解体業者に測量を依頼しましょう。
付帯工事
「付帯工事」とは、住宅が建っている敷地内において、住宅以外の構造物を解体して撤去するのに必要な工事のことです。
敷地内にある住宅以外の設備を撤去、解体する際は付帯工事費がかかります。たとえば、ブロック塀や井戸、カーポートなどが「付帯工事」の対象となります。そのほか、屋根瓦、門、庭石や庭の樹木、ソーラーパネルなど、あらゆるものの解体や撤去をおこなうのに費用が発生するでしょう。
「付帯工事費用」は、撤去する構造物ごとに計算されるため、解体業者が現地調査をおこなう際に見積もりを出してもらうことが可能です。
主な構造物と撤去費用の相場については、下記のようになっています。
撤去工事の内容 | 付帯工事費用 |
門扉の撤去 | 2万円程度 |
ブロック塀の撤去 | 5,000円~1万円/1㎡ |
カーポートの撤去 | 6万円~/1台用 |
庭木の撤去 | 5,000円~3万円 |
倉庫・物置の撤去 | 2万円~3万円 |
このように、ブロック塀やカーポート、井戸などの解体や撤去が必要な場合には、それぞれ別途費用が必要になります。
解体費用は、坪単価の合計に付帯工事費を足した金額となりますが、付帯工事費は解体する現場により内容が異なるため、坪単価に含めず別に計算されることが多いとされています。
ブロック塀やカーポート、井戸などの解体や撤去もおこなう場合は、これらにかかる費用についても確認し、住宅の解体費用に加算して、総額を確認しましょう。
主な付帯工事について下記に詳しくご紹介します。
外構の撤去
外構撤去には、門扉や柵、ブロック塀、カーポート、倉庫などを撤去する作業があります。家を解体して売却するのであれば、更地にしてしまった方が、一般的に買い手が見つかりやすくなります。
ただし、このような外構撤去費用がかかってしまいます。家を解体して建て替える場合など、これらを残しておくのであれば外構撤去の費用はかかりません。
庭木の撤去
庭木の撤去では、庭に生えている木などを撤去します。庭木によっては、抜根が必要な場合もあり、抜根が必要な場合は費用がさらに高くかかってしまいます。
庭木を抜根する場合は、土の中にある根っこ部分まで取り除きます。庭木を放置しておくと、虫などが発生しやすいので、土地の活用が難しくなってしまいます。
解体したあとの土地を利用したり売却したりしようと考えている場合は、費用がかかったとしてもしっかりと庭木を撤去しておくようにしましょう。
もし比較的小さく自分たちで処分できる庭木であれば、事前に自分たちで処分すれば全体の解体費用を安くおさえることができるのでおすすめです。
残置物の撤去
残置物撤去は、家の中に残っている家具や家電などを処分することを指します。廃棄物処分費は通常のごみの処分費と比べて高額になります。
家の中に不要な家具などが残っている場合は、解体業者に依頼し廃材として処分してもらうと、その分廃棄物処分費が加算されることになるので、出費が増えてしまいます。
そのため、不要な家具などの家庭ごみや粗大ごみとして排出できる不用品は、自分たちで処分していくことでコストカットできます。
ブロック塀や井戸、カーポートなど、解体や撤去をおこなう必要のある構造物がある場合には、これらのような付帯工事費用が上乗せされるということも踏まえて予算を計画すると安心です。
付帯工事にどのくらいの費用がかかるかを知りたい場合は、解体業者に測量を依頼して明確にしましょう。
アスベストの撤去
解体しようとしている住宅にアスベストが使用されている場合は、適切な方法で撤去しなければならないため、通常の解体工事に比べてより高額の費用がかかってしまいます。
アスベスト(石綿)は、その繊維が極めて細いため、特別な措置をおこない撤去しないと石飛散して人が吸入してしまう危険があります。アスベストは保温断熱に優れているため、以前は住宅などの建築工事において、保温断熱の目的で石綿を吹き付けて建築がおこなわれていましたが、昭和50年に原則禁止されました。
その後も、スレート材、ブレーキライニングやブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材などで使用されましたが、現在では、原則として製造などが禁止されています。
