解体工事の着手金、相場はどのくらい?資金繰りをうまくいかせるための必要知識

解体工事

解体工事というものは、一生でそう何度も経験することがないという方がほとんどですよね。どのような工程で進んでいくのか、費用がどれくらいかかるのか、などなどわからないことだらけなのではないでしょうか。

今回は、その中でも工事費用について、特に「着手金」というものに焦点を当ててお話していきます。着手金の相場とは一体どのくらいなのか、工事開始前に大金を用意しておかなければならないのか…そのような不安を抱く方は、ぜひご参考にしてください。

解体工事の着手金相場は?

結論からいうと、業者によって異なります。というのも、そこに法的な規則がないためです。

業者と施主の間で金額や支払い方法を決めて、両者合意のもと契約書に明示するので、融通は利くといえます。

一般的なお話でいえば、「解体工事費用全体を着手金と完工金で2回に分けて支払い、そのうち着手金が総額の3~5割」という場合が多いようです。

5割の場合は半分なので、たとえば解体工事費用総額が300万円である場合、着手金が150万円、完工金も150万円、ということになります。

業者によっては「着手金が1割」「着手金はなし」というところもあります。特に費用総額が少額である場合は、着手金はなしで、工事完了後に全額支払いとなることが多く見られます。

また、「着手金と完工金」というよりも、総額の支払い自体を3回以上の分割払いで対応してくれる業者もあります。支払い時期や金額に不安がある場合は、思い切って相談してみるとよいでしょう。いずれにしても、契約前によく業者と話し合い、確認しておくことが大切です。

着手金とはそもそも何か

「着手金」「手付金」「前金」「内金」の違い

着手金と似たような意味合いを持つ言葉に、手付金・前金・内金というものがあります。

実はこれらは、どれも「事前に払うお金」ではあるものの、それぞれ微妙に内容が異なるのです。

まず今回のテーマである着手金は、「仕事に手をつける・取り掛かるために必要なお金」です。後述しますが、解体工事の際の着手金は実際工事が始まる前にも業者がやるべきことというものがいくつかあり、それにかかる経費に着手金が充てられます

同様の意味合いでいうと、建築業界だけでなくたとえば弁護士に仕事を依頼するときにも着手金は発生します。弁護士が弁護活動に取り掛かる前準備のための費用、ということになるのです。

次に手付金は、「契約を交わした際にその契約行動を起こす補償」として、契約当事者同士で交わすものです。

たとえば売買契約で交わされた手付金であれば、買主側の事情でその契約を破棄することになってしまった場合、手付金を放棄する(返金してもらわない)ことでその契約を白紙に戻すことになります。

逆に「解約手付」といって、売主側の事情で契約を白紙に戻す際には、売主側から買主側に手付金の倍額を支払うことによって契約解除となります。

前金は、「その品物の代金をあらかじめ支払う」という意味合いのもので、支払ったあとに品物を買うのをやめた場合は返ってきます。違約金的な要素は含んでいない、と解釈できるでしょう。あくまで「品物を受け取るより先に支払う代金」の意味合いといえます。

最後に内金は、売買代金や請負報酬などの「一部」として前もって支払うもので、こちらも違約金的・法律的な意味合いはなく、単に商業用語として使われるものです。

解体工事においての着手金の目的と関係

本来であれば、工事の費用というものは「契約を締結し工事が完了したあとに支払う」べきものです。依頼主(施主)は、工事が完了して目的のものを受け取るまで代金は支払わない、と主張する権利があるのです。

しかし、解体工事を依頼した際、業者は実際に工事を始める前に行うべきことがいくつか存在しています。たとえば、近隣への挨拶回りや地鎮祭、重機の運搬などがあり、そこに費用が発生してしまいます。その間の人件費ももちろんかかっています。資金が潤沢にないというような事情を持つ業者であれば、このように工事完了前にかかる資金も用意できない可能性も考えられます。

また逆に、依頼主側にとっても工事代金を一括で支払うのは難しい、という場合もあるでしょう。

このように、業者・依頼主両方の事情を鑑みて、「工事代金は完了後にすべて支払い」という原則を見直し、双方の負担が軽くなるように支払い方法にさまざまな幅を持たせるようになったのです。

