門扉選びのポイントを押さえよう!門扉の役割、デザイン、機能について知る

解体工事

家の顔ともいえる門扉。たくさんの種類があり、どれも魅力的で目移りしてしまうほど、最近のラインナップは豊富です。家のエクステリアに関わる部分の建材や部品はメーカーごとに絞ったとしても、外壁や扉に合わせたデザイン性や、機能性を重視したものなど、本当にさまざま。門扉の種類によって、外観のイメージもガラリと変わります。

ここでは、そんな門扉にクローズアップして、選び方や機能性などを紹介していきたいと思います

門扉の交換や新設を検討されている方は、この機にマイホームとの相性など、しっかりと検討してみるのもいいでしょう。

門扉の歴史~伝統的な門~

古来日本では、屋敷や蔵といった建造物は、ある種の身分や富を象徴しているものでした。

それと同時に生業などによっても建物様式が決まっていたので、門というのは、その家人を語るうえで重要な外見要素のひとつとして存在していました。

もちろん、家人をイメージするためのものだけではなく、そもそも門というものは、敷地と外部を区切る塀や垣を行き来するために作られた通用口のことで、敷地の境界を明確にするための機能を持っています。

現代では、富や権力といった意味合いでの門扉ではなくなり、むしろ防犯やデザイン性の表現によるものが多く、種類も豊富にあります。

冠木門(かぶきもん)

冠木門とは、左右の門柱に横木を通した形の門のことです。

横木のことを冠木(かぶき)と呼び、文献によるとその歴史は鎌倉時代までさかのぼるほど。今でも室町時代のものが残っています。

冠木門は2本の門柱の上に横木をのせたもので、衡門ともいわれ、上土門とともに武家の屋敷に用いられていました。

棟門(むなもん・むなかど)

本の大きな門柱で切妻屋根を設けている門です。

公家や武家の邸宅や、寺院の塔頭(たっちゅう)などにも広く用いられた屋根付きの門のことで、通常は門を支える控え柱を設けないため、脇にある塀などに支えられるような格好で建っています。 そのため、構造が不安定になることが多く、日本のいたるところで建築されていたにも関わらず、遺例は極めて少なくなっています。

長屋門(ながやもん)

近世の武家屋敷や、陣屋に多く用いられた形式で、その多くは江戸時代に建てられ、大名が自分の屋敷の周囲に家臣を住まわせる長屋(住宅)と門を兼ねた複合建築が発祥です。

その後に、上級武士の住宅の表門などの形式として広く利用されるようになっていったとされ、武家屋敷の長屋門では、門の両端に門番の部屋や、仲間部屋と呼ばれる部屋が置かれ、家臣や使用人の居所に利用されるようになりました。

明治以降には、富豪の屋敷にも作られるようになりましたが、門の両端部分は使用人の居所や納屋、作業所として使われるようになりました。

門扉のスタイル

現代では、門扉の必要性を大きく分けて、デザイン性・プライバシー保護・防犯性に分類されます。

マイホームと合ったものや好みのスタイルによって、門扉の役割の方向性が変わってきます。

開放感にあふれたデザイン

あえて門扉やフェンスなどを低めにして、視線が抜けるデザインにし、門扉越しに庭の草木や建物の佇まいを見せる総合的なデザインにします。そうすることによって、玄関まわりに開放感が出て、家に人を気軽に招き入れる雰囲気になります。

近所とのお付き合いや、コミュニケーションがとりやすくなるといった効果が挙げられます。

プライバシー保護や防犯に特化したデザイン

門扉やフェンスを高めにし、かつ視線を遮るデザインにすることで、防犯やプライバシーに配慮したスタイルになります。

大通りに面した家や、公園に面しているなど、不特定の人が出入りをするような場所近くの立地では、庭や室内で過ごすのに安心感の高い空間を作り出すため、多く用いられています。

門扉やフェンスの背が高くなることで、プライバシー保護だけでなく防犯にも一役買っているといえるでしょう。一説によると、泥棒心理として、侵入に時間がかかってしまうような場所や、逃げる時の退路を確保できないものは避けるといった心理があるからです。