アスベストは、そこにあること自体が問題なのではなく、飛び散ること、吸い込むことで健康被害が問題になります。そのため、現在もアスベストが含まれている住宅は存在していて、一般的な木造住宅でも天井や壁、床などにアスベストを含有した成形板などの建材が使用されている可能性があります。
吸入により健康被害をもたらすおそれのあるアスベストが使用されている場合、適切な方法で撤去する必要があるため、通常の解体工事に比べて高額の費用がかかるでしょう。
アスベストは飛散性により作業レベルが分かれています。成形板などは一番下のレベル3に該当しているため、レベルが高いものに比べるとレベル3の成形板などは撤去について負担が少なく費用も比較的低いと言われています。
解体費用が変動する項目
解体工事をする場合、さまざまな条件によって費用が変動します。どのようなことによって費用が変動する可能性があるのか、確認しておきましょう。
立地
解体費用の相場は地域によっても差があります。首都圏は田舎に比べて人件費や廃棄物の処分にかかる費用が高くなるので、首都圏に近づくほど解体費用は高額になる傾向にあります。
また、人件費が高い理由は給与相場の違いだけではありません。首都圏と田舎の解体費用の違いは、立地条件にも関係するとされています。住宅の解体が難しい場合は工事に必要な人数や日数が増えることがあるため、立地によっても解体費用は変わってきます。
建物の条件や付帯工事の内容が同じでも、坪単価に地域差があることのほか、自治体による解体費用補助制度の有無などによって、実際にかかる費用は地域ごとに異なります。
このように住宅の解体費用はさまざまな条件によって左右され変わってくるので、最終的な解体費用の総額は、必ず解体業者に見積もりを依頼して、解体業者から提示された見積もりを確認するようにしましょう。
近隣住宅との距離
近隣住宅との距離が近い住宅を解体する場合は、費用が高くなってしまいやすいです。近隣住宅との距離が近い住宅は、解体工事で使用する重機が入れず、機械でやるべき作業を人の力で行うことになります。そのため、余分に費用がかかってしまう可能性があります。
手作業になると重機による振動や騒音を抑えられ、より丁寧に作業できますが、工事の進み具合が遅くなり完了するまで日数がかかる場合もあります。そのため、日数が増える分だけ人件費がかかり、その分かかる費用が高くなってしまう可能性があるでしょう。
隣の住宅との距離が近い場合には、一時的にお隣さんの敷地を借りることを考えるという手もあります。お隣さんから許可を得る必要がありますが、検討することをおすすめします。
建物の種類・面積
建物の種類や面積によっても解体工事の費用は左右されます。木を組み合わせて造る在来工法の家は、時間をかけずに解体でき、費用も安めと言われています。
プレハブ工法の住宅は、接着剤がはがしにくい上、パネル内側にある断熱材の分別にも時間を要し、2×4(ツーバイフォー)工法の住宅も頑丈な分、解体しにくく処分する廃棄物量は多めになるでしょう。このように、建物の種類や面積も費用に影響する可能性があります。
解体業者の利益率の設定
解体業者の利益率の設定によっても解体工事にかかる費用は変わってきます。解体の費用には解体業者の利益も含まれています。
利益率の設定は業者によって異なり10~30%程度が相場とされていますが、利益を多めに上乗せしている業者でも工事の質が伴っていて対応が良ければ高いとは言えないでしょう。
計上の仕方も業者によって異なり、解体費用の項目すべてに対し利益を上乗せしている場合と、家の解体費用にだけに利益を上乗せしている場合があるとされています。
解体業者が重機を保有しているかどうか
解体業者が重機を保有していない場合は、工事費用が割高になりやすいです。家を解体する際には重機を使って作業することが多いですが、解体業者が重機を保有していない場合は、解体業者が重機を他の業者から借りて作業する必要があるため、重機を保有している業者よりもこちらが支払う費用が増えてしまいます。解体業者が重機を保有しているかどうかの状況については、見積もりを依頼する段階で確認しておきましょう。解体業者が足場を保有しているかどうか