業者は、着手金を受け取ることでスムーズに工事を開始することができるうえ、万が一想定外の事態が起きた際にも着手金を対応に充てることが可能になる。

依頼主は、一括で支払う負担を抑えることができる。

着手金を設定することで、このようなメリットがあるのです。

工事代金の支払い方法

着手金は、「工事費用の一部を分割で支払うもの」という意味合いがありますが、それも含めて工事代金の支払い方をもう一度確認しましょう。

支払い時期

【一括払い】

前述したように、工事代金は一括でも分割でも、支払い方は施主と業者双方で合意できるものであればどのような方法でもかまいません。比較的少額であれば一括払いで工事完了後の支払い、となるケースも珍しくはありません。

施主側としては、工事が希望通りしっかりと行われたかどうかを確認してからの支払いになるため、資金を用意できさえすればもっとも安心な支払い方法であるといえるでしょう。

【分割払い】

着手金も分割払いのうちの1回にカウントされますが、3回の分割になる場合は「工事開始前(着手金)」「工事途中(中間金)」「工事完了後(完工金)」で支払います。4回以上の分割になると、中間金の支払回数が増える、というイメージです、

分割の回数についても相談次第です。これも施主と業者の話し合いで、自由に設定することができます。

支払い方法

【現金・振込払い】

工事代金の支払い方法として、もっとも多いのが振込です。現金でも可能な場合がありますが、大金を持ち運ぶリスクなどを考えると、振込の方が安心です。

これら2種類の支払い方法は、金利の負担がないという点が最大のメリットです。振込手数料はいくらかかかりますが、ローンなどを組んで金利が発生することを考えると、負担はごくわずかで済みます。

【クレジットカード・ローンでの支払い】

解体工事にはそれなりにまとまった金額が必要になるため、手持ち資金に十分な余裕がない場合、分割払いでクレジットカードを使ったり、解体工事ローンを利用したりということも検討の余地があるでしょう。

便利であり、資金繰りも比較的楽になるというメリットがある反面、金利が大きく乗せられるというデメリットもあります。

また、業者によってはクレジットカード払いを取り扱っていないこともあるため、まずは契約段階でしっかり確認し、予算立ての参考にもするようにしましょう。

着手金支払いの際の注意点

着手金は現金払いのところが多い

前項でも少し触れましたが、完工金はともかく、着手金の支払いにはクレジットカードは使えず、現金もしくは振込のみ可能という業者はまだまだ多いようです。

支払いのときになって用意ができない、とならないように、前もって準備しておくことも考えておきましょう。

着手金が多すぎる場合は要注意

着手金は均等割であるところが多く、たとえば総額200万円の工事費用であれば着手金が100万円、完工金が100万円(3回払いであれば着手金が70万円、中間金が65万円、完工金が65万円)というような算出が一般的です。

ところが、着手金の割合が妙に多い、というケースがあります。総額200万円のところを着手金が150万円で、完工金が50万円…といった具合に。

このように、着手金が相場よりもずいぶん大きな金額で請求された場合は、注意が必要です。資金繰りが相当うまくいっていなかったり、工事を途中でやめてしまう・最悪な場合着手金を持ち逃げしてしまう、といった悪徳業者であったり、という恐れがあるためです。

もちろん、何らかの納得できる理由がある場合もあります。着手金の請求が多額であった場合には、まず納得できるまで理由を確認してみるとよいでしょう。

工事開始のめどが立たない事態になることがある

着手金を支払ったあとで、着工のめどが立たなくなったり、着工時期が大幅に遅れてしまったりというトラブルが発生することもまれにあります。

施主としてはすでに着工金を払っているにもかかわらず、工事が進まないことには不安も感じられるでしょう。最悪な場合、工事を放棄したり、途中で業者が破産して契約自体が遂行されなくなってしまったり、という可能性もゼロではありません。

こういったことはあまり考えたくありませんが、契約段階できちんとした業者であるかどうかをまずしっかり見極めておくことが大切です。

それでもトラブルが起きてしまった場合は業者と納得がいくまで話し合い、さらに消費者センターや弁護士などに相談することも視野に入れなければなりません。

自分だけで悩まず、第三者の助けを借りられることを知っておけば、万が一のときも落ち着いて行動できるでしょう。

まとめ

解体工事においての費用支払い方法は、着手金についても含めて、施主と業者の合意さえあれば比較的自由に取り決めすることが可能です。信頼できる業者を見極め、相談と話し合いを進めて、費用面でも安心して依頼できるようにしたいですね。

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