「あるのが当たり前」「あっても使っていない」…ベランダは住居でどのような存在になっているでしょうか?
ベランダは有効活用している家庭であれば、日常生活に不可欠なものです。しかし、全く使用していない場合は、掃除やメンテナンスなどに手がかかり、面倒な存在になってしまいます。また、年月の経ったものは、老朽化により危険を伴う場合もあるでしょう。
もしも撤去を考えているのなら、それによって生じるメリットやデメリット・工事費用の目安も押さえ、本当に撤去してもいいものなのか判断したいところです。
今回はベランダの解体工事について、詳しく見ていきましょう。
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ベランダは解体してもよいもの?
ベランダという存在は、住んでいる土地や環境、生活スタイルによっては「絶対に必要」という人から「なくても別にかまわない」「あっても利用しない」という人まで、価値に差が大きくつくものではないでしょうか。
ベランダを解体・撤去せざるをえなくなる理由に関しては後述しますが、そもそもベランダは解体してしまってもかまわないものなのか、解体は可能なのか、という疑問も浮かびます。
ほとんどの場合では、住人が不要だと判断した際にベランダを撤去することは自由です。
もともと購入・貸借した住宅にベランダが設置されているのは、一般的なニーズに応えるためであり、たとえば火災警報器の設置のように住宅を建築する際の義務だからというわけではないのです。
そのため、ベランダが不要になったから撤去する、あるいはベランダ部分に部屋を増築するということは、基本的には問題ありません。
ただ、地域の条例によって住宅へのベランダの設置を義務付けているようなところもあります。
たとえば街を美しい景観に保つために、住宅の外からエアコンの室外機や給湯器が見えないようにするため、それらを置くためのベランダを造らなければならない、といった地域もあるのです。
特殊とはいえますが、自分の住む地域がそういった景観条例を有するところではないかどうかなどは、事前に一度確認しておくといいですね。
ちなみに「ベランダ」と「バルコニー」、同じものだと思われがちですが、ざっくり違いを説明すると「屋根つきなのがベランダ」「屋根がないのがバルコニー」です。
ベランダもバルコニーも住戸から張り出した部分であり、さらに屋根があってある程度の雨風をしのげるのがベランダ、そうでないのがバルコニーということです。
少しまぎらわしい「ルーフバルコニー」は、ルーフ(屋根)があるバルコニーというわけではなく、「住戸から張り出した部分ではなく下の階の屋根部分を利用したバルコニー」となっているわけです。
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ベランダの解体が必要なのはどんなとき?
「単に不要になった」というだけでなく、解体が「絶対に必要」な状況というのも存在します。
老朽化で崩落の危険性が高くなっている
ベランダも家屋の他の部分と同様、当然ながら老朽化は避けられないものです。
特に後付けされたベランダの場合、梁が躯体と同一のものとはなっていないなど造りが簡易的であるため、老朽化によって地震などがきっかけとなって崩落する危険性が高くなります。
鉄製であればサビが表面だけでなく内部まで侵食している可能性があり、木製であれば水はけと通気次第でやはり内部から腐ってしまっていることもあるのです。
構造や素材によって耐久年数は異なりますが、早くて10~15年、長くても25年ほどで寿命が来ると考えておくのがよいでしょう。
日当たりが悪い原因となっている
2階部分にあるベランダのせいで1階の部屋の日当たりが極端に悪くなっていて、生活に支障が出るレベルに…という場合にも、ベランダの解体は視野に入ってきます。
この場合は老朽化と違って、すぐにでもなんとかしなければならないというわけではないかもしれませんが、残しておくメリットと解体するメリットを秤にかけて後者が傾くのであれば、なるべく早めに解体すべきといえるでしょう。
ベランダの解体費用について
1:解体費用相場は?