解体業者が足場を保有していない場合も、工事費用が高くなることがあります。多くの解体業者では、足場を保有していないケースが多くあります。先ほどの重機と同じように解体業者が足場を借りて、解体工事を進めていくことになります。足場を保有している解体業者であるかどうか、についても確認しておきましょう。
業者の拠点から住宅の建っている現場までの距離が遠い
業者の拠点から住宅の建っている現場までの距離が遠い場合は、職人の移動や重機の搬入など、工事費用が高くなる可能性があります。また家を解体して出た廃棄物を処分する際に、現場から廃棄物の処分施設までの距離が遠い場合でも、工事費用は高くなります。
30坪の建物の解体費用を抑えるためのポイント
先ほどご紹介したように、30坪の家の解体費用は約60万円〜180万円が相場になります。頑丈な建物を解体する場合や、付帯工事が多くその分費用が高額になる場合などには、200万円以上の解体費用がかかるケースも考えられます。
解体費用はできるだけおさえたいかと思います。解体費用は、工夫をすることでコストカットすることが可能です。ここからは30坪の家の解体費用を抑えるためのポイントをご紹介していきます。
ここでご紹介するポイントを踏まえてなるべく費用を安く済ますことができるよう工夫しながら解体工事を進めていくことをおすすめします。
解体業者への依頼方法を工夫したり、補助金制度を積極的に利用したり、自分でできる作業を済ませていたりするなどの工夫によって、本来かかる解体費用よりも安い金額で解体工事をおこなうことができます。
複数の業者に見積もりを依頼する
依頼する解体業者を決める際は、1社から見積もりを取り寄せて依頼するかを判断するのではなく、3社以上の業者から見積もりを取り寄せて比較検討して決めましょう。
最初に連絡した業者の対応が丁寧だったとしてもすぐに決めず、ほかの業者へも見積もりを依頼します。1社のみから見積もりを取り寄せるのではなく、少なくても3社以上の業者から見積もりを取り寄せて相見積もりをします。こうしてそれぞれの業者を比較検討して、依頼する解体業者を決めましょう。
30坪の一軒家という条件が同じでも、業者によって見積もり金額は異なります。見積もりを1社のみで済ませてしまうと、他の業者との比較ができないため、割高な解体費用を請求されてしまう可能性があります。
そのため、可能な限り多くの業者に現地調査を依頼して、見積もりを比較検討し、費用や内訳の詳細さ、工事実績、担当者の対応の良さなどを確認して依頼する解体業者を決めると良いです。
金額の差は利益率の違いによるものとは限りません。見積もりに上がっている項目を一つずつチェックして比較検討してみましょう。
不用品の処分をできる範囲でおこなっておく
できる範囲で、自分たちで家の中に残っている家具や家電、庭木、庭石などを処分しておきましょう。
解体工事の前に、自分たちで不用品を処分しておくことで、解体業者から請求される廃材の処分費用を抑えることができます。先ほどご説明したとおり、解体工事をおこなう際に発生する廃材は、産業廃棄物として処理しなければなりません。
通常家庭ゴミとして捨てられる物も、解体業者に依頼すると産業廃棄物として扱われることになるので、処分の費用が高くなります。分別しなければ廃棄できない物や分別しにくい物はとくに高額になるので注意が必要です。
自治体によってはごみ処理施設へごみを持ち込むことが可能なケースもあります。軽トラックやバンなどをレンタルしてごみ処理施設へごみを運び込むことで、解体業者に引き取ってもらうのに比べて安く済むので、費用の節約につながります。
家具や家電をはじめとした不用品は、フリマアプリなどで売却することでお金に帰ることができる場合もあります。こうすることで費用を削減することができるので、できる範囲で分たちで不用品を処分して対応しておきましょう。
建物滅失登記を自分で申請する
建物を解体した場合は、一カ月以内に法務局へ建物滅失登記を申請することが不動産登記法第五十七条で定められています。
家を解体する際に必要になる「建物滅失登記」の手続きを自分でおこなうことで、業者への代行費用を節約することができます。
