解体工事の期間はどれくらい?
解体工事を依頼する場合、金額と同じぐらい気になるのは解体工事にかかる期間でしょう。
建物の解体だけを行うのであれば、解体工事の期間は正確に把握していなくても問題にならない可能性が高いです。しかし、解体後に新築や売却の予定がある場合、解体日数を把握しておかないと、全体のスケジュールを立てることができません。
そのため、解体工事にかかる期間を事前に確認しておくことが重要です。
解体工事前後の期間
建物の解体工事前後には、業者探しや現地調査、家の片付け、不用品の処分、手続きといったことを行わなければなりません。一般的に、解体工事前後の工程に1ヶ月~2ヶ月程度の期間が必要です。
解体業者の選定に1ヶ月程度、家の片付けや不用品の処分に2週間程度、着工前の手続きや近隣の挨拶に1週間程度、工事完了後の手続きに1週間程度が必要と言われています。
できれば着工日の1ヶ月前、最低でも2週間前までには工事を依頼できるように動く必要があるでしょう。
【建物別】解体工事期間の目安
建物の解体工事にかかる期間は、面積や時期、天候だけでなく建物のタイプによっても変わります。ここでは完全手壊しや火災物件、長屋切り離しなど特殊な条件のない家屋の解体にかかる期間の目安を建物別に紹介していきます。
木造家屋
木造家屋は比較的解体しやすい建物で、延床面接25坪~30坪前後の一般的な木造二階建ての家屋であれば、解体工事期間は3日~10日程度が目安です。
木造平屋建ての家屋であれば4日~5日程度、倉庫や小屋であれば2日~3日程度が目安でしょう。
鉄骨造
鉄骨造(S造)は、梁や柱などの骨組みに鉄骨を用いた頑丈な建物です。ビルやマンションといった大きな建物に使われることが多いですが、一戸建てに使用されることもあります。
延べ床面積25坪程度の鉄骨造の家屋を解体する場合、10日~20日程度が解体工事期間の目安です。延床面積50~100坪程度の家屋の場合は、10日~30日程度が目安になるでしょう。
鉄筋コンクリート
梁や柱、床、壁などが鉄筋とコンクリートで造られた鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は、中高層ビルやマンションなどに多く使われています。頑丈であるがゆえ、木造や鉄骨造よりも解体に時間がかかってしまうでしょう。
延床面積25坪程度の鉄筋コンクリートの家屋を解体する場合、解体工事期間は2週間以上が目安です。延床面積50坪~100坪程度の家屋の場合、15日~45日程度が解体期間の目安でしょう。
鉄骨鉄筋コンクリート
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物は、鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせたものです。耐久性や耐火性、耐水性、耐震性に優れており、高層ビルやマンション、大型施設などの大きな建物に使われています。
延床面積50坪~100坪程度の大きさの家屋の場合、30日~80日程度が解体期間の目安です。
解体工事の期間が延期しやすい例
前述した解体工事期間はあくまでも目安で、さまざまな事情で延びてしまう可能性があります。解体工事を依頼する前には、工事期間が延期しやすい事情について下調べしておくことも大切です。
ここからは、解体工事の期間が延期しやすい例を紹介します。
面積が広すぎる
解体にかかる期間は建物の広さによっても変わり、建物の面積が広くなれば工事の期間も長くなりやすいです。
建物のタイプを考慮しない場合、10㎡程度の小さな倉庫や小屋であれば2日~3日程度で解体できますが、200㎡以上の大きさの建物を解体する場合、1カ月以上の期間が必要になります。
面積が狭すぎる
重機やトラックを使用できないなど面積が狭すぎる建物は、手壊しで解体作業を進めなくてはいけません。当然ですが、重機を使用するよりも工期は長くなってしまいます。
正確な工事期間を知るためにも、見積もりの段階で重機を使用できるかしっかり調査してもらう必要があるでしょう。
地中埋設物が見つかった
地中から埋没物が見つかった場合も、解体工事の期間が延期されてしまう一例です。事前に埋没物があることが分かっていればそれを撤去する期間も含めて工期を出しますが、解体作業中に岩や廃棄物などが発見されることもあります。
また、予定になかった作業が増えてしまうため、追加費用が発生することも考えられるでしょう。
悪天候が続いた