ベランダの解体費用相場は、3万~75万円と、目安だといっても非常に広範囲です。これは、ベランダが「1階にあるか、2階にあるか」「鉄製か、木製か」「どれぐらいの面積か」などの要素に大きく金額が左右されるためです。
極端なものではなく一般的な相場に限っていえば、大体30~50万円ほどを目安にしておけばいいでしょう。
1-1:木製ベランダ解体の費用相場
1階の場合 | 30~60万円 |
---|---|
2階の場合 | 40~75万円 |
1階より2階に設置されているベランダの方が費用相場が高いのは、2階の場合、状況によって足場を設置したり、安全性を確保するための費用が余計にかかるからです。
工事期間は1階は3~5日、2階は5~7日を要するのが一般的です。
1-2:鉄製ベランダ解体の費用相場
1階の場合 | 30~50万円 |
---|---|
2階の場合 | 40~65万円 |
鉄製ベランダについても、木製同様、2階の場合の方が費用は高くなります。
ベランダの面積にもよりますが、工事期間は1階の場合は3~5日、2階の場合は5~7日が一般的です。
2:費用内訳
ベランダの解体費用にはどのような費目があるのか、見積の際などに参考になるように、見ておきましょう。
2-1:足場設置費用
1階のベランダであれば必要ないことがほとんどですが、2階以上の場合は作業するための足場が不可欠になります。
2-2:残置物処分費用
解体するベランダにエアコンの室外機やゴミなどの残置物がある場合は、その移動や処分の費用がかかります。
専門家でなければできないという作業ではないので、もしも自分でできるのであれば、やれる範囲で済ませておくと費用の節約ができます。
2-3:解体・撤去工事費用
この費目はさらに細かくすると、「養生シート・パネル費用」や「工具費用」、さらには「人件費」も入ってきます。1番金額が大きくなる費目で、業者にとってはもっとも儲けが出る部分となります。
2-4:廃材運搬・処分費用
ベランダ解体工事では鉄くずや木くず、スチール・アルミといった廃材が発生します。それぞれを分別し、処理場まで運搬して処分、ということにも大きめの費用がかかるため、この費目はベランダの面積が大きければ大きいほどかさむ部分といえます。
2-5:現場諸経費
その他さまざまな、こまごまとした費用を「現場諸経費」でひとくくりにすることがあります。
2-6:外壁工事費用(必要な場合のみ)
ベランダの解体によって、外壁の傷みや劣化が外にあらわれることもあります。この補修は別の専門業者にまかせることもありますが、もしも解体工事の際に済ませられる程度なのであれば、こちらも費用として必要となります。
ベランダを解体するメリット
前述した通り、ベランダの撤去は「やむをえずしなければならない」という場合も多くありますが、行うことによって生じるメリットは少なからずあるものです。
1:外観がすっきりする
ベランダがしっくりとなじむオシャレな家屋ももちろんありますが、場合によってはベランダの存在のためにでこぼこが目立つ外観の建物もあるでしょう。このような建物はベランダを取り払うことですっきりした外壁になり、シンプルな外観に整うというメリットがあります。
2:手入れ・メンテナンスの手間がなくなる
ベランダは落ち葉やゴミ、虫の死骸などがたまりやすく、こまめな掃除が必要となる場所です。また雨や風などにさらされ、雨漏りやひび割れの心配も出てくるため、やはり定期的なメンテナンスをしなければなりません。
老朽化による崩落などのリスクを考えると手入れやメンテナンスは欠かせないものですが、それらが面倒だと考えるほど手間なのであれば、やはり解体してしまうことをおすすめします。
3:安全性が向上する
実はベランダというのは、空き巣の目隠しや足場にもなりやすい場所なのです。ベランダを取り払うことで安全性が増すというのも残念なものですが、場所的に空き巣の侵入経路になりそうなベランダなのであれば、やはり解体も視野に入れた方がいいかもしれませんね。
また老朽化したベランダをそのままにしておくと、雨漏りやひび割れをする可能性もあります。地震の多い日本で、老朽化したベランダを所有することは、危険を伴う可能性も高いです。撤去することで、そのようなリスクを回避できるというメリットもあるでしょう。
4:部屋の増築が可能になる
条件次第では、ベランダを解体した跡地に部屋の増築ができたり、1階部分であれば車や自転車を止める場所ができたりする場合があります。
現状でほとんどベランダを使うことがないのであれば、解体してスペースの有効活用として検討できるようになるのも、ベランダ解体のメリットのひとつです。
ベランダを解体するデメリット
1:洗濯物干しのスペースを別で確保する必要が出てくる
ベランダがなくなることでもっとも大きなデメリットは、なんといっても「洗濯物の干し場所が少なくなる」ことでしょう。
もともと部屋干しや庭干しをしていた家庭であれば問題はありませんが、ベランダがメインの外干しスペースとして活躍していたとなると、これからは新たな干し場所を確保する必要が出てきます。
2:エアコンの室外機などの置き場所がなくなる
エアコンの室外機など、これまでベランダが置き場所となっていたものがもしあるのであれば、新しい置き場所を考えなければならなくなるでしょう。
特に2階にエアコンがある場合、室外機を1階に移動させるのは困難なケースが多くなっています。
小さなことのようですが、エアコンが欠かせない地域であれば重要な点です。しっかり検討しておきたいですね。
まとめ
家屋の一部であるベランダも、状況や構造によっては解体費用が高額になってきます。
どんな費目があるのか、撤去によるメリット・デメリットにはどのようなものが考えられるか、あらかじめしっかり確認・検討したうえで、工事を決めるようにしましょう。
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