この滅失登記は司法書士や土地家屋調査士などの専門家へ依頼することができ、依頼する場合が多いですが、自己申請すればその分のコストを少なくすることができるでしょう。
建物滅失登記を、司法書士や土地家屋調査士に依頼する場合、約5万円の費用が発生してしまいます。自己申請すればその分コストカットすることが可能です。その場合、書類の取得費用を約1,000円に抑えることができます。
自己申請する場合は書類を集める手間が必要になりますが、自分でも手続きを行うことは可能なので、コスト削減をしたい方はぜひチャレンジしてみてください。
建物滅失の登記申請は書面のほかオンラインでも行うことができます。オンラインでの申請にはICカードリードライターとマイナンバーカードが必要になります。
出典:建物を取り壊した(建物滅失の登記をオンライン申請したい方)|法務局
解体を業者へ直接依頼する
解体工事をおこなう際、解体業者選びをハウスメーカーなどに任せるのではなく、自分で解体業者を探して直接依頼することにより、解体費用を抑えることができるケースもあります。
直接依頼すると自分の負担は増えますが、手数料や仲介料は発生しません。中間マージンがかからないで済むため、2割から3割程度は支払う金額が少なくて済むと言われています。
ただし、解体業者と新築業者を別々で手配する場合には、解体工事などのスケジュールの調整や、担当者とのやりとりをおこなう手間が発生してしまうというデメリットもあります。
中間手数料を支払ってハウスメーカーを通して解体工事を依頼するか、自分で解体業者へ直接依頼することで中間手数料をコストカットするかは、メリット・デメリットを踏まえて自分に合わせて検討してみてください。
補助金制度を利用する
補助金を活用することで解体費用の負担を減らすことも有効な方法です。一部の自治体では、家の解体費用を援助してくれる補助金が用意されているケースがあります。自治体によって補助金制度の名称は異なりますが、老朽化した建築物を解体する場合に活用できる制度です。
制度には災害などでの倒壊を防止するための建て替えを目的としているものと、危険性がある空き家の解体推進事業の一環として設けているものがあります。このような制度について、災害などでの倒壊を防止することを目的とした建て替えのため解体工事や、危険性がある空き家の解体工事などに当てはまらず、施主の都合のみでの建て替えや解体工事になる場合は、補助金の支給を受けることができない可能性もあります。
どちらの補助金も自治体によって対象物件の条件や補助金の算定基準が異なっているため、家を解体する際に補助金を利用する場合はその自治体のホームページなどで調べてみてください。
地域の解体業者は自治体の補助金情報を把握していることが多いです。そのため、補助金を利用することを検討している場合は、解体業者にそのことを伝えて、解体業者と相談しながら補助金の利用を検討していくと安心です。
空き家解体ローンを利用する
誰も住んでいない家に解体工事をおこなう場合は、空き家解体ローンを利用してみるという手もあります。住宅ローンとは異なり、空き家解体ローンの多くは無担保で組むことができ、保証人も不要です。借りることができる金額や融資期間は金融機関によって異なっています。
自治体と提携している金融機関では、自治体から空き家解体の補助金を受給する場合よりもより低い金利で借りることができる可能性もあります。また、金融機関によってはその他の取引によって通常よりも金利が優遇されていることもあるため、確認してみてください。
30坪の建物を解体するときの注意点
建物の解体はスムーズに話が進むとは限りません。解体業者の選び方、税金、家が建っている場所に関する認識不足により、思いどおり解体を進められないケースも見られます。解体業者の選び方や、税金、家が建っている場所に関する注意点を確認して、解体工事を成功させられるようにしておきましょう。ここでは解体工事の手続きを進める前に知っておきたい注意点をご紹介します。
1ヶ月以内に建物滅失登記の手続きを行う
先ほどご説明した「建物滅失登記」の手続きは、建物を解体してから1ヶ月以内に法務局で手続きを行う必要があります。