小さなお子さんやペットが道路に飛び出す危険性も抑えられる、というはたらきも期待できます。

デザイン性は損なわず、見せながら隠す

門扉やフェンスを目隠しにするのではなく、格子状のデザインにすることで、程よく視線を遮り、境界を明確にします。

それによりプライバシーの保護と開放的な雰囲気づくりの両方を果たします。バランスの良い、良いところ取りのデザインといえるでしょう。

門扉のデザインと機能選び

門扉を選ぶうえで、セオリーとされているものがあります。

デザイン的なことや機能性のことであるため、絶対とは言い切れませんが、迷っているという方には必見です。

玄関ドアのデザインや色、部材を統一

例えば、玄関ドアに木材を使用し、暖かみのあるものであれば、門扉も同じ木材を使用し、色や資材を統一する方が、全体的なバランスは良いでしょう。

また、玄関のドアノブなども同時に合わせることにより、さらに統一感が出ます。奥の玄関と手前の門扉の統一感により、奥行き感が出てさらに一体感を生み出します。

フェンスに合わせる

洋風のフェンスに和風の門扉や、開放感のあるフェンスに重厚な門扉。そういったちぐはぐな状態も、ある程度統一することで違和感を抑えられます。

敷地に合ったものを選ぶ

敷地に合わせた機能を持ち合わせているものを選ぶのは大切です。

門扉単体のデザインなどだけで決めてしまうと、あとで使い勝手の悪いものになりかねません。門扉の機能もしっかりと考えておきましょう。

開き戸タイプ

門柱に扉を蝶番などで固定し、前後に回転させて開くタイプの扉です。道路側から玄関側に向かって開くタイプを「内開き」、対して反対側に開くタイプを「外開き」といいます。一般的にはこのタイプが一番多くなっています。見た目もよく、コストが安いことが選ばれている理由です。

敷地や生活導線に問題がなければこの開き戸タイプで間違いはないでしょう。

両開き、片開き、親子開きなどバリエーションも豊富にあり、全てのタイプを合わせると、この開き戸タイプは全体の9割にのぼるといわれています。

引き戸タイプ

門扉のすぐ中に階段がある場合、敷地内の生活導線に問題がある、あるいは門の外に敷地の余裕がないなどという理由で、引き戸を選択することがあります。

引き戸にするには、間口方向に坂道がない、引き込みが必要などのいくつかの条件はありますが、奥行きがないところには最適です。

アコーディオンタイプ

奥行きも間口も取れない場合には、伸縮するアコーディオンタイプがおすすめです。

折りたたんで収納できるので、引き込みも必要ないうえ、省スペースで設置できます。

構造上仕方のないことですが、目隠しとしては不向きです。また小さなお子さんの指挟み事故などの事例があるため、注意が必要です。

門扉の素材

門扉の素材には、木、鉄、アルミ、鋳物など多種多様なものが使用されています。それぞれに持った素材の特徴から、見た目の印象がガラリと変わってきます。

門扉は単体のものではなく、フェンスや建物などの一部ともいえるものなので、建物に合ったデザインをコーディネートすることが大切です。

それぞれの建物に合わせやすいものをいくつか紹介します。あくまで建物の外観のイメージを損なわないコンセプトですので、全てにおいて決まりはありません。

木製

家具のような素材ではなく、雨や風、太陽光などにさらされても耐えられるように加工した屋外用の素材を使用。木本来の木目や温かさなどが伝わり、ナチュラルでやわらかい印象を与えます。

合う建物は、純和風、アメリカン、カントリーなど。

標準的な樹脂製

加工しやすい樹脂製は、どのような様式の建物においても合わせやすく、広く普及しています。木粉入りの樹脂を使ったものや木目調に加工したものもあるので、一見すると木製のように見えるのに、耐久性やメンテナンスのしやすさは木製より高いというメリットがあります。