多少の雨であれば解体作業を進めることができますが、雨や雪が降り続き、地盤が緩んでしまうと重機を動かせなくなります。また、作業員の安全を確保することも大切であるため、作業を中断しなくてはいけません。
梅雨や台風、積雪が予想される時期には悪天候で解体工事の期間が延期されてしまう可能性があるでしょう。
近隣からクレームが来た
解体工事では、騒音や振動、粉塵などで近隣に迷惑をかけてしまうことが考えられるでしょう。
事前の挨拶や説明をしっかり行っておけば基本的に工事への理解が得られ、大きな問題へと暗転することは少ないです。事前が十分でなく、クレームへの対応が悪い場合には工事が止まってしまうことも考えられます。
近隣への挨拶や説明をしっかり行い、クレームが発生した場合の対応策を考えておく必要があるでしょう。
解体工事の主な内容
解体作業はまず、周辺の工事から入ります。外壁の工事、足場や養生の組み立てが終わったら、瓦や内装(ガラスや金属類)の撤去と分別を手作業で行います。
手作業での撤去が終わったら、重機で建物を解体し廃棄物を搬出していきます。建物の解体が終わると基礎の解体に移ります。基礎まで撤去できたら、整地を行い、廃棄物の処理をして解体作業は終了です。
解体工事を期間内に収めるポイント
前述したとおり、解体工事はさまざまな事情で延期してしまうことが考えられるでしょう。スケジュール通りに解体が終わらなければ、新築工事や売却のスケジュールに影響を与えてしまいます。
ここからは、解体工事を期間内に収めるポイントを紹介していきます。
- 悪天候の少ない季節を選ぶ
- できるだけ不用品は事前に処分する
- 早めに業者を選ぶ
- いつ工事が終わりそうか日頃から確認する
- 業者と密にコミュニケーションを取る
- 近隣への配慮を怠らない
悪天候の少ない季節を選ぶ
解体工事は雨や雪が続くと延期されてしまうため、6月~7月かけての梅雨の時期、9月~10月にかけての台風の時期、12月~2月にかけての大雪の予想される時期は避けるのが鉄則です。
できるだけ悪天候になりにくい、天候の安定した時期を選んで工事を依頼するようにしましょう。
できるだけ不用品は事前に処分する
建物の中に不用品が残っているとそれを搬出するための時間が必要になります。追加費用も発生してしまうため、できるだけ不用品は解体工事がはじまる前に自分たちで処分しておくようにしましょう。
不用品回収業者や行政の粗大ごみ回収を利用して、できるだけ不用品を片付けるようにしてください。
早めに業者を選ぶ
業者が繁忙期の場合、工事を依頼してから作業に入るまでに2カ月程度かかる場合があります。施希望する期間内で収めたい場合には、早めに業者を選ぶことが重要です。余裕を持って業者選びをするようにしましょう。
いつ工事が終わりそうか日頃から確認する
工事を期間内に収めるためには、業者任せにせず日頃からいつ工事が終わりそうか確認することが大切です。
悪天候などどうしようもない事情で工事が遅れることもありますが、業者側の一方的な事情で工事が遅れてしまうこともあります。進捗確認をしていないと、スケジュールの遅延に気づくことができないでしょう。
業者と密にコミュニケーションを取る
業者とコミュニケーションを取り、不明な点があればその都度、追及することでトラブルを未然に防げます。トラブルを未然に防ぐことで解体工事を期間内に収められるでしょう。
近隣への配慮を怠らない
近隣からクレームが来て工事が中断しないようにするためには、近隣への配慮を怠らないようにしましょう。工事開始前の挨拶や説明は当然ですが、工事中も重機を使用する前に声かけするなど近隣住民に配慮することが大切です。
解体工事期間が極端に延期した場合は?
民法では、請負人と注文人のどちらかが期間内に債務を履行しない場合、相手方は契約の解除をすることができるという規定があります。
解体工事期間が極端に延期した場合、期間を定め工事を完了させるよう促したうえで、期間内に完了しなければ債務不履行を理由に契約解除しましょう。
出典:民法(債権関係)の改正に関する論点の検討(18)|法務省
解体工事の期間の目安を知っておこう
解体工事が延期してしまうと、解体後に予定している新築や土地の売却といったスケジュールにも大きな影響を与えてしまいます。そのため、解体工事の期間のおおよその目安を把握しておくことは大切です。
また、解体工事はさまざまな事情で延期してしまう可能性があるため、この記事で紹介した解体工事を期間内に収めるポイントを参考に、延期をできる限り回避できるよう努力しましょう。