申請を怠った場合は、10万円以下の過料が発生してしまうケースもあるため、自分で申請する場合には手続きを忘れないようとくに注意してください。
建物滅失登記の手続きでは、下記の書類を用意する必要があるため、下記のものを忘れずに用意しておきましょう。
- 建物滅失証明書
- 解体業者の登記事項証明書
- 解体業者の印鑑証明書
- 建物滅失登記の申請書
解体後の固定資産税が高騰する可能性がある
住宅を解体した後、固定資産税が高騰してしまう可能性があります。住宅用地にある建物を解体して更地にしてしまうと、固定資産税が高くなってしまう可能性があるのです。
住宅が建っていた土地を更地にすると、「住宅用地の特例」の適用が受けられなくなってしまいます。これにより、固定資産税が最大6倍にまで上昇してしまう可能性があります。そのため、住宅を解体した後に固定資産税が高騰してしまうという点に注意が必要です。
家があると住宅用地の特例措置が適用されるため、対象であれば固定資産税は減額されているのです。特例措置により200㎡までの小規模住宅地は価格の1/6、それ以外の住宅用地は価格の1/3で算出された額が課税標準額となります。
土地の固定資産税の計算は、その年の1月1日時点の状況についておこなわれます。そのため、年の初めに土地に家が建っていれば住宅用地の特例を受けることが可能です。反対に、建て替えなどの申告した場合を除き、1月1日時点で家がない更地の状態だと特例措置は適用されません。
そのため年末に解体工事をおこなうことは避けて、年の初めに解体工事を進めるようにするなどの工夫をおこなうことにより、固定資産税による負担を軽減することができます。
出典:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) ||税金の種類 ||東京都主税局
再建築の許可が下りないケースがある
家を解体してから新たに家を建て直したいと考えている場合は注意が必要です。家を解体して更地にしてしまうと、再び家を建築することができない場合があるのです。
更地にした時点で建築基準法を満たしていない場合、「再建築不可物件」として扱われ、家の建築の許可が下りないケースがあります。このようにして建て替えが不可能となってしまうケースがあります。
再建築不可物件と呼ばれるこのような土地は、都道府県によって指定された都市計画区域と準都市計画区域のみに存在します。
再建築不可物件であることを知らずに解体して更地にしてしまうと、新たに住宅を建てることができなくなるため、売却や土地活用にも大きな制約が課されることになってしまいます。
区域内は建築基準法で定められた接道義務があり、幅4m以上の道路に対し敷地が2m以上接していなければ家を建てられません。建て替えを希望するときは、問題なく建てられるかどうかを確かめてみましょう。
再建築不可物件の家を解体しようと検討している場合は、リフォーム・リノベーションなどの選択肢も考慮するなどして、慎重に検討しましょう。
悪徳業者が存在する
解体業者の中には手抜き作業をする心無い悪徳業者もいるので注意が必要です。このような悪徳業者に依頼してしまわないようにするために、依頼する際は、建設業許可を取得している、もしくは解体する家屋のある自治体への解体工事業登録を済ませている業者を選ぶ必要があります。
事前に書面で解体工事の契約を交わすケースは少ないと言われていますが、契約書を残しておくことはトラブル防止に役立ちます。近隣への配慮や、万が一解体工事中に事故が起きた場合の保証、地中に埋設物などが見つかった場合の対応などについても確認しておきましょう。
30坪の建物の解体費用の相場を知っておこう
30坪の建物の解体費用は立地、工事内容、利益率など、条件によって変わってきます。見積もりを複数の業者から提示してもらい、依頼する業者を絞る際には、解体工事に関してできるだけ情報収集をして、信頼できる解体業者かどうかを判断できるように準備しておくと安心です。
解体費用相場の確認も、適切な業者を選ぶうえで欠かせない要素です。納得のいく金額で質の高い解体工事ができるように、ぜひこの記事でご紹介した内容を役立てていただければと思います。