ただし、ものによってはチープな印象を与えてしまうこともあります。良くも悪くも合わせるセンスと仕上がり次第といったところでしょう。

合う建物は、シンプルやナチュラル系のモダンな建物など。

重厚感のある鋳物製

洋風の住宅では、エレガントな曲線の鋳物で作る門扉と相性がいいといわれています。鋳物製はデザイン性が豊富で、曲線が作り出すなんともエレガントな仕上がりになります。

塀やアプローチにレンガやタイルなどを組み合わたり、陶器の花瓶や人形などを置いたりすると、テーマパークのようなファンシーな印象にもなります。

また、ツル植物を絡みつかせたり、花かごなどをかけたりして装飾しても似合います。向こう側に視線が抜けるので圧迫感も出ません。

合う建物は、フレンチ、南欧風、ヨーロピアン調など。

アルミ製

軽量で、開閉時における力が必要のないアルミ製。錆びにくく雨や太陽光による傷みに強く、掃除もしやすいのが特徴。デメリットとしては、伝熱性が高いため、夏は熱く冬は冷たくなりやすいことです。

合う建物は、モダン系の建物など。

鉄製

アルミとは正反対の重厚感のある鉄製は、しっかりとしたフェンスなどによく合います。

重みのある鉄製の門扉はセキュリティ面においても頭一つ出ているといった印象があります。

ただし、見た目通り重量があるため、開閉には力が必要になります。したがって、お子様やご高齢の方にとっては不向きであるという欠点があります。

合う建物は、本格和風、シンプルモダン。

門扉に便利な機能

デザインや機能性も大切ですが、最前線で家を守るのが門扉の役割です。

そんな門扉に便利な機能をいくつか紹介します。

施錠機能

門扉にカギがあるのは昔からですが、最近では施錠の形も変わり、非接触型のスマートキーが主流となっています。

非接触のカギでカード型や磁気を帯びたシールを携帯電話などに貼り、近づけると反応するものや、タグのような形状をしているものまであります。

インターホン

こちらも昔からある機能のひとつですが、せっかく敷地の区別をして防犯対策をしているのに、家の壁や敷地内にインターホンがあるのでは、門扉の機能は損なわれてしまいます。

新しく門扉を設置するのであれば、インターホンが設置できるタイプにしておけば、余計な工事は避けて通ることができます。

ポスト

こちらもインターホン同様、新たな門扉設置の際にはあらかじめその機能があるタイプを選択するといいでしょう。

宅配ボックス

昨今、通販などで大きな役割を果たしている宅配ボックス。定型内郵便のサイズのものであればポストで十分ですが、それより大きなものになると、宅配ボックスがあれば便利です。

利点として、非接触での受け取り、在宅時以外の受け取りができるといったことでしょう。

門柱に機能を持たせる

こちらは番外編です。

門扉やフェンスを設置しないデザインであれば、上記のような機能を門柱に集約することで、欲しい機能はそのままで、いいとこ取りも可能です。

今では、門柱のデザインも豊富にあり、選ぶのに一苦労といった感じです。

接道によっての高さの目安

マイホームに面している前面道路の通行量によっては、門扉の高さも検討する必要があります。また、アプローチから玄関までの距離も重要です。

通行量の多い道路・公園に面している

プライバシー保護のためには、人の頭を超える高さ2m程度が目安となり、同時にフェンスなども人の目に入りにくいものが良いとされています。

庭などの木々やガーデニングを見せる場合

庭を見せるオープンスタイルなら、高さ1mから高くても1.5mまでがいいでしょう。

家と庭とを一体的にデザインしたスタイルなら、高いフェンスや門扉は似合いませんし、そもそも見せることができません。

それでも防犯対策の面で不安があれば、「中は見えるが背の高いフェンス」などにすると安心です。

まとめ

家の玄関口にあたる門扉。そのデザインや仕様で家の雰囲気が決まってしまうといっても過言ではありません。

マイホームに溶け込むデザイン・取り回しの良い設計・仕様でテイストを決め、さらには使い勝手の良い素材にすることで、実用的な門扉になるのではないでしょうか。

ただのエクステリアではなく、全体の印象と実用性を兼ね揃えた門扉は、大切なマイホームの顔としての大きな存在となるに違いありません。

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