滅失登記は、建物がなくなった時に必要となる手続きです。費用の相場はどのくらいか、やり方はどのようにしたら良いか、手続きの時期はいつ頃か、といったことが気になるところです。この記事では、建物の滅失登記の手続きにかかる費用の相場ややり方、時期について解説します。

目次
滅失登記の費用相場は建物の規模などによって異なる。滅失登記の手続きは建物の解体から1カ月以内に行う必要があり、自分で申請する以外に専門家へ委任することも可能。
滅失登記の手続きに必要な費用相場は、その建物の規模の大小や、権利関係の複雑さで変わってきます。手続きは解体後1カ月以内に完了しなければなりませんが、自分で行うことも専門家である土地家屋調査士に委任することもできます。
滅失登記の言葉の意味
滅失登記とは、建物がなくなった事実を公的書類である登記簿上で更新する手続きです。 また、現存していない建物が、登記簿上では存在していると発覚した場合にも必要です。
滅失登記手続きの完了をもって、現地に建物が存在しないことが正式に証明されます。その後は、土地の売買や新しい建物の建設などが可能になるほか、建物への固定資産税の対象にもなりません。

滅失登記の費用相場
滅失登記の費用相場は、土地家屋調査士に委任した場合、平均的な家屋で3~5万円程度です。ただし建物が大きい場合や、所有権など各種権利の証明に多くの書類が必要な場合はこれよりも高くなります。
自分で手続きをするのであれば、最低限必要なのは登記簿謄本の取得手数料(1通あたり1,000円)です。
滅失登記の手続きの時期
滅失登記手続きの時期は、 不動産登記法第57条により建物の解体後1カ月以内と定められています。土地家屋調査士に全ての手続きを委任しても2週間程度の期間は必要ですし、特に自分で申請する場合は早急に行動すべきです。
滅失登記のやり方①必要書類を用意する
滅失登記の手続きを自分で行う際には、さまざまな書類が必要となります。最低限、以下の書類を用意してください。
- 建物滅失登記申請書
- 滅失した建物の登記事項証明書
- 建物滅失証明書
- 解体業者の代表者事項証明書
- 解体業者の印鑑証明書
- 滅失した建物周辺の地図
書類のうち、建物滅失登記申請書と登記事項証明書は建物が存在していた場所を管轄する法務局の窓口やインターネットで請求できます。
建物滅失証明書、解体業者の代表者事項証明書、印鑑証明書は、解体工事の施工業者が準備します。建物周辺の地図は手書きや市販の住宅地図、またはインターネットを印刷したもので構いません。
なお、結婚や転居などで所有者の住所氏名が変更になった場合は、婚姻届や転入届等が別途必要です。また、建物の所有者が故人であればその人の戸籍謄本と住民票の除票が、相続人の記載がなければ相続人の戸籍謄本も必要です。

滅失登記のやり方②法務局に郵送するか持参で提出する
滅失登記の申請書類の提出は、建物が存在していた場を管轄する法務局の不動産登記申請表示係に郵送、または持参して行います。書類提出後、約1週間で登記完了証が発行されます。
土地家屋調査士に委任するという方法もある
滅失登記は自分で行う以外にも、土地家屋調査士に委任することもできます。土地家屋調査士は、土地や建物の調査や登記などに関する専門職です。費用は物件により、諸権利が複雑であったり、広い建物であるほど高くなります。
滅失登記すると固定資産税の課税台帳から建物が抹消される
滅失登記が完了した建物は、固定資産税の課税台帳から記録が抹消されるため、翌年1月1日以降の課税対象からは除外されます。もしも課税が翌年も続くようであれば、建物があった市・区役所や町村役場に申し出てください。

滅失登記の手続きを怠ることで生じるデメリット
滅失登記は、建物を解体したり、消失してしまった場合に所有者に義務付けられている手続きです。もしも怠った場合は、以下のデメリットが発生します。
- その土地の売却や新しい建物の建設ができない
- 解体済みの建物に対して固定資産税が課税される
- 元の建物の所有者が死亡した場合、事後手続きが煩雑になる
- 過料の可能性(10万円以下)
書類の上では、滅失登記が完了するまで古い建物が残っている扱いになります。そのため、資産性の高い更地として売却したり、同じ場所に新しい建物を建設する許可が下りません。
また、固定資産税の金額は登記簿の内容を基にして算定・請求されることから、滅失登記が行われるまでは請求が続いていきます。さらに、元の建物の所有者が亡くなっていると、手続きに必要となる書類が増えることになります。
そして、滅失登記の申請を怠ることは罰則対象(不動産登記法第164条)ですので、ペナルティとして最高10万円の過料(罰金)が課せられます。
